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異世界メイド喫茶にいこう  作者: 仲良むら
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第1話 アヤカシのビームで異世界転移

メイド喫茶が好きなので、メイド喫茶をテーマに書いてみました。行ったことがない人にも行きたいと思ってもらえる作品になるように頑張ります。

「お帰りなさいませ。ご主人様」

 俺がドアを開けるとメイドさんがお辞儀をして迎えてくれた。


「ひなちゃん。今日もツインテール似合ってて可愛いね」

「ありがとう。嬉しい」

 ひなちゃんは照れて、顔を赤らめながら微笑んだ。


「少し髪切った? 前髪が眉毛よりも上になってるね。ツインテールの髪も少し短いしね」

「そうなんです。よくわかりましたね」

「ちゃんと見てるからね」


「こちらの席へどうぞ」

 ひなちゃんは笑顔でカウンターの席に案内した。俺はカウンターの真ん中辺りの席に座った。


 オープンと同時に来ると、確実に良い席に座れる。俺のベストポジションはカウンターの真ん中の席。


「ゆみちゃん痩せた?」

 カウンターの中で待っていたのはゆみちゃん。最近ダイエットを始めたと、ツイッターで書いてたけど、一週間ぶりに会ったら、少し顔が細くなった気がする。


「本当ですか?」

 目を丸くして嬉しそうな声で訊いてきた。


「うん。ツイッターでもお菓子を食べないようにしてるとか、ジョギングをしてるとか書いてて、頑張ってるなって思ってて。もう効果が出てるんだなって思ったよ」


「そうですよね」

 俺の言葉にひなちゃんも同意した。

「元々スタイル良かったのに、さらに痩せるなんてすごいね」

「そんなことないですよ」


 俺はコーラを注文して、会話を続ける。

「二人ともますます可愛くなっていくね」

 二人のメイドさんは照れてしまう。


 俺はメイド喫茶「ヘブン」に来て約一年。最初は常連の人達がよく喋る人が多くて、中々メイドさんと話せなかった。


 就職して仕事と家の往復だった俺は、癒やしを求めて、ヘブンに来た。


 オタクだったのもあるけど、女の子と話すことが全くなかったため、女の子と話すにはどうすればいいかと考えて、メイド喫茶に行くことにした。


「走助さんはよく見てくれてますよね」

「みんな可愛いからね」


 俺の言葉に二人は嬉しそうに微笑んだ。

 来始めた当時、常連のご主人様は面白いことを話す人がいっぱいで、俺は話そうにも話せなかった。


 面白さでは勝てないと痛感した。ただ可愛いメイドさんに対して、あまり可愛いと褒めているご主人様はいなかった。


 それに気付いてから、メイドさんをしっかり見て、変化のある部分や可愛い所などを見つけるようにした。


「そうだこれ」

 俺はさっき買ってきたものを、カウンターに置いた。


「何?」

 ゆみちゃんに訊かれて答える。

「黒蜜豆乳プリン」

「美味しそう」

 ゆみちゃんの目がキラキラと輝く。


「ダイエット中だけど、甘いものが食べたいってツイッターに書いてたから、低カロリーなものを探してきたよ」

「ありがとうございます」

「今日のシフト五人だったよね。五個あるからね」


 ゆみちゃんは嬉しそうに受け取って、奥に持っていく。冷蔵庫に入れて終わってから食べるはずだ。

「気がきくね」

「そんなことないよ」


 ひなちゃんの言葉に、顔の前で掌を振って謙遜する。

 とにかくメイドさんに喜んでもらう。いつも楽しい時間を過ごしてるから、そのお礼をしたいんだ。


 俺の肩に妖精のリルカがのった。他の人には見えない掌ほどの大きさで、背中に翼をはやした少女。


 女の子と話していないけど、妖精は別。人間の女の子のこと。


「ごめん来たばっかりだけど、急用が出来ちゃった」

 俺はスマホを出して操作してから、申し訳ない声を出した。スマホには何も急用は表示されていないけど、呼ばれたことを演出する。


「仕事?」

「う、うん」

「それじゃしょうがないよね。待ってて。今お手紙書くからね」


 お手紙とは伝票のこと。今日渡されたときには、金額に加えてこう書かれていた。

 いつも褒めてくれてありがとう。褒め王子様♡ 黒蜜豆乳プリンみんなと食べるね。


 こういうちょっとした言葉だけでも嬉しい。

 お会計をすませて外に出る。


「走助ご主人様の出発です。行ってらっしゃいませ」

「うん。今度はゆっくりするね」

「お仕事頑張ってねー」


 ヘブンから出てしばらく歩き、道を曲がってから、小声で肩に乗る妖精に話しかける。


「リルカ。人の癒やしの時間をぶちこわすなよ」

「しょうがないでしょ。アヤカシが出たんだから」


 アヤカシとは人間の憎悪、怒り、憎しみなどから生まれる妖怪のようなもの。

「走助の仕事はアヤカシ退治でしょ」

「わかってるよ。だからすぐ出たんじゃないか」


 リルカの案内でアヤカシの場所まで走っていく。

「遅いぞ」

 仲間の剛が怒鳴った。


「これでもめいいっぱい急いだんだよ」

「このアヤカシは特種なビームを放ってくるぞ」


「強力なのか?」

「強力というか、一瞬で消える。さっきも自動販売機が消えた」

「マジかよ」


 アヤカシの攻撃は絶対よけなきゃと思いつつ、俺は自分のスピードに自信がある。

「とにかく変身だ」

「おう」


 剛の言葉で俺はリルカの方を向いて頷いた。

「妖精よ。悪を倒すために、聖なる力を。変身」


 俺の身体が白い光に包まれた。数秒後その光が消えると、まるでロボットのような銀色のバトルスーツに身を包んでいた。


「妖精戦士エルフィアン」

 俺が変身したときの名前を叫び、剣を構えてポーズを決めたときだった。


「よけろ!」

「えっ?」

 アヤカシはビームを放っていた。

「変身したときは、攻撃しちゃダメってお約束、わかってるだろ!」


 俺は変身のときに、身体を光に覆われていたため、アヤカシの動きが見えなかった。

「お約束なんて通じない奴に愚痴るなよ」

 剛も変身していたが、気にしないようだった。


 俺は高く跳んでかわした。

 だがビームは俺のいた場所からグインと直角に上がって、俺に迫ってきた。


「何ッ!」

 身体を捻って何とか少し横に動いたけど、ビームは俺に合わせて動き、足に命中した。

「走助!」


 耳には剛の声が響きながら、身体中にモザイクのようなものが生まれていく。

 次の瞬間、どこかへ飛ばされていく感覚。まるで思いっきり投げられたボールのような気持ちになった。


「ここはどこだ……」

 俺は知らない道に寝ていた。

まずは異世界に転移するところからですね。最初のシーンは可愛いメイドさんをイメージして書きました。感想や応援などしてくれると嬉しいです。

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