「恋する月兎」 Written by にゃん椿3号
「恋する月兎」
いつだってまぶしすぎる
なんにも考えてないふりして
キラキラ輝く笑顔を選んで魅せる
おひさまみたいな あなただから
こっちにおいでと手招きされても
迷い 惑うことしかできなくて
怖いばかりと立ちすくむ私
秋風が雲や木の葉を乱すように
あなたとすごせば落ち着かなくて
ふたりでいると胸が苦しくなるばかり
せめて月になれたなら
あなたをうつしとるように
光 輝けるかもしれないけれど
ひとりでいることに慣れ過ぎて
ボッチの時間も寂しくないわ 悲しくないわ
宵闇でいいの
星影でいいの
月に跳ねる兎みたいに
優しい夜に包まれていたいの
ふたりですごす時間を知ってしまえば
満月が欠け いつしか三日月へとうつろうように
再びひとりに戻る瞬間が 怖くてしかたなくなる
おひさまには不似合いな私を
新月にしてこのまま消してしまいたい
近づかないでよ
知らない誰かと陽の下で
手に手を取ってワルツを踊る
あなたを夢想していれば安心するの
お願いだから 抱きしめないで
あたたかい腕に 勝手な涙があふれてくるよ
薄情者だと笑って流し
好きだなんて どうして言うの?
ひとりでいるより ふたりがいいと
ささやくような優しい声で kissを求めないで
愛され方すらわからない
私はまぶしい恋に慣れなくて 震えるばかりの月兎