004 ゲーム
エクソシストになるための修行は中々終わりませんでした。午前も午後も様々な理由をこじつけられて、修行を強要させられるんです。しかし、僕はそれを不思議と嫌とじゃ感じませんでした。むしろ、彼女に無理矢理修行をさせられて、嬉しいのです。この感覚、駄目でしょうか。
「今日の修行はゲームを使うわ」
道場にです。なんと、携帯ゲーム機のハードがありました。といっても、十年前に発売されたレトロな携帯ゲーム機ですが、僕はこのゲームで一度ゲームをプレイしてみたかったと思っていたところでした。
「修行でゲームですか」
「そうよ。これで忍耐性を向上させるわ」
「忍耐性……」
僕は初めて修行道具に自らの意志で近寄りました。すると、このゲーム機に刺さっているカセットは僕の見た事のないカセットでした。
「なによ。今日はやる気満々みたいね」
「これって、何のゲームですか?」
「経営ゲームよ。プロ野球のGMになって、球団を日本一に導くゲーム」
「これをプレイするのですか」
僕は彼女に聞きました。すると、
「そうよ。日本一になるまで続けなさい。説明書と箱は売ってなかったからゲームのチュートリアルをちゃんと確認しするのよ。分かった?」
球団を日本一にするまで修行は終わらないと言われました。
「はい、分かりました」
「よろしい。では、始め」
彼女が見ている前でゲームをプレイするのです。これはミスできません。僕はゲームのスイッチを起動させると、スタートボタンを押して『最初から始める』という項目を選びました。これで経営がスタートです。
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3時間が経過しました。ゲームの年数で言えば、もう6年目なのですが、日本一どころかAクラス入りも果たしていません。いまのところは万年最下位なのです。経営状況も悪く、現在は借金生活です。しかも借金なので、選手たちが不安がっています。チームは全面的に調子が悪いので、中々勝つことが出来ません。
「予想以上の難航っぷりね」
「え?」
「このゲームは難易度が超絶に難しいと、発売当時に話題になったゲームらしいわ」
そう、これが悪夢の始まりなのでした。七年八年と年数を重ねても、いっこうに日本一の栄光には届きません。
「清助に文句を言われて、藤田の精神ポイントが13下がりました」
清助は変化球ばかり投げる藤田に「ストレート投げろ!」と言って脅迫してきたのです。それで精神ポイントが下がってしまいました。このように、せっかく溜めたポイントが減らされるイベントが多々あって、中々成長出来ないのです。