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追憶
小窓からそそぐ、外の日差しが眩しい。
わたしは一度、瞼を閉じ、そして再びペンを取った。
「会いたい…」
あの人の顔が、薄く原稿用紙に映る。
しあわせな日々だった。
愛されていたことを信じたら、今のわたしの現状は、変わっていた筈なのに。
わたしは彼を疑い、愚かにも、彼の面影を一生失ったのだ。
もう二度と、わたしは彼の笑顔を、彼の力強い命の手を、胸ね温もりを取り戻す事はできない。
花形スター
そんな昭和的な表現が、平成生まれの彼にはぴったり合った。
彼はサーカスの花形スターだった。
もし、わたしという女と出会っていなければ、彼は今でも花形スターだったに違いない。