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僕のママ

作者: 本麻香



 親より先に死んだら天国には行けず、親が迎えに来るまで待たなくてはいけない。それは親より先に死んだ罰。幼い子もいれば大学生の子がいる。

 最近は、死ぬ子もおらず、次々と親が迎えに来る。ひとり、またひとりといなくなる。みんな笑顔で、親と手を繋いで天国へ行く。

「理久くんのママはまだ来ないの? 早く来るといいね!」

 天国へ行くとき、必ずみんな言う。いいな、みんな迎えが来て。羨ましそうに二人を見つめる。

「ありがとう! でも、ママには、少しでも長く生きていてほしいから」

 そういわれたら絶対そういう。本当は、すぐにでも迎えに来てほしい。僕のちょっとした強がり。ああ、またひとりいなくなる。僕を含めてもう3人しかいない。僕が来たときは10人以上いたのに……。

 寂しい、ママ早く、早く迎えに来て……。いっぱい我慢したよ? もう13年も我慢したよ?

僕、ママが大好きだよ。ママは僕のこと嫌いなのかな? だから迎えに来てくれないの? ママ……。逢いたいよ…………。

 ある日、子どもたちが話してた。君はどうしてここに来たの? 

「事故で死んじゃった」

「殺されたんだ」

 そんな話を聞いてひとり考えた。……僕はどうしてここにきた? なにも憶えてない。

「誰に殺されたの?」

「お母さん」

 頭が痛い。悲しい。虚しい。心が痛い。どうして? 頭の中はそんな言葉ばかりが駆け巡る。そのうち映像が流れる。

『あんたなんて生まれてこなければよかったのに!』

『しね!』

 そういいながら僕にナイフを突き刺す。この人は誰? 怖いよ。鬼みたいなこの人は一体誰なの?

 ああ、そうかこの人は僕の大好きなママ……。ママ、やっぱり僕のこと嫌いなんだね。だから迎えに来てくれないんだね……。自然と涙が溢れてくる。頬を伝い、血だらけの服に虚しく染みを作る。ただただ泣き、いつしか疲れて眠っていた。

 起きたとき、そこには誰もいなかった……。そうかみんな迎えが来たんだね。とうとうひとりになちゃった。僕はこれから誰を待っていればいいのだろう……。たくさん泣いたせいで前が掠れて見えない。

 後ろで足音がする。また誰か死んだのかな。振り向いて顔を確認しようとするけれど、やっぱり見えない。

「理久……」

 僕は固まった。涙だけがとめどなく流れていく。声の主は、僕の大好きなママ……。

「ごめんなさい」

 そういって優しく僕を抱きしめたママ。

「来てくれて……ありがとう……」

 ママを抱きしめかえした。やっと僕も天国へいける。大好きなママと一緒に。

「ママ大好き!」

「ママも理久が大好きよ」

 そういって微笑むママと一緒に手を繋いで天国へ歩いた。





最近親が子を殺す、という悲しいニュースをよく目にします。

その親は、自分の子を殺したことを後悔しているのか。

今回理久の母親は後悔していたという設定で書かせていただきましたが、現実はどうなのでしょうか。少しでもそういう悲しいニュースが減っていくことを願います。

もしおかしなところがあったらお手数ですが教えて下さい。


最後にこの小説を読んでくださってありがとうございます。



本麻 香




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