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23:魔王領の様子を見に行く

「ララとアイリスさんは西大陸ムスベルでしたっけ?」

「ああ」

「そうよ」


水質汚染の魔力災害のあと、思ったよりもこの世界の魔力の状況が良くないのかもしれないという話になった。

そこで、魔力災害が起こる前に対処ができないかと下調べなどを行うことになった。


今回、ララとアイリスさんは、火の精霊と竜人探しに西大陸に行くことになっている。

私は魔王領の東大陸アルブヘイムの様子を確認する為、別行動をとる。


「今回は魔力災害が起こってないから、水質汚染の時みたいにピンポイントで場所がわからないのよね・・・」

「まぁ手がかりさえあればまた行けばいいだろう」


ちょっと悩ましげなアイリスさんと、外出できることに若干ウキウキなララ。


すると突然アイリスさんが手をこうワキワキしながらララに近づいていった。


「アイリスなんだ!?」

「えっ?出発前のコミュニケーションでくすぐろうかなと思って」

「いらないだろ!」

「ダメ?雰囲気でいけると思ったのに・・・」

「逆になんでいけると思ったんだ!」


いつも通りの2人に苦笑いしちゃったけど、あの様子ならいつも通り大丈夫でしょう。


「じゃ私は行きますね」


「いってらっしゃい!」

「気をつけてな!」


私は転移魔法を発動した。


ーーーーーーーーーーーーー


「ここも久しぶりね。家も綺麗なままみたい」


かーくんにこの世界に連れてこられた場所に転移した。

あれ以来初めてきた。


「転移が使えるようになったらまたこい、って言ってたけどいないわね」


家の周りを見ると、まるであの日のままのようだけど、かーくんはいなかった。

かーくんに聞きたいこと・言いたいことリストがあるのに・・・


「まぁ神の使いだし、忙しいのかな?ちょっと周りを散策しましょう」


私は浮遊魔法を発動して、上空まであがった。

眺めがいい。眺めはいいけど、


「当たり一面森ばかりね・・・」


どうしよう。木しかない。

北にでも行ってみようかな。

かーくんが言ってた話だと、確か魔族の集落がちらほらあったはず。

たぶん。私の記憶が正しければ。


途中で休憩しつつ北に飛ぶこと数時間、城壁が崩れ落ちた大きな廃城が見えてきた。

飛行魔法の高度を下げて、城に降り立った。


「ここは?魔王領の城といったら、魔王城?・・・安易かな」


なぜか懐かしいような気がする。

冒険心もくすぐられて城を散策してみたけど、何もなかった。

1000年も経ってたらそれもそうね。形が残っているだけいい方ね。


私はまた飛行魔法でしばらく空を飛んでいると、煙が見えた。

魔族がいるのかな?

煙に近づくと集落のようなものが見えたので、地上に降りた。


「誰だお前は?」


ツノの生えた人?魔族かな?が槍をもって警戒した様子で私に聞いてきた。


「ユカです」

「人間が何のようだ?そもそもどうやってきた?」


人間と魔族は交流がないはずだけど、人間だとわかるの?

何かしらの伝承があるのかしら。


「ここまではちょっとした方法できたわ。それと、私はただの人間ではなくて魔王よ。あなたは魔族?」


「何を言ってるんだ?魔王様はずっといないぞ。百歩譲って新たに誕生されていたとしても、お前みたいな小娘なわけないだろう。寝言は寝ていえ」


・・・ちょっとイラッとした。


「1人で森を超えた時点である程度力があるのがわからない?その目は節穴?」


「なんだと?いい度胸だ。魔族は力がある方に従う。自称魔王様にそれをおしえてやろう」


私は収納魔法から小薙刀を取り出して、この失礼な魔族と向き合った。

相手が長柄武器なので、私も合わせて薙刀にした。


「どちらかが降参というまででいい?」

「もちろんだ。いざ、尋常に勝負!」


あえて初手を譲った。

それを躱し、槍を薙刀で弾く。


「ほう。最低限は戦えるようだな」

「それはどうもっ!」


私も薙刀もかわされた。戦い慣れてるわね。

その方がやりがいがあるわ!


今度は槍を叩きつけてきたから薙刀の柄でそれを受け流して、蹴りを入れるもかわされてしまった。


数分打ち合った後、私はあえて隙を作った。

予定通り、相手の魔族がそこを攻撃してくる。


「ふんっまだまだだな!」


その攻撃を躱し、遠心力も利用しながら思いっきり薙刀を振った。


ガキン


大きな音とともに槍が吹き飛び、バランスを崩した相手の首元に薙刀の刃をつきつける。


「・・・参った」

「私の勝ちね」


「最後のは誘われたか・・・。疑って悪かった。強いな。俺の名前はロバートだ」


「分かればいいのよ分かれば。私はユカよ。それでここは?」


私がこの場所のことを聞こうと思ったら、途中から集まっていた周りの野次馬の中から剣を携えた1人の男性が出てきた。大人の色気があるダンディね。


「ユカさんと申しましたか。私とも一戦お願いできますか?そうそう、魔法ありで構いませんよ」


さっきの戦いの最中は魔法は使わなかったけど、私が収納魔法を使ったところを見てたのかな?


・・・いえ、たぶん実力で私が魔法も使えることを見抜いたわね。

この魔族の佇まいや雰囲気から侮れない相手だと感じた。


「わかりました。武器も変えていいですか?」

「もちろんです」


薙刀の方が間合いが長いけど、わざわざ魔法ありを指定してきたことを考えて、念の為片手で扱えるように剣に持ち替えた。一応、ルールの確認もしないと。


「ルールは、魔法ありで相手が降参と言うまで、でいいですか?」

「はい。初手もお譲りしますね」


何か企んでいる?

どちらにせよ、攻撃しますか。


私は剣に炎を纏わせた。魔法ありなんだから初手から行きましょう!


ロバートさんがしれっと審判の位置についていた。


「おっとっと、間に合った?間に合ってない?どちらでもいいや、じゃはじめっ!」


てきとうね・・・。

周りの歓声を聞きつつ、私は身体強化もかけて、相手に切り掛かった。

けど、全く動くそぶりを見せない。

・・・えっ避けるか剣で受けるかしないの?


私が思わず剣の軌道を変えようとした瞬間、相手が魔力を発し、姿が消えた。

これは、転移魔法!?


そして、背後に気配を感じて振り返りつつ剣をふる。


ガキン


相手の剣と撃ち合う形になった。


「良い反応ですね。初見でここまで対応されるとは、自信を失います」


そういいつつも楽しんでいる様子ね。


「ちょっとひやっとしましたよ。それにしても魔法の発動がかなり早いですね。必要最低限の魔力を無駄なく最速で集めて、うーん、それだけじゃここまで早くならないから、転移先の指定を魔法に組み込む段階も飛ばしている・・・?感覚的に転移先がわかる近距離ならそれも可能・・・?」

「そこまでわかりますか!転移魔法は得意なんですよ」


途中から独り言になっていた私の言葉に返事したと思ったら、また姿が消えた。

魔力の反応からして、こっちかな?


私が対応しようすると、違和感を感じる。

(これはブラフね!)


改めて現れた魔力の反応を感知して、対応する。


「これも見破りますか!いいですね!」


(いやよくないわよ!これ結構大変よ!)


そろそろ、私からも仕掛けましょうか。

どこに現れてもいいように空中に火の玉を浮かび上がらせた。


「そうきますか。では!」


相手は水魔法を使って、私の火を消してしまった。

対応が早い。

そして、すかさず転移魔法を駆使して攻撃してくる。


相手の攻撃を捌きつつも考える。

どうしましょう。

とりあず動きは封じたいわね。


土魔法をつかって、このあたりの土に魔力を混ぜた。

私以外の魔力を帯びた質量を有するものが上にのると、自動で絡めとるものだ。


そして、見事にその目論見はあたった。


「おや?足を絡め取られてしまいましたか。どうしましょうね・・・」


そういいつつも余裕そうね。


「これでどうでしょう?」


土魔法で私の土魔法を迎撃して、浮遊魔法で空中に浮かんでいる。

・・・私も人のこと言えないけど、この魔族どれほど魔法が使えるの?

剣術もレベルが高いし。


「それならこうするわ」


風魔法で強めの下降気流を作った。ダウンバーストのイメージ。

下手に同じ浮遊魔法で空中戦にのぞむと、転移魔法が得意な相手の方が機動力があるから不利になりかねない。

地面に戻ってきてもらおう。


「くっこれは」


下降気流に押されて体が地面に近づき、残っていた地面の土魔法の対処に意識が向いた一瞬のタイミングで、私はさらに空中に水魔法と毒魔法の合成魔法を発動させて、野球ボールほどの大きさで軽い麻痺の効果がある水の玉を雨のように大量に打ちつけた。


「上は毒!下はトラップ!けどこれくらいなんとも!」


確かにこれくらいなんとかできると思う。

だから、


「これならどうかしら?」


私は転移魔法で相手の真横に飛び、そのまま殴り飛ばした。


「ぐっ」


すかさず、土魔法で相手の足を掴み地面に引き摺り下ろすと、さっき設置した土魔法が発動する。さらに、闇魔法で影の手を作り魔族の体を捉えた。この魔法は魔力を吸収する性質がある。上限はあったりするから万能じゃないけど、数秒なら転移魔法の発動を防ぐこともできる。今は数秒あれば十分ね。


私は素早く移動し、剣をつきつける。


「・・・降参です。いやはや、ここまでお強いとは」


「勝負あり!勝者ユカ!」


・・・そういえば、ロバートが審判してたわね。


周りからおおきな歓声が上がった。

私が手を挙げながらそれに答えていると、対戦相手の魔族が立ち上がって自己紹介をしてきた。


「ユカさん、私の名前はバティンです。おそらくまだ本気ではないでしょう。あなたの強さには感服しました」


それはバティンさんも同じだと思うけど、、、

「いえいえ、バティンさんもお強かったです。転移魔法の近距離戦闘も目新しかったので、いい経験になりました」


「それは光栄ですね」


バティンさんから手を差し出されたので、握手に応じると、周りはさらに盛り上がった。


それにしてもかなり盛り上がっているわね。

模擬戦でそこまで盛り上がる?


「魔族の文化には馴染みがありませんか?」

「はい」

「魔族は自分が認めた強者に従う文化があります。今まではこの集落で一番強かったのは私だったのですが、この通り負けてしまいました。私はあなたに従います。つまり、この集落のトップは今はユカさんです」


「・・・はい?」

「なんでもユカさんは魔王だとか。ちょうどいいのではないですか?」


魔王と口にしているけど、その笑顔からは本気で信じているのかどうかわからなかった。


いやそれよりも、

「私がこの集落のトップ?」

「はい。ボスとお呼びしましょうか?」

「いえ、そういう問題ではなくてですね。将来はわからないですけど、今の私の本拠地は別の大陸?島?にあってですね、ここには定住できないかなーと・・・」

「そうでしたか。それでは私が右腕として、今まで通りこの集落をまとめましょう。ただ、ボスも時々は様子を見に来てください。それでよろしいですか?」


周りからは、

「ボスの誕生だ!」「うぉー!」「宴じゃー!!!」「酒をもってこい!!」

とか聞こえる。


これは!断れる雰囲気では!ない!


「ハイ、ソレデヨロシイデス・・・」


「力を抑えているのは気になりますが、剣術も魔法の能力も高い。数回見ただけで転移魔法を使った近接戦にも対応したし、凄まじい成長だ。私の代で魔王様が現れるとは、今まで修練を積んできた甲斐がありました」


ボスコールが耳に入りちょっと投げやりになっていたからか、バティンさんが何かつぶやいたのはわかったけど、その中身まで聞き取ることができなかった。


「バティンさん、何かいいましたか?」


「これからお願いしますね、ボス。と言いました」

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