20:人魚姫の依頼と同盟
私たちは、転移直後に見えた洞窟の中に案内された。
ちょうどこの洞窟冒険したかったし、一石二鳥ね!
私のワクワクとは裏腹に、人魚の人たちは様々な仕掛けやトラップ、魔法的封印を解きながら先に進んでいく。どんどん深くなっていくし、もしかして私たちだけで入ってたら結構危なかった・・・?
結構歩くと、神秘的な地底湖のような水源のような場所についた。
そこには、綺麗な人魚の少女が地底湖の水に魔力を注いでいた。
「姫様、黒き英雄さまが訪ねてまいりました」
姫様と呼ばれた少女は私を見てから、私を紹介した人魚に聞いた。
「黒き英雄だと?本物か?」
「ほぼ間違い無いかと。軽く手を振るだけで海を割ってました」
「そうか・・・。なぜ今なのだ・・・。もっと早ければ母も・・・」
「姫様・・・」
どうしよう。何やら重い雰囲気。
人魚族の姫様って、まさに人魚姫ね。と私の思考が飛んでいると。
「失礼した。私の名は、オフィーリアだ。黒き英雄、あなたたちの名は?」
「私はユカです。よろしくお願いします」
「私はアイリスよ」
「あたしはララだ」
「そうか。して、何用だ?」
見た目のわりに、言葉遣いが大人びてる?人魚族ってあまり見た目が変わらないのかな?
それはそうと、黒き英雄として連れてこられたのだから、ここは私が答えよう。
「魔力災害の水質汚染が起こっていると聞き、汚染源の特定、現状の把握、解決にきました」
「そうか・・・。一つ目については達成しておる。ここが魔力災害の中心、つまり汚染源だ」
「えっ・・・?そのわりには綺麗ですね」
「私が魔力を注いで浄化しているからな。次は、現状の把握だったか。現状私が常に浄化をしなければ、魔力で汚染されたこの水はここの真上の海に溢れ出るであろうな。そして、私の力でもそろそろ限界だ。根本的な解決は水の神器がないと無理であろう」
おっと、情報量が多いわね。結構歩いたと思ったけど、海の下まできていたなんて。
それにしても状況が良くない気がする・・・
私があれこれ考えていると、アイリスさんが口を開いた。
「私が浄化を手伝えばあなたも少し休める?」
「それはそうだが、魔力で汚染された水の浄化ができるなんて、人魚族でもごく一部。先代女王であった母と、私くらいだ。それか、今はもうこの世にはいないが、聖女くらいではあるまいか?」
「わかったわ。私が浄化するから、あなた少し休みなさい」
「話を聞いていなかったのか?人魚の王の家系か、聖女くらいしか」
「聖女わね、まだ絶滅してないの」
そう言いながら、アイリスさんは聖魔法を水に打ち込んだ。
キラキラして綺麗なんだけど、思いっきり魔力を叩き込んでいるせいで神秘的というよりも、ゴリ押し感がすごい。
「ふえ?嘘?なんで?えっ?すごい勢いで浄化されてる」
オフィーリアさんはかなり驚いている。
言葉遣いが変わってるけど、こっちが素かな?
「改めて自己紹介するわ。聖女のアイリスよ。ただ、最後の聖女だからほぼ絶滅しているけど」
「・・・」
「あらびっくりさせすぎちゃったかしら?それにしても、よく頑張ったわね」
アイリスさんがオフィーリアさんの頭を撫でると、泣き出してしまった。
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「落ち着いた?」
「うん」
しばらくしてオフィーリアさんが泣き止んだので、移動して今は応接室にいる。護衛らしい人魚も一緒にいる。男性らしい。
オフィーリアさんはというと、完全に言葉遣いが見た目相応になっていた。先ほどからの流れで、今もアイリスさんが話をしている。
「設置型の聖魔法を発動しておいたからしばらくは大丈夫よ。話を聞いてもいい?」
「うん。ビショップ王国のミキコ女王がこの辺りに調査にきたの。それで、人魚族の女王だったお母さんを見つけて同盟の話をもってきたの」
「そうなんだ」
「けど、同盟の話は人魚族に近づくための上部だけの話だったみたいで、同盟を結ぶときに交わした盃に毒がもられていてお母さん、先代の人魚族の女王ガートルドは毒殺されたの。あとから知ったんだけど、ミキコ女王は伯母に当たるビショップ王国の先代女王も毒殺して、王配だったクローディスを改めて自分の王配にしたクズらしいから、事前に知ってれば対策もできたのに・・・」
「そっか・・・それはつらいわね・・・」
「うん。そのときは、生きるべきか、死ぬべきか、迷ったんだけど、人魚族の女王を失ったからかあの魔力災害がおこって、私が後を継いで浄化をするって決めたわ。けど、浄化を始める前の水は海に流れてしまったし、今では私の力だと浄化しきれなくなっていて、アイリスさんがきてくれて本当に嬉しかった」
「それならよかったわ。でも、」
「うん。わかってる。聖魔法でも浄化は一時的なんだよね?この星の魔力を相手にしてるようなもんだもんね。・・・やっぱり精霊の力が必要だよね」
少し俯いていたオフィーリアさんは、顔を上げて、
「私たちだけじゃビショップ王国から水の神器を取り返すことができない。助けてもらってばかりだけど申し訳ないけど、神器を取り返す手伝いを依頼させてくれない?」
アイリスさんがちらっと私たちを見たので、うなづいた。
「いいわよ。その依頼受けるわ」
その直度オフィーリアさんは、言いたいことがあるけど言い出せないような雰囲気をしてたけど、
「依頼の件はありがとう。今回の件以外も何かあるかもしれない、だから、その、私たちと、その、私たちと同盟を結んでくれない?」
オフィーリアさんにとって、同盟という言葉は重いだろうに・・・
アイリスさんは再度私とララの方を見てたので、またうなづいた。
「オフィーリアちゃん、わかったわ。私たちと同盟を結びましょう」
「アイリスさん、ありがとう!」
オフィーリアさんがアイリスさんに抱きついていた。
私がふとララの様子を見ると、
「あれ?ちょっぴり寂しい?」
「いや、それはない。アイリスが抱きつかれる側になるのは珍しいなと思っただけだ」
「・・・それもそうね」
私たちとオフィーリアさんは情報交換を行った。
「オフィーリアさん、水の神器がどこにあるのかの目処はついていますか?」
「ユカさん、水の神器は杖の形をしていて、普段はクロンボ城に保管されてるの。でも、王国は自分たちを大きく見せるために、クロンボ城に無駄に多くの警備員を配置しているの。だから、正面から行くのは得策じゃないかも」
「そうなんだ。正面から以外だとどう?」
「うん、権威を見せつけるために、1年に1回水の神器に込められた魔力を使って、クロンボ城周辺の海で大規模なデモンストレーションをやるの。そのあと、ビショップ王国の王城に運ぶパレードがあるからその移送中が狙い目だと思う。そろそろその時期だし」
「・・・つまり、泥棒するってことなのね・・・」
泥棒か。一応私は日本で警察官やってたし、泥棒か・・・
私が悩んでいると、アイリスさんが
「ユカちゃん、泥棒が気になるの?」
「はい、ちょっと。私日本では警察、あっ騎士団のような職業で取り締まる側だったので・・・」
「うーん、ユカちゃんの世界の魔王って、極悪非道の限りを尽くすんでしょ?それに比べれば、武力で奪い取るのじゃなくて計略で見事に奪い去る怪盗ならいいんじゃない?」
「アイリスさん!私の世界の魔王はあくまで創作でして、実際は」
「ふふ、わかってるわよ。ここは元いた世界じゃないわ。その、警察?に縛られるのももういいんじゃない?」
私はハッとした。確かにそうかもしれない。私はもうこの世界の住人として生きてるつもりだったのに。
泥棒するしない、の上部の言葉じゃなくて、この件を利用してアイリスさんはもっと本質的なことを指摘してくれたのだろう。
「アイリスさんには敵わないですね・・・。武力で奪い取るのじゃなくて計略で見事に奪い去る怪盗でいきましょう!」
私とアイリスさんが、お互いにわかってる感を出していると、オフィーリアさんが信じられないものを見たというような表情をしていた。
「ユカさん、あの」
「なんですかオフィーリアさん」
「元の世界って・・・?魔王って・・・?」
あっ!そういうことね!
「えっと、私って黒き英雄でもあるんだけど、元々は別の世界にいてこの世界には魔王としてつれてこられたのよね。改めて、ヒト族だけど魔王のユカです」
「異世界・・・魔王・・・」
オフィーリアさんは固まってしまった。




