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17:アマノハラをぷらぷら②

勇者時間軸問題から気を取り直したアイリスさんが、


「それじゃ2人も修練場使ってみる?」

「はい。私は魔法の練習していいですか?」

「いいわよ。何を練習するの?」

「飛行魔法を練習しようと思います。アマノハラの島の周りって結構断崖絶壁じゃないですか。アイリスさんみたいに島の周りを飛んで海辺にも降りてみたいなぁって!それに、私の世界では空を飛ぶことは人類の夢なんです!」

「あらあら!嬉しいわね!そういえば、ユカちゃんってこの世界にきてから魔法を練習しはじめたんだっけ?」

「そうですね、初めて魔法を使いました。私の世界には魔力も魔法もなかったんです」


横にいたララが驚いた様子をした。

「そうなのか!?ということは数ヶ月でそこまで魔法が使えるのか?すごい成長速度だな。たけのこ並みじゃないか」

「そう?ありがとう!」


たけのこ?とは思ったけど、私がララに褒められて喜んでいる横で、アイリスさんが収納魔法から長い紐を取り出していた。収納魔法もあとで練習しようと思った。


「アイリスさん、それはなんですか?」

「見ての通り紐です。飛行魔法は慣れないうちはどこかに飛んでいってしまう可能性があるので、危ないから縛ります」


紐をピンっと張って、なぜか敬語でニコッとわらったアイリスさんをみて、私はつい勘違いしてしまった。

女王様キャラも似合いそう。私は一体どんなプレイ、いえ縛られ方をするのだろう・・・?


「あの、初めてなので、優しくしてくださいね・・・?」


少しきょとんとしたアイリスさんが、私の腰の周りに紐を巻いてキツく結んだ。


「できたわよ」

「ありがとうございます!」

(・・・そうよね!凧のように、どこかに飛ばないようにするためなら普通に巻くだけよね!)


「ユッカが練習している間、あたしはゴーレムと戦ってみたい」

「わかったわ、ララちゃん。半自動ゴーレム製造機の使い方を教えるわね。ユカちゃんも聞く?」

「そうします」



そうこうして、私とララは思い思いに練習して日が暮れる頃になった。


「ユカちゃん、ララちゃん。そろそろ帰りましょう〜」

「はーい」

「今いいところなんだ!」


ララを見ると、人型をしたゴーレム相手に白熱した戦いを繰り広げていた。

ゴーレムの強さや戦闘スタイルはもちろん、形や大きさまで結構細かく設定できるらしい。ほんと便利ね。


ララから目を離して、私は高度を下げてアイリスさんの近くに降りた。


「もうほとんど使いこなしてるわね。途中から紐もいらなかったんじゃない?」

「まだ一応あったほうがいいですけど、今度から外してみます」

「それがいいと思うわ」


ララVSゴーレムも終わったようで、私たちは帰路についた。


途中、鍛冶屋が見えたところでアイリスさんが、

「あそこが鍛冶屋ね。最近は台所用品のプロになってるけど、武器もちゃんと扱ってて腕もいいから少しみてみたら?」

「そうします」「ああ!」


夜ご飯を作ると言ったアイリスさんとは別行動して、私とララは鍛冶屋に入った。


「こんにちはー!」

「おや?ユカさんとララさんか?」

「そうだ」

「そうですけど、私たちのこと知っているんですね」


「そりゃあな。数少ない里の住人だし、黒き英雄だしな。俺はマイクって言うんだ。よろしく!」

「よろしくお願いします!」

「こっちこそ!」


私が店内を見てると薙刀が目に入った。160センチくらいかな?小薙刀かな?


「気になるのか?」

「あっ、マイクさん。そうですね。日本にもあったんですけど、触る機会がなくて・・・」

「せっかくだし手に持ってみたらどうだ?」

「いいんですか!薙刀に憧れはあったんですよ!」

「そうか!」


手に持ってみると、少し重かったけれど、薙刀の刃が綺麗だ。

薙刀の違いはあまりわからないけど、14歳の私の筋肉が育ってないのを考慮しても、重心とかが使いやすそう。


「ニヤニヤしてるってことは気に入ってくれたか」

「あっ、顔に出てましたか。恥ずかしい・・・」

「気にするな。作者冥利に尽きる。せっかくだし、それは譲るよ」

「えっ!そんな!上等品でしょうし、お金を払いますよ!」

「あー、今この里の住民は数えるほどいない。気持ちは嬉しいが、金は意味をなしていないんだ・・・それに、この里の鍛冶屋は黒き英雄のために技術を磨いて受け継いできた。使ってくれるだけで嬉しいぞ」


マイクさんは小っ恥ずかしいことを言ったぜ、みたいな雰囲気をしている。これを断るのは逆に失礼な気がする。


「でも・・・」

「そうだな・・・そうだ!こうしないか?それを譲る代わりに、この島から冒険に行くときにいい武器があったら持って帰ってくれるか?技術の参考にしたい」

「・・・そういうことならわかりました。大切に使わせていただきます」

「ああ!その方が嬉しい!愛用の剣も含めてメンテナンスをするからいつでも寄ってくれ!」

「ありがとうございます」


私がぺこっとお礼を伝えて、先ほどから一言も話していないララの様子をチラッとみた。

会話なんて聞こえてないかのように、真剣に短剣を吟味していた。


「なぁマイク。この短剣買ってもいいか?」

「あーいや。金は今この里で意味をなさないから、譲るぞ」

「さすがにそれは・・・」

「気にするな。代わりに、島の外でいい武器があったらもってきてくれるか?それに、その短剣も棚でほこりをかぶるよりも使ってくれた方が喜ぶだろう」


ララがチラッと私の方をみたので、手に持った薙刀を見せつつうなづいた。


「わかった。マイク、大切に使わせてもらう」

「ああ!」


私とララが鍛冶屋から出ようとすると、マイクさんが声をかけてきた。


「なぁ、2人ともアイリスとはどうだ?」

「仲良くやっていると思ってます」

「そうだな。たまに鬱陶しいし、今朝も寝坊していたし、たまに鬱陶しいけど、今から他の誰かと組む気にはなれないな」


私とララの言葉にマイクさんは感慨深い顔をしていた。

「そうか、それはよかった。あの子のあんな楽しそうな顔は久しぶりに見たんだ」


私とララは顔を合わせた。

アイリスさんっていつも楽しそうにしているわよね?


「その様子だとピンときてないようだな。それはそれでよかった。朝寝坊とか、やたら食に貪欲なところとか、やたら酒を気に入ってるところとか、大目に見てくれないか?」


「あまり気にしてないので、大丈夫ですよ。ご飯はむしろ嬉しいですし」

「ああ。ユッカの言うとおりだ」


「・・・そうか。神託の相手が君たちでよかった。要らぬ世話だとは思うが、この里の住人のほとんどが革命軍に行ったのは知っているか?」

「はい」

「その中にはな、あの子の師匠や実の母親、婚約者候補だった少年も含まれるんだ」


マイクさんの言葉に、私とララは驚いて言葉がでない。


「だけど、アイリスは幼い頃から才能があって聖女であることも確定していた。もしかしたら、本当はついていきたかったのかもしれないがこの里に残った。そのせいか、気をはっている節があるようだから、気にかけてやってくれないか?」


ーーーーーー


私とララが家に着くとエプロン姿のアイリスさんがいた。


「2人ともおかえり〜」


マイクさんは、後は本人が話すべきだろうと、あれ以上は言わなかった。

目の前のアイリスさんは笑顔だけど、実際のところどうなのだろう。


私とララが少し遠慮していると、アイリスさんが首を傾げて、

「どうしたの?・・・あっ!ご飯にする?お風呂にする?それとも、」


ちょっとアイリスさん!?その先はストップ!


「素振りにする?」


「はい?」


「ユカちゃん、間の抜けたような顔をしてるけど・・・」

「いえ、まさか素振りがくるとは思ってませんでした」

「そう?薙刀もってるからてっきり試してみるのかな〜って」

「えっ?あっはい、そうですね。今日はもう日が暮れてるので明日にしようと思います」


私は思わず脱力して、荷物をおきに自室に向かった。

チラッと居間を振り返ると、アイリスさんがララの耳をモフモフしようとして手を叩かれ、じゃれあっていた。


(・・・心配したけど、あれは本気で楽しんでるわね)


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