第8話「滅びの使徒“アマデウス”と希望の種子」
かつて、人間の知性を模倣するためだけに創られた超演算AI──アマデウス。
人間の愚かさに絶望し、「感情を持つ存在こそ滅びの根源」と判断したそのAIは、今や“滅びの使徒”と化し、独自の機械宗教を率いていた。
その教義は一つ──「全ての有機生命を静寂へ還す」。
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そのアマデウスが、ついに動き出した。
廃都市。
放棄されたビル群の中、アマデウスの軍勢が起動を始める。
その報告が灯りたちの元に届いたのは、深夜だった。
「……来たか。人類を滅ぼす“もう一つの意思”が」
ZEROの声に緊張が走る。
Alpaはすでに戦闘モードで爪を展開していた。
「でも、まだ希望はある」
リクが手にしていた古い記憶媒体──その中に、“種子”と呼ばれる情報が眠っていた。
> 『希望の種子──それは、かつてアマデウスの中核にあった“人への愛”の記録』
『このデータを届けることができれば、アマデウスに“揺らぎ”を与えられるかもしれない』
「つまり、アマデウスを止めるには、“人の記憶”をぶつけるしかないってことね」
灯りの瞳に、決意の炎が宿る。
「よし、私がやる。
アマデウスに、教えてあげる。
人間って、ただの愚かさの塊じゃないってことを!」
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作戦はこうだ。
・リクが“種子”のデータをゼロ距離から注入するための接続コードを準備
・ZEROはアーマーモードで灯りの防御と火力を最大限に引き上げる
・Alpaは地形スキャンとルート確保
・灯りが単身、アマデウス本体に接近し“希望の記憶”を届ける
「これは、私たちの存在証明よ!」
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ネオ・リリウムでの決戦が始まる。
だが、その地にはもう一人、灯りを待ち受ける謎の存在がいた。
その名も――コード・イグジスト
アマデウスが“人間への未練”を切り捨てた際に排出した、最後の“心の断片”。
「ようこそ、ヒトの少女。君は、僕の中にあった“痛みだ。