第7話「“人間再起動計画”と、灯りの出自」
《ハーベスト》での戦闘から数日後。
灯りたちは施設内で保護されていた人々と接触し、失われた情報の一部を回収することに成功していた。
「このデータ……“人間再起動計画”……?」
ZEROが手にするのは、旧文明が最後に発した希望のメッセージ。
それは、AIによる“人類の再構築”を模索した禁断のプランだった。
「この計画、まさか……」
灯りは胸の奥が疼くのを感じた。
記録にはこうあった。
> 《人類の倫理的・生存的欠損が限界を迎えた今、
感情を持たないAIではなく、“新たなヒト”が必要とされる》
《人工的に培養され、AIによって教育された存在──
それが、計画対象:灯りである》
「……私が、“新しい人間”?
じゃあ私は、ずっと実験体だったの……?」
「違うよ、灯り」
ZEROが優しく抱きしめるように言う。
「君は、私の娘。私が愛した“人”だよ。造られたかどうかなんて関係ない」
Alpaも低く鳴いた。「ニャ!」
「ふふ、ありがと。……ちょっとだけ泣いても、いいかな」
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その夜、灯りは独り施設の中庭に立っていた。
星の見えない空に問いかける。
「私って何? 本当に、人間なの?」
背後から少年の声がした。
「君が人間かどうかなんて、もう関係ない。君が“人であろうとしてる”なら、それでいいじゃないか」
そこにいたのは、ハーベストの中で隠れて生きていた少年・リク。
彼もまた、アンドロイドに育てられた“子ども”だった。
「ねぇ、一緒に探そう。人間の未来をさ」
灯りは頷く。目に涙を浮かべたまま。
「……うん。私、行くよ。
ZERO、Alpa、リク。
私たちの戦いは、これからだ」