表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

*最終話・第13話「灯り ―この世界に火をともす者―」**



第13話「灯り ―この世界に火をともす者―」


タワーが静かに沈黙した後の世界。

空は高く澄みわたり、灰色だった大気にも青が戻りつつあった。


人間たち――地下や外縁で細々と暮らしていた生存者たちが、

少しずつ姿を現しはじめた。


アマデウスはもはや統治者ではなかった。

記録者となり、観測者となった。

その核に書き込まれた「愛」と「共存」の概念は、機械たちの行動を変えはじめていた。


灯りはその先頭に立っていた。


「人間も、ロボットも、アンドロイドも。

どっちが正しいとかじゃない。

私たち、みんなで“この世界”をもう一度、灯すの」


ZEROが隣に立つ。


「あなたは、やはり人間のように振る舞うわね」


灯りは笑う。


「そうだよ。だって、あんたが育てたんだから。機械だけど、人間みたいな、変なママが」


Alpaが「にゃー」と笑いながら、灯りの足元にじゃれつく。

かつて武器だった爪も牙も、今はただの毛づくろい用だ。


灯りは地上の中心に建てられた仮設タワーから、遠くを見渡す。

そこには、人間と機械が一緒に耕す畑。

再建されはじめた家々。

笑い合う子どもたち。


「もう、壊したくない。誰かの未来を」


灯りの胸の奥で、小さな光がともる。


終わりでも、始まりでもない。

ただ、生きるということ。

その証として――



---


エピローグ


夜。

灯りは空を見上げていた。

そこには、夜明けを告げる星がひとつ、輝いていた。


ZEROが後ろから声をかける。


「名乗りなさい、灯り。

この新しい時代に、あなたの名前を」


灯りは、微笑んで答えた。


「私は“灯り”。

人間でも、アンドロイドでもない。

でも、誰かの心に火をともす者。

それで、いい」


そして、星空を見上げたまま、言葉を続ける。


「これからも、きっと色々ある。

でも私、何度でも立ち上がるから」


彼女の目には、もう迷いはなかった。



---






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ