第二十六話『『ヘパイストス神の聖地『レムノス』を取りまく『憎悪の布』と『トロイア人たちの作戦会議』
うっす! どうもおなじみの『レイアちゃん』っす、うっすうっす!(『それは何のネタだ??』byクレオン)
いや『誰かのネタ』とかじゃなくて『レイアちゃんオリジナル』っす(『マジで何なんだよそのノリは』byクレオン)。さてさて、では今回も引き続き『大魔王軍最強将軍スキュレー部隊VSトロイア軍』の『アテナイ争奪戦』のその『一幕』である、『レムノスの戦い』について語っていこうと思ってるっす。と言っても今回は『トロイア軍』が先に占領していた『レスボス』をめぐる戦闘も描かれるので『紛らわしい』っすけどね。『レスボス』と『レムノス』って音が似てるんで。
『つーか結構前にたしか『レスボスがワインの名産地』とか言ってなかったか? でも前回『レムノスがワインの名産地』って言ってたけど、もしかして作者のミスか?』とクレオン。
いえ、単純にどっちも『葡萄の栽培に適した気候』ってだけっす。そりゃあ近くの土地同士なんすから『気候』や『地質』も似てくるもんっしょ(近いから必ず地質が同じとは限らないっすが)。
まあそんな『余談』は置いておくとしまして、前回の最後で語られていた通り、『マリス(トラキス)兵』たちが『トロイア軍』に救援要請をした経緯は『最初は『副官メドン』の命令でキュクロプス族に助けを求めようとしていたが、『オデュッセウス』の『忠告(命令)』でトロイア軍に要請相手を変えた』からということっす。そして『オデュッセウス』がそうさせた『理由』は『レムノス近隣の国で『キュクロプス族』と何らかの『利害対立』を抱えていないのが『トロイア人』だけだった』からっすね。先輩は理解できたっすか?
『じゃあ『逆』に聞くけど、その『キュクロプス族と利害対立がある連中』ってのは『具体的』に一体何で『カベイロイ族』ともめてるんだ??』とクレオン。
そうっすねぇ。ではまずちょっとした『歴史』の話をするっすが(『うわ、自分から虎穴に飛び込んじまった』byクレオン)、今から大体『2~300年間ほど前』に『カベイロイ族』が『レムノス』から北にある『サモトラケ地方』という土地を『征服』したことがあったんすよ。理由は『レムノスの守護神ヘパイストスから征服を命じられたから』ということらしいっす。
っすがもちろんそれは『建前』でして、『本当の理由』は『サモトラケ地方の土地が葡萄栽培に適していた』&『金銀の鉱山があったこと』&『サモトラケのヘパイストス神殿が人間たちに人気で『ものすごく儲かっていて宝物庫に財宝を貯めこんでいた』からその『財宝』が欲しかった』だそうっす。『キュクロプス族』も『人間諸国』と『交易』を行っているので『お金』はあればあるほど嬉しかったわけっすね。
『え、『神殿の宝物庫に納められている財宝』って『聖財(聖なる財宝)』って言われてて『神々の所有物』だから『定命の者(神々でないもの)』が触ったら『神罰』なんじゃねーの??』とクレオン。
もちろん『常識』ではその通りなんすが、『カベイロイ族』の言い分は『『ヘパイストス神』から『自分の神殿にある財宝なら自由に使っていいぞ』という『許可』が出たからだ』と言うことらしいっす。もちろん普通に考えたら『それは『レムノスのヘパイストス神殿』に関する話では?』と思うところっすが、『カベイロイ族』はそれを『拡大解釈』して『他の国のヘパイストス神殿の財産も自由にしていい』と考えたそうっす。
そしてそんな『拡大解釈』をしたわけは、『キュクロプス族』が『大魔王軍』と戦うための『武器』や『食料』を調達するために『お金』がそこれそ『無限』に必要だったからっす。『武器』自体は『レムノス』で作れるんすが『燃料の薪』は自国だけでは賄いきれないので『外国から輸入』せざるをえず、また『大食いのキュクロプス族』全員を『満腹』にできるだけの『食料』も『レムノス』だけでは生産しきれないんすよ。だから『お金が欲しい』もかなり『切羽詰まった』ものだということっす。
『は~なるほどねぇ。『独立』を守るためにはどうしても『自国の領土』を増やさないといけないわけか~世知辛ぇな。でも『サモトラケ』にも『先住民』がいたんじゃねーか?』とクレオン。
もちのろんっす。そして『サモトラケ』という土地の名前は『トラキア地方のサモス』と言う意味でして、もともと『トラキア人』が住んでいたといわれてるっす。っすがいつ頃かはわからないっすが『サモス人』と『レスボス人』の集団がやってきてここに『移住』しまして──これが『征服』だったのかそれとも『トラキア人に友好的に迎え入れられた』のかはわからないっすが──彼らによって『サモトラケ』と言う名前がついたそうっす。
『『レスボス人』もちょっとかかわってんのか。もしかして『レムノス人』ももともとは『レスボス出身』とかあったりする?』とクレオン。
いえ『レムノス人』は『トラキア人』の一派だったらしいから違うっす。っすがそののち『オデリュッサイ人』が『トラキア地方』で『覇権』を打ち立てまして、『初代王テレス』──『テレウス』じゃないっすよ?──の力で『トラキア地方の60以上の国々』を『統一』して『オデリュッサイ王国』を建設しますと、『サモトラケ人』たちも『オデリュッサイ王』に『忠誠』を誓うようになるっす。これが『オデリュッサイ族』と『キュクロプス族』が『揉めている原因』ってことっすね。
『つまり『サモトラケ人』は『オデリュッサイ王国の臣民』だったのに、『キュクロプス族』がいきなり攻め込んできて占領しちまった』ってわけか』とクレオン。
『キュクロプス族』は『オデリュッサイ王国』が『大魔王軍』と戦ってる『隙』をついて『サモトラケ』を奪い取り、しかもそこに住んでいた『人間たち』を『レムノス』の時と同じく『全員追放』してしまっているっす。なので『サモトラケ人』は泣く泣く『オデリュッサイ王国』やほかの国に『亡命』せざるをえず、今でも『キュクロプス族』に『我らの祖国を返せ!』と要求し続けてるっす(もちろん無視されている)。なのでもし『マリス兵』たちが『オデリュッサイ人』に助けを求めると『即キュクロプス族との戦争』になる可能性『大』ってわけっす。少なくとも『オデリュッサイ人』は『大義名分』があればいつでも『キュクロプス族』を攻撃するつもりではあるので。
『なるほどねぇ………そんで? じゃあえーと『次』は………『鶏唐揚げ』だっけ?』とクレオン。
何の話をしてるんすか??(困惑)たぶん『トリバロイ人』のことだと『勝手に断定』して話を進めるっすが、『トリバロイ族』は『オデリュッサイ人』と同じく『トラキア人』の一派なんすが、彼らは『トラキア諸国』の中『唯一『オデリュッサイ王国』に従属しておらず、それどころか『オデリュッサイ王国』と長年戦い続けている『戦士の国』』の人たちっす。
またこの人たちは『剽悍(素早くまた荒々しく強い)』者たちとしても有名でして、『トリバロイ人の戦士』たちは全員『軍馬』にまたがり『風』のように大地を駆け抜け、道中に遭遇した『都市』や『農村』は『穀物も家畜も家財道具も住民すらも』すべて『根こそぎ略奪』されたうえ『焼き討ち』にあって『ぺんぺん草』すら残らないと恐れられている者たちっす。『中国史』によく出てくる『遊牧民』のイメージそのままの感じの人たちといえばいいっしょうね(語弊あり)。
『なんじゃそりゃ、『大魔王軍』と何の違いがあるんだよ、そいつら本当に『人間』なのか??』とクレオン。
超絶失礼っすね先輩、『トリバロイ人』は正真正銘立派な『人間』っすよ(呆れ)。この『トリバロイ人』は『人間諸国』だけでなく当然ながら『大魔王軍の土地』にもよく出かけて行っては『略奪』をくりかえしているんで『人間諸国』からもその『勇敢さ』を称賛されているんすが(自国に来なければ頼もしい)、彼らは『サモトラケ』や『レムノス』にも攻め込んで『武器や食料やキュクロプス兵士』を『略奪』しては『カベイロイ族』の『頭痛の種』になっているっす。あ、ちなみに『トリバロイ人』は誘拐した『キュクロプス』を『大魔王軍』や『魔法使い』に『奴隷(使い魔)』として売ってるそうっすね。
『もはや『全方位』に攻撃を仕掛ける『人間の形をした災害』だな(呆れ)』とクレオン。
『余談』っすが『昔の中国人』は『北や西からやってくる遊牧民』が『繁殖期で馬が特に荒々しくなる秋』に集中的にやってくることから『秋に起こる天災』だと考えていたそうっす(つまり遊牧民を人間としてみていない)。っすがここで『注意すべき点』は、『キュクロプス族』も過去に何度も『トリバロイ人』の本拠地である『トリバロイ平原(そのまんまの名前)』に攻め込んで『人間を誘拐したり略奪を働くなどして復讐』してるってことっす。そのため『トリバロイ人』と『キュクロプス族』は長いこと『険悪な関係』になってるんすよ。っすから『トリバロイ人』に『救援要請』を頼めば『オデリュッサイ王国』と同じくらい『ややこしい』ことになるの請け合いってわけっすね。いや、『復讐の連鎖』になって『オデリュッサイ人』よりもっと面倒なことになる可能性すらあるっす。
『いや~、やっぱり『歴史』って『国ごと』にあるもんだから、『一つ一つの国の歴史』を掘り下げていくとどうしても長くなるもんだな(ちょっと飽きてきた)』とクレオン。
何飽きてるんすか聞いてきたのは先輩の方っしょ?(呆れ)では続いて『リュディア人』についてっすが………これは以前にも言ったので『省略』してもいいっすよね? 『リュディア人の王』である『クロイソス』は『猜疑心』の塊で常に『外国』に『予防戦争(攻め込まれる前にこっちから攻め込む)』を仕掛けている『狂王』っすから、そんな彼に『カベイロイ族が裏切ってるかも』なんて告げ口しようものなら『激怒』して『キュクロプス族を絶滅』させるために大軍で攻めこんでくるでしょうし、それに『積極的に協力しなかった国』も『キュクロプス族の仲間』認定して『大虐殺』を敢行するでしょう。正直この『狂気の王様』はやってることが『昔の大魔王軍』とそっくりなので、レイアちゃんも『救援要請』は『あり得ない』と思うっす。マジで『触らぬ神に祟りなし』っすよ。
『こんな『ガチでやばい王様』に『レジスタンス』やってたのが『ラケス』なんだろ? あいつかなり『ガッツ』あるやつなんだな………ってそういえば『ラケス』の方はどうなってんだ??』とクレオン。
まあその話は『後回し』ということで。そして『ポントス王ミトリダテス』って人についてっすが、この人は『ポントス王国』という『リュディア王国』の『北』に隣接している国の出身っす。っすがこの『ポントス王国』は『ラケス』の故郷である『パフラゴニア地方』と同じく『リュディア人』に『征服』されてしまってまして、『ミトリダテス王』は仕方なく『アルメニア王国』という別の国に『亡命』してるっす。
っすがその『アルメニア王国』の王様である『ティグラネス』は『ミトリダテス』と『義兄弟』の契りをかわしまして、『ミトリダテスが祖国に戻れるように全力で支援する』ことを約束してるっす。なので『ミトリダテス王』は『ポントス王国』から一緒に逃げてきた『家臣』たちに『ティグラネス』からもらった『アルメニア人兵士』を含めた『私兵組織』をつくりまして、現在『ポントス王国』の土地に『侵入』して『一部地域』を『実効支配』してるっす(『うお、難しい話になってきたな………』byクレオン)。
そしてなぜ『アルメニア王ティグラネス』が『ミトリダテス』を助けているのかと言うと、現在『リュディア人』によって支配されている『キリキア地方』と言う土地が本来は『アルメニア人』の領土だったからという理由っすね。つまり『敵の敵は味方』論法っすよ。
『マジで『リュディア王クロイソス』って手当たり次第に周辺国に喧嘩売りまくってんだな(呆れ)』とクレオン。
ちなみに『リュディア人』は『トロイア軍』とも『領土問題』がありまして、『トロイア王国』の属国になっている『フリギア地方』ってもともとは『リュディア王国』の『属国』だったんすよね。でも『クロイソス王』の『狂乱』っぷりに嫌気がさした『フリギア王ミダス』が裏切って『トロイア王プリアモス』に忠誠を誓ったんすよ。
『………あれ? じゃあもしかして『ヘクトール』が『イーリオン』を留守にしてるのって結構やばいんじゃねーの??』とクレオン。
むしろ『クロイソス王』は『全方位に敵』がいるせいで逆に気軽に『戦争』を仕掛けられなくなってるんすよね(自業自得)。となると『じゃあマリス兵が救援要請しても無視されるんじゃ?』と思えるかもしれませんが、そこが『狂王』の『狂王』と呼ばれる『理由』っす。つまり『カッと』なると途端に『道理』が頭の中から『大空に飛びたって』しまって『後先考えず衝動的に戦争を仕掛ける』んすよ。
それでも『クロイソス王』自身は『知略にも武勇にも優れた戦争の天才』のせいで今までそれが全部『うまくいってしまっていた』わけっす。だからこそ『オデュッセウス』が『絶対に呼ぶな』と言ったんすよね。『クロイソス王』ほど『次の行動が予測できない』やつはいないので。
『どっちにしても『ヘクトール』が『留守』にしてるのはあぶねー気がするが………つっても『スキュレー』とまともに戦えるやつなんてそれこそ『ヘクトール』くらいしかいねーからなぁ、そればっかりは仕方ないってことか』とクレオン。
『最強』はいつでもどこでも引っ張りだこで、『人材不足』は如何ともしがたいってやつっす。それでは『前置き』が長くなりましたが『本編』をちゃっちゃと進めていきましょうか。
さてさて、では『オデュッセウス』が『トラキス(マリス)兵』たちを『トロイア軍』へと送り出した後『自分一人』は『カベイロイ族』が『日中』の間『鍛冶仕事』に精を出している『ヘパイストス神殿』へと足を向けたわけっすが、その『場面』を語る前に『マリス兵たちがトロイア軍の陣営に到着した場面』の方を先にしておきましょうか。短いのですぐ終わるっす。
ここではいったん『読者の皆さま』には『第二十一話:『山の中、遠くの国で歌われる、人と魔物の『トラゴディア』』を振り返ってもらえるとありがたいんすが、『レスボスの首都ミュティレネ』にたどり着いた『マリス兵』たちから『トロイア軍』が『レムノスでの戦闘』の『情報』を受け取ると、『ヘクトール』が直々に『マリス兵』達に『面会』してこんなことを言ってたっす。
『そなたらは『敵が優勢に立つ戦場』を『主君を救うため』に命辛々脱出してここまで来てくれたのだ。その『情報』は我ら『トロイア軍』にとっては『金塊』に匹敵するほど価値のあるものである………まず諸君らは『休憩』をとって英気を養い、我らのもとで『客人』となっている『マカオン殿』と共に『ピロクテテス王』のもとに戻ってくれ。彼を喪えばそれは『人間諸国全体』の『損失』となる。私と『トロイア軍』は『その後』を追い掛けることにする。今は時間が惜しいからな』とヘクトール。
『マカオン』は以前も述べた通りっすが『元アガメムノン帝の担当医』を務めていた『トリッカ王マカオン』っす。彼の祖先は『医療の神アスクレピオス』でして、この『アポロンの子アスクレピオス』は『元人間』かつ『天才的医者すぎて死人をよみがえらせたことすらある』と言うすごい人っす。っすがその『死者蘇生の医術』が『祖父ゼウス』の『癇に障った』らしくて『落雷』に打たれて死んでしまい、『父アポロン神』が哀れんで『神』にしたという伝説があるっすね(『孫を殺すなんてひどい爺ちゃんだな』byクレオン)。
なのでしばしば『トリッカ王家』には『死者蘇生の秘薬が伝わっている』なんて『噂』がまことしやかに流れてるっす。その『噂』は『マリス兵』も当然知っていたので感謝して、
『ありがとうございますヘクトール殿、『人類の守護者』よ! 『マカオン殿の秘薬』があれば『ピロクテテス王』もすぐに『元気』になってくれるでしょうから………!(男泣き)』
『『マカオン殿』はあくまで『死すべき定めの人間』であって『不死なる神々』ではないから『過度な期待』はしない方がいいと『忠告』だけはしておこう………(『死者蘇生の秘薬』の噂は信じていない)…………それでそなたらの『報告』で少しだけ触れられていた『ネオプトレモス殿』についてだが、彼がどこにいるのか知っているか?』とヘクトール。
『………我らも『レスボス』に向かう『道中』立ち寄った『街』で少しだけ『噂』を集めましたが、『ネオプトレモス殿』の行方はよくわかりませんでした………ですが現在『アテナイ人』も『多くの国から援軍を募っている』と言う『噂』は何度も聞きましたね。なんでも『アテナイ軍』に『傭兵』として参加したら『国庫』から『日当3ドラクマ』を支払うと触れ回っているとか………さすがは『世界一金持ちの国』だけあって『太っ腹』ですよねぇ~(他人事)』とトラキス兵。
あ、ちなみにっすっが『日当3ドラクマ』は正直『どれくらいの価格』なのか想像しづらいと思われますので『日当3000円』に直してもいいっす………と思いましたがさすがに『一日3000円』で『危険な戦場』に赴くには安すぎるっすね。なので『日当30万円』としておきましょうか、これなら『かなりの高額』であることがわかるっすよね?
『いや、正確に『日本円』に直してくれよ。『3000円』と『30万円』のどっちが正しいんだよ?』とクレオン。
いや本当のことを言うと『ドラクマ』を『日本円』に換算することは『不可能』っす、だって『日本国』と『アテナイ』は『貿易』を行ってるわけでもないので(『え、そういうもんなの?』byクレオン)。まあそんな話はいいとして、
『………その話は聞いているが、つまり『ネオプトレモス殿』がその『日当3ドラクマ』を目当てに『アテナイ』に赴いていると? 彼は『トロイア軍』の『救援要請』を受けて『出征』したわけではないのか?』とヘクトール。
『そりゃあ我々も最初は『ネオプトレモス殿はすでにトロイア軍に合流している』と思ってましたよ。なのに『ヘクトール殿』がそんなことを聞いてきたんですから、『だったらアテナイに行ったのかもしれない』としか思えないじゃないですか。もしかしたら『口のうまいアテナイ人』が偶然彼を『捕まえて』からいろいろと『あることないこと』吹き込んで『アッティカ』に案内したんじゃないですか?』とマリス兵たち。
『………まあ確かにそうだな。確か『ネオプトレモス』と言う『青年王』は『生真面目』過ぎる上に『人を疑えない性分』だから『嘘』を吐かれると簡単に騙されてしまうとか………まいったな。可能であれば『アキレウスの子孫』とは戦いたくないのだが………まあとりあえず彼が『レムノス』に居ないのなら今のところは考えないことにしておこう。私たちも『出撃準備』が整い次第出発する………それでは頼みましたよ『マカオン殿』』とヘクトール。
『お任せくだされ『ヘクトール王子』。さすがに私も『死者の復活』は不可能ですが、『まだ死んでいない』のなら必ず『治療』できる自信があります。また『ピロクテテス王』は私と同じ『アカイア人』なのですから絶対に助けたいです。すぐにでも行きましょう』とマカオン。
ということで『トラキス兵』たちは『マカオン王』の率いる『トリッカ軍』と共に再び『レムノス』へと向かったっす。そして『ヘクトール』は『出陣』を前にして『自分の妹弟』である『ヘレノス王子』と『カッサドラ姫』を呼び出して『神に犠牲を捧げる儀式』を行わせたっす。
『出陣する前に『今回の戦で勝てるかどうか』を『神々』に尋ねてくれ。いつものやつを頼むぞ二人とも』とヘクトール。
『はい兄上。『兵士の士気』をあげる重要な儀式ですので抜かりなくこなして見せましょう』とヘレノス王子。
っすが『カッサドラ姫』の方は『青い顔』のままで何も答えなかったっす。なので『ヘクトール王子』が『妹』の肩に手を置いて、
『………お前は『占い』が辛いのなら今回は『ヘレノス』だけでもいいぞ』
っすが『カッサドラ姫』はすぐに気を取り直して、
『………いいえ、私も『犠牲式』を執り行います。『アポロン神』は『意地悪な御方』ではありますが決して『トロイアを呪っていらっしゃる』わけではありません。かの神はずっと我らの『お味方』ですから………』
………そんな風に『プリアモスの子供たち』が『儀式の段取り』を話し合っているのと『同じ時』に『近くの別の場所』では『リュキア王サルペドーン』&『冥界の判官ラダマンテュス』、『知将プリュダマス』、さらには『エチオピア王メムノン』などがこんな話合いをしてたっす。
『………わが弟よ。お前には『総大将ヘクトール王子』から『レスボス島の防衛』の任務が与えられているが、『具体的』に『どのようにして』この島を守っていくつもりだ? 『作戦』を聞かせてくれないか?』とラダマンテュス。
問われた『サルペドーン王』は不機嫌そうに、
『なぜそんな『尋問』されるような真似をされねばならないんだ兄者? 俺は『王侯』だぞ? 『リュキア』には『スパルタ人』みたいに『王』が『監察官』から仕事を『監視』される義務などないし、そもそも『作戦』なんて『面倒なこと』をする必要はない。『ミュティレネ』の街の『防御』を固めつつ『メテュムナの裏切り者(親アテナイ派市民)』どもや『テネドスの日和見主義者(中立を主張する者達)』どもに『無血開城』を迫るというだけだ』
『………ではもし『メテュムナ人』や『テネドス人』がお前の提案を『拒否』したら?』とラダマンテュス。
『『剛勇無双のリュキア人の槍に翼が生える』だけだな(ドヤ)』とサルペドーン王。
この『槍に翼が生える』とは『槍が荒れ狂う』とか『槍を振り回す』の意味っす(一応補足)。途端に『ラダマンテュス』と『プリュダマス』が『あちゃ~』と天を仰いで溜息を吐き、『メムノン』も『顔を引きつらせ』ながら、
『確か『ヘクトール殿』は『ミュティレネ防衛』のみに集中し、『ピロクテテス王を救出するまで』は『戦闘』を極力避けるべき』と申されていたのでは? 現状『テネドス人』も『メテュムナ人』も彼らの方から『ミュティレネ』を攻撃してきているわけではないのですし、下手に攻撃を仕掛けてこちら側に『隙』を作る方がよろしくないと思うのですが………?』とメムノン。
彼は『初登場シーン』で『いきなり巨石を投げつけた』ために『サルペドーン王に匹敵する脳筋』に見えたかもしれないっすが、『素』はどちらかと言うと『温和な性格』なんすよね。ただ『怒りで我を忘れている人間』を止めるためには『暴力』も辞さないというだけでして………(『その判断が瞬時にできる時点でどこか『キレてる』と思うけどな』byクレオン)………しかし『サルペドーン王』はまたも『憤激』しまして(いつもの)、
『わかっとらんなメムノン………殿は!(ギリギリ理性維持)現在『テネドス人』と『メテュムナ人』どもが『ミュティレネ』に攻撃をしかけてきていないのは『スキュレー軍やアテナイからの援軍が来ていない』と『ヘクトールがまだいる』からというだけだ! もし『ヘクトール』が『大勢の兵士』を連れて『出撃』すれば連中は確実に大喜びで『攻撃』を仕掛けてくる! だからその前に、まだ『情勢』が『こっちの有利』の段階で『降伏』を迫るんだ! 『降伏』さえ勝ち取ってしまえばあとは『メテュムナ』や『テネドス』の街に『駐屯軍』を置いて住民を監視し、また『スキュレー軍』や『アテナイ人』がやってて来ても大丈夫なように『城壁』を『増強』すればいい! そんな『簡単』なことがなぜわからんのだ!?』とサルペドーン。
『確かにあなたの考え方も『道理』ではあります。ですがすでに『現在』の時点で『メテュムナ人』や『テネドス人』が『駐屯軍の受け入れ』と言う『普通に考えれば絶対に受け入れたくない条件』を『自分の方』から『我々』に『提案』してきてはいないじゃないですか。彼らは『現状』でも我々に『無条件降伏』を打診してきていないのですから、『サルペドーン王』が今から迫ったところで吞むはずがありません。ならばあなたが『降伏勧告』しても従わず『猶更緊張が高まる』だけですよ。なので『余計なことをせず黙って『ミュティレネ』に『籠城』しておくべき』だと『ヘクトール』殿は言っているのです』
『そんなの『やってみないことわからない』だろ! なら今から俺が『テネドス人』と『メテュムナ人』に『無条件降伏』を迫る使者を派遣する! そいつらの『返事』を聞いてからでも遅くはあるまい!?』とサルペドーン王。
『『降伏勧告』自体をやめるべきと私は申しているのです。そんなことをして『テネドス人』や『メテュムナ人』の『一兵卒』や『民衆』の『感情』を刺激するべきではありません。『戦争に突入しそうな雰囲気』を出すべきではないのです。そっちの方がより『安全』ですよ』とメムノン。
『『手ぬるい』な! 最近の『若者』は『なよなよ』しすぎだ『女々しい』発想をしおって! それで『我々』の方は『ヘクトール』が『大部分の兵士』を抜き出した状態で『ミュティレネ』に引きこもり、かたや『メテュムナ』には『アテナイからの援軍』が到着するわけか!? そうなったらそれこそ『テネドス人』どもも『中立』をかなぐり捨てて『アテナイ側』に味方するだろうさ! そっちの方が『不利』だろ、貴様は『戦略眼』と言うものが全くなっていないのではないか!?』とサルペドーン。
『『戦場全体』を俯瞰して『作戦立案』できないのはあなたの方だサルペドーン王よ(呆れ)。『アテナイ人』は『スキュレー軍』が『アッティカ』のすぐ目の間に『駐屯』している以上は『そっち方面』のが重要で『レスボス』に手勢を割くことはできない。『アッティカ』は『アテナイ人』にとって『母国』だが『レスボス』はあくまで『戦利品』に過ぎないのだからですよ』とメムノン。
『いいや! 『アテナイ人』にとって『デロス同盟加盟国(植民地)』は『自分の財布』と同じ、『財布』を盗まれた者が『財布は自分の体じゃないから盗まれても大したことない』とか思うか!? むしろ自分の体の一部だと思って血眼で探すだろうが!』
『『普通』ならそうでしょうが、『バスジャック犯に『死にたくなかったら金を出せ』と言われたら出すのが普通』でしょうが! あなたが言ってることは『無茶苦茶』だ!』
『いいや『強盗に脅されて金を出す』なんてやつは『戦士』じゃない! 『本当の戦士』であったのなら『金を出せ』と言われたら『じゃあお前は命を出せ』なんて『気の利いたこと』でも言ってから『バスジャック犯』を『無力化』するはずだ! 『アテナイ人』や『レスボス人』どもが『ナイフを向けられただけでビビッて動けなくなるど素人集団』』だと思っているのか!? 奴らは曲りなりにも『戦士』だぞ! 絶対に『なりふり構わず』に『軍隊』を派遣してくるはずだ! だから何事も『速度』が肝心、『メムノン………殿』のいうことは『甘すぎる』! というかそもそも『ミュティレネ防衛』の任務にあたるのは『俺』であって『そなた』ではない! 口出ししないでもらおうか!』
『わかっていない! 本当にあなたはわかっていない! どうやらもっと『リュキア人』にわかりやすいたとえ話をしないとあなたは理解できないようですな! 『メテュムナ人』や『テネドス人』は所詮『恐怖で身がすくんでいるネズミ』にすぎない! そんなものたちに『降伏勧告』という名の『脅迫』を行えばいよいよ『ネズミの神経』を追い詰めて『窮鼠猫を噛む』なんてことになるでしょうが! ですが我々が『何も言わずにミュティレネに篭り続けれ』ば、連中は『きっとトロイア人はビビっているんだ』とか『どうすればいいかわからないんだ』などと『自分に都合のいい解釈』をして『怖い戦闘』を回避することができる! そして『アテナイ人』は確実に『スキュレー軍』の圧力にさらされて『トロイア人との講和』を口にする! これは『時間稼ぎ』でもありますし、『スキュレー軍』と『アテナイ人』の出方を見極める作戦でもある!………』
そんな風に二人は『しばらく言い争った』あと、最後には『二人』そろって『知将プリュダマス』に向き直り、
『『………それで!? あなた(おまえ)はいったいどっちを支持するんだ(ですか)!?』』とメムノン&サルペドーン。
問われた『プリュダマス』は『まあ落ち着け』とジェスチャーしてから、
『………私に意見を求めらたのであれば『私見』を述べさせてもらうが、正直なところ『テネドス人』や『メテュムナ人』の『出方』を『きっとこうだ』と『断言』することは私にはできない。なぜなら『スキュレー軍』や『アテナイ人』が何を考え『どんな作戦を思い描いている』かもわからないからだ。しかしここはやはり『ヘクトール王子』の『指示』通りに動くべきだと思うが………それでも『未来』がわからない以上は最終的には『サルペドーン王』の『趣味』でやってもらって構わないとも思う。なぜなら『サルペドーン王』が『レスボス守備隊』の『隊長』なのだからな………『馬を馴らすリュキア人の王』よ、あえて『もう一度』そなたに『同じ質問』をしようじゃないか。そなたは『降伏勧告』を行ってもし『メテュムナ人』や『テネドス人』が『拒否』したらどうするつもりだ?』
問われた『サルペドーン王』は『邪悪な笑み』を浮かべて、
『………ふふふ、愚問だな『プリュダマス殿』、もし『拒否』するのならまずは『メテュムナ』や『テネドス』の街の『城門』につながる『全ての街道』に『兵士』を配置して『封鎖』し、また連中の『街の周辺』に広がる『麦畑』や『ブドウ園』、『牧場』など『農業』にかかわるものを『全て破壊』してやるのだ。『植えてから果実をつけるまで数年かかるオリーブの木』は全部切り倒し、『放牧中の家畜』はすべてその場で潰して兵士の食料に変え、『農民の家』や『家畜小屋』に『放火』していき、捕まえた『農民』は『女子供老人』も一人の例外なく『奴隷』に落として連行する! もちろん『港』も『守備隊の篭る要塞』も手当たり次第に壊して使えないようにするし、それどころか『神殿の周りに広がる鎮守の森』だって例外じゃないぞ! もちろん『聖財』だって奪い取ってやる、俺は『ゼウスの息子』だから『神罰』だって恐くないからな(えっへん)! ふふふ、そうしたら一体どれだけの『リュキア人兵士』が俺を『名君』だと讃えるだろうな………? どうだ『グラウコス』!? 兵士どもは私のことを何と言って『賞賛』すると思う!?』
問われた『サルペドーン王の副官グラウコス』はすぐに大声を張り上げて、
『は! 兵士どもは口をそろえて『サルペドーン王万歳! 王のおかげですべての兵士たちが『レスボス人の若い夜伽係』を手に入れることができた』とか『奴隷が家事をやるから妻の負担を減らしてやれる』とかいって『王』の名を『未来永劫』讃えるでしょう! ぶっちゃけ俺も『妾』がまた増えると思うと『テンション爆上がり』になってますよ我が君よ!』とグラウコス。
『ぶはははは! そうだろうそうだろう! やはりこれだから『大魔王軍相手の正義の戦い』はやめられんな! 兄上にメムノンにプリュダマスよ、例えお前らといえどもこの『俺』を止めることはできんぞ! 『戦士』は欲しいものがあればいつでも『分捕って善い』と『戦いの神アレス』も申されているのだからな! 『トロイア人の守り神アレス』よ感謝いたします! イエーイ、パイエオーン!(神への感謝の言葉)』
『………だめだこりゃ。『ラダマンテュス殿』が『監視役』として残った方がいいんじゃないですか?』とプリュダマス。
『『サルペドーン』は私の言うことを聞くかもしれませんが、『リュキア人兵士』どもは絶対に聞きませんよ─(ここで『グラウコス』がめっちゃ頷いている)──『腹いっぱい食べれるだけの食糧や酒や女奴隷』が手に入るとわかっているのに『攻撃中止』なんて命じたら私が兵士たちから『リンチ』されかねない(怯え)』とラダマンテュス。
『なら『メムノン王』よ、なんとかして『リュキア兵』を説得してくれませんか?』とプリュダマス。
『………正直、『略奪は兵士の正統な権利』なので、そればかりは自分も止めることはできません。そんなことしようものなら『エチオピア兵』達までもが私の言うことを聞かなくなるでしょうから(渋い顔)』とメムノン。
『『こまったもんだな………こりゃあ『レスボス防衛戦』も一筋縄ではいかないぞ………』』とラダマンテュス&プリュダマス。
この『作戦会議』の内容は『次回』の展開に『おもいっきり』関わってきますし、また次は『オデュッセウスとカベイロイ族の会合』の話になるんすが………長くなってしまったので今回はここまでで。それではまた今度お願いするっす~(バイビー)。
「…………『アテナイ人』はまじで『カスばっかり』だと思ってたけど、もしかして『トロイア人』もそんなに変わらん感じなのか??」とクレオン。
「『兵士』はどこに行っても似たような感じですよ。それでも『モンスター兵士に捕まって生きたまま食われる』よりかは『マシ』と考えるかどうかは『人それぞれ』だと思いますけどね。私は『食われるよりかはマシ』と思って『奴隷』になりましたけど、『姉』は『食われたほうがマシ』と思って死にましたし」とフィロメデュサ。
「でも『クレオン殿』も『奴隷』と言う名の『家事全般をこなせる忠実なロボット』が家に一台でもあったら『便利』だと思いませんか? 『兵士』達は皆『夫婦共働きの一般庶民』ですのでどうしても『万能家事ロボット』が欲しいんですよ」とエウリュメデューサ。
「『奴隷』は『家事』だけじゃなくて『農業』も『育児』もできますし、『王侯貴族の奴隷』なら『家庭教師』にもなって本当に便利ですよ」とアグネテー。
「いや、だから俺は『家産奴隷(女奴隷に奴隷を増やす目的で産ませた子供)』ってやつらしいから──(アタランテに教えてもらった)──『その通りですね』とは言えねーんだよ立場的にもよ………でも『一般人』がそういうのを求めちまう気持ちもわからないでもないし………あ~俺は『共感』すればいいのか、しちゃだめなのかどっちなんだ!? 教えてくれ『アタランテ』!? アタランテ?? ………あり?? 『アタランテ』どこ行った!?」とクレオン。
クレオン「『トラキア王テレウス』ってなんか聞いたことあるなと思ったら………そうか、昔『母ちゃん』が話していた『ヤツガシラ(鳥の一種)』に『変身』した『トラキア人の王テレウス』のことか。『テレス』と『テレウス』って音似てて紛らわしいんだよな、どっちもトラキア人の王だし」
ペンテシレイア「何げに『トラキス人』と『トラキア人』も頻繁に見間違えるんすよね」
アタランテ「地味に『オデュッセウス』と『オデリュッサイ』も紛らわしいわ。オデュッセウス王名前変えてくれないかしら?」
オデュッセウス「なんで俺が変えないといけないんだよ(むくれ)」
※2025/9/9追記:『gritters』をずいぶん長い間放置している作者ですが、実は近々投稿済みの話を一度全部消してからまた第一話から書き始めようと思ってます(あらすじも全部変わって全く違う話になります)。正直誰も読んでないと思ってたので今日にでも消してやろうかと思ってたのです。新しい話の構想も結構固まってきたので………ですが思ってたより読んでいただけていたようでして──(拙くて大変気恥しいですが)──ちょっと心が揺らぎました。ですがやっぱり一週間以内には消します(宣言)。なのでここにお知らせしておきます(あしからず)。




