第二十一話:『山の中、遠くの国で歌われる、人と魔物の『トラゴディア』』
さてさて、今回は『クレオン先輩』が『食いしん坊』を発揮して全く使い物にならないっすし、仕方なく『地の文』は『戦いの神アレスの娘:プリティーレイアちゃん♡』と『処女神アルテミスの養女アタランテー(力瘤)←『力瘤の絵文字が使えないのがちょっと残念です』by作者)』のお二人でお届けするっすよ~☆
『『狩猟の女神アルテミスの娘』とかなんかすごそうな『二つ名』だけど、私の場合は『狩猟が大好きでいつも山の中を駆けずり回ってるから村の男の子の恋愛対象になってない娘』ってだけよ(といつつ本人は別に気にしていない)。あと『処女』って言い方はなんだかいやだわ、『乙女』と呼んでほしいわね(こだわり)』と『イアソスの娘アタランテ』
パイセンが『非モテ』とか『マロネイア村』の連中は全員『女嫌い』なんすか(爆)? あとどっちも『パルテノス』で同じなんすけどね(ははは)。ちなみに『アタランテの父イアソス』の『ご先祖様』は『ボイオティア地方(テーバイが属する地域)』の有力国『オルコメノス』の『王様』でして、この当時『オルコメノス』の街を支配していた『ミニュアース人(または『ミニュアス王朝』)』は『テーバイ』を征服して『属州』にしていたという『伝説』もあるっす。というわけでなんだかんだ『パイセン』も『テーバイ』と全く無関係というわけでもないんすよね。
『ほとんど関係ないに等しい気もするけどね………私の遠い祖先は『王族』だったらしいけど実家は『農家』よ(平然)。そんなこと言ったら『レイア』のお父さんの『戦いの神アレス』は『カドモス王の舅』だしであんたもなんだかんだ『縁』があるわけよね。しかもあんたの場合は現役で『王族』だし………ほんっっっっにあんたは『アマゾーン』っぽくも『女王』っぽくもないけどね』とアタランテ。
レイアちゃん自身は一回も『アレス神』に会ったことありませんしただ母親が『あなたはアレスの子よ』と言い張ってるってだけなんすけどね、私はただの『母子家庭育ちの女戦士』っすよ(興味薄い)。おっと、こんな『つまんない話』誰も聞きたくないっすよね?
さてさて、『前置き』もこれくらいにして──(『これって序章って言えるの??』byアタランテ)──引き続き『『無敵の女英雄アタランテ』と『魔王殺しの勇者クレオン』が『冒険の初期』に遭遇した『大いなる危機』の一つ、『無差別殺人鬼集団『バッコスの狂女』からの逃走劇』の続きを語っていきましょうかねぇ~♪
『杖先で地面をたたきながら『語り』始めると『吟遊詩人』の雰囲気が出てくるわよね~(吟遊詩人大好き)。私も『未来』の視点から呑気に眺めさせてもらうわよ、やっぱり『安全圏』から『命がけの闘争』を眺める以上の『娯楽』ってなかなかないわよね~♪』
言ってることが完全に『悪いローマ人』になってるっすよアタランテパイセン(良心)。
さてさて、前回の続きで『アタランテパイセン』が『狂宴』の最中、できるだけ『目立たないよう』に移動を開始していたっす。目的地は『バッコスの信女』たちの集まってる場所の隣にある『茂み』っす………あ、『狩りの獲物』の死体があるのとは別方向の『茂み』っすよ? そこに気づかれずに入ってから『口笛』を吹いて『口軽い木霊』を利用しようとしてたんすよ。
(………木霊のやつめ、こんな時だけ気まぐれで『私に協力しない』とか無しだからね? ………私が心を込めて尊崇する『レト(女神)の御娘アルテミス』よ、どうか私が日ごろから貴女様に捧げている『狩りの獲物』のことを思い起こしてどうかわたしとクレオンの馬鹿を御救いください………)とアタランテ。
パイセンがそんなことを心の中で祈る一方、『クレオン先輩』の方は『げらげら』笑い相変わらず心行くまで『ワイン』をのみ『何の動物かわからない肉』を食べながら、
「がはははは! 『飲んで食って歌って踊る』だけの『祭り』とか最高だな! 俺も『バッコスの信女』に入れてくれよ! 何だったら『女装』とかも抵抗ねーからさ俺は!(割と本気)」とクレオン。
「ご存じないかもしれないですけど『女装』はすごく『縁起』悪いですよ(苦笑)。それにもうしわけないですが『プロミオス(バッコス)』のご命令で『マイナデス(バッコスの信女)』になれるのは『女』だけで『男子禁制』なんですすみません」とフィロメデュサ。
「そっか~じゃあ仕方ねーな(あっけらかん)」
「それに一応私たちは『大まじめ』に『ディオニュソス神』を讃えてるんですよ(苦笑)? 特に今『アテナイ』は『危急存亡の秋』ですので『今回の祭り』は私たちが『ディオニュソス神』の『ご助力』を得るために『緊急開催』したものなんです………まあご覧通りの有様でそんな『緊張感』は全く伝わってこないでしょうがね、ははは」とフィロメデュサ。
この話から自然と話題が『スキュレー軍VSアテナイ人VSトロイア軍』にシフトしたっす。
「今の季節は『秋』じゃねーよな?? そんなに『アテナイ』ってやばい状況なのか? もうトロイア人や魔王軍に攻め込まれちまってるとか?(呑気)」とクレオン。
「すでに『アッティカ』の上空を『ハルピュイア』が飛んでるので『攻め込まれている』と言えばそうかもしれませんが、まだ『スキュレー』が率いる『大魔王軍最精鋭部隊』は『メガラ』にいるらしいですよ(こっちも呑気)。一方『トロイア軍』は『アテナイ』の『植民地』である『レスボス島』を攻め落としてまして、今そこで『援軍』と『合流』しようとしているそうですね………」とフィロメデュサ。
この『どこかの国の王女』らしい『狂女』が話している内容は『読者』にも『クレオン先輩』にも『既知』の内容だったので先輩は不思議そうに、
「その話は『アタランテ』の奴からも聞いたぜ。それからどんくらいの時間がたったか知らねーが、新しい動きとかってないのか?」とクレオン。
「どうなんでしょうねぇ………? 私はそもそも『軍人』でも『軍事評論家』でも『ミリタリーオタク』でもないので詳しい話とか全く分かりませんが、『噂話』はいくらか聞いてますよ。今現在『トロイア軍』が駐屯する『レスボス島』に『人間世界』各地から『援軍』が向かっているそうですが、その『援軍』たちを『スキュレーの部下』達が『攻撃』しており、また『レスボスの街』でもなにやら『内紛』が起こっているとか………(いろいろ思い出しながら)」とフィロメデュサ。
この時『アタランテパイセン』の方はひそかに『酒宴』の場を脱出して近くの『茂み』の中に身を隠していたんすがクレオン先輩を始め誰も気づいていなかったっす。
「『援軍』が攻撃されてるらしいって話は聞いたな。でも『レスボスの街』で『内紛』が起こっているとは聞いたことねーぜ(興味津々)」とクレオン。
「『レスボスの街』は色々と『ややこしい』ですからね。あそこはもともと『トロイア王国』の『属国』だったんですが、同時に『音楽の国』と呼ばれていまして『世界的に有名な歌手』を世界中に送り出していたんですよ。『大人気バンド:『イルカボーイズ』のボーカル・アリオン』に『世界の歌姫サッポー』、『戦場音楽家アルカイオス』に『コリントスの国民的歌手テルパンドロス』、そして誰よりも有名な『音楽の神アポロンの息子オルフェウス』…………みな『綺羅星』のごとく夜空に輝く『偉大な芸術家』たちですよ………(うっとり)………でも今は多くが『アテナイ人』によって『亡命者』や『僭主』となりはてているわけでして……(憂い)」とフィロメデュサ。
彼女は『酔っぱらって』いることもあって『脱線』したあと、また話を戻して、
「…………おっと、今は関係なかったですね(悲しみ)。『レスボス』は数年前『アテナイ人』が『トロイア王国』から奪って自分たちの『植民地』にしまして、その時に多くの『レスボス人』たちが諸外国に、主に『トロイア』に『亡命』したそうです。そして『亡命者』達を受け入れた『トロイア人』たちは何度も『アテナイ人』に『レスボス人に祖国を返せ』と要求し続けていましたが『アテナイ人』たちは『この島は自分たちの戦利品だ』と言って譲らなかったわけですね。まずそういう『背景』がこの戦いにあるわけです。そして『アテナイ人』たちも実は『レスボス』を『植民地』にしたときに『自分たちに友好的なレスボス人』を『僭主』としてこの国に据えて『支配の道具』にしているわけですね。それが『原因』で今現在『レスボス』は『内戦』が勃発しているそうですよ………」とフィロメデュサ。
さすが『どこかの国の王女様』だから言葉の端々に『教養』がにじみ出てますね──(『そうか??』byクレオン)──ではここで『ややこしい』ですが『クレオン先輩とアタランテパイセン』が『聖剣アイガイオン探し』とか変なことしてる間に刻一刻と進んでいる『大魔王軍VS人間諸国』の『世界大戦』を語っていきましょうか(『それしかできねーだろ俺らただのクソガキだぞ!』byクレオン)。
これはちょうど『クレオンとアタランテ』が『バッコスの信女』達と出会う『三日ほど前』のことなんすが、この日の『朝』を『レスボス国の首都ミュティレネ』にあった『オルフェウスの豪邸』の『寝室』で迎えた『トロイア第一王子ヘクトール』のもとに『伝令』が『衛兵』を押しのけ『戸口』を蹴破るような勢いで部屋に突入してきたっす。
『ヘクトール王子! 『何か用事があれば寝ていようが風呂に入っていようがいつでも伝えてくれて構わない』との仰せに従いご許可なく『寝室』に『闖入』させてい頂きました! お許しがある故『謝罪』はいたしません! どうかそのまま私の報告をお聞きくだされ!!』と伝令。
この時『ヘクトール王子』は『ベッドで寝ていた』んすが、『伝令の大声』を聞いて目を開けて上体を起こし、
『………続けてくれ。その慌てようは決して『吉報』というわけではあるまい。『吉報』であれば『朝食』を済ませた後にでも聞けばいいが、『凶報』なら早く聞くに限るからな』とヘクトール王子。
『は! まずは『ポセイドンとアポロン』の築きたもうた『城壁』に守られる『トロイア』と栄光ある『ダルダノス家(トロイア王家)』の永劫の繁栄を祈らせていただきます! どうか『トロイア』に『勝利』をもたらし給わんことを!(祈念) ではご報告申し上げます! 現在『レスボス人』の中の『親アテナイ派市民』たちが『メテュムナの街』で『クーデター』を起こして『住民』と『トロイア兵』を追放! 『城門』を閉ざして『籠城』しつつ『アテナイ人』に『救援要請』を行っているとの情報が! また北の『レムノス(レスボスとは別の国)』に『ポイアスの子ピロクテテス』率いる『マリス軍』が到着したそうですが、『スキュレー軍ネッソス隊』と交戦し『猛毒攻撃』を受けて『全滅』の危機にあるようです! その『ピロクテテス軍』からも『救援要請』が届いております! また『テネドスの街(レスボスの地方都市)』の住民たちが突如『独立宣言』を行いまして、『今回の戦争で自分たちは『中立』の立場になるから誰にも味方しない』と主張しているとか! もちろん『トロイア』にも『レスボスからの撤退』を要求しています! 王子殿下! 『人々を守る者』よ! どうか我らを御導きくださいませ!』と伝令。
もはや後半は『悲鳴と懇願』に近かったらしいっすが、全部聞いた『ヘクトール王子』は早速『頭痛』が始まったようで、
『………『一晩』寝て起きたらなんという『ざま』だ………(深いため息)…………諸将をすぐに集めてくれ。もちろん『完全武装』でな。それと『全兵士』たちも『ミュティレネ』の城壁の外で『戦列』を組ませるんだ、それからその『大げさすぎる称号』はやめろとなんども………』とヘクトール。
『は! すぐに取り掛からせます!(そう叫びながら部屋を飛び出す)』と伝令。
『おい、人の話を最後まで聞け………(また溜息)…………『歴戦の勇者』でありながら『冷静さ』に欠けるとは、『トロイア兵』の『レベル』をもっと上げねばならんようだな………』
ヘクトール王子はその後『侍女』達が用意した『銀の盆』に入った『薔薇水』で『手と顔』を洗い、『乾燥防止』のために『オリーブオイル』を塗ってから『パジャマ』を脱いで『甲冑』姿になったっす。『トロイア人』の特徴である『大きな盾』を『亀の甲羅』みたいに背中に背負い、『五メートル』に達する長槍を手に持ち『一撃で牛の首でも斬り落とせる太刀』を腰につり、『兜』から垂れ下がる『馬毛』を風になびかせながら進む姿に『侍女』たちは皆『頼もしさと怖ろしさ』を込めた『熱い視線』で王子を見送っていたっす。
(なんと『怖ろしい』けど『凛々しい』御姿………やはり『イダ山の主ポイボス(アポロン)』が予言された『人類の守護者』はヘクトール王子のことを指していらっしゃるのでしょうね………)と侍女たち。
でもヘクトールはそんなこと気にせず、
『………ずいぶんと『事態』が動いたようだ。まずは『順序だてて』状況を整理せねば………何よりも厄介なのは『メテュムナの裏切り者ども』と『ネッソス隊』だ。こいつらは『スキュレー』の指示で『連携』して動いてる可能性も考慮せねばならん。そして『メテュムナ』の動きはせっかく『講和』した『アテナイ人』との関係すら『緊張』させてしまうではないか。しかも『ネッソス隊』だと? あの『ケンタウロス』は本来『ヒュドラ(スキュレーの兄)』の配下であったはず、『スキュレー隊』に『出向』しているのか?? ………あいつがもし『毒ガス』でもまいているのなら下手に『レムノス』に近づくことすら危険ではないか………さてどうしたものか………(ぶつぶつ)』とヘクトール。
その後彼は『トロイア軍の将』たちが集まっている『会議の場』にやってきたっす。すでに『麾下』の『王侯』たちはそろってまして、まず最初に『ヘクトールの弟』かつ『アポロンに寵愛される予言者』であり『トロイアの領地『モロッシア地方』の王(領主)』でもある『ヘレノス王子』が口を開いたっす。
『兄上、すでに『伝令』から報告を受けてるようですので省略しますが、我らの直面する課題は『メテュムナの裏切り者』と『ネッソス隊』と『テネドスの離反者』たちです。ちなみにすでに『ミュティレネの街』の『貴族たち』からは『忠誠』を確認しております。ですのでこの街で『クーデター』が起こることはないと私は断言いたしましょう』とヘレノス。
するとヘレノス王子の横に居た『レスボス人貴族:アルカイオス』…………もちろん『フィロメデュサ』が言っていた『戦場音楽家アルカイオス』その人なんすが………が発言したっす。
『我らは本来『邪悪なアテナイ人』どもによって『祖国』を追放された身、それを『トロイア人』のお歴々の『御尽力』によってこうやって『帰国』の夢が実現したのですから『裏切る』などありえない話です(熱弁)。ですがどうやらその『アテナイ人の植民地化』によって『利益』を得ていた『恥知らずなレスボス人ども』がいたようですね………その『売国奴』どもが自分たちの『御主人様』である『アテナイ人』があなた方に『正義の懲罰』を受けたことで『次は自分たちが滅ぼされる』と焦ってこのような『蛮行』に走ったと思われます。そのような『厚顔無恥』な連中ですからきっと『大魔王』にだって『魂』を売り渡すでしょう! やつらは『人類』の『敵』です! おお! この世界をあまねくしろしめす『大神ゼウス』よ! どうかあの『人類の裏切り者』どもに『神罰』を与え『地獄』に突き落してくださいませ!!(絶叫)』とアルカイオス。
さすが『音楽家』ということで『義憤』に満ちた『演説』を叫んだので『サルペドーン王』などは『全くその通りだ!』と『興奮』したそうっす。一方この会議には一応『クレタ王イドメネウス』も包帯だらけの姿っすが参加してまして、ただ黙って話を聞いていたっす。
あ、ちなみになんすが『トロイア人』は『レスボスの国』に攻め込む前からあらかじめ『自国に亡命していたレスボス人』たちを一緒に連れてきてまして、無事『レスボス』を『アテナイ人』から奪い取ると『亡命レスボス人』たちを『帰国』させてるんすよ。その『亡命レスボス人』の『リーダー』が『超人気歌手』でもある『アルカイオス』なんすよね。『アルカイオス』は祖国が『植民地』にされると主に『トロイア』を中心に世界中で『ツアー』を行いながら『アテナイ人から祖国を取り戻す支援をしてください!』と呼びかけていたそうっす。なので彼にとってはこれが『念願の帰国』だったというわけっすね。
っすが『アルカイオス』の『感情的な演説』にも『ヘクトール』は乗ることはなく、『トロイア軍』の『元老』と称賛される『知将プリュダマス』に意見を伺ったっす。
『プリュダマスよ、まずは『経験豊富』なそなたの意見を聞きたい。いきなり『重大事件』が同時多発的に起こってしまっているため我らは『優先順位』をつけて対処すべきだろうか? それとも『兵力を分散』させてすべて同時に対処すべきだろうか?』
問われた『プリュダマス』は渋い顔っすが『スラスラ』答えたっす。
『そうですねぇ王子殿下。私は『優先順位』をつけるべきだと思っています。『最優先』は『ピロクテテス』殿でしょうな。まずは我らが『全軍』で彼を救援し『ネッソス隊』を『撃破』すべきかと。なぜなら『メテュムナ』の連中が何をしようとも『兵力』の面で我らが『優勢』ですし、同じ『レスボス人』たちには『アルカイオス殿』のような『仲間』もいますからな。一方『援軍』は我らを助けるために駆けつけてきてくれて『命の危機』に瀕してしまっている以上、我らが助けるのが筋でしょう。互いに助け合うのが真の『友人』なんですからね』とプリュダマス。
すると『ヘクトールの弟デイポボス王子』が、
『いやいや! 『ピロクテテス』はもともと我らを助けるために駆けつけたんだろ!? それが逆に助けを求めるとかなんだその『間抜け』は!? 『役立たず』を拾って勝てるほど『スキュレー』は甘くはないぞ! しかも『ピロクテテス』はもともとは『アカイア帝国の将軍』じゃないか! それより『メテュムナ』の方が先では!?』
『王子、『アカイア帝国』はすでに滅んでいて存在しないのです。滅んだ者たちに『敵』も『味方』もありませんし、『イドメネウス王』しかり、我らは『アカイア人』たちの助けを借りずして『スキュレー』に勝てるなどとも思いあがってはなりませんぞ(厳しい口調)。それに『メテュムナ』の連中は『スキュレー』と『秘密の同盟』を結んでいる可能性もあります。もしそうなら『ネッソス隊』を滅ぼせば『メテュムナ』の連中は自然と『降伏』に傾くでしょう。自分たちの近くに居て自分たちを守ってくれそうな『スキュレーの部下』が『敗北』するのですからな………しかも『スキュレー本隊』は『アッティカ』の向こう側に居てすぐに駆け付けられないわけですから』と『知将プリュダマス』
『なるほど、そなたの言い分は『もっとも』だと思う。他の諸将たちに反対意見はあるか?』とヘクトール。
すると今度は『冥界の裁判官ラダマンテュス』が、
『私も賛成だ。『サルペドーン』などは不満があるかもしれないが………(怖い顔になっている弟を一瞥してから)…………我らが『アカイア人』を優先して助ける姿を他の『アカイア人』たちに見せればそれだけ彼らを『安心』させることができる。かつての『トロイア遠征』で我らの関係は非常に『ギクシャク』しているんだ。ここは『政治判断』でそうするべきだと思う。だがそうはいっても『ミュティレネ』に『守備隊』くらいはおく必要あるだろうな。不満がある『サルペドーン』などはその守備隊を任せられるのが『性に合っている』と兄は思うぞ。そこらへんで『手打ち』にするのはどうだ?』
言われた『サルペドーン王』は『ふん!』と鼻を鳴らして、
『………いいだろう、今回は『兄者』に従ってやる。悔しい話だが今の『戦況』は『複雑』すぎて俺のような『武勇一辺倒』な将には少々荷が重い。こういう時は『知将』の言葉に素直に従っておくのが『吉』だというくらいの『知恵』は俺にもあるからな。だが『噂』によれば『ネッソス隊』は『ヒュドラの毒』を使いこなして『ピロクテテス軍』に『パンデミック』を起こしているという話だそうだな………そんな『近づくだけで病気になる土地』に出征したがる兵士がどれだけいるかな?』
『だから『俺』自身も出るつもりだ。それなら兵士たちも喜んでついてきてくれるだろう』とヘクトール。
『はは! さすが『五人目の英雄』だな! だが『毒で死んだ』なんて知らせが俺たちのもとにもたらされるような『へま』は踏むなよ? 『人類最強』がそんなつまらん死に方をしたら『テュポーン』もさぞや『がっかり』するだろうな!(皮肉げ)』
『『テュポーン』が何を思うおうが俺にはどうでもいい。ただ『イリオン』で『妻と息子』が帰りを待っているからこんなところで死ぬ気はないというだけだ』とヘクトール。
『………カッサドラ姫の『予言』が今日成就しないことを祈るぞ、割と本気でな………(神妙な顔)』
その後『レスボスの国』から『ヘクトール』率いる『トロイア軍』が『出撃』したっす。目指すは『レスボス』から『北』にある『レムノス』の国っすね。
ここは以前にも説明があった通りこの国の住民は『人間』ではなく『カベイロイ族』という『サイクロプス(キュクロプス)』たちっす。そして彼らの土地は『国』が丸ごと一つ『神々の鍛冶師ヘパイストス』に捧げられた『聖域』でもありまして、ここに住む『サイクロプス』たちは『鍛冶師』であると同時に『神官』でもあるんすよね。そして大昔に住んでいた『地元の人間たち』は一度『追放』されてるんすが、その後『キュクロプス』と『商売』をしている人間たちが少数住んでいるっす。
でもこの『商人』たちは『ここに住んでいる』といつつ『市民権』は持っていないので『法律上』は『就労ビザで入国してる外国人』みたいな扱いっす(まあこんな話はどうでもいいんすが)。そして『トロイア人』に『来援』しようとしていた『マリス地方の王ピロクテテスの軍隊』は『休息』のためにここに立ち寄っていたわけっすが、そこに『スキュレー軍』に所属する『ネッソス』率いる『魔王軍』が襲い掛かったっす。
『ガハハハハハハハ! 貴様が『ヘラクレスの墓』を守る一族の跡取り『ピロクテテス』か! 貴様が大切にしている『ヘラクレスの弓』をもらい受けに来たぞ! 俺様の『猛毒攻撃』を食らえ!』と『ネッソス』
『!? 貴様『モンスター』か………ぐああああああ!!??』とピロクテテス。
この『ネッソス』と言う『モンスター貴族』は『ケンタウロス族』でして、祖先は『四英雄の一人アキレウス』の『祖父』であった『ケンタウロイ(ケンタウロス族)の賢者ケイローン』らしいっす。つまり『大魔王軍』に所属しながらも『四英雄』の『高貴な血筋』をひいてるわけっすが、その『性格』は『賢者ケイローン』が『敬遠』していた『ごく一般的なケンタウロス』達と同じ『強欲・傲慢・好戦的』を絵にかいたよう………そしてこの『ネッソス』には『生れながらの異能』が備わっていたっす、『猛毒の血が全身を流れている』という『怖ろしい才能』が。
なので『ネッソス』はあらかじめ『自分の血』を大量に抜き取っておき──『ケンタウロス族』は簡単には死なない頑強な身体を持っているっす──それを『矢じり』に塗った矢を用意して『待ち伏せ』し、近くを通りかかった『ピロクテテス軍』に向かって『奇襲』をしかけて『毒矢』の雨を降らせたんすよ。
対する『ピロクテテス』は『ネッソス』の言う通り、彼の『祖先』が『四英雄ヘラクレス』から譲り受けたという『伝説の強弓』を持っていまして、また部下の『マリス人』たちも皆『弓に優れた騎兵たち』だったっす。『奇襲』を受けても『ピロクテテス』は素早く『連射』して『三匹のケンタウロス兵』を射殺したっすが、敵の毒矢が一本自分の『胸当て』に刺さったっす。
『むぐ!? ………(矢じりが鎧で止まって肌に達していないな!)………は! 効かんぞモンスターども! そんな『へっぴり腰』の矢では『パピルス』だって貫通させられんだろうな! 『毒矢』などといえども肌に達しなければ何の意味も………』
っすが、そこで『ピロクテテス』は気づいたっす。なんと『矢じり』に塗られていた『ネッソスの毒血』がまるで『硫酸』のように『鎧』を『溶かし始めて』おり、すぐに自分の『肌』に達して『胸』に『燃え上がるような激痛』を生み出し始めたことを。
『ぐ………ぎゃあああああああああ!!!! な、なんだこの『毒』は!? これは本当に『毒』か!? ぐあああああああ!! あ、あつい! 焼ける! 胸が焼けてしまううううアアアアアアアア!!!!』と『ピロクテテス』
その『激痛』はとても言葉では表現できないものだったそうでして、『ピロクテテス』は痛みのあまり『狂乱状態』に陥り、『朦朧とした意識』の中で部下の兵士たちが『ケンタウロス兵』に見えてしまって、次々と『部下』を射殺し始めたっす。
『!? 王よ! おやめくだされ! どうか『正気』に戻って………ぎゃあ!(頭を射抜かれて即死)』とマリス兵α。
『あああああ!! 王が錯乱していらっしゃる! お前達止めろ! 王を縛り上げて弓を奪うん………ぐげ!?(喉を射抜かれて倒れる)』とマリス兵β。
『がああああああああああああああああああああああああ!!!! ぎゃあああああああああ!!!! 来るなあああああああああ!!(手当たり次第に乱射)』とピロクテテス』
『脱出しろ! 王をつれて脱出するんだ! 逃げろおおおおお!!』とマリス兵Δ。
『グオオオオオオオオオオオオオ!! 『戦士の至福』たる『追撃』の時間だあああああああああああ!!!!(狂喜)』と『ネッソス』
………以上の『場面』を『フィロメデュサ』やほかの『バッカイ』たちが『大げさな演技』で『クレオン先輩』の前で『上演』していたっす。なので先輩は『目をキラッキラ』させて、
「…………うおおおお!! なんかすげぇなそれ! それが『演劇』ってやつか!? 続きを見せてくれよ! 俺『演劇』なんて今まで一回も見たことねーんだよ!」とクレオン。
「はは、そこまで喜ばれると私たちも悪い気はしないですね~、いいですよ~♪ ではこの『悲劇』の名前を何と名付けましょうか………やっぱりそのまま『ピロクテテス』がいいでしょうね。では引き続き『英雄ピロクテテスの受難』をお楽しみくださいませ~」とフィロメデュサ。
この時皆は完全に『アタランテパイセン』のことを忘れていたっす。もし『クレオン先輩』が本気で目を輝かせていなかったら『バッカイ』たちも『即興劇』に興が乗らなかったでしょうから、立派な『陽動』かもしれませんね~。
それでは続きはまた今度、今回はこれでさよならっす~。




