第十九話:『鉱山奴隷反乱軍に何かあったらしいが………アタランテとクレオンは絶賛『山の大冒険』の真っ最中』
さてさて、前回まで『大魔王軍』の『どうでもいい話』が長々と続いてしまったので、ここは一旦『ラウレイオン鉱山』に視点を戻そうと思うっすよ。一応『振り返り』は必要っすかね?
(鉱山奴隷が『ラケス』を頭目として『反乱』に立ち上がろうとしてる、それと『奴隷反乱軍』が『北風のゼテス』を通じて『スキュレー』と『同盟』を結ぶことになったんだよな? あってるよなこれ? 俺って記憶力良くね?)とクレオン。
うぬぼれが強いっすよね先輩。いやはやそこが『ややこしい』ことでしてねクレオン先輩、『スキュレー』と『同盟』を結んだのはあくまで『ラケス』であって『鉱山奴隷反乱軍』じゃないんすよね。そこを間違えると今後の展開がちょっと『意味不明』になるんすよ。
(?? どういう意味だ?? だって『ラケス』は『スキュレーが反乱軍に手を貸す』って条件で『同盟』を受け入れたんじゃなかったのか??)とクレオン。
そう、『ラケス』がそう約束しただけで『他の奴隷全員』が約束してないってことっす。まあその話は『おいおい』するとして、やっぱり一応『主人公』なんで『クレオン先輩とアタランテパイセン』の『聖剣探し』から語っていきましょうか。やっぱり『誰を軸にするか』は明確にしないとわかりづらいと思うんで。
(一応で悪かったな一応で)とクレオン(むくれ)。
………そんな感じで相変わらず『パイセン&先輩』が『ラウレイオン鉱山』の中を『書店で買った地図』を頼りに『伝説の聖剣アイガイオン(アタランテ命名)』を探しながら『冒険』してたっす。
ちなみにこの時『二人+一匹(驢馬)』が歩いていたのは『右側が岩壁で左側が崖になってる細い道』っす。先頭をアタランテパイセンが歩き、その後ろに『驢馬』、そこから少し離れたところを『青い顔』をしたクレオン先輩がなんとか追いかけてたっすね。
「ぜぇ、ぜぇ、は、速ぇぞアタランテ………お………お願いだから置いてかないでください………(泣)」とクレオン。
「いつもの気概はどこに行ったのよあんたは(呆れ)。いくら日ごろの『食生活』が悪くて『体力』がないって言っても『敵』はそんなこと配慮してくれないわよ!? 『兵士』は時と場合によっては『疲れ切って一歩も動けない状態』でも『重装備』で『敵』と戦わないといけなくなる時だってあるんだから! ………っていつも『パパ』がいってるわよ(伝聞)」とアタランテ。
「偉そうに言って受け売りかよ! ………ぜぇ、ぜぇ………(ツッコミで消耗した)…………も、もうなんでもいいから………助けてくださいご主人様(アタランテに向かって)…………」とクレオン。
「『奴隷根性』出ちゃってるじゃないあんた………(同情)…………はぁ(溜息)…………じゃあちょっと休みましょうか。でもごはん食べたばっかりだし『水』も限られてるからあんまり飲んじゃだめよ。代わりに『亜麻の種』食べなさい」
そういわれて二人は『亜麻の種を粉にしたもの』を食べたっす。なんでか知らないっすけど『昔』から『旅人が喉が渇いた時は『亜麻の種の粉』を食べると『のどの渇きが癒える』』と言われてまして、『貴重な水』の消費量を抑えるために『冒険者』も愛用してるんすよ。ちょうど『江戸時代の旅人』が『水』の替わりに『梅の種』を口に含んで喉の渇きを誤魔化してたのと同じ感覚っす(『そっちは初耳なんだが』byクレオン)。
「…………なんで『亜麻の種』が『水替わり』になるんだろうな? やっぱ『油』が多いからか?」とクレオン。
「たぶん『よだれ』を出すのが目的なんじゃない? だから別に『亜麻の種』じゃなくてもいいのよきっと。ただ『亜麻の種』が手に入りやすいから使ってるってだけかもね」とアタランテ。
そしてその時やっぱり二人の上空を『ハルピュイア』が通過していき、『驢馬』が慌てて『パイセン』の懐に飛び込んで隠れたっす。下手に逃げるくらいなら『女英雄』の後ろに隠れた方がいいことがわかってる賢い『驢馬』っすね(『なんじゃそりゃ』byクレオン)。
そしてかたや『クレオン先輩』の方は『呆けた顔』で飛び去って行く『ハルピュイア』を目で追いかけながら、
「…………さっきからああやって何度も『ハルピュイア』どもが飛んでいくけどさ………もしあいつらが俺らに襲い掛かって来たらお前は勝てる自信あるか? 俺は言っとくけど『あて』にすんなよ?」
「最初から『あて』にしてないわよ(溜息)。まあ私も『やられっぱなし』にはならない自信位ならあるわよ? でも『ハルピュイア』とは一度も戦ってないから何とも言えないわね(こともなげに)」とアタランテ。
「もう完全にお前が『普通の農民の娘』じゃねーって自分で認めてるもんだろそれ。なんで『大魔王軍最精鋭部隊の兵士』相手にそんな自信があるんだよ(ツッコミ)」
「これはあくまで『精神論』の話よ。実際には戦ったことないから分かんないけど、戦う前から気持ちで負けてたら話にならないでしょうがってことよ(したり顔)」
「本当の凡人なら『大言壮語』だろうがお前の場合はそうは聞こえねーのが怖ろしい所だぜ………」
するとそこで『アタランテパイセン』が『ちょっと真面目な顔』になって、
「…………それにわたしたちにとっての『敵』はなにも『大魔王軍』だけじゃないわよ? 前にも言ったけど『山』の中は『猛獣』とか多いし、『地形』自体も『危険』多いし、なによりも『山』の中ってのは『不思議な出来事』がたくさん起こるのよ、つまり『大魔王軍』以外にも『怪物』がいるってことね。だからこそ『冒険』し甲斐があるってことでもあるんだけどね。クレオンも昔は『冒険者パーティー』に入ってた頃があったんでしょう? だったらその時の『感覚』を取り戻す必要があるんじゃないかしら? 私から見るとあんたはちょっと『危機意識』が低いように見え………」
その時だったっす。頭上の方から『ゴドン!』という『重い異様な音』がしてきまして、クレオン先輩が頭上を見上げると『大きな岩石』が『岩壁』を転げ落ちてくるのが見えたっす、
もちろん自分たちのところに向けて。
「…………へ?」とクレオン。
次の瞬間『パイセン』が跳躍した! 座っていた体勢から『パゥ!』と『3メートル』も飛び上がりながら『キリモミ回転』し、ちょうど自分たちのところに落ちてきた『岩石』に『蹴り』を放ったっす!
「…………ふん!」とアタランテ。
いや、これは正確には『蹴り』であなく『脚で横に押し出した』っす。『落石』を『砕く』と『細かい石の礫』が降り注いでくるので、『足の側面』で『岩石』を『横』に押すことで『落下地点』を逸らそうとしたんすよ。
でも『アタランテパイセンの脚力』がとんでもなかったために『落石の進行方向』が『直角九十度』曲がり、そのまま『横に飛んでいった』挙句『崖』の下へと去っていったっす。それを『見届けられるほど』の長い『滞空時間』をおえてやっと『パイセン』が『着地』したっすね。
その様を『口を大きく開けた状態』で眺めていたクレオン先輩にパイセンが『得意げに』笑って、
「………全く、だから言ったじゃない『地形も危険だ』って。そにしても、あんた今のに『反応できない』ようじゃ『山』の中に潜んでる『不思議』に『襲われた時』も何も出来なさそうね………でも私が守ってあげるから安心なさいクレオン!(ドヤ)」
「…………確かにお前の言う通り、山の中には『怪物』がいるらしいな、特に俺の目の前とか(白目)」とクレオン。
「…………それで? 助けてもらって言うことは??」とアタランテ。
「ありがとうございますアタランテお嬢様………(深々)」とクレオン。
そんな感じで『休息』した後また歩き出したわけっすが、『崖際の道』が『谷』に遮られて『森』の中に続いていたのでそのまま『二人+一匹』も『森の踏みしめられた獣道同然の道』に足を踏み入れたっす。
「なぁなぁ、こういう『獣道』って『サンダル』で入って大丈夫なのか? 『蛇』とか『ヒル』とか危ないんじゃね??」とクレオン。
先輩の言う通り二人の履物は『サンダル』っす。アタランテパイセンのやつは『牛の皮』で作られてるっすがクレオン先輩のは『ヤギの皮』っすね。
「でも『アテナイ人』は昔から『山』の中を『サンダル』か『裸足』で歩く『習慣』なんだから仕方ないじゃない、『ブーツ』を履くのは『兵士』だけよ。それに『毒』は何回も食らってたらそのうち『耐性』がつくから大丈夫よ、すぐに慣れるわ」とアタランテ。
「お前って考え方も『徹頭徹尾』常人離れしてるよな(呆れ)。もしかしてお前『足を何度も毒液に浸し続けると足に毒がしみ込んで蹴った相手に毒を注入できるようになる』とか信じてるタイプか?」とクレオン。
「『毒手』ならぬ『毒脚』ってやつ? いいじゃない、『フグ』は食べた生き物の毒で武装するそうだし案外名案じゃない? あんたも『毒』食べる? 『内臓』に『毒』を付与できるわよ」
「俺が食われる前提で話進めるのやめていただけませんかね??」
なんかレイアちゃんが聞いた話によりますと『フグ』って『毒』持ってても結局食べられちゃうらしいっすよ。だから『毒で身を守っている』わけではなくて『自分を食った相手を道連れにしてる』だけらしいっすよ(『え、そうなの??』byクレオン)。
まあそんな風に『大魔王軍』に負けないくらい『呑気』な『二人』というわけっすね。そしてその後もしばらく歩いてたんすが、『会話』が途切れたところで『クレオン先輩』がこんなことを尋ねたっす。
「…………その『山の不思議』ってやつは具体的にどんな『怪物』がいるんだ? この『ラウレイオン鉱山』には『山の主』的なやつとかいるのかよ??」
パイセンは偶然見つけた『高い所にある木の実』を見つけて『枝を投げたら撃ち落せないかしら?』と狙いを定めながら、
「う~ん? 『山の怪物』と言われて私が一番真っ先に思いつくのは『シュバリス』ね~、『聖なるパルナッソス山』に住んでたという『姿形のない人食い怪物』よ。まあでも『ラウレイオン鉱山』にそんな『怖ろしい魔物』は住んでないわね、ていうかいたら『銀山開発』なんてできないし………この山で特に注意しないといけないのは『口軽い木霊』くらいかしらね」
「『山彦』? あの『ナルキッソスに振られた可哀そうなニュンフェ(ニンフ)』か? どこが怖いんだ??」とクレオン。
『山彦の神話』についてはこの『頭つよつよレイアちゃん☆』が『教養』をご教授してあげるっすよ。『エーコー(エコー)』とはもともと『山に住んでた一人のニンフ』の名前で、『伝説』では『『家畜の守り神パーン』に見初められたが相手にしなかったので逆恨みされて『バラバラ』にされて殺されるも、『大地の神ガイア』に憐れまれて『声』だけ残され、以後『山』で『パン神』が『笛』を吹くとは『エーコーの声』が聞こえてくるのでパン神が怖がってその山に近づかなくなった』なんてちょっと『残忍な神話』が有名っすね。
(神が亡霊を怖がるなんてばかばかしいし、そもそも『あのパン神』がってのが輪をかけて信じられねーぜ俺はな。『パン神』自体が『悪霊』みてーなもんじゃんか)とクレオン。
『神』に対してあんまりそういうこと言うと祟られるっすよ(割と本気で心配)。そんで『クレオン先輩』が言っている『ナルキッソス』の話っすが、こっちも有名な話でして、『山のニンフ:エーコー』は『おしゃべり』が大好きすぎたせいで『ヘーラー女神』の怒りを買って『相手が話したことをくりかえすことしかできない呪い』をかけられたらしいっす。
その後『人間の美青年ナルキッソス』と出会って『エーコー』がひとめぼれするも、『ナルキッソスが話しかけてきたことをオウム返しするだけ』しかできないので『ナルキッソス』は怒って去ってしまったっす。このことがショックで『エーコー』は何も手がつく無くなって窶れ果てた末に最後は『声』だけ残ってしまったとか………死なないんすよ『不死なる神々』なんで。こっちはちょっと『悲恋譚』ってかんじっすね。ちなみにこの『ナルキッソス』はその後『復讐の女神』から報復されて無残な最期を遂げてるっす。『ニンフ』たちも『神々』に近い存在なので無碍に扱うとひどい目に遭うってことっすね。
(ナルキッソス側からしてみれば理不尽すぎだろ………いやでも相手が『女神』ってわかってたのなら『下僕』みてーにふるまわねーとダメなんだな。そういうの俺得意だぜ!?)
いや自慢しないでくださいよ反応に困るっしょ。あと先輩実際は『血の気多すぎ』て『下僕』みたいに振舞うの苦手っすよね??
(てへぺろ☆)
………とまあ、『木霊』に関する話はそういう『恋愛』に関する悲しい話が多いっすね。っすが『アタランテパイセン』はそこで『ちょっと怖い顔』になって、
「…………確かに『エコー』に関する『神話』ってそういう『悲恋もの』が多いけど、あんたに今から私が昔『ママ』から教わった話を教えてあげるわ。『マロネイア村』には『ラウレイオン鉱山』で木を伐ってそれを『街』で売って生計を立ててる『木こり』が何人も住んでるんだけど、彼ら彼女らの間では『山の掟』ってのがあるらしいのよ。『ラウレイオン鉱山で仕事する時に絶対に破ってはいけないルール』ってやつがね」
「『山の掟』?? あれか? 『山には女は入ってはいけない』とかああいうやつ?」とクレオン。
「『ラウレイオン鉱山』は別に『女』が入っても大丈夫だけど、その代わり『一人』で入っちゃいけないそうなのよ。『登山』したり『仕事』する際は必ず『4人以上の集団』で、と言うか『可能な限り沢山の人数』で入ることになってるんですって。だから『マロネイア村』に住んでる『木こり』は必ず『全員一緒』に入山して、一人も残ることなく下山するそうよ。そうじゃないと『木霊』に『いたずら』された時『対処』できないからって話らしいわ」
「『対処できない』ってなんだ? 『山彦と戦う』ってか? たかだか『人間の話す言葉をオウム返しするニンフ』ってだけだろ? ていうか本当は『ニンフ』ですらないらしいじゃん? 『哲学者』は『山肌を声が反響してるだけだ』って言ってるらしいけど………」
「『木霊』は『悪意』をもって入山者に『話しかけてくる』のよ。『一人で入山すると『エコー』が話しかけてきた時に身を守れないから複数人で入れ』って言われてるの。でも『複数人』で入ったとしても『安全』ってわけじゃなくて、『エコー』が『会話』に入ってくることがあるから『極力おしゃべりするな』って言われてるそうよ。油断するとたとえ『100人』で山に入っても『一網打尽』にされるそうね」
アタランテパイセンの話し方は『声に抑揚がなく淡々と話す』感じで、そこにさらに『ラウレイオン鉱山の山頂から冷たい風』が吹いてきたっす。なので『みすぼらしい羊毛の服一枚だけ』の薄着のクレオン先輩は『鳥肌の立った腕』を掻きながら、
「………なんだよ『ギャグ漫画みてーな戦闘力』してくるせに『雰囲気』だすじゃねーかアタランテ。でもお前が話してるのと俺が知ってる『山彦』のイメージが違いすぎて頭バグるんだが??」
「『詩人は客にウケるために適当なことを言う』って言うでしょ? まあ私の方がその『詩人の言葉』かもしれないけどね………さぁ行きましょう、あんまりゆっくりしてていいわけじゃないんだから」とアタランテ。
「…………つーか俺らがこうやって『会話』してて大丈夫なのか? その『エコー』が『会話』に入ってくるんじゃ??」
「私は『油断』してないから大丈夫よ」
「『普通の農家の娘』の言葉じゃねーってだから(ツッコミにも疲れてきた)」
その後二人は『山林』の中を『枝』を剣で切り払いながら進んだっす。『パイセン』は『地図』を『ひっくり返しまくり』ながら『たぶんこっちの方向であってるはずよね………?』としきりに自分の頭も回転させつつ歩いていた一方、クレオン先輩は『きちぃ~!』と『水』をがぶ飲みしてたっす。
するとパイセンがそれを見て、
「…………ちょっと! あんた『水』飲みすぎよ! なんのために『亜麻の種』を持ってきたと思ってんの! 節水しないよ節水!」
「いやだって『喉』が渇いてしょうがねーんだよ! それに『亜麻の種』は全部食っちまったってーの! 俺の身体は切実に『水』を求めてんだよ! あと『やわらかいベッド』と『肉と魚』と『酒』と『小麦』と『果物』とあとそれから『自由』とそれから『俺を全肯定してかつ養ってくれる超絶美女ご主人様』と………」とクレオン。
「あんたがいろいろ『飢えてる』のはわかってるから! でも『水』は節約しないとまずいのよ! これ以上『聖剣』を探せなくなっちゃうから! そんなに『水』が欲しいのなら『川』を見つけた時に好きなだけ飲みなさいよ………」
と、そこでクレオン先輩が『耳を澄ませている』のでパイセンが、
「…………何してんの? 『川のせせらぎ』でも聞こえないかと思ってるの?」
「いや、つーか今『蛙の鳴き声』がした気がしたんだよ。ほらお前にも聞こえねーか? 『ブレケケケックス・コアックス・コアックス』って………」
………ブレケケケックス! コアックス! コアックス!
「…………ほら! 聞こえただろ『蛙の声』がよ! 『蛙』がいるってことは『水場』がちかくにあるってこった! こんな山の中なら『川』以外にありえねー! こっちだアタランテ! こっちに『川』があるぜ!(走り出す)」とクレオン。
「ちょっとちょっと! すべての蛙が『水場』に生息してるわけじゃないし、そもそもこんな『茂み』の中で走ったら………」
クレオン先輩はさっきまでの『疲れ』もどこへやら、『水だ! 水だ!』と叫びながら『森』の中を走りだしたっす。もちろん『木の枝』や『蔓』に『蜘蛛の巣』なんかも邪魔だったので『剣』で薙ぎ払い、『地面から突き出している岩や木の根』を飛び越えたり蹴ったりし、どんどん大きくなる『蛙の声』が聞こえる『緑の茂み』に突撃して………、
………その向こう側にあった『崖』から『空中』に飛び出してしまったっす。
「…………はい??」とクレオン。
ああ哀れ! 真っ逆さま!
「…………ぅあああああああああああああああ!!!!(絶叫)」とクレオン。
先輩が『重力』に支配されて『高度』を落とし始めた時、『アタランテパイセン』はまだ『茂みの中』に居たっすが『声』だけでクレオン先輩の状態が察せられたっす。なのですぐに『斜め前方』にあった『大きな古い樹木』に向かって全力で走り、
「…………破ぁ!」とアタランテ。
ダン!
飛び上がってその『木の幹』の前方に飛び、『木の幹』を蹴ってから『斜め下方向』に向かって『飛んだ』っす! そのまま『ロケット』のように『緑の茂み』を突き破って『崖』に飛び来み、今や『崖際』に手が届かない位置にまで落ちていたクレオン先輩を『拾って』から、そのまま『反対側の崖壁』──つまりクレオン先輩が落ちたのは『谷』っす──に『着地』したっす。
「うおおおおおおおお!!!!!????」とクレオン。
もちろんパイセ………『アタランテ先輩』が『着地』したのは『地面に垂直な岩の壁』っす。なのですぐにその『崖』を『蹴って』飛び上がり、今度はもともといた側の『岩壁』に『着地』し、また飛んで『反対側の岸壁』に着地し、また飛んで………と『谷を三角飛び』してなんとかもともといた『森』の目の前まで戻ってきたっすね。
「はぁ、はぁ…………大丈夫クレオン!? 怪我してない!? さすがに今回は私も『加減』できなかったから、酔ったりしてない!?」とアタランテ。
肩で息をしながら座り込む『パイセン』が横で大の字にになって寝ころんでいるクレオン先輩を心配すると、
「…………『酔う』とかそういうの以前の問題で………俺は一体何が起こったのかマジで理解できてないけど………でもとりあえず、助けてくれてありがとうなアタランテ………」
人間は『理解不可能な状況』に置かれると『腑抜け』になるもんっすが、それでも『感謝』できるクレオン先輩は『出来た人間』っすよ、私が保障するっすよ(『どんな誉め方だよ』byクレオン)。
その後しばらく『休息』してからまた『森』の中を歩き始めながらアタランテパイセンが言ったっす。
「…………たぶんさっきのが『木霊』よ………『エーコー』が『蛙の鳴き声』を真似たんだわ………それであんたを『崖』に誘い込んで落そうとしたのよ………」
クレオン先輩はそこで『山彦』の姿を探して『キョロキョロ』しながら、
「いや、あれは普通にマジの『蛙』だったんじゃね? ただ『水場に居ないタイプ』だってだけで………俺がそれを早とちりしただけじゃ………」
「いいえ、あれは絶対『木霊』よ………『ママ』から聞いた話とそっくりだもの。私たちの『会話』に『木霊』が入ってきたのよ。気を引き締めなさいクレオン、またいつ『木霊』が『話しかけてくる』かわからないわ………」
「…………そ、そうなのか………ま、まあ『地元民』のお前が言うのならそうなのかもな………」
しばらく『クレオン先輩』は『木霊』の姿を探してたっすけど、『それっぽい影』は全部『枯れ尾花』だったっす。
それからどれくらいの時間がたったっすかね? 『クレオン先輩』は完全に『無言』になってしまったので『アタランテパイセン』も最低限しか話さなくなり、『驢馬』の鼻息が響く中そろそろ『夕暮れ時』になろうとしたときだったそうっすが、突然『森』に中に『多人数の叫び声』のような音が聞こえてきたっす。
イエーイ! エエーイ!
「…………うわ!? なんだ!? また『木霊』ヵ!よ?(ビクッ!)」とクレオン。
「怖がりすぎて『語尾』がおかしくなってるわよ(良心)。ビビらないの! 『木霊』は『恐怖』を利用するのが得意らしいんだから」とアタランテ。
「ちょ、お、おれはビビッてねぇ! でも『木霊』じゃないってなんでわかんだよ!?」
「『話しかけてきてる』わけじゃないからよ。そういうのは『文脈』で判断するわけ………ちょっと頭低くして、私についてきて」
なので『アタランテパイセン』が『槍』を構えて『茂み』に体を隠しながら進み始め、クレオン先輩が嫌がるロバを引っ張ろうとして力負けし、結局パイセンがロバを宥めながら『声』の方向に向かったっす。
すると『二人と一匹』が『森の向こう側』で見たのは………『大学生の飲み会』だったっす。
「ウエーイ! 『王様』の命令は絶対! 『フィロメデューサ』は『ワイン』一気しろ!」
「「「ウェハハハ! ほらイッキ! イッキ! イッキ!」」」
この『飲み会』は『森』の中に『敷物』を敷いて行われてまして、『数十人』のメンツが『葡萄の蔦で作った冠』を被りながら『ワイン』を浴びるように飲みつつ『王様ゲーム』をしていたっす。
「…………なんだ?? なんでこんなところで『シュンポシオン(宴)』してんだ??」とクレオン。
「わたしたちが言えた義理じゃないけど今戦争中よね??」とアタランテ。
「マジで言えた義理じゃねーよなそれ」
あ、ちなみに『大学生』と私が表現してるっすが、その『意味』は『アテナイ』の『アカデメイア』に集まってる『哲学者』たちと同じ『粗末な羊毛の肌着を一枚着てるだけ』って意味っす。山の上でその格好は寒いっすよね(『俺も似たような恰好してるけどな』byクレオン)。
そしてこの『大学生』たちは全員が『王様ゲーム』をしてるわけではなく、また別のところでは同じ『粗末な肌着一枚で葡萄の枝冠をつけた若者二人』が『殴り合い』をしてたっす。周囲を『観客』が囲んでいて、つまり『ファイトクラブ』っすね。
「おらぁ死ねヤァ!(相手の顔を殴る)」と対戦者α。
「ぐげぇ!(よろける)……てめぇが死ねやああ!!(反撃)」と対戦者β。
「「「うおおおお!! ぶっ殺せぇえええ!! 金賭けてんだからさっさとやれえええええ!!』』」と観客たち。
「うお、『パンクラチオン(武器使用以外は何でもありの全力格闘)』の試合か? あれが『大学生』か~、実は俺『大学生』初めて見たんだよな。あんなやつらなんだな(感心)」とクレオン。
「なにその『珍獣』を見たような反応。ていうか全然『大学生』じゃないわよあんなに血の気は多くないから(呆れ)」とアタランテ。
そこで『パイセン』は『一体何者なのこいつらは』と首をひねり始めたっす。するとその『ファイトクラブ』の近くではさらに別のメンツは集まって『歌いながらダンス』してたっす。その歌の内容は以下の通りっすね。
『聖山トモロス』を後にして、『アジア』の国から私たちは疾駆し続ける、
『エウ・ハイ!』の叫び声を『バッキオス(バッコス)』に捧げつつ。
『獣のごとく唸る者』のために幸せな苦痛を、疲れを知らない甘美な賦役。
往来に誰かいるか? 野原に誰かいるか? 家の中に誰かいるか?
道を空けよ! ことごとく口をつぐんで神を恐れよ!
これから始まるのは『ディオニューソス』の、いつの世にも習わしとなる賛歌であるぞ!
この歌を聞いて『クレオン先輩』は『なんか歌だけ異様に堅苦しくねーか?』と不思議がっていたわけっすが、一方『アタランテパイセン』の方は『真顔』になって、
「…………クレオン、今すぐ逃げるわよ。絶対『あの人たち』に見つかったらダメ。このままこっそりバレずに………」
もちろん先輩は『知らない』ので困惑し、
「……え? なんでだ? ただ飲んで騒いでるだけの『大学生』ってだけなんじゃ………」とクレオン。
「いいから静かに! このままこっそり離れれば………」
その時だったっす、『クレオン先輩』は一言もしゃべってないのに突然『クレオン先輩』の『大声』が『すぐ近く』から聞こえてきたっす。
「うわ! なんだ『木霊』かよ!? ちょ、お、俺はビビッてねぇ! でもなんで『木霊』じゃねーってわかったんだよ!!」
この『声』がまた『相当な声量』かつ、あたりに『響き渡った』ので『大学生』たち全員がクレオン先輩とアタランテパイセンに気づいてしまったっす。
「? そこに誰かいるんですか!? いるんなら出てきてくださいよ! 『シュンポシオン』は『出来る限り多くの人たち』と『分かち合う』ことが『バッコス(ディオニュソス)』の御心に適うことですよ! どうかこっちに来て一緒に飲みませんかお客人! それに『ディオニュソス神』は『酒杯』を受け取らない人をことのほか『お憎み』になられる、祭り好きの恐ろしい神ですよ! さぁ、どうぞこっちに来てくださいな!」
そういわれると『アタランテパイセン』と『クレオン先輩』は『あはは、どうも~』と茂みから出てきて『宴』に参加しないわけにはいかなかったっす。『クレオン先輩』の方はそれでも『何が起こったのか』まだ理解できていなかったっすが、一方『アタランテパイセン』は内心『激怒』していて、
(え、『木霊』のやつよくもやってくれたわね………!! 『声だけの存在』らしいけど絶対『生き残って』からあんたを『100万発』蹴ってやるから覚悟してなさいよ!!!)
心の中でそう『吠える』と、『大学生』達の笑い声が『山彦』になってあたりに響き渡っていたっす。
あ、ちなみにすっが言い忘れてたんすけど『大学生』は全員『女』で、この場にいる『男』は『クレオン先輩』ただ一人だけっすよ。『ハーレム』とは羨ましいっすね先輩~(白目)。
………そんな感じでお二人の『聖剣探しの冒険』は次回に続くっす、それでは今回はこれで『サイナラ』っす~♪




