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仮題:奴隷皇子の大出世  作者: 富田大志
序章:家内奴隷クレオン→逃亡奴隷クレオン→鉱山奴隷クレオン
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第十八話『大魔王テュポーンの『最大の悩み』と『タルタロスで不死になり永劫の責め苦を受けるシーシュポス』』

 さてさて、今回は『ティタネスに関する神話』の『続き』を『サクッと』語っていきまっすか。前回『ウラノスからクロノスへ』、そして『クロノスからゼウス』へと『世界の支配権』が移ったこと。そして『ゼウス』が『クロノス』を『ティターノマキアー(ティタネス戦争)』で打ち破ったことも説明したっすね?



(したな。そんで今回はその続きからってか)とクレオン。



 その通りっす。前回の『終わり方』だとまるで『大団円』って感じに見えなくもないっすが、実は全くそんなことはなかったのがこの『神話』の『ミソ』っすね。まず『ゼウス』が『オリュンポス12神』を定めたことについてっすが、実は『ヘシオドス』が歌う『テオゴニア』の中では『ゼウス軍は『ティターン神族』相手に滅茶苦茶苦戦したが、『ヘカトンケイレス』の『助勢』のおかげで勝てた』ことが語られてるっす。『ブリアレーオス』が率いる『ヘカトンケイル』達は『100本の腕』で『100個の山』を投げつけることができ、その『連射』に『ティタネス』たちはたまらず怯んでしまい、その隙を『ゼウス』がついて『ケラウノス』で打ち破ったらしいっすね。



(『落雷ケラウノス』??)とクレオン。



 ああ、『ゼウス』の武器は『ケラウノス』なんすよ、『ヘシオドス』の話だと『雷で宇宙を溶鉱炉の鉄みたいに熔かすことができる』って言われてるっす(『どんな威力だよ、ぜってー雷じゃねーだろそれ』byクレオン)。


 なので本来なら『大活躍』した『ヘカトンケイル』たちも『オリュンポス12神』に数えられてもいいはずなんすが、『ゼウス』は『ヘカトンケイル』の中から『12神』の一員を選ばなかったんすよね。



(そりゃあちょっと『不義理』なんじゃねーか? だってそいつらのおかげで勝てたんだろ?)とクレオン。



 実は『ゼウス』は『ヘカトンケイレス』たちに『ティタネスの監視』を任せたかったからだそうっす。彼らを『タルタロス』の入り口にある『門』の前に配置して『クロノス』たちが出てこないようにしたかったんすね。


 っすがそうやって『ヘカトンケイル』たちが『地下世界』にずっと留まらなければならないことになるというのは彼らの『母神メーテル』である『ガイア』にとってはどうしても受け入れられないことだったそうっす。だってそれじゃあかつて『夫神ウラノス』が『ヘカトンケイル』たちを『タルタロス』に落としたのと何ら変わりはないじゃないかということっすね………なので『ガイア』は今度は自分の『孫』である『ゼウス』を恨み『復讐戦』を始めたというわけっすね。



(………『ガイア』滅茶苦茶やばい女神では?? じつは『破壊と終焉を司る女神』とかなんじゃね??)とクレオン。



 先輩の言うことはめちゃくちゃ共感できるっすけどあくまで『大地の女神』かつ『大地そのもの』っす(汗)。この『ガイアとゼウスの考え方の違い』が『爆発』するのが次の『ギガントマキアー』っすよ。



『9:『ティターノマキアー』の『戦後処理』に『不満』を抱いた『ガイア』は今度は『ゼウス』を打ち倒すべく、自分の子供たちである『巨人族ギガース』たちに命じて『オリュンポス12神』と戦わせた。これが『ギガントマキアー』と呼ばれる戦争マコンで、『ギガンテス(ギガース)』達を率いたのは『アルキュオネウス』や『ティテュオス』、『エンケラドス』など『12柱の巨神たち』である。そして『ゼウス』は事前に『祖父ウラノス』から『人間の力を借りなければ勝てない』と『予言』されていたので、すぐに『ミュケーナイ王家の姫アルクメネー』との間に『英雄ヘラクレス』を設けて参戦させ、『ヘラクレス』の大活躍によって『ギガントマキアー』にも勝利した』




(…………うん?? なんかいきなり『ミュケーナイ』が登場してるぞ?? しかも『ヘラクレス』だぁ? なんで『四英雄』の一人が出てくるんだ??? つーことは『ギガントマキアー』って今から『1000年前』の出来事ってことか?? しかも『テュポーン』はまだ出てきてねーってことは、『大魔王』は『四英雄』より年下????)とクレオン。




『神話』なんで先輩、深く考える必要はないっすよ(『またそれかよ。都合よすぎだろ!』byクレオン)。この『功績』で『英雄ヘラクレス』は『死後天に昇って神になった』とされてまして、しかも『ゼウス』は彼を『オリュンポス12神』に加えたりと、『滅茶苦茶厚遇』したりしてるっす(『他の『四英雄』は??』byクレオン)。まあ『当時』は『ヘラクレスが人間で一番かわいい息子』って言ってたらしいので露骨な『ひいき』というわけっすね。



(今一番かわいいのは『サルペドーン』なんだろ? まあ『不死の神』だから当たり前だろうけど、その時代時代で変わるんだな~)とクレオン。



 感覚的には人間が『飼い犬や飼い猫』に抱く『愛情』に近いかもしれないっすね(知らないっすが)。


 っすが一方で『オデュッセウス』の話によりますと、彼が『降霊術』を使って生きたまま『冥界』に降りた時に『冥界』で『死者の魂』を『狩猟』していた『ヘラクレス』を目撃してるらしいっすね。飛び回る『活力なき亡者』たちを『弓矢』を構え怖ろしい形相で追いかけまわしていたとか………まあ『策士オデュッセウス』の方も『話半分』でいいっすよ。『モンスター貴族』達が言う通り彼は『稀代の詐欺師』っすからね(誉めてる)。



(…………『ネタバレ』かもしれねーがその『冥界のヘラクレス』は俺に『滅茶苦茶関係ある』んだよこれが………まあここではそれ以上は言えねーがな)とクレオン。



 まあ『ヘラクレス』の話はこれくらいにして。まだまだ『神話』は続くっす。と言ってももう『最終場面』っすけどね。



『10:『ギガントマキアー』における『ゼウス』の勝利にもやはり『ガイア』は不満だった。また『一説』では『勝つため』とは『ゼウス』が公然と『人間の女』と『浮気』したあげく、その女との間に生まれた息子にも『愛情を注ぐ姿』に『正妻』であった『女神ヘーラー』が『嫉妬と怒り』を爆発させたともされた。『ヘーラー』は『ヘラクレス』が産まれるとすぐに殺そうとするが失敗し、それどころか赤ん坊だったヘラクレスに騙されたとはいえ『自分の母乳』を与えてしまったこともあって怒り狂い、『12の試練』を与えたともされる。


 だが『人間アンドロスの身』でありながら『試練』に耐えた『ヘラクレス』の姿に『ヘーラー』も最終的には許すことにし、『ヘラクレス』が『テオス』になると自分の娘である『青春を司るヘーベー女神』を与えて『和解』したとされる。だがその後も『浮気』を重ね続ける『ゼウス』に対する『怒り』は消えるどころか大きくなり続けたそうだ。


 どっちにしてもこういった『女神たち』のつもりに積もった『憤懣』がついに『最大最強のティタネス』を産むことになる。『ガイア』が『卵』を産んでから自分の手で育てたとも、あるいは『ヘーラー女神』が『男神』とも『人間の男』とも交わらずに単身で『卵』を産んだとも、あるいは『ガイア』が『ティタネス』の一員であった『古龍ピュトン』に『卵』をあたためさせたともされるが、その『恐るべき卵』から産まれたのが『最後のティタン神族:テュポーン』である。『テュポーン』は『空を覆いつくすほどの超巨大なドラゴン』で『宇宙を融解させるほどの炎熱』をその身に宿し、その実力は『ゼウス』に肩を並べるほどであったという。


 その『凄まじい力』に『オリュンポス12神』は最初恐れおののいて『アイギュプトス』に『逃亡』し『動物』に変身して隠れた。『ゼウス』は『牡牛』の姿になって『アイギュプトス人』から『アンモン』とよばれるようになり、『アポロン』は『カラス』になって『ラー』と呼ばれ、『ディオニュソス』は『ヤギ』になり『クヌム』と(あるいは『犬』となり『オシリス』になったとも)、『アルテミス』は『猫』になり『バステト』と呼ばれ、『ヘーラー』は『牝牛』となって『ハトホル』、『アプロディーテ』は『魚』に変じて『イシス』となり(または『デメーテル』が『イシス』になったとも)、『ヘルメス』は『鳥』となって『トート』となったという。


 だが一方で『女神アテナ』と『男神ヘパイストス』は『テュポーン』に対抗するための『武器』の作成を試み、見事『雷霆ケラウノス』を生み出すことに成功するのである。この武器が『ゼウス』に贈られると『オリュンポス12神』は立ち上がって『テュポーン』に戦いを挑み、『ゼウス』の『雷霆ケラウノス』と『テュポーン』が吐く『炎熱ピューロス』で『宇宙コズモス』がまるで『溶鉱炉』で溶かされた『鉄』のように『ドロドロ』になるほどだった。だが最後は『ゼウス』が勝利して『テュポーン』は『シケリア地方』にある『アイトネ(エトナ)山』の下に『永久に封印』されるのである。『テュポーン』がなんとか『封印』から脱しようともがくたびに『アイトネ山』は『噴火』するが、そのたびに『ゼウス』は『雷霆ケラウノス』で『アイトネ山』を『鞭打ち』し、苦しむ『テュポーン』が『叫び声』をあげて地面が揺れる………これによってすべての『ティタネス』たちは打ち負かされ、『ガイア』もついに『孫神ゼウス』と『和解』するのであった』




(なんでここで『落雷ケラウノス』が作られてんだよ矛盾だろ………って『ツッコミ』はなしか?)とクレオン。


 別にしてもいいっすよ、『神話』はあくまで『神話』なんで(国士無双)。


(本当にそれ『無敵』すぎだろ)とクレオン。





 ………というのが『ヘシオドス』の歌う『テオゴニア』……の内容にプラスして他の『詩人』達が歌う『神話』をミックスしてさらに『レイアちゃん』がわかりやすいように『編集』を加えた『宇宙の創造』から『テュポーンが敗北することによってティタネスが全滅』するところまでの『宇宙創成神話』っす。


 以後『オリュンポス12神』と『ゼウスの王権』を脅かす存在はいなくなった………はずなんすが『大魔王テュポーン』がなんでか『アイトネ山』に『封印』されておらず元気に『人間』達を『奴隷』にしてるのでおかしいっすね~?? という感じが今私たちがおかれてる状況というわけっすね。



(まあ『神話』だし『詩人』ってのはいつも『聞き手を楽しませるため』に『適当なことを言う』からな………ってよく『母ちゃん』が言ってたぜ(今思い出した))とクレオン。



 ちなみに以前『モンスター貴族』達の会話でさらっと触れられていた『テュポーンが最期火山の下に封印されるという予言』もこの『テオゴニア』のことを指してるっす。つまり『モンスター』たちにとっては『不吉な予言』というわけっすが、『ヘシオドス』本人は『あくまで自分は『ヘリコン山のムーサ』たちから教えられたことを歌ってるだけ』という立場っすね。


 また『テオゴニア』の最後で『ガイアがゼウスと和解した』となってますが、なぜここにきて『和解』したのかというと、『ゼウスとテュポーンの戦いに自分も巻き込まれて体が溶けたから『もう巻き込まれたくない』と思ったから』とか。『テュポーン』に腕力で勝った『ゼウス』を倒すためには『もっと強いティタネス』を産むしかないんすが、それを産むと今度は自分ももっと痛い眼に遭うことになるからそれが嫌だったと………『不死の神々』といえども『苦痛』は感じるっすからね。だから『妥協』したって感じらしいっすよ。




(なんだよそのオチ………まあでも『宇宙が溶ける』ほどの戦いに巻き込まれても『痛い思いをした』程度で済んでるのはさすが『世界を想像した神の片割れ』か………(謎の感心)………でも『自分の敗北を予言する歌』が歌われてるのに『大魔王テュポーン』はそれを禁止したりはしてないんだな)とクレオン。




 そこが『テュポーン』というか『パイア』というか、連中の『策略』ってやつっす。『自分たちがティタネスである』と人間たちの『恐怖』を煽るために利用してるんすよ。前に言いましたが、『テュポーン』が実際のところ『何者なのか』は奴より『長生き』してる種族がいないですし、『大昔過ぎて』大魔王に関する『記録』も何も残ってないっす。っすからこの『テオゴニア』の内容だってはなから疑ってかかるべきっすね(何度も同じこと言うっす、大事なんで)。


 あ、ちなみにっすが、『ティタン神族』は『全滅した』と言いましたが全員が全員『タルタロス』に幽閉されてるわけでもなく──もちろん『テュポーン』を除いての話っスが──例えば『ヘスペリデスの園』で『ウラノス』が『ガイア』の上に落ちてこないように肩で支えている『アトラス』とか、『星座』になって『狩人』を保護してくれる『オリオン』とか、あと『ヘカトンケイル』とか『カベイロイ族』とか『地上』や『天空』にもたくさんいるっす。まあこれも『余談』っすけどね。




 さてさて、これだけ語れば『大魔王軍』の『会話』もおおよそ分ったでしょう? それでは前回の続きっすよ、『大魔王軍』の話をあんまり長く話したくはないのでさっさと終わらせたいっすレイアちゃんはね。



『大魔王テュポーン』は自分の『嫡出子(跡取りの子供)』である『ケルベロス王子』と『スキュレー王女』が『握手』したのを見てとりあえず満足したあと、『スキュレー』が主催した──実際の準備は『コリントス王シーシュポス』が済ませた──『歓迎の宴(シュンポシオン)』が開かれたっす。


 ただ『会場』は『タルテュビオスの屋敷』の中()()()()、屋敷の背後にある『崖』のすぐそばだったっす。そこに『敷物』をひいて『天幕テント』を張り、敷物の上に『アンブロシアーとネクタール』が並べられていたっす。


 なぜこんな『野外』で『宴』が開かれたかと言うと理由は簡単、『シーシュポス』が『十八番の宴会芸』をお披露目するためだったっすね。


「ほら! いつものお前の『芸』で『テュポーン様』を楽しませろ『奴隷』! ほーら『岩』が落ちてくるぞ~!? 受け止めないと潰されるぞ~!」と『ポダルゲ』


『アンブロシアー』を食べる『テュポーン』やその部下たちの前では『上半身裸』になって『崖』の近くに立っている『シーシュポス』がいまして、その彼はこの時『崖』を『転がり落ちてくる岩』を必死に『上』へと『押し返して』いたっす。



「う、うぐぐぐ………お、重い………か、勘弁してください………!」とシーシュポス。



 でも『岩』が重いので彼の『骨』は軋み『筋肉』も悲鳴を上げ全身『土埃と汗』まみれだったっす。それでなんとか『岩』を『上』へと押し返すんすが、『岩』はまた『崖』を転がり落ちてくるのでまた押し返し………という『苦行』を延々続けさせられていたっすね。


 その様を見ながら『ポダルゲ』と『クラタイイス』が『爆笑』して、


「ははははは! 『タルタロス』もかくやと思うくらいの『苦しみ』であろう!? いいか『奴隷』!? お前は『シュンポシオン(宴)』が終わるまでずっとそうしているのだ! お前がそうやって『必死に苦痛に耐えている様』を眺めながら味わう『アンブロシアー』のなんという『甘さ』であろうか! やはり『他人』が苦しむ姿を高い所から眺めつつ摂る食事に優るものはあるまい!』とクラタイイス。


『みろあの『不細工な顔』を! かつては『半神ヘーロース』と呼ばれ『死神タナトス』すら騙して見せた『策士』が! 我ら相手に『謀り事』を企んで翻弄してみせた『策略家』が今やこの『ざま』だ! これほど面白い見世物はないな! 全く何度見たって全然飽きないぞ! ハハハハハ!!』とポダルゲ。


「うぅ………ぐす、うぐぅ………(泣)」とシーシュポス。


「「おいおい泣いてるぞあいつ! まだ『全身の水分』が『汗』になっていないようだ! もっと重い『岩』を用意してやろうか! ハハハハハ!!」」とポダルゲ&クラタイイス。



『元』はとはいえ『コリントスの国の王様』に対してあまりにあまりな仕打ちっすが、『シーシュポス』はかつては『アカイア帝国』で『元老(皇帝の相談役)』を務め、また『大魔王軍』相手にも『策略』を駆使していたという、『機略縦横のオデュッセウス』と肩を並べていた『策士』っす。ちなみに年齢の方は『シーシュポス』が『オデュッセウスの父親ラエルテース』と『大体同じくらいの年齢』っす。そんな『いい歳したおじさん』が思わず『泣いてしまう』くらいの苦行と言うことでして……『大魔王』に『奴隷』にされるとこんな扱いを受けるという良い見本ってやつっすね。



『………母ちゃんは『人間諸国オイクネメ』に売り飛ばされてひでー目にあったけど、『大魔王』のもとでこき使われてる『アカイアの男たち』も悲惨だな………(同情)』とクレオン。



 多くの『モンスター貴族』達は『シーシュポスの命がけの宴会芸』に『大喜び』してたわけっすが、一方『悪霊シビュラ(シビル)』はそんな『シーシュポス』に『冷ややかな目』を向けつつ『通訳』として『ケルベロス王子』のそばに居たっす。


 そして『大魔王テュポーン』は『アンブロシアー』を食べ終わった後『ネクタール』の注がれた盃を傾けながら言ったっす。



「…………スキュレーよ、実はこうやって私が『メガラ』までやってきたのは単に『前線の視察』のためだけではない。実はずっと前からお前に言おうと思っていたことなのだが………娘よ、お前は『結婚』というものに興味はないか?」とテュポーン。



 この時『スキュレー』は『大魔王テュポーン』の『右隣』に座り、方や『ケルベロス王子』は『左隣』だったっす。この位置取りに『悪霊シビル』は『なぜ王子殿下が右じゃないんだ!』と不満だったそうっすが表には出してなかったっすね。



 そして問われた『スキュレー』は『ネクタール』を置いてから、


「父上の『ご命令』を認識、『血痕』はもちろん私も興味があります。戦場では飽くことなく求めているものですので(平静)」


「『血痕ハイマ』じゃなくて『結婚ガメイラ』のことだ(ツッコミ)。お前も『素敵なお嫁さん』になりたいとかそういう『夢』はないのか?」


「『大脳皮質』より『母上の音声データ』を再現、『戦士たるもの、敵のつわものを殺してその妻の袖を涙でぬれさせながら奴隷に堕とすことに無上の喜びをえよ』、そのご命令の『更新』でしょうか?」


「なんという教育をしとるんだ『エキドナ(あいつ)』は(呆れ)。いや、『将軍』としては正しいのだそれで、『戦士』である限りはお前の考え方は『理想的』なのだ………」


 テュポーンの言葉を聞いていた『悪霊シビル』は『いや、姫様をそう教育したのはあなた様もじゃないですか』と思ったが言わなかったっす。テュポーンは続けて、


「…………だがお前は『私の娘』であることも忘れてもらっては困る。実はそろそろお前に『結婚相手』を用意しようと思っているのだよ我が娘よ。お前も知っての通り私は『人間諸国オイクネメ』の中に『同盟国』を得たいと思っていてな。それで『政略結婚』を考えているのだよ………だがお前も知っての通り、私の『子供たち』のなかで『人間との結婚』がちゃんとできそうなやつが存外少なくてな………」


 そこで『テュポーン』がちらっと『ケルベロス』を見ると、


「ワン」とケルベロス。


「………そう、例えばケルベロスは『ワン』しか言わんからまず『会話』ができないし………ケルベロスよ、おまえにも一応聞いておくが『人間の妻』を迎えたいと思うか? もちろん『奴隷』にしてはいかんのだぞ? 一応『同盟国の姫』なのだから『丁重』に扱わないといかんのだが………」とテュポーン。


「ワン」


「大魔王様、ケルベロス王子は『自分は冥界に落ちた人間の魂を貪り食うのが趣味なのでたぶん無理です』とのことです(『最悪すぎる趣味だろ』byクレオン)』シビル。


「まあ別に最悪『死ぬまでの間』だけ『妻』として扱うのなら『死んだ後』は何しても構わんのだが………(『そんなんで結婚する女がどこに居んだよ!』byクレオン)………ていうか『シビル』も一応『人間』だよな? なんでお前は『ケルベロス』と会話できるんだ?」とテュポーン。


「なにをおっしゃられますか『大魔王』様、私は『ポイボス・アポローン』から特別な力を授かっているんですよ? ケルベロス王子の御言葉くらいわかりますよそりゃあ(ドヤ)」とシビル。


「いや『ワン』の一言にあんなに『長いセリフ』が圧縮されてるわけないだろ絶対(呆れ)。まあ『ケルベロス』は最初から『政略結婚』させようとは思っていなかったからいいのだ。お前は私の『側近護衛官ソマトピュラケス』として常に傍にいてもらわんといけないからな………」



 それから『テュポーン』は『反応の鈍いスキュレー』に向き直って、


「………してスキュレーよ、もっと『単刀直入』に言おうか。お前は『人間諸国オイクネメ』から『夫』を迎える気はあるか? そして『人間の男』と『結婚』したら『よい家庭』を築ける自信があるか? いくら我らは『人間の敵対者』といえども『同盟者』に対しては『親切』かつ『愛』をもって接しなければならなんのだよ、『全ての人間』たちを『奴隷』にするその日まではな。………あるいはもっと『若い娘』に適した言い方をしても良いな、『どんな男が好み』なんだ?」とテュポーン。



 問われたスキュレーが少し考えてから、


「…………父上のご命令を認識、『該当データ』を検索中………検索完了。私の『好みの漢』は『どんな強敵を前にしても決して戦友を置いて逃げない者』です。『不死』である必要もなければ『怪力』も求めません、ただ『戦友』を守るために自分の命を喜んで捨てることができる男が『真に私が求める者』ですね」


「それは『自分の部下に欲しい男』だろ(ツッコミ)。そうではなくて『恋愛対象になる男』のことを聞いとるんだ。いや、最悪別に『夫を愛せ』とは言わん、ただ『夫婦として仲良く過ごす』くらいはしてもらわないと困るのだ。『結婚』によって作られる『同盟』というものは『当事者夫婦』の『関係性次第』で簡単に『破綻』してしまう『もろいもの』だからな………お前はどういうタイプの『人間の男』となら『良好な関係』を築けると思うのだ?」とテュポーン。


「ご命令の認識に失敗、『サーバーエラー』です。時間をおいて再試行してください」


「なんの『サーバー』を検索してるんだお前は(呆れ)。あと前から気になってんだがお前はなんで私や『エキドナ』の前だとそんな『変な喋り方』をするんだ?? 他の者達のまえでは『普通』なのだが『両親』に対してだけはなぜ『メカ口調』になる??」



 すると『スキュレー』は改めて居住まいを正してから遠くを見たっす。


 この『魔族の姫君』の『幼いころ』の出来事で『最も強烈に脳裏に焼き付いていること』は、『人間諸国』で『偉大な英雄』の一人であった『ラピタ族の王ペイリトオス』との戦いに自ら出陣しようとする『父テュポーン』の背中だったそうっす。


 この時『テュポーン』は『巨大なドラコーン』の姿になっていて、『格好いいわねぇお父様は』と言う『母エキドナ』胸に抱えられながら呆然と見上げていた『スキュレー』に対して『父』がかけた言葉もまた忘れられなかったとか。



『………我が愛しいスキュレーよ、生まれつき『からだの弱い』お前は『兄や姉』たちよりももっとたくさん『努力』しなければならない。ゆえにただひたすら『戦争を遂行する機械』となれ。決して人間どもに情けをかけず無慈悲な『戦闘マシーン』となればお前はきっとこの『父』のように『大きくて強く』なれるぞ? お前はその『父』と同じ『神の血(イーコール)』が流れているのだから『努力』すればきっとなれるはずだ………』と『龍神テュポーン』




『大きくて格好いいドラゴンである父』と『同じ血』が自分に流れていることを其時初めて理解した時の『興奮』を『想起(思い出し)』ながらスキュレーは、


「………『アーカイブ』より当該データを抽出、『父上』は御自ら幼い私に『戦争を遂行する機械メーカナイとなれ、『戦闘マシーン』としてすべての人間どもを無慈悲に奴隷にせよ』とお命じになられました。私はその『ご命令』が今日でも『有効』であると認識しております。新しく『上書き』いたしますか?」


 言われたテュポーンがその場でずっこけて、



「いや、確かにお前には『戦争マシーンとなって人間どもを恐怖のどん底に叩き込め』と言ったけどな! 確かに言ったけど『メカ口調』で話せって意味じゃないからな! 『メカ口調』で話さなくていいから父の『質問』に答えてくれ我が娘よ! お前は『人間諸国との政略結婚』に応じてくれる気はあるのか!?」とテュポーン。


「父上、私はどうも『敬語』が苦手なのです。それでも『父上と母上』に『最大級の敬意』を表したいのです私は」とスキュレー。


「『敬語』喋ろうとして『メカ口調』は不器用すぎるだろ我が娘よ! 今日日『生成AI』の方が『敬語』うまいぞ! ていうか私の質問に答えてくれ!」


「『心が大事』とは言いましたがやはり人間の兵士は少々不安です、耐用年数が短いうえに耐久力も低いことは『精神論』でもカバー仕切れませんので(素直)」


「だから『自分が欲しい兵士』じゃないってーの! あれか!? お前もしかして『恋愛』とかそいうのわからないタイプなのか!? カーッ! なんてことだ! この『ティタン神族最強の存在』が『不覚』をとるとは! じゃあ仕方ないから他の兄弟姉妹に『政略結婚』してもらうか!? だが一体誰が適任なんだ!? 『オルトロス』は論外だし『パイア』は『性格が悪すぎて』絶対夫殺すだろうし『ケルベロス』は『ワン』だし………」


「自分のお子様の評価低くないですか?」とシビル。


「だってお前もそう思うだろ!?(居直り)かといって『ヒュドラ-』は『毒』あるし、『キマイラ』は『愛玩動物』だし、『ラードーン』は妻と夫どっちを迎えればいいのかわからんし、『三つ子(ゴルゴン三姉妹)』は癖強すぎだし、『スフィンクス』は『オイディプス』のせいで人間大嫌いだし、『ライオン』と『大鷲』と『ドラゴン』はもう『結婚』とか以前の問題だし、そう考えたら『スキュレー』しかいないじゃん! なのにその『最後の希望』の『スキュレー』が『恋愛とか結婚とか全く理解できない』とか私はどうすればいいんだ!? これじゃあ『政略結婚』によって『人間諸国』を『分断』する『作戦』が実行できないではないかあああああ!! どうすりゃあいいんだあああああああ!!」


『大魔王テュポーン』はそう叫んでその場で『転げまわった』っす。『パイア』と『テュポーン』が考えていた『姦計』がこんな『アホ』な形で『頓挫』しかけるとは『人間諸国』は誰も夢にも思ってなかったでしょうね(ひきつり笑い)。



(…………こんな『アホ』な状態からどうやって俺が『スキュレーの婿』扱いになったんだ? いまいち経緯が分からんのだが………)とクレオン。



 まあ『色々』あって『スキュレー』も『経験』を積むんすよこれからね。その経緯はこれからみていけばそのうちわかっていくわけっす。


 ちなみにっすが『大魔王テュポーン』が『苦悩』している横で相変わらず『シーシュポス』は『宴会芸』の『苦痛』に耐えかねて『岩』の下敷きになってしまったんすが、すかさず『モンスター貴族』達が魔法で『治療』し体力も『全回復』させてからまた『宴会芸』を続行させてたっす(残酷)。そして『スキュレー』の方は不思議そうな顔で『ケルベロス』に、


「…………兄上、私はいまいち父上のおっしゃることがわかりません。できれば解説願いたいのですが………」


 そこで『スキュレー』は『シビル』を見たんすが、『ケルベロス』はおもむろに懐から『パピルス』と『葦で作った筆』を取り出すと『サラサラ』と『文字』を書いて、



『戦士を殺した時なぜその妻は涙で袖を濡らすのか………お前はその感情を知るためにもまずは『人間の戦友』を作るべきかもしれんな。『友』に対しても『夫』に対いしても抱く思いは同じ『愛』であることに変わりはないからな』



 その言葉に感心してからスキュレーが一言、



「兄上………『筆談』でもいいのでちゃんとコミュニケーション取れるのなら取ってくださいよ………」



 横で『テュポーン』が思わず『お前普通に喋れるんかい!』と激しいツッコミを入れていたっすね(『お前喋れるんかい!』byクレオン)。



 さてさて、『大魔王軍』はちょっと『呑気』っすが──いや、『政略結婚』という次の『作戦』にまい進し始めていたわけっすが──次回からは視点を移しましょう、そろそろ『ラウレイオン鉱山争奪戦』も『本格化』の様相を呈してくるっすよ~! 次は久々に『鉱山奴隷』達の方に話を戻しますか!


(もうどんな話になってたか忘れたぞ………不親切仕様勘弁してくれよ(文句))とクレオン。


 後で『作者』を殴っておきますよ(ハハハ)。それじゃあ今回はここまでで~バイバイっす~!

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