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仮題:奴隷皇子の大出世  作者: 富田大志
序章:家内奴隷クレオン→逃亡奴隷クレオン→鉱山奴隷クレオン
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第十五話:『アタランテが求める正義とクレオンを助ける正義』

「う~ん………たぶんのこの道であってるはずね………ここが『ホドイ』と呼んでいいのか知らないけどね………」とアタランテ。


 さてさて、前回の続きで相変わらず『クレオン先輩』と『アタランテパイセン』は『本屋で買った宝の地図』を頼りに『ラウレイオン鉱山』の中を『冒険』していたっす。といってもひたすら『動物が通った後の道(獣道)』を歩いたり、あるいは樵が『丸太』を運ぶために切り開いた通路を通ったり、場合によっては『茂みや木立』をかき分けてあっちこっちを進んでいたっすよ。


 ちなみにこういう『山』によく生息してる『ゴブリンやエルフ』の類には一回も遭遇してないっす。それはもちろん『ラウレイオン鉱山』は『アテナイ』にとって大事な『収入源』なんすから邪魔な『モンスター』はとうの昔に『アテナイ人』たちが『駆除』てしまってるためっす。っすから今この山にいる『モンスター』は『ハルピュイア』だけ………のはずっすね。



(引っかかる言い方だな………つーか『エルフ』が存在してるのかよ、俺は『ニンフ(ニュンペー)』が『エルフ』の替わりに存在してんのかと思ってたぞ)とクレオン。



 いやいや『ニンフ』と『エルフ』が『同じ存在』は無理があるっしょいくら何でも(御冗談を)。かたや『予知能力や絶大な魔力を持つ長命の高貴な種族』、かたや『いつも木の上に居てうんこの代わりに矢を放ってくる猿の仲間みたいな雑魚モンスター』っすよ?? 私の母国では『果樹園』を荒らしに来る『エルフ』を定期的に『狩りまくって』数を減らしてるくらいっすよ。そうじゃないとブドウやリンゴやイチジク全部盗まれるんで(農家の怒り)。あんな『害獣』の仲間扱いされたら『ニンフ』たちも怒り狂うのは確実っす(ふんす)。



(すげぇ毒のある言い方だな………まあ手塩にかけて育てた『果物』全部盗まれたらぶっ殺したくもなるもんか………)とクレオン。



 私の『国』でも『兵士』は皆『自分の畑や果樹園』からの『収穫』で生活してるっすからね。まあそんなことはいいんすよどうでも………それよりもなんでクレオン先輩はさっきから『心の声』で会話してるんすか?


(そんなの決まってんだろ、喋る余裕すらないからだよ)とクレオン。




 この時『アタランテパイセン』は『宝の地図』が示す通りと思われる『道』を通って『ラウレイオン鉱山』の『八合目』あたりを目指してたそうっす。なんでもそこに『聖剣アイガイオン』があると『地図』に書かれていたそうで………そしてその後ろをあまり距離を置かずに『驢馬』が歩いていまして、そこからそこそこ離れた地点を『クレオン先輩』が『杖(槍)』になんとか縋り付きながら坂道をよじ登っていたっす。



「はぁ! はぁ! ひぃ! ま、待って………! 腹痛くなってて………もう本当………マジで無理だから………!!(必死の形相)」とクレオン。


「もうちょっとで『聖剣アイガイオン』がある地点にたどり着くはずだからもうひと踏ん張りして! ほらこの『地図』見える? ここにある『宝箱』のマークが『聖剣アイガイオン』の在処よ! なんか別の所にも『宝箱』のマークがあるけど、『書店のおじさん』の話だと『もしかしたら伝説の剣は複数あるのかもしれない』って言ってたからよかったわね! 一本折れても替わりがあるってことよ!」とアタランテ。


「おまえそれ………別の地図を………騙されて買わされただけじゃねーか………ひい! ひい! ちょっと待って、本当に休憩させて………!!(懇願)」



 まあそんな感じで先輩は何とか『パイセン』が目指していた『ラウレイオン鉱山の八合目』まで来たっす。ですが実は『八合目』に近づいた時『クレオン先輩』は『周囲の環境』になんだか『既視感』があったらしくて、


(…………ここら辺多分知ってる気が………つっても『山の風景』なんて毎日変わるから気のせいの可能性大だが………あ、いや、気のせいじゃなかったぜ………)とクレオン。



 先輩が考えてる通り『八合目』は鬱蒼とした草木に囲まれた薄暗い場所で『目印』になるような物も『初見』は見当たらなかったそうっすが、すぐに『目印』を見つけたそうっす。


 すが一方で『パイセン』は『正反対の方向』に向かって『ずんずん』歩いて剣で枝を切り払って、少し進むと『開けた場所』にでたっすね。



「…………あ、見てクレオン! ここからの眺め最高じゃない! 『アッティカ』が一望できるわよ!」とアタランテ。



 言われて『クレオン先輩』が『後ろ』に振り返ると『真っ白な光』に一瞬目がくらみ、すぐに『爽やかに香る風』に気づいたっす。そこからは『開けた場所』から『山の麓』に広がる『田園風景』が一望できたそうっすね。


 先輩の目には『竈の煙を屋根から吐いている民家』、『柵に囲まれた牧場でのんびり草を食べている牛やヤギやロバ』、『大麦の畑』とその周りをぐるりと囲んでいて緑の葉が風にそよぎながらかぐわしい香りを放つ『オリーブの木』──『風』を『香らせている』のは当然『オリーブ』っす──『野焼き』をしている農民や、はるか遠くに長々とそびえる『山』と『巨大な城壁』などが見えたっす。



(な、なんじゃあの『城壁』…………めちゃくちゃでけぇ………)とクレオン(唖然)。



 もちろんその『オリーブの木』は『アテナイの最初の王ケクロプス』のために『アテネ女神』が創造したものでして、また先輩たちが立つ『ラウレイオン鉱山』のすぐ近くには『アイゲウス王』を祀る神殿があるっす。そんな『神話』の話をすると途端に『山から見る風景』も輝いて見えてきませんか?


 そして遠方に見える巨大な城壁は『建創者テミストクレス』が主導し『大魔王軍』と戦うために建設したその名も『テミストクレスの城壁』っす。『アテナイ』の『街』の『中心部』である『アクロポリス』から『ファレロン町』と『ムニキア地方』の間の土地を『全て』囲い込むように建設された『長さ6キロ』の長壁っす。あの『城壁』の内側には大体『村と町』が『数十個』は入ってると思っていただいて構わないっすね。『アテナイ』の『中心市街地アステュ』は世界でも有数の大きさっすが、それも『城壁』の中に『すっぽり』入り切ってるということでもあるっす。いかに巨大な建造物かこれで分かるっすかね。



 これこそが『女神アテネの住まう守りも堅き城の国』、『神さびた高き岩山、フクロウの帝国にして菫さすアテーナイ』っす。この国が『世界一裕福な国』と言われるのも納得じゃないですかね?



「これが全部『人間の手』で作られた光景か………とんでもねぇな………『人間のすごさ』ってやつに感動せずにはいられねーぜ………」とクレオン。



 もちろんパイセンもクレオン先輩の視線に気づいて、


「…………ん? やっぱあんたも『テミストクレスの長壁ペルガモス』が気になる? あれは本当に遠くから見ると『壮観』なのよね~! 『アカイア帝国』が『滅亡』したことが分かった時『テミストクレス』って偉い人が『アテナイ市民』を説得して『全市民』総出で建設した『超巨大城壁』なの! 『スキュレー軍』だって一度もあの『城壁』を突破できたことはないんだからね! すごいでしょ?」とアタランテ。


「………ああ、あれは素直にすげぇと思うぜ。いったいどれだけの『大工』がかかわったんだ?」とクレオン。


「『大工』じゃないわ。『全てのアテナイ人』が手当たり次第に『道端の石』とか『山で見つけた岩』とか『倉庫に余ってた木材』とか集めてきて手分けして積み上げた物よ。中には『家の柱』とか『神様の石像』とか『祖先の墓石』とか持ってきた人もいたから『長壁』に近づくと発見できるわね」


「マジ?? そんな『手作り感』満載の壁なのか?? なんかおもしれー物作ってんだなアテナイ人………」


「当時は『スキュレー軍がすぐにでも攻めてくるかもしれない』と『アテナイ人』が焦ってたらしいから『有り合わせ』の材料で急ピッチで作ったそうよ。でも『ヘルメス』に『魔法』で『補強』してもらってるから見た目に反してすっごい頑丈なんだから(ドヤ)」


「『ヘルメス』って『神』だよな? 『神』に作ってもらった『城壁』とかそりゃあすげぇな………」



 いや先輩、その『ヘルメス』は『神』じゃなくて『人間』なんすが………まあそれは今はわきに置いてきましょう(『は? どういうこと??』byクレオン)。まあそんな感じで『テミストクレスの長壁』は先輩が『おもしれー壁』と言った通り『アテナイ』でも有数の『観光地』っすよ。私も『墓参り』するときは必ず見て回るんすよね。ちなみに『テセウス王』は『伝説』では『アマゾン族』と『アマゾン戦争(アマゾノマキア)』を戦い『勝利』したとされてまして、『長壁』の中にその勝利を記念した『モニュメント』も使われたりするっすよ。本当に手に入る素材は何でも使ってるんすよ。



『………え? どういうこと?? 『テセウス王』ってレイアの祖先なんじゃねーの?? なんでそれなのにお前の国と戦ってんだ?? つーかその前に『ヘルメス』の話もちゃんと解説しろよ(困惑)』とクレオン。



 その話も面倒くさいっすし『ラウレイオン鉱山争奪戦』には関係ないので『パス』で(『またかよ』byクレオン)、まあいずれわかることっすよ、『錬金術師ヘルメス』は先輩の『人生』に大きくかかわってくる人っすし、『アマゾン族』と『アテナイ人』の『複雑な関係』もそのうち明らかになるっすよ。



『………お前はそういう『謎な単語だけ出して説明しない』を『伏線』と考えてるのかもしれねーが、普通に不親切なだけじゃね??』とクレオン。



『フレーバテキスト』だと考えてもらえばそいうものでは?──(『それはなお悪いだろ!』byクレオン)──まあこの話はこれくらいにしておきましょう(『しょうがねぇなぁ』byクレオン)。



 いやぁ、それにしても『アッティカ』の風景は『美しい』の一言っすね。『アテナイ』の土地は『畑』一つをとってみても『農民の手』が隅々まで行き届いてまして、『犂』を入れる際に邪魔になる『岩石』や『木の根』は全部きれいに取り除かれてますし、『果樹やオリーブ』の『雑草』も丁寧に排除されていて見てるだけで『きっと豊作になるだろう』ってのがわかるんすよね。


 そして『畑や果樹園』の間には『水路』が網の目状に通っていまして、それらは近くの『泉』や『ケピソス川』という河からひかれたりしている『農業用水』っす。それらの堆積する『ごみ』を神経質に掃除してある様を見るだけでも私は『ほっこり』してしまうっすよ。


『そ、そうなのか………知らなかったぜ………』とクレオン。


 また今は『燕が飛ぶ時期』、つまり『春先』ということでちょうど『葡萄の剪定』を行う時期っす。この『剪定作業』は『単に枝や実を減らせばいい』というわけではなくて、『枝が密集する箇所を作らないように』と『木全体でバランスよく枝を配置するように切る』ことが必要なんすよ。こういうのは『葡萄畑』を持っている『農家』なら当然心得ている………というわけでもなく、『葡萄』がいっぱいあると結構『さぼって』適当に切ってしまう農家は多いっす。そういうのは『農民』なら『葡萄畑』を一目見ただけで分かるんすよね、『あ、ここの管理者は適当に切ってる。きっと人間性も問題ありなんだろな』とか『この農場の主人は手塩にかけて世話してるな。きっと真面目で善人なんだろうな』って。『畑』でその人の『人柄』までわかるわけっすね。



『へ、へえ~………俺も今度から『農民』の友達を作るときは『畑』を見ることにするかな………』とクレオン。



 そして『ブドウの剪定』に関しての話っすが、『世話をさぼる』ことは単に『人柄が悪く見られる』とかの『個人的な問題』にとどまらないっす。なぜなら『適当に切られてないせいで密集した葡萄の枝』が残るとそこから『病害虫』がわいてしまいまして、それがその人の『葡萄畑』をだめにするだけじゃなくて『別の人の葡萄畑』も台無しにしてしまうからっす。『葡萄の剪定』は『膨大な農作業の工程の一つ』に過ぎないっすが、これ以外のすべての『工程』でも誰か一人が『さぼる』と『農村』全体が被害を受けて『飢饉』発生なんてことも………そうなるととても笑えないっすよね。私も『女王』として何よりも気を使ってるのは『農地の整備』っすよ。願わくば『私の母国』の農場もこれくらいきれいに維持したいものすね(うんうん)。


『なんか急に『うんちく』が始まったな………『レイア』は『女王』なのに自分で畑の世話をしてるのか?』とクレオン。



『スキュティア地方』では『王侯』であろうと自分の畑や家畜は自分で世話するのが『当たり前』っす。むしろ『自分の土地や家畜』を持っていて自分で世話ができることが『大人』とみなされる『条件』なんすよ。まあ『アテナイ人』の『金持ち』は自分の畑を自分で世話はしてないと思うっすけどね。『農奴』に任せきりっしょ。


『…………いや、確か『ペイシストラトス』の屋敷だと『剪定作業』とかの大事な作業は『アテナイ人の自由農民』を雇ってやってもらってたはずだな………そんな話をしてたのを思い出したぜ。そんで『雑草抜き』とかの単純作業しか『農奴』にはやらせないとか………お前の話聞いて今思い出したな』とクレオン。




 おっと、『耕す女王レイアちゃん♡』の『うんちく』が長くなりすぎてしまったっすね。『ラウレイオン鉱山』の『八合目』の『開けた場所』にでた『アタランテパイセン』は目の前の景色をしばらく熱心に眺めていて、それから『感嘆のため息』を吐いたっす。


「…………やっぱり『アテナイ』は『美しいポリス』だわ………こうやって私たちの目の前に広がる景色は『先祖代々のアテナイ人』たちが長い時間と沢山の血と汗と涙を注ぎ込んで『美しく仕上げた』ものなのよ………私は昔からよく『ラウレイオン鉱山』に遊びに来てはここからの眺めを見るたびに『こんな美しい国を、『プロメテウス神に愛された人間たちの文明』が生み出した『努力の結晶』を『大魔王』に奪われてはいけない』って思うわ………」


 クレオン先輩は『どうした急に真面目な話をして』と言おうとしたんすが、そこで『アッティカ』の上空を『ハルピュイア』たちが飛び回ってることに気づいて、


「…………『プロメテウス神』って確か人間に『火と文明を教えた神』だよな?」


「そうよ。『人間を調子づかせてはいけない』とお考えになられていた『ゼウス』に反逆して当時『全裸で洞窟暮らしをしていた人間』に『火の起こし方』、『家の建て方』、『農業のやり方』に『漁の方法』、『衣服の作り方』に『家畜の世話の仕方』、それに『占星術』や『製鉄』などおおよそ『技術テクネー』と呼ばれるものをすべて人間に教えた『ティタネス(ティターン神族)』よ。でもそのせいで『ゼウス』の怒りをかって『スキュティア』の岩山に『磔刑』にされてしまったんだけど、『ヘラクレス』が彼を解放して自由の身にしたってわけ! まあその『神話ミュートス』はいいとして、私はその『プロメテウス神』から人間に与えられた『贈物』であるこの風景が大好きってことよ! だからはやく『聖剣アイガイオン』を見つけて『スキュレー』を倒しましょう私たちの手で!(ウキウキ)」とアタランテ。


「『美しい風景に感動した思い』を無理やり『聖剣探し』につなげたなこの女は………(呆れ)………やっぱお前は『自分の国』が『大好き』ってことなのか?」


「その言い方はなんか私的にはあんまり好きくないわね(難しいお年頃)。でも自分が住んでる国が『美しいか』って言われたら『そうよ』とはいうわ。まあ『奴隷』のあんたは反発したくなるでしょうけど(あっけらかん)」


「いや、俺もお前が『美しい』っていうのには『共感』できるよ。俺だって確かに『この風景』を見たら同じこと思うからな。だって『鉱山』の中じゃあ絶対に見れねー『平和な光景』なわけだし──(『先輩は嫌味無しで言ってるっす』byレイア)──でもさ、じゃあ『振り返ったら』お前はどう思うんだ?」



 クレオン先輩がそう言って『背後』を指し、その指先を目で追って『アタランテパイセン』が『振り返る』と………そこには『木の枝』に仲良くつるされている『奴隷の死体』が『6人分』あったっす。




 アタランテパイセンは怖がることはなかったすけど目を丸くして、


「…………これは、もしかして『鉱山奴隷』の死体?」


「いんや、こいつらは全員『女』だ。たぶんどっかの『屋敷』にいた『(家内)奴隷』じゃねーかな」とクレオン。


 たしかにその『6人分の奴隷』は全員『女』だったっす。『パイセン』はすぐに近くの『野草』を探して、『花』を見つけて『花冠』を作り始めたっすね。もちろん『クレオン先輩』も同じようにして『花冠ステンマ』を編みながら、


「…………ここに来るときなんか『既視感』あったんだが、こいつらを見つけてすぐに分かったぜ。ここは『逃亡奴隷の捨て場』だ。たぶんこいつらは『ご主人様の屋敷』から逃げ出そうとしたかなんかで『ご主人様』の怒りを買って『処刑』されたんだろうよ。『ラウレイオン鉱山』にはよく『自分の奴隷を処分したいご主人様』がやってきて『道具』を『不法投棄』してくんだよ。普通『奴隷』は『死ぬ直前』に『奴隷から解放してやる』のが『奴隷所有者の善意』なんだが、その『善意』さえかけてやりたくないほど『ムカついた』んだろうな………『ペイシストラトスの屋敷』でもなかった話じゃねーぜ」




 クレオン先輩とアタランテパイセンが知ってるはずが無いんすが、実はここに捨てられてる『6人の女奴隷』は『あるアテナイ人の金持ち』の『屋敷』で働いてたっす。ですがその『金持ち』の『財産』を狙っていた『盗賊団』が屋敷の内部構造を知りたくて『女奴隷』たちを『買収』して味方につけたんすよ。たぶん『自由の身にした上盗んだ財産も分けてやる』って約束したんでしょうね。あとこの『盗賊団』の首領はめっちゃ『イケメン』で『女奴隷』達は一目ぼれしたそうっす(『え、なんだよその謎情報(困惑)』byクレオン)。


 そんで『女奴隷』たちが『深夜』に『屋敷の裏口』を開けて『盗賊団』を招き入れたんすが、この『金持ち』はもともと『用心深い性格』だったので『冒険者』を『用心棒』として居候させてたんすね。その『冒険者』達が『盗賊団』を撃退し『奴隷』にして売却し、『裏切った女奴隷』たちは怒り狂った『ご主人様』に『報復』されたってことっす。ちなみにその『ご主人様』も『盗賊団』と戦って『二人』くらい殺してるっす。『アタランテパイセン』だけでなく『アテナイ人』は皆『勇敢』なんすよね。




「まあ確かに『クソカスヒッピアス』も毎日『村の体育館ギュムナシオン』で『兵士の訓練』受けてたな………それでも俺はあいつに喧嘩で勝てたけどな(ドヤ)。つーか『冒険者』ってそんな『用心棒』みたいなこともするのか、『アリステイデス』のパーティーじゃあそんなこと一度もなかったが??」とクレオン。



 それは単に『冒険者』の『好み』というだけっす。『正義の人アリステイデス』は『遠征』が好きで一か所に留まることはあんまりしないということっす………ってまた『脱線』してるっすね(汗)。


 アタランテパイセンはクレオン先輩と一緒に『女奴隷』たちの『死体』を枝から下ろしてから『穴』を掘って埋めてあげたっす。そんで『盛り土』のうえに『適当な石』を積み上げてあげて、その上に『花冠』をおいて『簡単な墓』を作てあげたっす。


「…………『火葬』なんてできないけどこれでゆるしてね。『貴女たちにかぶさる『土』が軽くなりますように、そして『暗湿な冥府』に座す『かしこきハーデス』と『恐るべきペルセポネイア』が貴女たちに『お慈悲』を賜りますように』………(祈り)…………」とアタランテ。



 パイセンはそれからクレオン先輩にふり返って、


「…………そうね、確かにこんな『理不尽なこと』を目の当たりにすると『アテナイは美しい国だ』なんて『軽々しく』はいえなくなるわね………」


 一方クレオン先輩はちょっと困り顔で、


「…………まあ言うのは『自由』だけどよ。でもお前が褒めちぎってた『美しい風景』ってやつもさ、あれだって『奴隷』がいるから実現できるってことをちょっとは考えるべきだとは少しは思うぜ俺もな? 例えば『畑の雑草抜き』だって『農家』だけでやろうとしたら『とんでもねぇ量』になるだろ? それとか『果樹園』を囲んでる『石垣』だってあれを『農家』が自分の手で作ろうとしたら『奴隷』が欠かせねーだろ──いや『大工』だって『奴隷』は使うだろうけどよ──いや、別にお前に『説教』するつもりなわけじゃねーし怒ってもねーんだけどよ俺はな………それでもそういう『美しさには理由がある』ってことに関してお前はどう思ってるんだとは思うな俺は………」



 そこまで言ってから『ばつが悪そうな顔』になって後頭部をかきながら、


「…………いや、やっぱこれだと俺が『怒ってる』みてーだな(汗)。別に怒ってねーんだぜ? いやマジで怒ってるわけじゃねーんだよ、ぜってー勘違いされる言い方になっちまってるのは俺もわかってんだ、でも俺は『バカ』なもんだからこういう言い方しかできなくてな………えーと、つまり『あれ』だ! ………お前は俺が『奴隷』だと知って『助けたい』といってたわけだが、そんなお前は『奴隷の力で作られたアテナイの美しい風景』ってやつについてお前なりに『筋』を通すのなら何て答えるんだ? ………って言えばいいのか?(不安)まあそこら辺の意見を聞きてーだけってことで………(ごにょごにょ)」


 結局クレオン先輩は『自分のいいたいこと』を『整理』できていなかった………あるいは『アタランテパイセン』と『ギクシャク』するのが嫌でこんな言い方しかできなかったわけっすね(『なんかその言い方気に入らねーんだが』byクレオン)。それに対して『アタランテパイセン』は何も答えずただ『うーん』とうなりながら腕組みしてたっす。



 なので『いたたまれなくなって』クレオン先輩が、


「…………そういえば昔『母ちゃん』から聞いたことがあるんだが、『アテナイ人』は『全員金持ち』だからどんな『貧乏な農民』でも家には必ず『奴隷』が『一個』は『ある』って聞いたことあるぜ? つーことはお前の家にも存在するってことだよな? そこんとこどうなんだよ?」



 クレオン先輩は『奴隷所有者』は全部『敵』だと思ってるっす(重要情報)。すると『パイセン』はなぜか『胸を張って』から、


「確かに『世間』では『アテナイは裕福な国だから貧乏人でも奴隷が最低一人は持てる』って言われてるけど、我が家に『奴隷』は一人もいないわよ! だから『奴隷所有者』じゃないわ安心なさいクレオン!(肩をバシバシ)うちにいるのは『犯罪者』だけよ」


「いてて! そうかいそりゃあよかった、だから叩くなって!(悲鳴)…………え? 『犯罪者』って何?? なんでお前の家に『犯罪者』がいるんだよ!? もしかしてお前の『親父さん』は『自分の娘を実験でサイボーグ化したやばい魔法使い』的な?」とクレオン。


「だから私は『普通の農民の娘』だって言ってるでしょ『改造人間』とかじゃないから(呆れ)。『アテナイ』では『死刑や国外追放になるほど重罪じゃない』けど『罰金刑だけだと軽すぎるor罰金が払えない犯罪者』は『希望する市民の家』に『投獄』されるのよ。つまり『農民(市民)の家』に『居候』になるわけね。その関係でうちにも『不法移民』とか『万引き常習犯』とか『麻薬中毒者』とかが居候してるのよ」





 アタランテパイセンの言う通り、『アテナイ』では『刑務所』が存在せず代わりに『市民の家』を『刑務所』代わりに使うんすよ。つまり『犯罪者』を『一定期間(刑期の間)』希望する『市民』が自分の家で『召使』として『働かせて』いいってことっすね。『犯罪者を家に置いておくなんて怖くないか?』という意見もあるかもしれないっすが、『アテナイ』は『徴兵制』のある国なんで『市民』は皆『戦士』なんすよ、だから問題ないってわけっす(『なるほど、ならアタランテが異常に強いのも納得………か??』byクレオン)。





 アタランテパイセンはまたも『どや顔』で、


「だから私の家には『奴隷』はいないわよ、安心なさい! 私は『奴隷所有者』の家の子供じゃないから! この『犯罪者を召使にできる国制(制度)では『犯罪者を奴隷扱いしてはいけない』って決まってるからつまり『奴隷』じゃないわ! だって『刑期』を終えたら『自由人』に戻れるもの! だから私はあんたの『味方』よ、安心なさい?」


「それは『奴隷じゃないって』いってるだけで実質『奴隷』なのでは………? まあでも『一定期間で解放』されるのならそれは『奴隷』じゃない………か?? 騙されてる気がするんだが俺馬鹿だからわかんねーよ………」とクレオン。


 なんだかちょっと『納得』できなかたっすけどクレオン先輩はとりあえずこの話はこれ以上しなかたっす。


 すると『パイセン』が続けて、


「…………まああんたが『もやもや』するのもわからないでもないわ。私も正直『実質的に犯罪者を奴隷にしてるってことでしょこれ絶対』って前から思ってたけど、でもクレオン、あんたは例えば『強盗』を働いて捕まった人が『罰』として『奴隷』に落とすのは『正義じゃない』って思う? あんたは許せない?」



 クレオン先輩は変な顔になって、


「いや、それは………考えたこともなかったし、正直俺にはわからねー………『悪人』が『奴隷』になるのは………いや、つーかその『犯罪者』は『実質奴隷』って認めたな!? つーことはやっぱお前『奴隷所有者』じゃねーか!(敵視)」


 先輩はそこでアタランテパイセンに向かって殴りかかろうとして、『蹴り』を思い出して近くの木の幹に隠れて威嚇してきたっす。それに対してパイセンは両手をあげて『落ち着きなさい』とジェスチャーしてから、


「まあ落ち着きなさいって。じゃあこういえばあんたも納得できるんじゃないかしら? 例えばあんたが憎んでる『ヒッピアス』や『コドロス』が『奴隷』になるとしたら?」とアタランテ。


「『うんコドロス』はもうすでに『奴隷』だし『ヒッピアス』が『奴隷』になると想像したら『豚のうんこ』だって喜んで食えるぜ!(即答)ご主人様に手足折られろゲロカス、いやゲロゲロカスカス野郎が!(嬉々)」


「だから『うんこ』言わないでって(呆れ)。でしょ? 私も大体あんたと同じ考えよ。だからこそ私は自分の『祖国メトロポリス』に『奴隷ドゥーロス』がたくさんいても『美しい(カロス)』と思うし、いずれは『アテナイ軍』に入って『大魔王軍』と戦おうと思ってるの………」



 穏やかな『風の神(アネモイ)』の一柱『西風のゼピュロス』が吹かせる息吹が『愛おしそう』に頬を撫でるのを感じながらパイセンは、



「………確かにあんたの言う通り『ウチ』にいる『受刑者』たちが『奴隷』なら私も『奴隷を使役してる家の人間』になるわ。その『奴隷』たちを『解放』しないのに一方で『クレオン』だけは解放しようとして奔走してるなんて『矛盾』もいい所よね、そういう意見は私も同感だわ。でもね、私はそれでもあえて『矛盾してない!』って胸を張れるわ! なぜだと思う? それは『『仲間』は奴隷から救いたいと思うけど『悪いやつ』を救う気はないから』よ」



 言われた『クレオン先輩』が『木の幹』から『恐る恐る』でてきたあと頭をかきながら、


「…………つまりあれか? 『俺』はお前にとっては『仲間』だから『自由人になる手伝い』をするが、『家の犯罪者』どもは『仲間じゃない』から助けないってことか?」



「『仲間じゃないから救わない』って言い方は違うわね(重要)。『良いやつ』だと思ったら『救う』し、『悪いやつ』だったら『当然罰を受けさせる』ってだけよ。だから例えば『マロネイア村』の人たちが『奴隷』にされそうだったら私は『全力』で助けるわ、だって『いい人たち』だもの。でもうちにいる『犯罪者』たちは『悪い人たち』だから『刑期』を終えるまでは『自由』にはできないわ。それであんたは別に『犯罪者』じゃないんでしょ? だからあんたは『自由にする』ってだけよ………どう? 納得した? もしかして私のこと『格好いい』と思ってるとか?」


 クレオン先輩腕組みしてから、


「いや別に『格好良く』はねーが………じゃあ『良いやつ悪いやつ』の『基準』はなんなんだよ?」


「そんなの『私がどう思うか』に決まってない? 『人間は万物の尺度』よ、それ以外にどんな『基準』があるわけ??」とアタランテ。


「いや、例えば『法律』とかあるだろ………」


「学習しないわね~! 前にも言ってたけどその『法律』とか『常識』ってやつがあんたを助けてくれるの?」


「う………た、確かにそうだけど………わかったよ、お前の言う通りだ、確かにお前の考え方は格好いい、俺が間違ってたよ(素直)」



 先輩が両手をあげて『降参』するとパイセンは遠景に再度目を移して、


「…………あんたはまだ『奴隷根性』ってやつが抜けてないみたいね。まあでも『法律が『何が正しいかの基準になる』』ってのも私はそこまで間違ってるとは思わないわ。だって『アテナイの法律』は『賢者ソロン』と『市民全員』が『正義を実現するため』に話し合って作ったものですもの。でもそれがクレオン、『仲間あんた』を救わないのら私は『否定』するわ。私にとっての『正義』は『何よりも仲間を大切にすること』………」


 パイセンはそこでクレオン先輩の顔を無遠慮に指で指して、


「………だから例えば『仲間が罪を犯してしまったら『役人アルコス』に引き渡したりはしないでこっそり私の家に匿ってあげる』わね。『法律』と『仲間』のどっちかを選べと言われたら私は躊躇うことなく『仲間』を選ぶわ。でもだからこそあんたを助けようとするのよ。だって本来『ご主人様』の許可なく『奴隷』を自由にしようとする『自由人』は『奴隷』に落とされる『法律』になってるもの(ドヤ)」


 この時の『アタランテパイセン』の顔は今までの中で一番『どや顔』だったそうっす。一方クレオン先輩はちょっと『引いた顔』で、


「…………俺にとってはすげーありがたいけどさ。それでもひとこと言わせてもらうぞおまえ、その思考は『普通の人』の考え方じゃねー、『やくざ』の価値観だ(呆れ)」


「私は『普通の人』だって! なによ! 私があんたにとって『良いやつ』ならそれでいいじゃない! それ以上何の文句があるわけ? それとも初めて会った時あのまま『自殺』したかったってわけ?」


「だから『ありがたい』っていってるじゃねーか感謝してるんだって! ………でも最後に『質問』を一つしても良いか? お前は『仲間は助ける』と言ってたが、じゃあなんで『初対面の俺』を助けたんだ? 普通に『仲間』じゃなかったよな??」


 たしかにそうっすね。するとアタランテパイセンは肩をすくめて見せて、


「そりゃあだって、『普通の人間』なら『子供が自殺しようとしている現場に通りかかったら』止めるでしょ普通は? しかもそれが『年下』ならなおさらじゃない、私別に『わざと常識を破りたい』わけじゃないの、それが『仲間を救わない』なら否定するってだけよ」



「そういえばお前最初俺のこと『年下』だと勘違いしてたな(怒)。『奴隷』なんだから『発育』悪くて当然だゴラァ! なめんじゃねーぞ『年下』があああああああ!!(襲撃)」とクレオン。



 これはもしかしたら『照れ隠し』だったのかも………(まあやっぱり先輩は『ぼこぼこ』にされたんすが)…………まあでも、この時初めて『アタランテパイセンとクレオン先輩』が『本音』で会話したんじゃないかとレイアちゃんは思うっすね。『ともに戦う仲間同士』には必要なんすよ、『本音』で語り合う時間ってやつが。


 ああ、でも今回は『この二人のシーン』がかなり増えてしまったせいで『スキュレー』の方は次回に回さざるを得ないっす。まあでもあの『戦争狂』になんか誰も興味ないっすよね?(少なくとも私はないっすね)


 では今回はこんな感じで、それではまたっす~(バイバイ)。

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