第十話:『引き続きコドロスのお料理教室2とまだまだ集まる英雄豪傑、そして『人類最強の男』』
さーてさて皆様におなじみ『この作品で一番人気のキャラ:レイア姫』っすよ~! 今回はやっぱり前回の話の続きで『アカイア帝国の大貴族&ティリンス王:テュデウスの子ディオメデス』について解説を………、
………と思ったんすけど、その前に『デルフォイのニュンファイ』から派生して『人間以外の種族が住んでいる国』について紹介することにするっすよ。たぶんこっちの方を『先』に話しておいた方がわかりやすい気がしてるっすんで。
『(『してるっすんで』って言葉怪しくね?)何を根拠にお前が『一番人気』なんだよ(ツッコミ)。なんだ? 『ニンフ』が住んでる国が他にもあるってことか?』とクレオン。
前回もいいましたっすけど『ニンフ』自体は別に『デルフォイ』以外にもいろんなところに住んでるっすよ。そうではなくて『ニンフ以外の人外種族が住んでる国』があるってことっすね。今回紹介するのは『オリュンポス山に住む『ヘカトンケイレス』』っす。
『『百手族? なんだ? 手が100本ある怪物なのか? 蜘蛛かタコ??』とクレオン。
蜘蛛も蛸もそんな腕ないっすよ。『ヘカトンケイレス(ヘカトンケイル)』は『テッサリア地方』にそびえる『オリュンポス山』に住んでる『たくさんの腕と頭を持つ巨人族』っすよ。体のパーツは『人間』のものなんすけど全部サイズが『異常にでかい』上に『腕と頭』が何個もついてるんす。しかもものすごい『怪力』で伝説では『片手で山を投げた』なんて話も伝わってるっす。『顔』もハチャメチャ『醜悪』で肝の小さい人間はその姿を見ただけで『死ぬ』くらい怖ろしい姿をしてるそうっすね。
『なんだそのキモい上に滅茶苦茶な化け物!? もしや『オリュンポス山』も『大魔王軍』の支配下になっちまってるのか!? ………つーことは『ゼウス』が俺たち『人間』を見捨てたってことだな、それじゃあ『テュポーン』に勝てるわけねーじゃん、この話ももう終了だな(諦め)』とクレオン。
まだ『物語』が始まったばかりなのに諦めないでもらえるっすか??(呆れ)まず『ヘカトンケイレス』は『テュポーンの部下』じゃないっすよ、むしろ『敵』っす。彼らは『1000年前』に『人間世界』に攻め込んできた『大魔王軍』を『オリュンポス山』から撃退していらいずっと『テュポーン』の軍勢も簡単には手を出せない存在になってるんすよ。
『………マジ??』とクレオン。
なんで嘘吐く必要があるんすか(呆れ)。もちろんその『オリュンポス山』には当時多くの『人間』たちが逃げ込んでいて『テュポーンの虐殺』から逃れることができたそうでして、もし『ヘカトンケイレス』たちがいなかったら『人類』はそこで『絶滅』してたんじゃないかと言われるほどの『大恩人』たちっす。
ちなみに『四英雄』たちも子供のころ『ヘカトンケイレス』たちの国に匿われていたらしいので、本当に『人類』は『ヘカトンケイレス』たちに足向けて寝られないっす。『キモい化け物』呼ばわりなんてとんでもないっすよ先輩、先輩のご先祖様の命の恩人なんすから(説教)。
『そ、それは知らなかった………すまん………(殊勝)。すげぇ『おっかない見た目』っぽいけど滅茶苦茶強いうえに良い奴らなんだな………(呆然)』とクレオン。
確かに『外見』は『怖ろしい』っすが『性格』は皆凄く『紳士・淑女的』っすよ。ただ『慈悲深い』性格すぎて『逃亡してる犯罪者に同情して匿っちゃう』からいろんな国からよく『抗議』されてるっすけどね………ちょっと『騙されやすく』てお茶目な種族でもあるっすね(ポジティブな表現)。
『ダメな連中じゃねーかよ(呆れ)………待てよ!? だったら俺も『ヘカトンケイレスの国』に逃げ込んだら匿ってもらえるんじゃね!?』とクレオン。
確かに匿ってもらえるっすけど、『ヘカトンケイレス』は皆『怪力巨人』なので彼らが『励まそうと思って背中を軽くたたく』と人間の背骨が砕けたりするっす………あ、でも先輩骨折れても気にしないから問題なっすね(思い出し)。レイアちゃんが今から『設定ガン無視』して先輩を『ヘカトンケイレスの国』に『ワープ』させてあげるっすか??
『遠慮します(白目)』とクレオン。
………それじゃあ『地の文』は『一番人気の主人公』である『俺』に戻るぜ(重要)。前回『コドロスのうんこたれ』が『ぺらぺら』と『うんちく』を………いや『ブリブリ』と『うんち』を垂れ流しているところを俺が『物陰からこっそり聞いていた』わけだが──『汚いっすよ先輩(呆れ)』byレイア──『奴隷用ワイン』を『腰巾着奴隷』どもと一緒に飲んだ後『コドロスの糞野郎』は今度こそ『卵』の料理にとりかかり始めたんだ。
『頭! いったい何を作るんすか!?』と『バシレウス』
コドロスはこの時器用なことに『片手』で『卵』を割り、『焚火』で熱せられた『フライパン』に『オリーブオイル』をなじませながら、
『卵料理なら『オムレツ』って相場が決まってんだろ、なんたって『簡単』だからな。ちょうど『野菜』もあることだし………『肉』がねーのが残念だが(溜息)』とコドロス。
こいつが作ってたのはいわば『スパニッシュオムレツ』ってやつで、『陶器のボウル』の中に『卵』を割り入れ、『刻んだ野菜』を投入して混ぜ合わせる。ちなみに『野菜』は『アスパラゴス(アスパラガス)』、『松の実』、『ルピナス豆』、『レタス』、『西洋かぼちゃ』だった。
あ、あと『オリーブの実』もあるな(失念)。野菜のバリエーションが明らかに『卵との相性』を考えてねーよなこれ、多分『安い野菜』を適当に用意しただけだろ(呆れ)。
………え、『松の実』と『ルピナス』はどんな味がするかだって? 『松の実』くらい『イタリア料理』によく使われてるらしいから食ってみればいいぜ(投げやり)。『ルピナス』は………なんか『豆』だな(適当な説明)。『ルピナス豆』は他の豆に比べるとちょっと『苦い豆』ってのが特徴だぜ。『ペイシストラトスの屋敷』に住んで時は『朝飯』によく『奴隷仲間』とみんなで貪ってたのを思い出すぜ(懐古)。
『だから説明を放棄しないでくださいって(呆れ)………ちなみに『ルピナス豆』は『アルカロイド系の毒素』を含んでまして、『致死量』はわずか『10グラム』という『猛毒』で人間の舌には『苦味』として感じられるそうっすよ………だから通常は『数日間水にさらして毒抜きしてから』食べるものっすけど、先輩の食べてたやつは毒抜きが不十分だったのでは………??』とペンテシレイア。
………え? マジ???? 確かになんか『ルピナス豆』食うたびに『下痢』してたけどもしやそのせい………??
『むしろ『下痢』で済んでる先輩が異常っす』とペンテシレイア。
まあいいや(思考放棄)。『コドロス』はさっき挙げた野菜を混ぜた『卵』にさらに『チーズ』をいれてから『油がなじんだフライパン』に投入して焼き始めた。『チーズ入り野菜オムレツ』かくっそ、腹が減ってきやがったぜ………つーか『奴隷』は常に『空腹』だけどな! コドロスどもも『ルピナス豆』で『食中毒』になっちまえちきしょうが!(呪詛)
そんなコドロスの横では三人の『腰巾着奴隷』達が地面に座って『奴隷用ワイン』をしこたま飲み続けていた。なんでこいつらが一切『料理』を手伝わずに『親分のコドロス』が一人で料理してんのかも謎だが、まあコドロスが怒らねーんならどうでもいいことだな。そんで『腰巾着奴隷』どもは『酔っぱらった赤ら顔』で、
「いや~『奴隷用ワイン』もいっぱい飲むとやっぱり酔えるっすよね~! 俺ここに来る前に働いてた屋敷で『お祭りの日』になるとは『一杯だけ』奴隷用ワインを飲ませてもらえてたんすよ~! でも一杯じゃ酔えなくて『やっぱ普通のワインじゃねーとダメだ!』って思ってたんすけど、こいつもすてたもんじゃねーっすね~!(ほろ酔い)」と『ポレマルコス』
「『奴隷用ワイン』もそりゃあ『ワイン』だからたくさん飲んだら酔うだろ(冷静)」とコドロス。
「でも頭ぁ! やっぱ『精がつく飲み物』っていったら『キュケオーン』じゃないんすか~!? 一応材料そろってるんじゃねーんすか~? なんで作らねーんすか~?』と『エポニューモス』
『キュケオーン』! それなら俺だって解説できるぜ! 『キュケオン』は『ワイン』に『大麦粉』と『すりおろした山羊のチーズ』を混ぜた『カクテル』で、いわば飲むと『どんな疲れ』も吹っ飛ぶ『エナジードリンク』だぜ! 通常は『つまみ』に『生玉ねぎ(ピリッと辛いのがいいんだよこれが)』と『蜂蜜(甘味はあって損はねーだろ?)』を付け合せるのが最高だぜ! ………って話を『ペイシストラトス』が話していたのを聞いたことあるだけだけどな(溜息)。しょせん『奴隷』には絶対飲ませてはもらえねー『御馳走』ってわけだな………なんで俺は『奴隷』になんて産まれちまったんだ!? ………腹減ったうえに喉まで乾いてきた………もうなんにもやる気が起きねーや………(がっくり)。
『なんか今まで見た中で一番先輩が『ネガティブ』になってるっすね………『御馳走と美酒』はかくも人を惑わせるものなのか(迫真)』とペンテシレイア。
俺は『物陰』で『へたへた』と全身の力が抜けて地面に寝転がっていたわけだが、コドロスの方は『奴隷用ワイン』を飲みながら『火』を監視ししつつ、
「『キュケオーン』は『デメーテルとペルセポネーの祭り』の時に飲む『神聖な食物』だ、『奴隷』ごときが飲んでいいものじゃねーぞ(怒)。それにお前らよくそんな風に『呑気に酔っぱらって』いられるな。俺なんてどんだけ『ワイン』飲んでも酔える気がしねーぞ。なんつたって『トロイア軍』がすでに『レスボス』まで来てるんだぞ? ………おっと、もう焼けたかな?」とコドロス。
そこで俺が『ん?』と思ってこいつの話に耳を澄ませた。コドロスの方は『スパニッシュオムレツ』に包丁を入れてまだ内部が『半生』なのを確認してから続ける。
「…………まだかよ(空腹)。『トロイア軍』はやっぱりあの『五人目の英雄ヘクトール王子』が直々に率いてるらしくてな、『レスボス』に駐屯していた『アテナイ軍の守備隊』は『真正面』から戦って『粉砕』されたって話だ。次は『ケルソネソス』かそれとも『サモス』が攻撃されるか………どっちにしろ『アテナイ軍』は『連戦連敗』中だってな………」とコドロス。
『トロイア王プリアモスの息子ヘクトール』、この俺こと『アガメムノンの孫クレオン』にとってたぶん『最も自分の人生に影響を与えた人物』であろうこの男はこの時、『トロイア王国首都イーリオン』から『1000人の軍隊』を率いてまっすぐ『アッティカ』へと『進軍』していたようだぜ。
その『トロイア兵』どもは皆『Τ』の形をしたのぞき穴が開いた『兜』を被り、腕には『手甲』、足には『脛当て』、胴体には『胸当て』と『腹当て』、そして一番の特徴である『8』の形をした『人間一人がすっぽり隠れるほどデカい盾』を持ってた。こんなデカイ盾を使うの世の中で『スパルタ人』と『トロイア人』だけらしい。
ちなみにこの『トロイア兵が使う8の字の盾』には『取っ手』だけじゃなくて『革ひも』もついてて、こいつを使って『亀の甲羅』みてーに背中に担ぐことができる。これは『もし逃げる時敵に背中を見せても守ることができるため』だそうだが(スパルタ人の盾には紐はないそうだぜ)、『アカイア人』からは『逃げることばかり考えた装備で軟弱者の証』とすげー馬鹿にされてたらしい。でも『トロイア人』は『アカイア帝国』が滅ぶ前から滅んだ後もずっとこの盾を使い続けてるってわけだ。
そしてこれらの『装備』は全部『青銅製』だぜ。知ってるか? 『青銅』って『青い銅』って書くけど実物は『黄金色』に光ってて『ぴかぴか』きれいなんだ。だから『トロイア兵』は遠からみると『黄金の鎧をまとった軍隊』に見えるわけだな。それが『太陽の矢(太陽光のこと)』の反射で『ギラギラ』眩しくて『フラッシュライト』みてーに相手を威嚇できるって寸法だ。
『車のフラッシュで威嚇するのはマナー違反っすけどね(ツッコミ)。ちなみに『アテナイ兵』も同じく『青銅製』の装備をもってるっすよ。『盾』はもっと小さいっすけど』とペンテシレイア。
正直俺が車持ってたら『煽り運転』しまくりそうな気がするぜ(自戒)………(『私もそう思うっすよ』byレイア)………ああ、ちなみに『8の字の盾』の材料は『牛のなめし革』を『七層』に重ねてその上に『青銅の一枚板』を張り付けた造りになってる。こいつが『とんでもなく重い物』で俺も初めて持ったときは『10秒』も持ち上げてられなかったぜ。でも『兵士』はこれを『左手一本』で『半日』の間ずっと持ち上げ続けなきゃいけねーし、なんだったら『戦闘』になると『盾』で敵兵を『殴ったり』するんだ。つまり『くそ重い盾を振り回して戦う』わけだな。
しかもこの『盾』に敵兵が『攻撃』してくるから、さらに『矢』とか『槍』とかが突き刺さった状態にすらなる。その重さもプラスされると『腕』がちぎれるんじゃないかってくらい重くなるんだよな………だから『トロイア軍』では『盾を片手で苦も無く振り回せるようになる』と『一人前』と認められるそうだ。
そして一方『武器』の方はっていうと、主に使うのが『槍』だぜ。こいつの長さは大体『3メートル』くらいだが、人によってはもっと長い槍を使うこともあるらしい。また『1メートル』くらいの『短い槍』も別にあって、こいつは『投げ槍』として使うんだ。でも力自慢の兵士は『長槍』を敵に投げつけることもあるから別に決まってるわけじゃあねーようだな。
あとは『腰』に吊り下げてる『太刀』と、あともし『弓兵』だったら『背中に弓』を担いでるもんだ。この『弓』は平常時は『弦』を外してるから一見すると『杖』にしか見えねーんだけど、戦闘が始まるとは『杖』を『曲げて』から『弦』を張って『弓』にするんだ。ちなみに俺も初めて『弓』に『弦』を張ろうとした時『杖』が固すぎて全然曲がらなくて苦戦したのを憶えてるぜ………『威力の高い弓』ほど『曲げにくい』から『強弓』を使える弓兵は尊敬されるんだそうだ、だから『弓を使うやつは軟弱者』ってのは間違ってると思うぜ俺はな?
まあでも『パリスのアホ王子』は『弓』がうまい癖に『性格がアレすぎる』けどな………まあその話は今は関係ねーか。
そして、今話したのは『トロイア軍の一般的な装備』であって『総大将ヘクトール』の装備はちょっと違うんだ。こいつの持ってる槍は『5メートル』にもなるくらいの『でっけぇ長槍』で、しかもそれを常に『二本』もってやがるから一本折れてもすぐにもう一本で戦うことができる。そしてさらにそれとは別に『投げ槍』も『2本』持ってて、『短い槍』とか言いながら長さは『3メートル』だから普通の兵士が持ってる『長槍』と同じ重さになってる。ヘクトールはそれを『片手』で『紐』かなんかみてーに軽々と振り回し、『一突き』で『敵兵を2~3人』串刺しにすることができる、てかいつもしてる(日常風景)。
またもちろん腰には『牛の首も斬り落とせそうなほどデカい太刀(鉈?)』がぶら下がっていて、懐に飛び込んできた敵はこれで『兜』ごと頭を割られることになる。そんでヘクトールの持ってる『8の字の盾』も持ち主が『2メートルを超える大男』だからそれに合わせて『巨大化』している『特別製』だ。ヘクトールはこの『大盾』もまるで『羊毛のマフラー』みてに扱い、この『盾』で殴られた敵は盾とさらにその下の鎧まで砕かれ内臓をつぶさて『10メートル』くらい吹っ飛んでいくんだ………誇張じゃねーぞ? 実際にこの目で何回も見てるからな(畏怖)。
しかも、御大層なことに『ヘクトール』がつけてる『青銅製の兜』は『アポロン神』からプレゼントされた『特別な兜』らしくて、『滅茶苦茶重くてヘクトール以外の人間は装備できない』んだが、『異常に固いから『1トン』くらいの大岩が落ちてきても壊れない代物』らしい。いや、『1トンの岩』なんか落ちてきたら兜が壊れなくても被ってる人間が死ぬんだけどな普通はな。『オーバースペック』すぎて人間用じゃなくなってるってーの(呆れ)。
『でも私も『1トンの大岩』が落ちてきても『ヘクトール王子』は死なないような気がするんすよね(汗)』とペンテシレイア。
………実は俺もそう思うんだよな(震え)。
そんでこれは『後で聞いた話』だが、『ラケスたち』が頑張って『ラウレイオン鉱山』を『走り回っていた』とき、遠く『レスボスの町』では『トロイア軍』を率いていた『プリアモスの子ヘクトール』が『アポロンの兜』の天辺から垂れ下がっている『長い飾り毛』と肩から羽織っている『マント』を風になびかせながら遠くの空の『雲』を見ていたんだ。
「…………『明知のゼウス』よ、なぜあなた様は私を『1000年前』でなく『現代』に産まれさせ、なにゆえ『私と等しいかそれ以上の力を持つ四人の戦友』を私に与えてくださらず、ただ『五人目の英雄』などという『何の役にも立たないむなしい称号』しかお与えくだされなかったのですか………」とヘクトール。
『トロイアの貴公子』にして『人類最強の英雄』はそう呟いて『深い深い』ため息をついた。こいつは負けん気の強い俺が『見惚れる』くらいの『精悍な顔つき』をしていて、しかも『眼光』は『よく研いだ長槍』のように鋭く、なのに『勿体ない』ことにいつも『眉間にしわを寄せ口を堅く結んでいる』という『The気難しマン』って感じの表情をしている。この時も『自分の大活躍』で『レスボスの町』を占領したのに全然うれしそうじゃなかった。
そしてそんな『ヘクトール』が『アポロンの兜』を脱いでから振り返ると、そこには『縄で縛られているアテナイ人の捕虜』が座らされていた。こいつらは皆『レスボスの街』を守っていた『アテナイの守備隊』の、その『指揮官』たちだったらしい。その『指揮官』のうち『一番偉い将軍』だった男………『クサンティッポスの息子ペリクレス』が声をかける。
「…………まるで『負け戦』をしているような顔ですな。そんな顔をしたいのは私の方ですよ『プリアモスの子 (ヘクトール)』よ。これで私の『今まで頑張って積み上げてきたキャリア』が全部『水の泡』になってしまったんですからね………(わざとらしいため息)」と『ペリクレス』
ヘクトールは皮肉げに笑うペリクレスに目線を合わせて、
「………『クサンティッポスの子 (ペリクレス)』よ、あなたの『名声』は遠く『イリオス(イーリオン)』にまで聞こえている。あなたは『アテナイ人』から最も『人望』を集める政治家であり軍人であるそうじゃないですか。一度の敗戦程度ではあなたの『人気』は揺るがないでしょうよ」とヘクトール。
「いいえそんなことはないですよ、『今まで人望があったこと』は『将来も人望を得られる』ことを保証してはくれません。それに世の中には必ず『人望があるというだけでその人を憎む人種』という連中が存在するものです。そういう者達は今『ハイエナ』のごとく私の『弱み』をよだれを垂らして狙っている………今回の『敗北』は連中に格好のエサになってしまうでしょう。ならばきっと次の『選挙』では私は勝てないでしょうね………産まれたときから『王』になることが決まっていた貴方にはわからないでしょうがね……」とペリクレス。
「あなた方『アテナイ人』は誤解されているようですが、わが父『プリアモス』は今まで一度も私に『王座を与える』と約束してくれたことはありません。それに父には私を含めて『50人の息子』と『12人の娘』がおりまして、その者達とその子供たち『全員』に等しく『王位継承権』があるのですよ。ですから私も全然『将来』が『安泰』というわけではないのです………それに『サルペドーン』などはいつも私に面と向かって『お前は王に向いていない!』と罵ってくるくらいですからね………(苦笑)」とヘクトール。
「…………『大王プリアモス』も『ヘレネの事件』を見る限りあなたより『パリス王子』の方が可愛くて仕方ないようですしね………ヘクトール王子がいなければ『トロイア人』はとうの昔に『テュポーンの奴隷』にされてたというのにひどい扱いですね………(同情)」とペリクレス。
「ははは、『アテナイの守護神』と呼ばれる貴方と同じですよ。お互い苦労しますな………おっと、噂をすれば本人が来たようですね………」とヘクトール。
そういって立ち上がると、ヘクトールとペリクレスたちアテナイ人捕虜の前に『飾り毛がついた兜』を被った『軍人』と『老人の神官』が近づいてきた。『軍人』の方は『金が上からかぶせられた青銅鎧』を装備している『トロイア領リュキア地方の王サルペドーン』、そして『神官』の方は『トロイア領キラの街のアポロン神殿に仕える神官ブリセウス』だった。
この時『ブリセウス』の方は『上機嫌』でヘクトールに挨拶して、
「今回の『戦勝』を『戦利をもたらすアテナ』と『イデ山の主人アポロン』、そして『兵士に死をもたらすアレス』に感謝いたしましょうヘクトール王子殿下! この『レスボスの街』はもともと『トロイア領』だったのを『アカイア帝国』が力づくで奪い取り、『テュポーンの侵略』の『どさくさ』に紛れて『アテナイ人』が『不法占拠』していたのです! それをやっと取り返すことができたのですから今日は『祝日』にしなければなりませんな! 今夜は盛大に飲み明かしましょうぞ!(ウキウキ)』とブリセウス。
「ヘクトール王子、今晩の『宴会』では『ブリセイス殿』が『歌と踊り』を披露してくれるそうだ。あなたは『アンドロマケ姫』以外の女に興味はないようだが、そろそろ『側室』の一人も迎えたらどうだ? 子供は多いに越したことはないぞ? ………そんな『見苦しい敗残兵』になど構わずにあなたはもうちょっと『美女』に関心を持て」とサルペドン。
そういってサルペドーンはペリクレスたちに『侮蔑の視線』を投げるが、アテナイ人たちはうなだれるだけでペリクレスだけは『肩をすくめて』みせていた。するとヘクトールが『いつもの10倍くらい渋い顔』になってから、
「…………サルペドーンよ。そなたは『リュキアの王』だが私は『大王プリアモスの嫡男』、しかも私は今回『父』からそなたらに対する『命令権』を与えられている。またブリセウス殿も『アポローン』に仕える身とはいえ『父の家臣』であることは同じ………なら私の『命令』を聞いてほしい………我らは休憩を終え次第『イーリオン』に帰るぞ」とヘクトール。
ヘクトールの話は『唐突』だったが、対する『リュキア王サルペドーン』の方は『最初の10語』を聞いたあたりから『急激』に『眉毛』の角度を『釣り上げて』いき、最後まで聞く前に『怒りで顔を真っ赤』に変化させていた。
そしてヘクトールが言葉を切った刹那『怒鳴り始めた』んだ。
「一体突然何を言い出すんだ貴様は!? まずは理由を話せ理由を! なぜ我らは『レスボス』だけ手に入れて帰国せねばならんのだ!?」とサルペドーン。
「ちょ、『エウロペーの子 (サルペドン)』よ、王子殿下に対して『貴様』呼ばわりはさすがに………(焦り)」とブリセウス。
ちなみに『リュキア王サルペドン』も『ゼウスの息子』かつ『豪傑』で名の通った人で、顔も傷だらけだし身長もヘクトールより10センチくらい小さいくらいの『巨漢』だ。しかも腰にはいつでも抜ける『牛の首もぶった切れる太刀』がぶら下がっているんだがヘクトールは動じずにできる限り『落ち着いた調子』で繰り返したんだ。
「『ゼウスとエウロペーの息子サルペドン』よ聞いてくれ。確かに『レスボスの街』はもともと『トロイア人の領土』だったのだから、それを『奪い返す』のは我らの方に『正義』がある。しかしそなたらが『次に攻めよう』と考えていた『キオス(アテナイの植民地)』や『サモス(同じく植民地)』、または『アイギナ(ここも植民地)』や『エウボイア(もちろん植民地)』は『歴史上』一度も『トロイア人の領土』になったことはない。ゆえにこれらの地域に『侵略』することは『正義の女神』の怒りを買うことになる………それに今ならまだ『アテナイ人』と『同盟』を結べるかもしれない。我ら『人類』は皆『大魔王テュポーン』に苦しめられているのだから、『同族殺し』などすぐにやめ、全人類が一致団結して『テュポーン』と戦うべきだと思わないか? そのためにもあの『捕虜』たちも『何の条件も付けず』に『帰国』させるべきだ………」
でもそこでサルペドンはヘクトールの胸ぐらをつかみ上げた。さすがは『豪傑』だけあってヘクトールの足が地面から浮き上がったが、ヘクトールは全然苦しそうではなかった。サルペドンは下からヘクトールを『睨み上げて』、
「………ヘクトールよ、貴様は忘れたのか? 我らは『主君プリアモス王』から『どんな命令』を受けて『アテナイ人』と戦争を始めたんだ? 『『ラウレイオン銀山』と『パンガイオン金山』を『テュポーン』に奪われる前に我らが『保護』せよ』…………確かにそうだったよな? 一体その命令をどう解釈したら『両鉱山から遠く離れたレスボスの街だけ奪ってアテナイ人と和平を結べ』になるんだ!? 貴様はいつから『プリアモス王』より偉くなった!? 俺は今までさんざん貴様に忠告してきたぞヘクトール! 貴様はいつもそうやって『ワンマン経営者』を気取ってなんでも自分一人で決め、周囲の人間を『力づく』でも従わせようとする『悪い癖』がある! 少しは『周囲の人間と相談してから決める』ということを学べ! その『悪癖』を直さない限り『父王も家臣』もお前を『次の王』とは認めんぞ!」とサルペドーン。
するとヘクトールはまたも『深い深いため息』を………サルペドーンに『胸ぐらをつかんで持ち上げられている』にもかかわらず吐いてから、
「…………そなたがそういう風に返事することはわかり切っていたし、『相談』したところで私の『説得』に『聞く耳』を持ってくれたのか?」とヘクトール。
「持つわけないだろ(呆れ)。そもそも今回の『戦争』の『原因』も『アテナイ人』の側にある! 我ら『トロイア人』が散々『やめろ』と警告したにもかかわらず奴らは『目先の利益』に目がくらんで『大魔王軍』に『武器』や『薬』を売ってるんだぞ!? その『武器』でいったいどれだけの『トロイア人』が殺さたり奴隷にされたと思っているんだ!? しかも『アテナイ人』どもは『大魔王軍』が手に入れた『奴隷』を大喜びで高額で買い取って世界中に『転売』してすらいる! あんな『強欲で悪辣な商人の国』は『人類の裏切り者』として即刻『壊滅させる』のが『正義』だ! そんな『人間の屑』どもと『和平』など結んだらもっと調子に乗るだけだろうが! ヘクトール、もしや貴様も『ラードーン』の『呪い』で『頭がおかしくなって』しまったんじゃないか!? 今すぐ頭を割って『解呪』してやろうか!? ああ!? 私に罵倒されたくなかったら腐った脳みそを入れ替えろ糞王子殿下が! ペッ!」とサルペドーン。
彼はそういって怒りに任せてヘクトールの顔に『唾』まで吐きかけたらしい。ペリクレスが思わず『ニヤニヤ』して、
「…………私も本国では『政敵』から同じような仕打ちを受けてますよ、お仲間ですな(ニヤニヤ)」とペリクレス。
「…………た、確かにサルペドン王はちょっと『ぶしつけ』ですが、私もヘクトール王子には反対ですぞ………(汗)」とブリセウス。
「はは、だから言ったでしょう? 『五人目の英雄』なんて『むなしい称号』ですとな(皮肉)」とヘクトール。
………ああ、ちなみに俺に『トロイア人』のことを教えてくれたのはもちろん『アタランテ』だぜ。あいつは『しがない農民の娘』だが『トロイア人』だけじゃなく『スキュレー軍』の動きとかも耳に入ってたそうだ。しかも『レスボスの町』で『サルペドーンがヘクトールを罵倒してた』って『噂』までながれてたらしくてな。
「…………『プリアモスの子ヘクトール』はとんでもなく強くて『一騎当千』の英雄だけど、『サルペドーン王』が統治してる『リュキア』の国も『優れた戦士を生み出す土地』らしくて、『トロイア軍』には欠かせない人たちらしいわね。あとサルペドーン王は『ゼウス』が『シドンって国のエウロパ(エウロペ)王女』を誘拐して産ませた子供らしいわよ。『トロイア』には『サルペドーン王』のほかにも『ゼウスの息子や孫』がいっぱいてみんな『英雄豪傑』らしいわね。そんなとんでもない人たちが大軍で『アテナイ』に攻めてくるって考えるとすごいわよね~サインとかもらえないかしら??」とアタランテ。
「おまえちょっと『他人事』すぎるだろ、ちょっとはビビれよ(呆れ)」と俺。
まあビビったところで何もできねーんだけど俺らはな。さてさて、まだ『コドロスの料理教室』も終わってねーけど、長くなったから今回はここまでな~。




