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ナナ9
ナナ9
夕方、美奈子はシェリーに相談した。
そして、夫のこと、義母のこと、娘のことなど過去のことを話した。
いままで黙っていたことを詫びた。
シェリーはじっと聞いていた。
「美奈子、分かった。あとは私に任して。あんたは立派な子を産みな」
「でも……」美奈子は泣きながら俯いた。
「その子は私たちで育てよう。旦那には私が話をつけてくる。心配するな」
シェリーは言い切った。
そして、シェリーはどこかに電話して、店を出て行った。
帰ってきたのは、店を閉める午前0時頃だった。
「大丈夫だ。美奈子は何も心配しないでここを自分の家だと思ってこれからも過ごしてね。その子も私たちの子だよ」
それ以上は何も言わなかったし、美奈子も聞けなかった。
これでいいんだ。
シェリーを信じてこの子を育てようと誓った。
そして生まれた女の子に「ナナ」とシェリーが名付けてくれた。
ラッキーセブンということと、響きがいいとシェリーは言った。
美奈子もその名前を気に入った。
ナナという素敵な名前に比べて『ウメ』のことを思うと切なかった。