ナナ8
ナナ8
二階の部屋は4部屋あった。
好きな部屋を使っていいとのことなので、一番奥の部屋を使わせてもらうことにした。
そして、朝は8時に起きる。
そこでの仕事は夕方5時からの営業に向けて、午前中に仕入れのため買い出しに行き、午後から、掃除をし料理の仕込みをする。
夕方5時前に店を開けて、客が来たら、お酒を提供し、お客の話し相手になる。
そして、午前0時にお店を閉めて、掃除をし、明日の準備をする。
だいたい寝るのは午前2時頃になる。
一人その頃になると、ウメはどうしているだろうかと思い出す。
自然と涙が落ちてくる。
悲しい思いをせず、無事に育っているだろうか。
店に来る客はだいたいが常連だった。
ひと月もすると、美奈子は客とも仲良くなった。
美奈子は自分にはこの仕事が合っている、天性の仕事っていうのはあるんだと思った。
シェリーは美奈子に対して、とても優しく接してくれた。
美奈子は本当の母親のような気がしてきた。
この店で働いてから、ひと月が過ぎたころだ。
お店を閉めて、掃除をしているとき、急に吐き気がした。
トイレに駆け込んだ。
このようなことがここ数日、毎日続いている。
もしかしたらと思い、翌朝、妊娠検査薬を買ってきた。
お店に戻り、すぐに調べてみた。
『陽性』だった。
美奈子は愕然とした。
夫との子だ。
しかし、夫には離婚届を置いてきてしまったし、ここにいることも知らない。
怒って離婚届を出しただろう。
いまさら、子供が出来たので認知してくださいとも言えない