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ナナ7
ナナ7
美奈子は女性についていった。
新宿西口の飲み屋街にあるバーだった。
スナックというから、古いお店を想像していたが違った。
おしゃれな外観で女性でも一人で入れそうな店だった。
カウンターだけあり、清潔感があり、空気も澄んでいる気がした。
美奈子は一目でこの店が気に入った。
「あんた、二階で寝泊まりしていいよ。そういえば、名前を聞いてなかったね」
「美奈子と言います。よろしくお願いします」
「美奈子か。いい名前だ。私のことはシェリーって呼んで」
この女性の本名ではないのは明らかだが、そう呼ばれているのか。
「なんで、私が会ったばかりのあんたのこと世話するんだろうって思ってる?」
顔に疑問符が見えたのだろう。
シェリーは続けて言った。
「だいたい、一目見ればどんな人が私には分かるんだ。美奈子は心がいいやつだ。それと困っているんだろう」
美奈子は頷いた。
「それにあんた美人だから、ここで働いたら客も増えるだろう」
そう言って、どうだっていう感じで笑った。