ナナ21 最終話
ナナ21
あれから一か月が経った。
美奈子は北海道に留まって、光雄の農家を手伝っている。
光雄からとうもろこしを収穫するため人手が足りないと言われ手伝うことになった。
美奈子は、涼子が自分の実の娘でナナと姉妹だったことに、これはシェリーさんからの贈り物だと思った。
光雄のことも忘れたことはなかった。
昔と変わらず、美奈子にとても優しく接してくれる。
その日はとうもろこしを一緒に収穫していた。
とても快晴で気持ちがいい。
美奈子は思い切って光雄に言った。
「私たち、再婚出来ないかな?」
光雄は収穫している手を止めて、笑顔で美奈子を見た。
「俺たちまだ夫婦だよ」
美奈子は光雄の言っている意味が分からなかった。
「あの離婚届は役所に出してないよ。シェリーさんが俺の所に来た時に、シェリーさんがビリビリに破ったんだ。その時、俺もそれでよかったと思ったよ」
「え‥!そんなことあったの‥」
美奈子は思いもしなかった出来事に驚くとともに、空を見上げてシェリーさんに手を合わせた。
「来月、娘たちがこっちに来た時に話そう。驚かせようよ」
光雄が美奈子にいたずらっ子のように笑いながら言った。
美奈子も笑いながらうなづいた。
涼子とナナはお店の開店準備をしていた。
「まさか涼子が私のお姉ちゃんだとはね」
「ナナが私の妹だとはね」
「涼子のこと、お姉ちゃんって呼ぼうかな、なんてねー」
「姉のことをからかうんじゃないの(笑)」
二人は同じ話を何度も繰り返しては笑い合っている。
「そういえば、あの二人どうなったかな」
涼子がテーブルを拭きながら呟いた。
「二人ともお互いが嫌いで別れたんじゃないからね。うまくいってるよ」
ナナは今日出す惣菜を作りながらそれに応えた。
「そうだよね。来月、二人に会った時、後押ししようよ」
「そうしよう。私の実家も北海道にしよう!涼子の実家を私の実家にね!」
ナナは涼子に抱きついて力強く言った。
涼子も負けないくらい力強く抱き返した。
完