ナナ19
ナナ19
取った野菜で夕食の準備を三人で始めた。
「涼子のお父さんは何が食事で好きなものは何かな?私が作るよ」
美奈子は野菜を洗い始めた。
「お父さんは、コロッケが大好物なんだ」
「私の得意な料理だ。良かった」
美奈子は張り切り始めた。
「涼子、お父さん、もうすぐ帰って来るよ。ワシは今日は帰るで」
ケンは靴を履き上着を羽織った。
「えー、一緒にコロッケ食べようよ」
涼子は呼び止めた。
「今日は娘が里帰りしとんよ。また今度な」
ケンは車に乗って帰ってしまった。
美奈子はコロッケと味噌汁、新鮮な野菜のサラダなど作ってテーブルにセットした。
「美奈子さん、美味しそう。お父さん喜ぶよ」
「そう、お口に合うといいんだけど」
「私のお口には合うんだけど、どうかなぁ?」
ナナは冷やかし、つまみ食いをした。
「大丈夫。最高に美味しい!」
ナナは美奈子の料理が上手なのは知っているが、今日はいままでで一番美味しいかもと思った。
車が着いた音がした。
「ただいま!涼子、いるか」
喜ぶ声がした。
涼子が小走りで玄関に迎えに行った
美奈子とナナは挨拶をするため、椅子から立ち上がって待った。
リビングのドアが開くと同時に、美奈子とナナは深々とお辞儀をしながら「おじゃましてます」と挨拶をした。
二人が顔を上げると、涼子のお父さんは頭を下げていた。
「涼子が東京で大変お世話になりありがとうございます。いつも娘から話を聞いて‥」
そう言いながら顔を上げた。
美奈子は顔を見て腰を抜かしそうになった。
涼子の父もその後の言葉がでてこない。
二人とも固まってしまっている。
涼子とナナは何があったのかと頭が混乱した。