ナナ18
ナナ18
涼子たちは、二階に上がった。
「美奈子さん、ナナ、ここの部屋を自由に使ってね」
その部屋は二間続きでザッと二十畳くらいはあるだろうか。
「こんなに広い部屋いいの?ありがとう、涼子」
美奈子が驚いた。
「私の部屋があるけど、私もこっちの部屋で寝るね。三人で寝ようよ」
涼子は美奈子とナナにねだるように言った。
「いいね!涼子は甘えん坊だな」
ナナは笑った。
それから、畑に三人で行き、今日の夕飯の野菜を取りに行った。
トマト、ピーマン、カボチャ、とうもろこし、玉ねぎ、アスパラガス、きゅうりなど取った。
涼子はきゅうりを取って軽く拭いてナナに渡した。
「ナナ、きゅうり苦手だったよね。このきゅうりを食べてみて」
「いや、私はいいよ。きゅうりは食べれないよ」
「騙されたと思って、少しだけうちのきゅうり食べてみて」
涼子はナナの手に強引に握らせた。
ナナは仕方なく少しかじってみた。
「何、これ!きゅうりじゃない!甘い!」
「そうでしょ。取り立てのきゅうりは甘いんだよ」
「うわー、感激」
ナナは一本全部食べた。
美奈子はトマトが苦手だった。
「美奈子さんはこのトマトを食べてみて」
「私は絶対ダメだよ。美味しいって思ったことは生まれてからないよ」
涼子は美奈子にも強引に手渡した。
「もし美味しくなかったら、何でも言うこと聞くから」
涼子は自信を持っていた。
「分かった。何でも言うこと聞くんだね」
笑いながら、ガブリと一口食べた。
「うわー、甘い!こんなの食べたことないよ!」
「でしょ。取り立ての野菜ってみんな甘いんだよ」
涼子は得意顔だ。
「涼子はこれを食べて育ったんだね」
ナナは羨ましいと思った。