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ナナ15
ナナ15
涼子の父は涼子が幼いころからここで農家をしている。
以前は東京にいたことがあったそうだが、叔父が亡くなり農家を継ぐ人がいなく、涼子の父が継ぐことになったそうだ。
それからおよそ20年が経った。
こちらに来た頃は慣れない仕事に苦労をしたそうだが、いまでは農家事業も順調に軌道に乗って、町内会の会長もしており、このあたりではちょっとした顔役でもある。
涼子の母親は、涼子を産んですぐに亡くなったと父から聞いている。
だから、顔も覚えていない。
しかし、涼子は父親から愛情をたくさん受けて育てられたので、寂しい思いはしなかった。