11/21
ナナ11
ナナ11
葬儀は、美奈子とナナ、それと常連の客が数人来た。
その中に三枝もいた。
式が終わり、店に戻った。
そういえば、この店はシェリーさんの名義だが、この先どうなるのだろう。
シェリーさんには親族もいなかった。
継ぐ人もいない場合はどうなるのだろう。
私たちは出て行かないといけないのか。
でも、いまさら幼子を連れて、どこに行ったらいいのだろう。
そんなことをぼんやりと考えていた時、店のドアが開いた。
三枝だった。
「美奈子ちゃん、シェリーさんから預かっていたものがあるんだ。私が何かあったら美奈子ちゃんに渡してくれと言われていた」
封筒を開けて中に入っていたのは、遺言書だった。
『すべての財産を美奈子に遺贈する』
美奈子は目を丸くした。
そして大声で泣いた。
シェリーさんの真の愛情がここにあった。
「自分にもし何かあったら美奈子ちゃんが困るだろうからとずっと前から預けられていたんだ」
三枝も泣いていた。
「これからもこの店を守ってくれな」
美奈子は三枝の言葉にうなずいた。