ナナ10
ナナ10
シェリーはナナのことを自分の孫のように可愛がった。
「この子は優しくて美人になるね。本当に嬉しいわ」
いつもシェリーは何回も言った。
客にも自慢げにナナのことを見せた。
「私には親も夫も子供もいない。だけど神様が真の家族をくれた。美奈子とナナは私の娘と孫だ。晩年になって本当の幸せを感じている。美奈子ありがとう」
お酒を飲むとシェリーは美奈子に優しい眼差しで言う。
「私こそありがとうね。シェリーさんは私のお母さんだよ」
美奈子は心からそう言った。
美奈子は毎日が張りがあり、シェリーとナナとの生活に心底幸せを感じていた。
ナナが二歳になったある日、美奈子は買出しから戻って一階で仕込みの準備をしていた。
買出しに行っている間はナナはシェリーが見ている。
いつもは仕込みをしているとシェリーが二階から降りてくる。
今日は降りて来ない。
美奈子は二階に向かって声を出した。
「シェリーさん、仕込み終わったよ」
返事がない。
美奈子は二階に上がった。
シェリーとナナは一緒になって寝ていた。
シェリーに毛布をかけようとした時、美奈子はシェリーが口から泡を吹いているのに気がついた。
「シェリーさん!」
シェリーは微動だにしない。
ナナが起きて泣き始めた。
すぐに救急車を呼んだが、すでに亡くなっていた。
急性心筋梗塞だった。
義母と同じだ。
あの時のバチが当たったのか。
美奈子は呆然とした。