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4. 熊族

あれから宿屋に移動すると、久しぶりのベッドにダイブした。

葉で出来たあれもなかなか良かったが、慣れ親しんだもののほうが安心感があるのだ。

暫く堪能しているとシャワーを終えたグレアムがバスタオルで乱雑に髪を乾かしながらベッドに腰掛ける。

その姿を見届けてから気になっていたことを聞いてみることにした。


「ねえ、グレアムが熊族だとしたら人種との番の印って本当はすごく不味い事なんじゃないの?」


「なんでだ。」


「だって王の盾と矛を担う存在なんでしょ。種で最強だからこそ任されているって聞いたことがある。」


「まぁそうだが、任されるのは番を見つけてからの話。番が居なけりゃ人種の密猟者にすら捕まるからな。」


「それはそうかもしれないけど…。強い種を残し続けるための仕来りで熊族は熊族としか番を作らないってのは有名な話だよ。」


「あぁ、それが嫌で逃げた。」


「え!?それで密猟者に?」


「お陰で番が見つかったから問題ない。」


「だから私は…!」


「言っただろ。番の印は一生だ。もう諦めろ。」


いつの間にかベッドに組み敷かれるような体制になっていたことについ先日まで子供だったとは思えないとある意味感心しながら彼を見上げると真剣な表情のまま何か言いたげにしている。


「どうしたの?」


「…いつになったら…。」


揺れる瞳に少し心配になっていると遮るように大きな音を立てて開いた扉。

入ってきたのはグレアムと同じ、丸い耳と尻尾を持つ筋骨隆々な男性で彼を見るなり目を見開いた。


「グレアム様、ここに居たのですか!」


「アンフィムか。邪魔するなら喰うぞ。」


「番の居ない貴方が何故成人に…?まさかこの人種と番に!?お父上がなんとおっしゃるか…。」


「親父の事は興味ない。それより何の用だ?」


「王命によりすぐに登城するようにとのことです。」


「…王命、面倒だな。」


「面倒ではありません!我々熊族にとって陛下という存在がどれほど…。」


「興味ない。」


「グレアム、王様の命令なら行かないとだめだよ。私はここに居るし。」


「何を言っている?行くとしたらお前も一緒に決まってるだろ。」


当然のようにそう言った彼は仕方ないとでも言うように荷物をまとめ始める。

ベッドに寝転んでいた私を軽々と抱き上げ、アンフィムと呼んでいた彼に案内されるまま歩き始めた。

何度も下ろしてほしいと頼んだが、その度に却下され。

町外れに出ると人一人と荷物が置けるくらいのコーチが準備されている。

何これと考えていると、グレアムに座らされ。

自らの体にコーチから伸びる紐を括り付けるとその姿が巨大な熊へと変わっていった。

地面に前足を突き、4本足に変わるとすごい速さで走り始める。

そういえば熊って意外と走るの早いんだっけ。

駆け抜ける景色を眺めながらそんなことを考えるのだった。

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