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セカサイ

別に自分から言った訳じゃない

人が勝手に言い始めた 「最強」って

僕は始めは向かってくる奴は全部相手にしていたがそれも数十年、ほぼ毎日相手にしてたら、だんだんめんどさくなり、森に籠ったがどこからか噂が広まって森にまで攻めてくる始末 僕はその相手をほとんど使い魔に任せていた

が、それも今は昔、若気の至りか色んな魔法やら身体強化を試し過ぎた結果年齢不明、数えるのも忘れるくらい年月が経っていると思う

とはいえ、不老ではあるが不死とまではいかないが「命の延長」というスキルの影響で大分、長生きしている

最近は森にいても襲撃はなく、のんびりと穏やかな日々を過ごしていた

 そんなある日

人が大勢攻めて来るのを感知したと同時に魔法が飛んできた

···

「炎崩!」

家と半径数メートルが炎に包まれた···はずだった

確かに森は一部焼けたが家は無傷

「嘘 なんで」

「どうする?」

「構わん 突撃!」

「はあ、久しぶりに天気がいいと思ったら、また大勢で..どうしますマスター?」

「とりあえず、放っておいていいだろう」

「そうですね、仕掛だけで退散してくれるといいのだけど」

···

「おい、こいつなんだよ ゴーレムの類いの何かか?」

「まあ、普通に考えて防犯魔法みたいな感じだろう」

(なんだ、古式の魔法ばかりだ なら近代術でなら)

「溶炎! 破崩!」

一瞬でさっきまで囲んでいた、ゴーレムのような防兵はすべて消え去った

だが、こちらの戦力も半分以下まで落ちていた

「おや、おや、思ったより頑張りますね」

「今日は当たりかな」

「それでは、私が行って掃除して来ます」

そう言うと目の前から使い魔が消えた

···

「よし、戦力になるものだけ行くぞ」

家までもう少しの所に人影が

「おい、あんた そこにいるとケガするからさっさと帰れ」

忠告をするも、動こうとしない

「··はあ、やっといいお天気だっていうのに、まあ空気が読めない人たち」

そうぼやきながらこちらに小柄な女性が向かってくる

はっきりと認識できたと同時に半数が倒れた

誰も気づかない 恐怖に怯え、数人を残して全員逃げていった

「お前が世界最強か?」

「まさか、私を世界最強なんて まあ、私で怯えて帰って下さるとありがたいのですが」

「雷槍」

不意打ちで雷の槍が使い魔を目がけて飛んでくる

「はあ、低次元過ぎて本気を出す気にもならない」

木製の槍を受け止めるように素手でしかも片手でダメージ受けた様子もなく、雷槍を掴んで砕いた

「!」

「雷槍をノーダメージで破壊って」

「ロック」

次の行動に移ろうと体を動かそうとして体が動かない

使い魔は近代魔法に一部耐性を持っていないものもあり、それに当たってしまった

魔法が上手く効いたことに気をよくしたのか、一気に使い魔に襲いかかろうと攻めてきた

が、そこは使い魔の姿もなく、森もない、あまりにも一瞬のこと過ぎて頭で処理できず混乱する

ようやく、処理が追いつくとここが市街地だと気づく

あとで知ったことだが、この街はあの森から星半周も離れていた

「申し訳ありません マスターのお手を煩わせてしまいました」

「しょうがない あっちは近代魔法だ そういう時もある」

「はい ありがとうございます ところでマスターは何を読んでいらっしゃるんですか?」

「昔、異世界から来た騎士からもらった本だ」

「そう言えば、その影響で一時期、異世界を調べていましたね」

「ああ、そろそろあの計画を実行しようと思う」

「それで、どちらに?」

「地球の日本って所だ 騎士のふるさとらしい」

「では、準備しましょうか」

「そうだな 色々持って行かないともう、ここには戻って来ないつもりだから」

「どこでもお供いたします」

と決めたものの、準備だけで数年かかってしまった

まあ、数年なんて僕にとっては一瞬のようだったけど

念には念を入れてこの魔法が伝わらないように何重にも仕掛を施す

「さて、そろそろ行こうか」

「はい」

魔方陣が光を放ち、二人はその光に包まれた瞬間、姿を消した

同時に森にあった家も一瞬で消えた

その日を境に「最強」と呼ばれた騎士は伝説となり、近代魔法がさらに進み、そしていつしか魔法さえも消えていった

そんな世界に別れを告げ、地球の日本に向かった



 東京 深夜 

目の前に見慣れない服を着た二人が立っていた

「@#×+¥☆*」

「※*¥%$@&」

何を言ってるかわからない二人に街の不良が襲いかかる

一瞬で不良は気絶した

「以外とあっさり倒せたな」

「こんなに弱くて不良なんて...そう言えば、いつの間に日本語を?」

「タイムラグだ、こっちに着いたら言語変換するようにしておいたがそれより先にこの世界の不良と出くわすなんてな」

「そうですね、私はいつまで存在できるのでしょうか?ここには魔力も無さそうですし」

「こっちで数週間は大丈夫だろう、だが色々やらないといけないが、まずは家だな」


 次の日

まずは家とも思ったが、それよりも服をどうにかしないといけない

この格好、明るいとこでみるとどこの民族だと思われる服装だった

まあ、この格好だったら襲いかかってくるのも納得した

まずは、換金だ 金ならあの家から出なかったこともあって大量に余っていた

さすがにあの量を質屋に持ってたら迷惑だろう、僕はその三分の一を換金したが

結果は予想より多くて別空間にとりあえず閉まっておいた

そのお金で二人の服を買って部屋を探しに向かった

「慣れるまで時間がかかりそうです」

「そうだな 家も良さそうな所も見つけたけど、そこの不動産屋を探しているんだが...ビルばかりで」

僕が昔住んでいた街でもこんな高い建物はなく、少しめまいがしてきた

ようやく、見つけた頃には死にかけた

そうそう、死なないはずの僕が..

「ふらふらだけど、大丈夫かい?」

「こんな、高い建物初めてで」

「それで、この家でいいんだね」

「はい、即入居できますか?」

「構わないけど、お金はあるのかい」

「それは問題ないです。」

お金を払い、家の鍵をもらい、家に向かった

見た目もそうだが、中もボロボロだった

魔力の残りも考えながら、とりあえず必要最低限、住める程度に修復した

外とかもろもろは明日にしよう

僕は倒れるように眠った


次の日

まずは魔力炉の製作を始めた

魔力がないと僕は困らないが、使い魔の実体維持出来なくなってしまう

炉を作るのは簡単だが、魔力をどうやって外に出ても繋がりを保てるか

元の世界では空気も魔力の一部だったため、炉は必要なかった

悩んでいてもしょうがないので情報収集のために本屋に行くことにした

異世界の騎士がくれた本があるかも含めて

(ケータイ、通信機器、電波...わからん)

一応、日本の知識をある程度、頭に入れておいたがわからないことだらけで、その事を絵と説明で分かりやすい本と異世界系の小説と本の続きをとりあえず購入して、家に戻ると、外も中もきれいになっていた

「お帰りなさいませ、マスター」

「わりと早く片付いたな」

「昨日、マスターが半分くらいやってくれましたので早く済みました」

「ご苦労様」

「いえ、マスターまたいっぱい本買ってきましたね、異世界ものってこんなにあるんですね」

「これから読むぞと思ったが色々と手続きして来ないといけないな」

「それなら、私にお任せを マスターはゆっくり本でも読んでいてください」

「そうか じゃあ任せるぞ」

「はい」

その時はすっかり忘れていた、家にいるか僕と一緒ならまだ良いが離れてしまうと魔力が急激に減ることを

「すいません、マスター」

「僕もすっかり忘れてた」

「危うく、消えるとこでした」

それからしばらく、方法が見つかるまで一緒に行動することした

それから、数週間

ようやく、ブレスレット型の魔力中継機ができた

最初はスマホの中に組み込もうと思ったが、中が複雑すぎて断念した

これのおかげで使い魔も自由に動ける、僕は読書で1日が終わる生活でこっちではニートっていうらしい

元の世界では歩いてるだけで狙われるため、家の回りを運動を兼ねて散歩する事は森に住んでからでその癖が抜けず、今日も異世界系読破中

「異世界人が異世界ものを読んでるって不思議な話ですね」

使い魔が後ろから近づいて、そう呟いた

「ここの異世界系は色々、参考になるし、創作意欲がわく」

「良いことですが、そろそろ外を歩き回って良いと思いますよ もう別の世界ですし」

「そうだね、明日から出かけるか」

「そんなマスターが喜ぶ広告を見つけてきました」

使い魔から渡された広告に古本市が開催されると記載されていた

古本市は古書や掘り出し物もあるようだ

「喜んでもらえてなによりです」

使い魔は嬉しそうにしていた、そうだ、もう何しても狙われることはない

久しぶりにわくわくしてきた


次の日

駅前には本や骨董やその他、たくさんの物が並んでいた

そんな中で目を引いた本があった

[とある異世界の騎士物語]

手に取り読み進めていくとなぜか懐かしさを感じた

作者は朝倉騎神(アサクラキシン)どこか聞いてあるような‥

「お客様、その本に興味ありますか?」

本の山からひょこっと顔だして、少女が聞いてきた

「読んでて懐かしさを感じてね、君が書いたの?」

「いえ、これはおじいちゃんが書いたもので、でもなかなか理解されなくて、ここで売ってるんです おじいちゃんは異世界行って帰ってきたんだって」

まさか、あいつがそうか、ちゃんと帰れたんだ

「どうかしましたか?」

「いや、知り合いに似た人がいてね」

「あ、そうだ この本に興味を持って、懐かしいと思った人がもし、いればこの手紙を渡してって」

棚から古びた手紙を取り出して持って渡してきた

確証はなかったがおそるおそる、手紙を受け取って中を読んでみると

[君がこの手紙を受け取っていることを願いつつ、この手紙を書く あのあと色々あったがとある魔法使いに元の世界に返してくれたんだ 浦島太郎って話があってその気持ちがわかった 戻ったはいいが時間が進んでいて慣れるのに数年以上かかって気づけば、もう歳とっていて孫もできて、寿命も近くなって まあでも、あっという間ではあったけど、異世界も日本も俺には大事な故郷だ 君にもう一度会いたかったなぁ 会えることに期待して また会いましょう  朝倉騎神( )]

()には間違いなくあの騎士の名前が元の世界の文字が書いてあった

間違いなく、あの騎士だった 帰れたんだ、良かった

「今、おじいちゃんは?」

「生きてますよ 多分」

「多分って」

「最近、会ってなくて」

「そうなんだ」

うーん 会いに行くにも魔法使うのはなぁ

(どう思う?)

(気づかない程度なら私は問題ないかと)

気づかれない程度って難しいがやって見るか、彼女には悪いが

[思念投影]

なるほど、ここから遠いな

「どうかしました?」

「いや、なんでもない この本一冊貰うよ」

「ありがとうございます」

本を購入してほかの店舗も回って数十冊以上購入しているともう夕方になっていた

使い魔との待ち合わせ場所に向かった

「お目当てのものはありました?」

「うん 懐かしいものも見つけたし、今からあいつに会いに行こうと思う」

「今日は魔力大放出ですね」

「今日だけな 行こうか」

「はい」

人目のつかない場所で転移魔法使ってあいつの家に向かった

田園風景が広がった場所に一軒だけ家があった

東京と違ってのだかで静かだ

「良い場所だな」

「ああ、そうだろ これが日本の風景だよ」

「久しぶりだな」

「本当に老けたな」

「ほっとけ 本当に来たんだな」

「あの毎日に疲れた だから日本に来た」

「ここにきたということはあの本を読んだんだな」

「うん ちょっと、魔法使ってしまった、彼女に悪いことした」

「大丈夫、気にするな」

「どうやって、帰った?」

「君の師匠のおかげだ」

「師匠にあったのか」

「うん 旅の途中で」

「君に言付けと渡すものがあった まずは師匠さんの話からだな」

「僕がこっちに来なかったらどうするつもりだった?」

「まあ、そのときはそのときだ」

彼は師匠の言付けを伝え始めた

(この言付けを聞いたということは、 と会ったということだな 君が私と別れてからのことは私の耳にも届いている 世界最強かぁ なんか私と同じだな 私も勝手に"災禍の魔女"と呼ばれていたからね 気持ちはわかる 君はやはり天才だった 魔法も剣術も やはり、私の見立ては正しかった もっと、君の行方を視ていたかったが難しそうだ だから、君がピンチになったときのお守り渡しておく 君が解放された世界で幸せでいることを願う)

「だそうだ」

「師匠らしいなぁ」

そして、彼からお守りを受け取った

「会いに来てくれてありがとう」

「うん またな」


 手を振りつつ、あいつは一瞬でその場から消えてしまった

もう、会うことはないだろう

心残りはない

ありがとう 異世界の魔導騎士


 


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