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案の定

「…眠れん。」


そりゃそうだ。こんなに可愛い女の子と同じ屋根の下で、しかも同じ部屋で寝ているのだ。

イケメンのリア充だったらまだしも、女性に耐性を持ってないヤツがグッスリ寝れる方がオカシイと思う。

なのに、アリシアと言えば。


「すぅ~、すぅ~」


思いっきり安心した顔で熟睡していた。自分が襲われないと思っているのだろうか?

それとも俺は男と思われていない!? くそっ! なら襲ってやろうか?



















…ウソです。そんなことする度胸が有るなら、こんな寂しい生活なんて送ってないんだよ!!

冗談はさておき、単に色んなことが有り過ぎて疲れて寝てしまったが正解だろう。

俺はモンモンとする気持ちを抑え、アリシアに背を向けて布団に包まるのだった。


・・・・


気が付くと朝だった。外では雀の鳴き声が聞こえていた。朝チュンである。

イヤ、何もしてないから正確には朝チュンでは無いのかもしれない。

結局モンモンとしたまま一睡も出来ずに朝になってしまった。


「…とりあえず朝飯でも作るか。」


アリシアはまだ寝ているみたいだ。

幸いなことに今日は土曜で仕事も休みだ。

起こさない様に気を付けながら、朝食作りを始めることにした。


食パンをオーブントースターで焼いている内に、フライパンで目玉焼きを焼いていく。

合わせて電気ケトルでお湯を沸かす。

焼けた目玉焼きを皿に乗せ、カッティングサラダを脇に盛る。

お湯はカップにコーンスープの素を入れて溶かす。

焼き上がった食パンを添えて朝食の完成だ。

まぁ簡単な物だが、独身男性が作る朝食なんてこんなもんだ。


「さて、そろそろアリシアを起こすとするか。」


そう思っていると、鼻をヒクヒクとさせてアリシアが目を覚ました。


「良い匂い…」


「アリシア、ちょうど朝飯が出来た所だ。

 あっちに洗面台が有るから、顔洗ったらこっちに来い。」


「ふあ~い。」


まだ半分寝ぼけているみたいだが、洗面台に向かって行った。

洗面台の使い方は、風呂場の蛇口と同じ作りだし、大丈夫だろう。


「ヨシカズさん、おはようございます。」


顔を洗って目が覚めたらしく、アリシアがしっかりとした挨拶をしてきた。


「おはよう。ほら、食べるぞ。」


「え? 朝も食べて良いの?」


「アリシアが食べなきゃ、この2人分の朝食を俺が食わなくちゃならんのだが、良いのか?」


「え? た、食べる~! やった~!! ヨシカズさんありがとう♪」


どうやら食べて良い物と分かったらしく、アリシアは喜んでいた。

2人で朝食を食べている。


「おいひいよぉ~!」


嬉しそうに食べているアリシアを見て、俺はほっこりとしている。


「アリシア、食べながらで良いから聞いてくれ。」


アリシアがリスみたいに口いっぱいに入れた状態でコクコクと頷いたので、話を進めることにした。


「今日はアリシアに必要な物を買いに行こうと思う。何か欲しい物とかって有るか?」


アリシアは、う~んって悩んでいる。


「わかんない。」


「正直俺も何が必要なのかわからん、とりあえず服と布団は買わないとな。

 後は行ってみて考えるとするか。」


「うん♪」


朝食が終わり、出かける準備をする。

アリシアは悪いがジャージとブカブカのスニーカーで行って貰うことにした。

着替えて歯を磨き…そうか、歯ブラシも買わないとな。

財布を持って出掛ける準備が出来たので出発することにした。


「ほれ、行くぞ。」


「は~い。」


家の鍵を閉め、出発するのだった。

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