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詐欺まがいと理由

今回、人によっては気分を害するかもしれませんのでご注意ください。

 「先輩はいつ帰るんですか」


 僕は朝食を配膳しながら尋ねた。


 ちなみにこの朝食は僕が作った。

 先輩が朝食も作ると自ら買って出たけれども、妹である瑠璃のアドバイスを生かすためにとった作戦である。

 料理も作戦も、会心の出来だ。まさしく勝者、僕だな。


 「さてね。いつ帰ることになるやら」


 僕は先輩の返答に勝利の余韻が吹き飛ぶほどの嫌な予感が走った。


 「今日には、帰るんですよね」

 「帰らないぞ」

 「一晩だけって約束じゃないですか」


 僕の必死の抗議に対し先輩はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


 「誰が、一晩だと言った」

 「中二病ニャンコ特大サイズをあげる代わりに一晩泊めてくれって言ってたじゃないですか」

 「何を言っているんだ。私が言ったのは『私を快く此処に置いてくれ』だ」

 「つまり、一晩泊めてくれって意味でしょう」

 「それは、曲解だな。私が言ったのはしばらくの間、一緒に住もうだ」


 なっ………。

 なんという、これはあれだ。

 

 「詐欺だ」

 「詐欺ではないよ。なんなら嫌だったら撤収してもいいが。もちろんそのぬいぐるみは返してもらうぞ」


 中二病ニャンコ特大サイズを返すだって。そんな横暴な。

 いや、違う。

 認めたくないが、悪いの確認しなかった僕だ。つまり、選ばないといけないのか。

 モラルとるか、中二病ニャンコ特大サイズえを取るか。


 「さて、聞いてほしいことがる。私が何故、君の家に泊まることにしたのかと言う理由だが」


 僕が本気で悩んでいると先輩が口を開いた。

 嫌な予感がする。それを聞いたら、決定的なそんな予感が。


 「まって、話さないで」

 「だが断る」


 先輩の断言に絶望した。


 「家出の理由だが、父上がまた縁談を持ってきたのだ」


 あぁ嫌な予感が強まった。それに家出って。


 「相手は20歳も年上のおっさんだ」


 なんだよ。20歳年上ってそれじゃあ親子じゃないか。


 「でだ。相手側は乗り気で仕方なく会うことになったのだ」


 乗り気って、色々とアウトだよ。


 「でだ、結婚は出来る年ではあるが、まだ未成年と言うことで母に同行してもらったのだ」


 あぁ。聞きたくない。


 「母の評価は未婚のはずなのに妙に思春期女子の扱いに慣れていて気持ち悪いだ」


 はい、でました。無理です。無血開城です。


 「家に帰って母とおじい様とで相談した結果、そういう経験があるのか或は隠し子が居るのではないかという結論になった」


 どっちだとしてもアウトだろう。


 「でだ。今回の事が事だけに父には反省してもらう事にした。つまり、父と君を除く皆に協力して今回の家出が実行されたわけだ」

 「えっと、一応聞きますが僕の家族には」

 「言ったぞ。そしたら快く許可を出してくれた」


 あぁ。それで妹が機嫌が悪そうだったのか。

 あいつ、ああいう手合いの話は嫌いだからな。


 「泊めるのは認めましょう。で、家に帰る条件は」

 「おぉ、泊めてくれるのか」


 業とらしい。これで泊めないとは言えないだろうに。

 僕はせめてもの仕返しにジト目を先輩に向けた。


 「家に帰る条件は、父が謝り、二度と私の結婚に関して口を出さないことが条件だ」

 「それは、可能なんですか?」


 あの人が自分の否を認めるだろうか。想像できない。


 「まぁ、君の言いたい事も解る。その為、おじい様が父に突きつける証拠を集めている最中だ」


 ならいけるのだろうか。

 これから、どうなるのかなんて解らない。

 しかし、先輩の味方をしたいと強く願う僕だった。

お読みいただきありがとうございました。

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