救援を求むが
今、先輩は僕の家お風呂に入っている。
なぜこんな事になっているのだろうか。正直言ってわからない。
だが、今がチャンスだ。助けをよぼう。
僕はスマホを取り出し妹の瑠璃へと電話する。
すると、3コールもしない間に電話がつながる。
『何』
ものすごいい不機嫌そうな声を出す妹。正直怖い
「あの、えーっと。助けてください」
『で』
ヤバい、色々とヤバい。
冷や汗が噴き出て、寒い。
『で何があった』
「あっはい。今回は、不法侵入と料理を振る舞われました」
『ふーん。で』
「で、とは何でしょうか」
『料理は』
「えっと………おいしかったですよ」
『何で食べてるのよ。おにぃちゃん!!!』
大声で怒鳴られビクッとなってしまった。
「ごめんなさい」
『迷惑だからやめてくれぐらいビシッと言わないと。出されたもの食べるなんて言語道断だよ』
「いや、ちゃんとビシッと言いましたよ」
『けど、食べた後にでしょ?』
妹の突っ込みに一瞬、言葉が詰まった。
『まぁいいわ。ちゃんとビシッと言ったんだよね』
「はい。そんな恰好は破廉恥だってビシッと言ってやりました」
『はい?。なんか今、おかしなことが聞こえたんだけど』
妹の声が一段と険しくなる。
「えっと、水着にエプロンという破廉恥な格好をしてたのでちゃんと注意しました」
『違うよね。そこは、もう付きまとうのは止めてくれっていう場面だよね』
やめて、これ以上責めないで。僕の豆腐メンタルが豆乳メンタルになっちゃう。
お兄ちゃん頑張ったんだよ。ちゃんと注意できたんだよ。
『はぁ。もう、くっついたら』
何もかも諦めたような声で妹から宣告される。
「えっと」
『だってさぁ。おにぃちゃんのポンコツぶりを聞いてるとさぁ。先輩におにぃちゃんの人生を任せた方がいい気がしてきて』
「あのぉ。このままだと僕、拉致監禁される未来が待ってる気がするのですが」
『騙されて、ぼろ雑巾みたいになるよりはましな気がするし』
「いえ、大丈夫です。自分で言うのもなんですが、しっかりしてますよ」
『妹に泣きついてくるのに』
それを言われると言葉が続かない。
『まぁいいわ。しっかりしてるのなら私の助けも要らないよね。だから私は先輩側につくわ』
「ま、まってください。嘘です。嘘です。お兄ちゃん見栄を張りました。だからそれだけは勘弁してください」
慌てて訂正をする。
冗談ではない、妹まであちら側につかれると四面楚歌になる。
『いやよ』
しかし妹は無慈悲にもそういうと電話を切ってしまった。
ぬぉぉぉぉぉぉ。何故こうなった。
この日、妹が敵の手に落ちたのだった。
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