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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ウィザードオーブ戦争
994/1718

#947 神盾イージスと仮面の悪魔

最初に動きがあったのは、メルたちだった。


「どうした? 私に勝つのではないのか? お前たちの攻撃は全く効いてないぞ?」


「むかつくな。こいつ」


「うん! 弱い癖に無敵なのがむかつく~」


「…生理的に無理」


ミライのきつい言葉を聞いてもフェル・ディアドは向かってくる。


「敵に何も言われても何とも思わん! 死ね!」


しかしここでレッカの準備が整った。


「「「「シンクホール!」」」」


『『『『グラビティ』』』』


「ぐぅ!?」


レッカの落とし穴にグラビティで強制的に落下させられる。


「この程度の落とし穴と重力では私は倒せん!」


「知っているよ。だからこうするのさ。ラージキャタラクト!」


俺が覚えていない海魔法をレッカが使う。すると落とし穴の上空に魔方陣が円状に展開され、そこからナイアガラの滝のような大瀑布の水が落とし穴に流れる。


「ぶは!? こんな…事を…しても…無駄だ!」


「それはどうだろうね?」


落とし穴の水位がどんどん上がっていく。やがてフェル・ディアドの首まで水位が上がる。


「溺れさせるつもりか! だが、甘いな! 私は泳ぎも得意」


『『『『グラビティ』』』』


フェル・ディアドは水中に強制的に沈まされる。いくら泳ぎが得意でもそれは通常の話だ。重力が掛かっている状態では沈むしかない。


「これなら呼吸出来ないだろ?」


「あなたは無敵になっても呼吸をする生物に変わりはない。これで詰みだよ」


俺はこいつの話を聞いた時にエーテルビーストを思い出した。どれだけ無敵になってもこれがゲームである以上、攻略法は必ずある。事前にフェルグスからフェル・ディアドに水中行動系のスキルが無いことを確認したことでこの攻略法が成立した。


フェル・ディアドは生命力を全損し、落とし穴に貯まった水面に浮かぶのだった。



その頃、ノワたちは奇襲作戦に移った。最初に仕掛けたのはぷよ助だ。


「ん? なんだあれ?」


「水玉?」


「違う! スライムだ! 撃ち落とせ!」


ぷよ助は分裂を使い、自分をウィザードオーブの部隊に投げ入れる。するとウィザードオーブの視線は当然上を向く。この隙をノワたちは待っていた。


奇襲は成功したが、敵がいる場所は森の外でいくつかの部隊が別々の所に分散しており、ノワたちは別れて戦っている。


ウィザードオーブの魔法使い部隊はこれに混乱する。その隙を見逃さず、銀たちと火影さんたちも参戦し、更に混乱を拡大させていく。


「おい! あの召喚獣たちはどこにいった!」


「知るかよ! 不意打ちなんてする奴らだ! 逃げ出したんだろう」


生憎ノワたちはそんなことはしない。引いたのならそれには理由がある。


『準備出来たの』


「「「「了解!」」」」


銀たちが一斉に引く。


「なんだ?」


「何故いなく…っ!?」


ウィザードオーブの賢者たちが空を見上げるとすぐに理解し、対処に動く。


「「黒雨」」


対処が遅れた部隊はこれで全滅する。ランパードで四方と天井を防ぐことで助かった部隊もこれをすると逃げ場がない。


「…ドラゴンアブソリュート。黒死病。ドラゴニックプリズン」


ノワはドラゴンアブソリュートで吸い取り、更に黒死病を蔓延させる。完全に余裕がなくなったところでドラゴニックプリズンを発動させて、敵部隊を吸いつくした。


「色欲!」


リビナも範囲技で地獄を作り出した。少し違うのがセフォネ。


「ブラッディクリエーション! 闇転移! よし…倒したな。血流操作! 血晶! 血竜」


セフォネはブラッディクリエーションで作ったセフォネたちを闇転移で内部に送り込み、敵がこれを倒すと血を内部に広がらせる。後はセフォネの独壇場だ。


「大地操作! 引力操作!」


ユウェルはランパードに剣山を作り出す。しかし地面に作った剣山は飛行で躱される。それをこれまでの戦闘で分かっていたユウェルは側面のランパードにも剣山を作った。そして引力操作で強制的に剣山で串刺しにした。これでは回避の使用がない。


他にもアラネアは使役で蜘蛛たちをランパードの中に送り込み、内部を毒霧で満たし、狐子は憑依で敵に潜り込み、瘴気と神魔毒、獄炎でランパード内を地獄に変える。


こうなるとランパードを解除するしかない訳だが、待っているのは銀たちだ。既に満身創痍の彼らに戦う気力は無かった。



俺はスピカとの超連携で大暴れ中。何せ黄金の轡の効果で超連携を発動した状態で自在に動き回ることが出来た。他の皆は壊す係と壊した後の敵と戦う掛かりに別れる形となった。


その中でクリュスが使っているディオメーデースの槍の効果を確認出来た。ディオメーデースの槍はレーザーフライヤーとソードフライヤーを合わせているような槍だった。空を飛び回って、日光で遠距離攻撃したり、自ら突進し、紅炎などを発動させたりしている。


これを使うとクリュスは手が自由となる。ディオメーデースが使わなかったのは防御する手段が無くなるのを恐れたからだろう。


ただそんなディオメーデースの槍でもサフィのほうが破壊するのは早かった。何故なら大きな口を開けて、口の中にたくさん詰め込むと全部纏めてかみ砕いていた。サフィに兵器をぶつけるなら同サイズじゃないと勝負にならないと思い知った。


そんなみんなの様子を確認するほど、余裕がある俺にベリアルが苛立つ。


「てめぇ…いい加減にしろ! 石柱!」


ベリアルが俺に攻撃を仕掛けて来るが当たらない。ベリアルは確かに速いがそれは転瞬によるものだったらしい。空を飛び回る飛行戦闘は苦手のようだ。ルークの話と逃げたみんなへの追撃が無かったことでもしかしたらと思ってはいたけど、今回の戦闘で確信した。


しかも土属性の悪魔だからそこまで速い攻撃を持っていない。警戒するのは現状だと石化光線ぐらいだ。それでもこれは空中戦に限った話で合って、屋内や洞窟などの飛べない狭い空間で戦うことになると弱点が無くなる。厳しい戦いになるだろうな。


「チッ! これじゃあ、ちっとも面白くね…しょうがねぇなぁ」


ベリアルがソドムの所へと向かう。


「お前をこいつで本気にさせてやるよ! ソドム!」


「グォオオオオオ!」


ソドムは体中を真っ赤にさせて、稲妻が走ると口にエネルギーが集束する。狙いはエルフの森。というかユグドラシルだ!


「あんな木、お前の放射熱線で一撃で消し飛ばせ!」


あ、放射熱線なんだね。それならたぶん大丈夫だな。というかたぶんソドムは死んだ。


「ガァアアアアア!」


ソドムが口いっぱいの荷電粒子砲のような放射熱線を放つ。するとブランがイージスで受けて立つ。


「イージス! 伝説解放!」


イージスが真の力を解き放つ。


神盾イージス(伝説解放):レア度10 盾 品質S

重さ:100 耐久値:7000 防御力:5000

効果:絶対防御、超集束、光吸収、全反射、乱反射、倍反射、英雄障壁、天壁、アテナの加護、神盾技【アテーナイ・カスレフティス】

女神アテナがペルセウスに贈った鏡の盾。メデューサの石化の魔眼を反射することでメデューサを石化させたとされている。


ペルセウスの技はオリジナル技だったみたいだ。では本来の能力がどういう物か見せて貰おう。


「神盾技! アテーナイ・カスレフティス!」


放射熱線が全て水面のような空間に吸い込まれてしまった。


「何!? やべ!?」


「「「「グラビティ!」」」」


「「「「マグネットサークル」」」」


「逃がすな! 攻撃をし続けろ!」


ソドムと戦っていた召喚師たちがチャンスと見て、ベリアルの逃走を阻止する。召喚獣たちも鎖スキルを使用する。


「こいつら…うぜぇ! しま」


「お返しします!」


ソドムが放った放射熱線の威力と規模が四倍化し、更に神聖属性が加わった攻撃がソドムに放たれる。


「「「「うそ!?」」」」


全員が逃げ出すほどの規模の放射熱線はソドムとベリアルに直撃し、黒焦げとなったソドムは倒れる。その直線上の木々は愚か地面が溶岩となっている。これでは小規模なコロニーレーザーだ。


『『…ブラン(お姉様)?』』


セチアとミールの怒っている声が聞こえて来た。破壊消火と言ってもこれはやりすぎだろう。


『ひ!? いえ、これは! こうなるとは知らなくてですね!』


必死に言い訳するブランの一方で俺はこの技の恐るべき特徴に注目していた。それは攻撃するタイミングがブランの意志が反映された所だ。これはつまりブランが盾を構えている間は攻撃の吸収が出来ることを意味している。


光が関係している能力のみだとしてもこれは破格の能力と言わざるを得ない。何故なら色々な光線を吸収させてから放つことが出来ることを意味している。


リリーのシューティングスターライトや魔法にもシャイニングやセイントなどの光を放つ攻撃は存在している。それを束ねて放つとどうなるんだろうね?俺がとんでもないことを考える間にたくさんの文句とか質問の通信が来ていた。イージスの事を報告する時間が無かったから当然だ。


『後で説明するから戦闘に集中した方がいいぞ』


ソドムがやられたせいかゴモラが逆鱗を発動させると背中から真っ赤な石を無数に空へと撃ちだす。いい予感はしないな。


『撃ち落とせ!』


『イエス、マスター!』


『はい! 矢舞雨!』


「ホー!」


みんながそれぞれの方法で撃ち落とそうとするが撃ち落とした結果、真っ赤な四散し、森に降りる。ナパームか!これはコーラルたちが体で止めようとするが範囲が広すぎた。


イオンたちが入れば消火出来たのだが、生憎いない。しかしここで大量の水が空を覆った。みんなの召喚獣だ。


「私たちだって、戦えるんですよ? タクトさん」


「まだまだかも知れないけどよ。タクトの召喚獣が抜けた穴埋めぐらいは出来るつもりだぜ?」


「いや、穴埋めどころじゃないでしょう。でも俺は抱えすぎだったのかも知れないな」


みんなが頷く。


「それじゃあ、あいつの討伐は任せる。俺はどうやらあいつに目を付けられているようだからな」


ベリアルがソドムの死体の上で立ち上がっていた。これには流石にみんな呆れる。


「あれを受けて死んでないのかよ…」


「滅茶苦茶怒ってますね。僕と戦った時にはあんな顔しませんでしたよ」


「土の悪魔なら防御力もかなりあるだろうからな。とにかくあいつは俺が引き受ける。なるべく早くゴモラを倒してくれ」


「「「「はい!」」」」


俺たちが分かれるとベリアルは俺を追って来た。さっきよりも速い!


「ら!」


「おっと! なんだ? 結構スピードが出るんじゃないか」


「いいもん喰らっちまったからなぁ。ここからはちょっとだけ本気で戦わせて貰うぜ」


「そうか? なら俺たちも少しだけ遊んでやるよ」


俺たちが戦っているとこれを察知したアリナがみんなにこれを伝えるとリリーたちがすぐさま駆けつけてくれた。アリナは優秀だよ。更にノワたちも合流する。どうやら全滅させたようだ。


「勢ぞろいってか? だが、弱いのがいるな!」


ベリアルは燎刃を狙って来た。俺は動かない。燎刃ならきっと大丈夫だからだ。


「焔斬り!」


「何!? 金剛装甲! おらぁ!」


ベリアルの拳は焔斬りの効果で空振りし、燎刃の横薙ぎに斬り裂こうとするがダイヤモンドのような体に阻まれ、ベリアルの拳が再び燎刃に迫る。


「黄金障壁! 竜技! ドラゴンクロー! はぁああ!」


「く!」


燎刃は赤竜の甲冑の黄金障壁でベリアルの拳を止めて、迅雷を上段に構えてドラゴンクローで振り下ろす。これをベリアルは腕で受けた。そして弾かれた所にセフォネのハルペーが迫り、これをベリアルが回避した。


「俺の召喚獣に弱いのはいないぞ」


「「「「うんうん」」」」


「タクト殿…みなさん」


何やら燎刃に感動されてしまった。本当の事を言っただけなんだけどな。


「それに体をダイヤモンドにしてもハルペーは怖いんだな」


「俺様が怖いだと? なんなら受けてやってもいいぜ? 俺はそういうのも大好きだからな」


「へー。それじゃあ、さっきのは大丈夫なのに避けたんだな。それなら最初から避けるなよ。サタンに無駄な動きが多いとか言われてるんじゃないのか?」


これを聞いたベリアルは大笑いをする。


「お前、悪魔の才能があるぞ! どうだ? 人間止めて悪魔にならねーか?」


「悪魔ならエンゲージバーストでなるから結構だ。それに悪魔になったら、折角用意したマリッジリングが無駄になる。そんなのごめんだ」


「え!?」


觔斗雲に乗っている恋火がそれを聞いて俺を見る。するとベリアルは背後を向いた恋火に襲い掛かるがハーミットテイルでぶっ飛ばされる。哀れな奴だ。


「タクトお兄ちゃん! 今の話って」


「あぁ。セチアと恋火の指輪が完成したぞ。まだウェディングドレスの素材を集めないと結婚式は出来ないけどな。急げば来週にはする予定だよ。だからこんな戦いはさっさと終わらせないとな」


サバ缶さんの話では来週運営イベントがあるから出来るかどうかギリギリなところだ。


「はい! 頑張ります!」


恋火のやる気が急上昇した一方でベリアルは不愉快そうだ。


「結婚式だと? そんなもん、俺様が全部ぶっ壊してやるよ!」


「「「「私たちの結婚式をぶっ壊す?」」」」


ベリアルは淫乱の悪魔だ。それ故に純愛の結婚は大嫌いみたいだな。しかしベリアルの結婚式ぶっ壊す発言は完全に失言だ。リリーたちの怒りのボルテージが急上昇した。


「タクトは手を出さないで! こいつはリリーたちの敵!」


「…ん! にぃとの結婚式を邪魔する奴は生かしておけない」


「マスターとの結婚式を邪魔すると言うなら全力で排除します」


「ボクらがどれだけ楽しみに待っているか君には分からないよね? 楽には殺さないよ」


「タクトお兄ちゃんとの結婚を邪魔すると言うならあたしはあなたを斬り捨ててでもタクトお兄ちゃんと結婚式をします! 邪魔しないでください!」


ベリアルとみんなの大乱闘が始まった。リリーたちは逆鱗まで使っている。こうなっては俺が戦闘に加わるのは無粋だ。


「どうしたもんかな?」


「ホー?」


「あぁ…コノハたちは他の雑魚を倒してきていいよ。ここは俺が見ているからさ。手に負えなかったら、また呼ぶよ」


「ホー!」


俺が戦いを見守っていると上半身が裸の人間で下半身が悪魔の謎の仮面の存在に襲われた。


「なんだ? こいつ?」


「アクセラレーション! ディセラレーション!」


『アクセラレーション』


俺は加速して受けて立つが、この声を知っている。


「…ブラスさん?」


「違う! ミーティアエッジ!」


スピカが下がって、攻撃範囲から放たれる。


「逃げるな! はぁあああ」


聞けば聞くほど、ブラスさんの声だ。識別してみる。


ベリアルマスク?

? ? ?


うわー…ダサい名前。まぁ、顔が仮面で隠れているならぶっ壊せばわかるだろう。


「クロスカウンター!」


諸に俺のクロスカウンターが決めり、仮面が割れる。


「やっぱりブラスさんじゃないですか…何やっているんですか?」


「自分でも分かりません! 体の自由が効かないんです!」


そういうブラスさんはなぜか腰を振りだした。見る人が見たら、アウトだ。


「それでそんな踊りをしているんですか? リリーたちがそこで戦っているし、下にはシルフィ姫様が来ているのでやめて欲しいんですけど」


「シルフィ姫様が!?」


なぜ腰を振る速度が上がるんだ?とにかくもう一回ぶん殴っておいた。これは変な行為を止めるための行動であって、他意は無きにしも(あら)ずだ。好きな女の子にこんな変態行為をされたら、殴りたくもなるだろう。


「お、お願いです! タクトさん、私を殺してえぇぇぇ…」


そう言いながらどこかに飛んで行った。なんだったんだ?


状況から見ると砦で死んだ騎士たちはベリアルによって、あんな姿に変えられたと見るべきか。また厄介な問題が増えたよ。これはもう救わないといけない流れになっている。


助ける方法を考えたけど、イクスのナノマシンでワンチャンあるぐらいだ。ただバトルシップとかに他の人を入れるのはイクスが嫌がるだろうし、ナノエクスマキナたちで治療出来るのかがネックだな。


ブラスさんには悪いけど、皆に聞くしかないという結論に至ると空に異変が発生する。黄金の雲から黄金の光の獅子が現れる。ゲイルの星座魔法ブレイブレオだ。


どうやらクラウドイーオーで魔方陣を隠したらしい。恐らく敵は感知出来なかったはずだ。そもそもクラウドイーオーの時点で危険を伝えているし、クラウドイーオーの雲は魔力の塊だ。よって、魔力で感知することも不可能。未来予知系なら察知できるだろうがウィザードオーブの部隊にはそれを使えるのは賢者以上の魔法使いだ。その賢者たちをノワたちが仕留めたから発動した。


黄金の光の獅子は空を駆け、ゴモラへと向かうと噛みついた瞬間、ゴモラは黄金の炎に包まれ、大爆発する。更にクラウドイーオーから凄まじい雷鳴が轟く。


「ヴェ~!」


森が焼かれた怒りからかエアリーの大雷霆がゴモラに炸裂した。これを受けたゴモラは麻痺し、倒れる。


「俺たちも続くぞ! 聖剣解放!」


「はい! 刑罰!」


「くらえ! ドラゴンノヴァ!」


「精霊魔法! アクアフォース!」


この隙をルークたちが逃すはずもなく、全員が召喚獣の大技を使い、見事にゴモラを討伐した。


これで戦闘が終わったらしく次々敵が撤退していく。


「どうやらあの悪魔のドラゴンたちが落ちたようだ。オイフェ殿、引き時です」


「く…そうですね。次は絶対に殺してあげるわ。姉さん」


「なんだ? お前。逃げんのかよ」


「あぁ。私はお前と違って、引き時を分かっているのでね」


「影転移!」


オイフェと一緒にいたのはフィン・マックール。こいつはエルフの女王イヴリーフ様の命を狙い、現れたのだが、危険を感知したクーフーリンが駆けつけて、戦闘をしていた。


そしてフェグルスとディルムットとの勝負はフェルグスが勝利した。魔槍や双剣で知られるディルムットだが、ドリルのように回転するカラドボルグとの相性は悪かったようだ。そもそもフェルグスは第一騎士団の団長をしている。騎士団の団長でもないディルムットに負けるわけにはいかないだろう。


「済まないが俺にはこいつに入っている悪魔を祓う事が出来ない。誰か出来る物はいないか?」


「あ、うちがします。大祓!」


「ぐ!? あぁああああ!」


「ふん!」


ディルムットから出て来た悪魔をフェグルスは両断する。


「これでディルムットも正気に戻るだろう。感謝するぞ。狐の巫女よ」


「お役に立てて何よりどす」


俺たちとは別の空ではシグルドさんとディートリッヒの竜騎士対決が発生していた。


「ここまでか。シグルド! この勝負は預ける! お前の妻の仲間を助けたければ教会まで来い! そこで決着を付けようではないか! では、さらばだ」


ディートリッヒが撤退したのを確認したシグルドさんは本音を漏らす。


「く…危なかった。新しい剣もそうだが、やはり以前より遥かに強くなっているな。お前ほどの男が悪魔の力を頼るとは残念だ。ディートリッヒ」


「シグルド」


「聞いての通りだ。ブリュンヒルデ。どうやら我々は教会にいかねばならないらしい」


そしてベリアルも決断する。


「ち…ここまでか。まぁ、いい。続きはウィザードオーブ城でしてやるよ。最高に楽しいショーを用意してやるから楽しみにしておけ!」


捨て台詞を残して、ベリアルはいなくなるとインフォが来た。


『特殊イベント『燃えるエルフの森』をクリアしました』


『千影の刀のレベルが40に到達しました。刀【驟雨】を取得しました』

『夕凪のレベルが30に到達しました。進化が可能です』


無事にクリアはしたけど、ブラスさん以外に新たな問題が発生した。


「「「「はぁ…はぁ…勝った!」」」」


リリーたちはそういうが全員掛かりでやり合って、ボロボロ状態だ。対するベリアルも無傷じゃなかったけど、イージスのダメージはすっかり治っている。とにかく攻撃が当たっても与えるダメージが低すぎたのが原因だ。それでいて、瞬間再生持ちで体を斬っても復活ですぐに治ってしまった。結果を見れば惨敗だけど、あいつが逃げ出したんだから勝利と言えば勝利だ。


収穫はベリアルの攻撃を受ける度に筋力が上がっているのだが、スピードまでは上がってなかった。そこが攻略法だと思うのだが、本気になったベリアルには重力操作などの力学スキルは効果を受け付けなくなっていた。鎖スキルも簡単に破壊し、リリーが使った聖櫃やブランが使った神域の効果もなかったので、光に耐性があるんだと思う。


ベリアルの使った属性は火、土、爆、闇、時空の五種類。恋火や燎刃と平気で戦闘していたから火属性にも耐性もありそう。だからこそイージスの一撃に耐えたかもしれない。問題は弱点の属性が見つからんかったことだ。最大火力の大技の集中攻撃で倒し切れるかどうかがポイントになると思う。


後、ベリアルと戦っている間にリリーたちの連携がどんどん上達している印象を受けた。全員が全力に近い状態で戦っているのにここまで長引き、倒せなかったことは第五進化になって初めての事だからな。これも収穫だろう。


とにかく今は森の消火作業とみんなにブラスさんとベリアルの事を伝えて、明日の事を決めないとな。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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