#931 マザーシップVS異星獣コインヘン
俺はマザーシップに転移した。
「「「「お帰りなさいませ。マスター」」」」
「あぁ。状況はどうだ?」
「いつでも行けます」
「それじゃあ、マザーシップの初戦闘と行こう」
俺は船長席に座るとイクスたちが最終確認をする。
「マザーシップ、全システム正常を確認」
「弾数チェック。問題ありません」
「エンジン始動します」
「エンジン始動を確認。マスター。ご命令を」
「あぁ。マザーシップ、発進!」
マザーシップが聖域の島の空に飛び立つ。
「敵の背後から奇襲をかけるぞ。イクス」
「はい。異空間座標を敵の後方に設定してください。同時に全武装使用準備」
「座標入力完了。いつでも行けます。マスター」
「「「全武装、いつでも撃てます。マスター」」」
「よし。異次元航行装置作動!」
マザーシップの前にコインヘンが作り出したのと同じ異次元につながる穴が出現し、マザーシップは異次元に突入した。
その頃、ナイアーラトテップはコインヘンと再契約し、再びアトランティスに向かっていた。
「このまま帰れるものか。次は手加減してあげませんよ。すぐにあの町を滅ぼしてあげましょう」
復讐に燃えるナイアーラトテップは後方に全く気が付かなかった。
「目標補足。ターゲットロックオン完了」
「撃て!」
マザーシップの全砲門から一斉攻撃がコインヘンに浴びせられる。
「な、なんだ!? っ!?」
ナイアーラトテップに無数のホーミングレーザーが殺到し、大爆発する。
「く! これはエクスマキナの母艦からの攻撃!? マザーシップは使えないはずーーぐあ!? コインヘン! 反撃しなさい!」
コインヘンはウツボ顔の触手からブレスを放ってくるがマザーシップバリアはびくともしない。反撃の攻撃がコインヘンのウツボ顔の触手に炸裂し、一撃で全てが消し飛ぶ。
「くそ! 振り切れ! コインヘン!」
コインヘンが加速するが逃がすはずがない。するとコインヘンの口からヒトデ型の生物が現れる。
「無数の敵が現れました。マスター」
「迎撃! 各フライヤー展開! やれるな? ペンテ、エークシ」
「「問題ありません。マスター」」
ガトリングフライヤーとレーザーフライヤーが展開され、ヒトデ型の生物に攻撃を加えるが数が多すぎた。マザーシップバリアに取りつき、バリアを食い始めた。簡単には仕留めさせてはくれないか。
「敵、急速降下」
このヒトデ型の生物を目くらましにも使っているのか。しかし甘いな。マザーシップの全体から無数のレーザーが放たれ、次々ヒトデ型の生物を撃破し、それでいながらコインヘンを追跡し、攻撃を食われる。レーダーがあるこっちには目くらましなど無駄だ。
「くそ! 鬱陶しい奴らめ! コインヘン! 逃げるのはやめだ! あのエクスマキナとマスターにお前の恐ろしさを教えてやれ!」
「ぼえ~!」
コインヘンは反転し、こちらに向かってくる。
「イクス、やれるな?」
「問題ありません。マスターのイメージ通りやって見せます。全員にマスターのイメージを共有。全員、体の固定を確認してください」
「了解。イメージを受信。私が攻撃準備をします」
「では、敵に悟らせないように他の攻撃は私が担当します」
マザーシップは突っ込んでくるコインヘンに攻撃を加えながら突貫する。お互いに攻撃を撃ち合いながら、距離を詰めるとコインヘンは大きな口を開くと口の中は牙だらけな上にまた別の触手がある。はっきり言って気持ち悪い。サフィを見習って欲しいものだ。
「イクス!」
「イエス、マスター! バレルロール! 行きます!」
マザーシップは横向きになるとそのまま、コインヘンの上で逆さ状態になる。
「何!? あ」
コインヘンに乗っていたナイアーラトテップにマザーシップの銃口が一斉に向く。たっぷり味わえやがれ!
「撃て!」
「上部全武装。一斉掃射!」
「ぎゃあああああ!?」
「全スタンフライヤー展開!」
撃ち終わるとそのまま元の体制に戻る。バレルロールは戦闘機などが行うアクロバットな機動の一つ。螺旋を描くように飛行することで敵機の背後をとる時などに使われる。よって今回は本来のバレルロールとは違う使い方をしたことになる。
「なんだ…今の動きは!? エクスマキナの母船があんな動きをしたことは一度も…あのマスターの入れ知恵か!」
「全スタンフライヤー、発動」
全スタンフライヤーがコインヘンの四方と上に展開され、四角錐の陣形を取ると雷撃が発動する。
「しまった!?」
イクスはマザーシップを反転させる。
「マザーシップ、主砲発射体制に移行。全エネルギー、主砲に集束」
マザーシップが変形し、主砲が現れる。
「やらせませんよ! くぅうう! ええい! うざったい! 消え去りなさい! 灰燼!」
スタンフライヤーの電撃の中で動くナイアーラトテップにガトリングフライヤーとレーザーフライヤーが足止めを図るとナイアーラトテップに塵にされる。しかしまた別のガトリングフライヤーとレーザーフライヤーが足止めをする。
次々壊れるガトりングフライヤーとレーザーフライヤーを見ている俺は怒りが頂点に達した。ガトリングフライヤーとレーザーフライヤーもただではないのだ。あいつに壊された分はまた作らないといけない。
「エネルギー充填完了。マスター」
「あぁ。これで終わりだ。お前たちが散々壊したものの報いを受けろ! エビデンス・ゼロ! 発射ぁあああ!」
「エビデンス・ゼロ! 発射します!」
マザーシップからエビデンス・ゼロがコインヘンに向けて放たれる。
「まずい!」
ナイアーラトテップは逃げ出したがコインヘンは逃げられず、消し飛び肉片だけが残った。
「…やってくれましたね。エクスマキナとそのマスター。コインヘンがやられた以上、ここは引くとしましょう。次に会う時はもう容赦はしませんからそのつもりで。では」
そういうとナイアーラトテップは光速でいなくなるとインフォが来る。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント3ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント3ptを獲得しました』
『召喚魔術のレベルが50に到達しました。召喚魔術【神召喚】を取得しました』
『召喚魔術のレベルが上限に到達しました』
『神召喚は神と契約することで使用可能となります。契約出来る神は一柱のみです』
ルーナ以外はレベルアップした。そして遂に神召喚を取得したか。まぁ、アトランティスのお礼で契約が出来たとしても俺の狙いはアテナ様だからスルーだな。
さて、コインヘンを解体しつつ、エクスマキナの王様との約束を果たすとしよう。解体結果はこちら。
アザトースのコア:レア度10 素材 品質S+
異星獣全てが持っている人間で言うところの心臓に当たる球体の結晶。絶大な異星の力と魔王アザトースの力があり、直接触れると異星の存在に変異してしまう可能性がある呪われたアイテム。
でっか。コインヘンのサイズを考えると当然か。それにこれで異星の存在に対する武器を大量生産しろと言っているな。問題は触れないこれをどうやって運ぶかだ。流石にこのままインベントリに入れれないしな。するとイクスから報告が来る。
「マスター、どうやら成功したようです」
「よし。データをアポの所へ送ってくれ。このコアは生き残ったスタンフライヤーで運べるか?」
「可能です。マスター」
「なら頼む。攻撃されるとまずいからさっさと聖域の島に戻るぞ」
「イエス、マスター」
俺は移動中にステータスを操作する。予定通り筋力に振った。残りのスキルポイントは117pt。俺がそんなことをしている頃、ナイアーラトテップは自分の住処である異星の存在の母星に到着し、魔王に報告に向かった。
「アザトース様、只今帰りました。結果をご報告いたします」
「えぇ」
魔王アザトースはナイアーラトテップの報告を聞く。
「以上です。あの…任務を果たせず、コインヘンを失ってしまい申し訳ございません!」
「それはどうでもいいのよ。ナイアーラトテップ。あの星の神ならいつでも殺せるし、奴らは私たちには手出し出来ない。コインヘンもいくらでも生み出せるからね」
「そ、そうですか…流石アザトース様!?」
アザトースの腕が触手となり、ナイアーラトテップを掴むと持ち上げる。
「な、何をするおつもりですか!?」
「あなた…どこまで鈍いのかしら? 未だに自分がしたことの罪が分からないなんて」
「私が…一体何を…」
「あなたは家に帰って来ただけよ。ただしエクスマキナの母船のレーダーで捕捉されている状態でね。これが何を意味しているのか鈍いあなたでもわかるわよね?」
ナイアーラトテップは絶句する。俺たちがアポに頼まれたのは異星の存在の本拠地を探って欲しいという依頼だ。これでエクスマキナたちは完全にアザトースがいる住処を補足した。
「お、お待ちください! それならば私がエクスマキナの星を壊滅させて見せます!」
「そういうところは頭が回るのね。でも、今更エクスマキナの星を壊滅させても意味ないのよ。エクスマキナとあの星にいるエクスマキナが繋がっている以上、星を壊滅させてもエクスマキナたちは生き残るわ。そしてあの星にいるエクスマキナたちとマスターたちを消すためにはサタンの許可が必要。もしこれを破ったら、私とサタンは戦争をすることになるわ。私があいつと戦いたくないことは知っているわよね?」
「ア、アザトース様! も、もう一度、私にチャンスを」
「無理ね。これ以上の間抜けは見逃せないわ」
ナイアーラトテップは俺たちと戦う事なくアザトースに消されるのだった。




