#928 妖精の女王
獣魔ギルドに戻って来た俺は一度ホームに帰り、座り込む。
「はぁ~…やばかったぁ…」
戦いの緊張感から解放されて改めて伝説の武器の有難みを再認識した。そして今回は相性が良かったからクリア出来たけど、他の合成召喚をクリア出来るのか不安になって来た。
恐らく先程の戦闘は本来は魔法の撃ち合いや支配系のスキルで魔法の奪い合いになっていたと思う。モルガンと魔法で渡り合う為にはどれだけのレベルが必要なのか見当もつかない。
というかシルフィ姫様はモルガンに魔法戦で勝ったんだろうな。アーサー王よ。あなたシルフィ姫様に負けてませんか?
「パパ」
「ん。進化するか」
「はい!」
俺はルーナと共に庭に出るとまずは進化先を確認する。
ティターニア
ティターニアはシェイクスピアの戯曲に登場する妖精の女王の名前だ。エルフの王や妖精王として知られているオーベロンの妻で同等の力を持っている設定だったと思う。このゲームではどんなキャラかな?説明を見てみよう。
ティターニア…妖精たちの女王。女性の妖精の中では最も精霊に近しい存在にして精霊たちと心を通わし、自然を守る存在と言われている。圧倒的な魔法能力と精霊の力が宿った聖剣を持っており、契約した精霊によって剣の属性が変化する。
今まで普通の聖剣だったけど、変化するみたいだな。とりあえず進化させてみるか。俺は妖精女王の宝珠をルーナの前において、進化を実行する。
宝玉から七色の光がルーナを包み込み、ルーナが進化した。
『ルーナがティターニアに進化しました』
『精霊剣、精霊眼、第六感、他心通、神感覚、指揮、脱出、魔力支配、魔力枯渇、魔力回復、魔法破壊、空間歪曲、空間転移、空間支配、阻害無効、白熱刃、多連撃、魔障鱗粉、大気壁、迷彩、天候支配、大地操作、樹海操作、封印魔術、炎魔法、地魔法、爆魔法、暗黒魔法、時空魔法、融合魔法、精霊魔法、自然波動、光化、日光、天雨、慈雨、残像、超連携、精霊召喚、精霊門、妖精技、女王の加護を取得しました』
『妖精技【チェンジリング】を取得しました』
『精霊召喚を取得しました。契約する精霊を選択してください』
『妖精の輪のデメリットが解消されました』
『聖剣解放のデメリットが解消されました』
名前 ルーナ ヴィヴィアンLv40→ティターニアLv1
生命力 150→200
魔力 365→425
筋力 100→160
防御力 60→110
俊敏性 268→328
器用値 178→228
スキル
飛翔Lv39→高飛翔Lv39 精霊剣Lv1 竪琴Lv40 舞踊Lv42→神楽Lv42 精霊眼Lv1
気配遮断Lv11→無我Lv11 未来予知Lv30→天言Lv30 第六感Lv1 他心通Lv1 神感覚Lv1
指揮Lv1 脱出Lv1 魔力支配Lv1 魔力枯渇Lv1 魔力回復Lv1
魔法破壊Lv1 空間歪曲Lv1 空間転移Lv1 空間支配Lv1 阻害無効Lv1
白熱刃Lv1 多連撃Lv1 遊泳行動Lv6→高速遊泳Lv6 魅了鱗粉Lv18→媚毒鱗粉Lv18 魔障鱗粉Lv1
連続詠唱Lv33 詠唱破棄Lv34 同時詠唱Lv34 大気壁Lv1 迷彩Lv1
天候支配Lv1 大地操作Lv1 水流操作Lv16→海流操作Lv16 樹海操作Lv1 水分身Lv12
封印魔術Lv30 疾魔法Lv7 炎魔法Lv10 地魔法Lv10 海魔法Lv4
雷魔法Lv40 爆魔法Lv35 木魔法Lv35 氷魔法Lv38 神聖魔法Lv7
暗黒魔法Lv10 時空魔法Lv35 融合魔法Lv1 精霊魔法Lv1 自然波動Lv1
譲渡Lv12 祝福Lv13→神福Lv13 光化Lv1 日光Lv1 天雨Lv1
慈雨Lv1 残像Lv1 守護Lv16→精霊結界Lv16 夢幻Lv15→夢幻鱗粉Lv15 超連携Lv1
聖剣解放Lv9 妖精の輪Lv5 精霊召喚Lv1 精霊門Lv1 妖精技Lv1
湖の加護Lv9→精霊の加護Lv9 女王の加護Lv1
進化したルーナはシルフィ姫様の妖精ちゃんと同じサイズとなった。髪型など少し違いはある。それにしてもこれは強いぞ。セチアといい勝負だ。俺はきっと魔法戦でぼろ負けするだろう。
「強くなりました! これで姉として完全復活です!」
やっぱり伊雪とミールが先に進化したことを気にしていたんだな。先にルーナの進化クエストを選んでよかった。
「どうですか? パパ?」
「うん。大人になって、可愛くなったな」
「えへへ~。ありがとうございます。あ」
ルーナは何もない庭を見るとシルフィ姫様が落下して、尻餅をついた。
「いたた…いきなり何をするんですか! ってあれ?」
シルフィ姫様と一緒にやって来た妖精ちゃんはルーナに近づく。
「進化、おめでとう。同じ仲間が出来て嬉しい」
この子、話せたの!?いや、ルーナの進化だから話せて当然だけど、今までのやり取りはなんだったんだ。訳が分からないことをするところはシルフィ姫様の影響か。
「あ、ありがとうございます! 先輩!」
「うん。それが言いたかっただけ。お邪魔しました。帰りましょう。シルフィ」
「え? 私をなんのために連れて来たんですか?」
シルフィ姫様のティターニアが考える。
「仕事を手伝っている時に進化したから…勢い余って?」
「なんですか! その理由は! 私はお尻をぶつけたんですよ!」
「そんなことより早く仕事に戻らないと大変」
「そんなこと…はぁ、分かりました。罰としてご飯抜きですからね」
「ここで食べるからそれでいいですよ」
二人は帰って行った。なんかノワタイプの妖精ちゃんだったんだな。仕事の手伝いをしていたみたいだし、完全に一緒というわけではないけど、ちゃっかりしている所が似ている。
いきなりのことで中断してしまったけど、精霊召喚する精霊を選ばないとだな。選択肢はセチアの時と同じ。恐らくシルフィ姫様のティターニアは光属性なんだよな。対抗するなら闇で名前と一致しているけど、ルーナを闇属性にしたくない。
水も高速遊泳を覚えたからそこまでの利点はないし、火属性はうちにはたくさんいる。土属性はセチアがしているし、少ないのだと風なんだけど、ぱっとしないな。やはりこのゲームは魔王や魔神と戦うのがメインだから光属性にするか。ということで決定!
俺が実行ボタンを押すとルーナの前に光の精霊が現れる。
「私の名前はアルフ。新たな妖精の女王よ。私との契約を望みますか?」
「はい!」
「分かりました。では、私の力を少しだけ与えましょう」
ルーナにアルフの光が宿るとインフォが来る。
『光の精霊と契約を結びました。精霊召喚【光の精霊】を取得しました』
『精霊剣【スヴェールトアルフ】を取得しました』
『精霊魔法【ライトフォース】を取得しました』
これでアルフは消えてしまった。とりあえずこれでルーナの進化は終わりだ。ルーナがやる気満々なので、聖域の島で訓練することにした。
相手はリュカーオーン。選んだメンバーは恋火、ノワ、リビナ、虎徹、ルーナだ。それじゃあ、行ってみよう。
開始と同時に恋火と虎徹が斬りかかると影に潜り、逃げる。そこまでは良かったのだが、ここからノワの逆鱗に触れる。
「…にぃの影に入り込むな! 影創造!」
「ガ!?」
影の剣山が発生し、たまらずリュカーオーンは飛び出す。
「よ!」
「グ! ギャアアア!?」
リュカーオーンの首、大剣、足にリビナが朱雀の鞭で拘束するとリュカーオーンは燃え上がる。そしてルーナが剣を構えると眩い閃光を放つ。
「スヴェールトアルフ!」
リュカーオーンはルーナの閃光に飲み込まれた。
「ガ…ガフ…」
リュカーオーンは体中から煙を出しながら、膝を付く。流石にこれで仕留めることは出来なかったか。しかしすぐさま恋火と虎徹が現れ、斬り刻んで倒した。
スヴェールトアルフはルーナの前面ほぼ全てに光の奔流を放つ技みたいだ。星震の聖剣解放バージョンと言ったところだろうか?威力は恐らく聖剣解放に劣るな。
「一発では無理でしたか…」
「進化したばかりなんだ。誰でも加減が分からないものだよ。だから訓練をするんだろう?」
「そうですね!」
解体すると魔剣メガロリュカオンが手に入った。
「なんだろうな…このなんとも言えない気持ち」
「…無欲の勝利?」
「人生そんなものだよね」
「そこまで人生を歩んでいないだろう? ま、これは月輝夜に上げよう」
流石に二回連続で手に入るとは思えないので、ターゲットをカリュドーン・ボアに変更する。メンバーも代えよう。選んだメンバーはファリーダ、燎刃、黒鉄、ルーナ、魔剣メガロリュカオンを貰ってテンションが上がっている月輝夜だ。
最初は黒鉄がカリュドーン・ボアの突進を受ける。黒鉄が完全に止めきれないだけでこいつはやはり大したものだ。力比べをしている所にカリュドーン・ボアに鱗粉が降り注ぐ。
するとカリュドーン・ボアは魅了と神魔毒になったままぐるぐる意味なく走り出した。
「ルーナ?」
「媚毒鱗粉と夢幻鱗粉の効果です。媚毒鱗粉は魅了と神魔毒。夢幻鱗粉は幻を見せます。効果時間は決まっていて、一度喰らうと効果が切れるまで解除されることはありません」
クリアとかで治せないんだ。これは酷い。というかこれが鱗粉系の共通の能力だとするとミカドカイコウガの鱗粉も相当やばいものだった可能性が高かったわけか。
鱗粉の効果が切れて、また黒鉄に突進してくる。それを黒鉄は必死になって、止めると左右からファリーダと月輝夜が攻撃を加える。流石にこの二人の攻撃が強力だったがカリュドーン・ボアは引かない。
しかしここで燎刃の竜魔法の発動準備が整った。
「参る! 竜魔法! プロミネンスノート!」
魔方陣から小さな太陽のようなものが出現し、燎刃がカリュドーン・ボアに投げると大爆発し、それと同時に後ろに下がった黒鉄がミサイルを放つ。
「ガァアア!」
それでもカリュドーン・ボアは倒すことが出来なかった。中々しぶとい。また黒鉄とカリュドーン・ボアがぶつかり、左右からファリーダと月輝夜が仕留めてかかった。
「魔王技! デモンクラッシャー!」
「グォオオ! ガァアア!」
ファリーダのデモンクラッシャーと狂戦士化、魔素解放、諸刃の一撃を使った月輝夜の衝撃波が炸裂し、カリュドーン・ボアは倒された。
カリュドーンの猪肉:レア度9 食材 品質A+
カリュドーン・ボアの肉。とてつもない大きさでその量は村人の食料数か月分と言われている。ボリューム満点のお肉でベーコンにすることで長期間保存でき、美味しく食べることが出来る。
お肉が手に入るんだね。ノワと一緒にベーコンを作らないと…ってこの大きさのベーコンを保存出来るか?切り分けて少しずつベーコンにしていくしかないか。
そして俺はもう一度カリュドーン・ボアに挑む。毛皮を手に入れたいのだ!黒鉄を回復させて、燎刃、ヒクス、ストラ、ディアンをメンバーに選んだ。
黒鉄がしっかりカリュドーン・ボアを止めてくれたおかげで全員が安全圏からブレスを撃ちまくりで勝利する。それでもカリュドーン・ボアを仕留めるのに全員がかなりの魔力を消費していた。
やはり進化しないとカリュドーン・ボアは結構厳しい相手だなと思った。そして解体するとカリュドーンの毛皮をゲットした。
帰った俺はセチアたちにダーレーの騎乗装備と同じ物を三つ依頼した。スピカとヒクス、サフィの分だ。そして帰った俺はノワとカリュドーンの猪肉をベーコンにする作業をして、クッキー作りをしてから部屋に戻ると進化したルーナがいた。
「今日は一緒に寝ていいですよね? パパ」
むぅ…可愛い。
「あぁ」
俺は最初の頃のリリーを思い出しながら、ログアウトした。




