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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ウィザードオーブ戦争
971/1718

#924 アラジンの解放法とウィザードオーブの現状

火曜日、学校で俺は改めて海斗たちの状況を聞かされる。


「アラジンとジンが敵に回ったか…状況から見ると脅されている感じだな」


「俺もそう思っていたぜ」


「嘘よ。思いっきりアラジンの悪口ばかり言ってたじゃない」


「それはあいつのせいで死に戻りしたんだからしょうがねーだろ」


まぁ、状況が状況だけにそう言いたくもなるだろうな。


「昨日は死に戻りした後に再ログインして場所を確認したら、マイリアの町の前だった。町に入る事は出来ないだろうからとりあえず砂漠に野営することにしたんだ」


「連絡がなかったってことは絨毯もダメだったのか?」


「外とやり取りする絨毯は使えなかったね」


話によるとこれはジンの仕業だな。まぁ、ブラッティウォーズがアラジンに指示してさせられているんだろうけどね。手助けする気無しなわけだ。まぁ、それがアラジンの願いなら叶えるのが魔法のランプの精霊であるジンの仕事なんだろう。


「それでアラジン君とサンドウォール砂漠に一番詳しい誠吾君なら何か突破口を思いつかないかな?」


「一番詳しいのかは疑問だけど、まずアラジンはシェヘラザードにぞっこん状態でな。状況から見るとシェヘラザードが人質に取られているんだろう」


「アラジンの恋人役はシェヘラザードなのね」


「誰だ? そいつ? 有名NPC?」


海斗に説明して時間ロス。


「つまり私たちの状況の突破口はシェヘラザードの解放なわけね」


「でもどうやって侵入すればいいのかな? 姿とかを変えただけでばれずに侵入出来るとは思えないよ?」


「相手が人間でしかもテロリストなら当然警戒するでしょうからね」


「敵にバレずに町に侵入する方法ね」


俺は考えていると授業中にあることを思い出した。これなら怪しまれずに町に入れる可能性がある。お昼休みに海斗たちに説明する。


「「「キャラバン?」」」


「あぁ。キャラバンは町とオアシスを回っている商人の集まりで俺はカロさんというキャラバンのリーダーの人と出会っている。彼ならたぶん事情を説明されば協力してくれるだろうし、町やオアシスに入らず接触することが出来るはずだ」


「そんな人たちがいたのね。つまり誠吾はそのキャラバンの一員という形で潜り込めばいいと考えているわけね」


「普通の変装じゃダメだね。誰かキルケーの変身薬を持ってきていたかな?」


「ポーション系はノストラさんが持ち込んでいるはずよ。聞いてみましょう」


これで砂漠方面はなんとかなりそうだ。


「ところで授業中ずっと考えていたの?」


「あぁ。言っとくが海斗と一緒にするなよ? 副委員長。先生の話は聞いてなかったが黒板に書かれていたことはちゃんとノートに書いているからな」


「それだとダメだと思うよ。誠吾」


姫委員長にツッコミを受けてしまった。最低限のことだけはしているんだから褒めてほしい。


学校が終わり、自宅に帰るとゲームにログインするとセチアからフェルグスが目覚めていることと恋火の鎧とリビナの鞭が完成した報告を受けた。


「フェルグスは大丈夫そうか?」


「はい。最初は混乱していましたがディアドラ姫に出会うと号泣したりしまして、今はディアドラ姫の命令を聞いて落ち着いています」


なんか大変だったみたいだな。セチアの話を纏めるとこんな感じ。


「ディアドラ姫様!? いや、姫様は死んだはず」


「正気に戻ってもそういうか! この大馬鹿者!」


「うぐ!? は! この蹴りの感触、間違いない! ディアドラ姫様! よくぞご無事で! うおぉおおおおん!」


「どんな覚え方をしておるのじゃ!? お主! それに大声で泣くな! 近所迷惑じゃろうが!」


リリーたちがこのやり取りを聞いていたらしく、俺は凄く心配になった。頼むから悪い影響を受けないで欲しい。まぁ、落ち着いているなら先に恋火の防具とリビナの鞭から確認させて貰おう。


天狐の甲冑:レア度10 防具 品質S+

重さ:50 耐久値:3000 防御力:1000

効果:物理耐性、魔法耐性、衝撃無効、妨害無効、寒無効、英気、星気、神気、烈日、後光、陽光、重圧、全滑走、黄金障壁、英雄障壁、太陽の加護、神の加護

全体的に赤色で白い胴には白い狐がデザインされた軽装の甲冑。兜はない代わりに赤い額当てがある。甲冑の内側にはゴッドウール、外側にアダマントを使われいるが軽装のため、通常の甲冑よりも防御力は劣る分、軽く動きやすい甲冑となっている。


早速恋火が着替えると恋火は立派な侍姿となった。軽装なのが逆に恋火に似合っている。


「ど、どうでしょうか? タクトお兄ちゃん」


「うん。立派な女侍(おんなさむらい)になったなぁ。可愛い可愛い」


「あうあう。なんで頭を撫でるんですか」


「ん? 兜がないから?」


やはり兜があると頭は撫でにくい。それを聞いていたユウェルと燎刃は兜を脱ぐ頻度が増した。次はリビナの鞭だ。


朱雀の鞭:レア度9 鞭 品質S-

重さ:60 耐久値:800 攻撃力:850

効果:火属性アップ(究)、物理切断、伸縮、拘束、業火、多連撃

朱雀の尾羽根をミスリルでコーティングした鞭。鞭のボディは三つあり、思いっきり振るとボディが伸び、逆に引くとボディが縮むようになっている。ボディが三つもあることで敵の攻撃を払い落しやすく、複数の拘束することも出来る。ただし鞭を使う方にはかなりの技量が要求される武器となっている。


雷竜の鞭より明らかに強い鞭が完成したな。ただリビナが早速使ってみると問題点が判明する。


「わわ!? 絡まっちゃった!?」


上手く使わないと鞭のボディと言う本体部分が絡まってしまうのだ。更に重大な問題点も発覚する。


「えーっと…ここがこうなって…ここがこうで…全然ほどけない~!」


リビナは絡まった鞭をほどく作業が苦手。結果、俺がほどくことになった。


「難しそうだな」


「うん。でも念動力で鞭を操れば問題なさそうだよ」


「それなら良かった」


確認が済んだところで俺はみんなと一緒にフェルグスに会いに行くことにした。


「おぉ! ディアドラ姫様! ん? そちらの強者は以前に出会ったフリーティアの英雄殿か」


俺はウィザードオーブの王と謁見しているからな。顔を覚えられていたか。


「一応初めましてと言うべきでしょうか? 記憶の混濁があると聞いていますが」


「あぁ。ただ時間を貰ったお陰で色々思い出して来たところだ。きっとカスバドのお陰だろう」


「カスバドがあなたに何かしたのですか?」


「恐らくな。まずウィザードオーブの現状から話そう。ディアドラ姫様も心して聞いてくだされ」


フェルグスが自分に起きたことを話す。


「まずウィザードオーブ王は悪魔の手に落ちました」


まぁ、騎士たちから悪魔が出てくればそういう事になるだろうな。


「私の最後の記憶は国王様に力が欲しいかと聞かれ、この力を手にすれば大陸最強の騎士になれるという言葉です。私はこの言葉に力が欲しいと答えてしまった。そこから記憶がありませぬ」


「その言葉が正しく悪魔の言葉だったわけだな。しかし聖剣カラドボルグに選ばれたお主ともあろうものが易々に悪魔に囚われるとは考え辛い。敵は相当な悪魔だぞ」


「その悪魔を見ましたか?」


「いや。ただカスバドは敵の正体を私に教えてくれていた」


どういう事だろうと思っているとスカアハ師匠が教えてくれた。


「カスバドというのは相当な術者だな。恐らく悪魔の憑依が解けることを条件とした記憶の封印術だ。悪魔に憑依される前に仕込んだのだろう」


「その通りです。カスバドによると敵の悪魔は王の力を欲する強欲に目を付けたそうだ」


もう強欲という言葉が出たら、疑い様がない。キリスト教が設定した七つの大罪はそれぞれ悪魔に当てはめられている。その中で強欲を司っている悪魔の名はマモンだ。


「心当たりがあるようだな? タクトよ」


「はい。俺は一度ベガス島という島で関係があると思われる悪魔と出会っています」


ベガス島のあらゆる金銀財宝を奪った悪魔であるアモンだ。恐らくこいつがウィザードオーブにいる。


「町全ての金銀財宝を吸い込んだ悪魔か…確かに強欲な悪魔と言えるな」


「けどよ。そんなに強い悪魔なのか?」


「強欲は暴食、色欲とは異なり、明確な対象が存在しない欲だ。ただどんなものでももっと欲しいと思った瞬間、それが強欲となる。小さな欲では強欲とはならないが明確な線引きがない分、非常に厄介な欲なのだ」


「ふーん。よくわかんねーな」


クーフーリンに分かりやすいようにスカアハ師匠が言う。


「クルージーンとブリューナクが欲しいか? クーフーリン」


「そんなの欲しいに決まっているだろう」


「それが強欲だ。馬鹿者」


頼むからクーフーリンだけは敵に回らないで欲しい。


「強い武器を求めるのは戦士として当然の欲求だ。しかしな青年よ。クルージーンとブリューナクは大昔に失われているから最早手に入らぬぞ」


全員が俺を見る。まだ知らないんだね。


「来い。ブリューナク」


俺の手にブリューナクが現れる。


「な!? その槍は正しくブリューナク!? 何故ここにあるんだ」


事情を説明する。


「当時の奴らは何をしているんだ…全く」


「それについては私も同意見だ。それでフェルグス。お前はどうするつもりだ?」


スカアハ師匠の質問にフェルグスは答える。


「カスバドはディオドラ姫こそウィザードオーブの最後の希望と言っていた。恐らくフリーティアにディアドラ姫がいることを知っていて、私がフリーティアに攻め込む事も知っていたのだろう。ディアドラ姫が国の為に戦うと言うのであれば、私はウィザードオーブの第一騎士団団長として、あなたのために剣を振るいましょう」


「そうか…私も覚悟はもう出来ておる。フェルグスよ。妾に力を貸せ。フリーティアと協力して我が国を乗っ取った悪魔どもを駆逐するぞ!」


「は! ディアドラ姫様!」


インフォが来る。


『フェルグス・マク・ロイヒが仲間に加わりました』


これは嬉しいことなんだけど、一緒に戦うと言うなら俺は言っておかないといけないな。


「えーっと…フェルグスさんでいいですか?」


「あぁ。なんだね? フリーティアの英雄殿」


「一緒に戦ってくださるということは正直心強いです。しかし俺はあなたの騎士団の多くを殺した人間でもあります。あなたはそんな俺と一緒に戦えますか?」


「「「「タクト!?」」」」


俺はリリーたちを制する。


「俺が作戦を決めて、みんなに指示を出したんだ。その事実は変わらない」


「君はしっかりしているな。確かに全てを水に流せというのは無理な話だ。だが少年よ。戦争というのはそういう物なのだ。国の為に命懸けで戦い、多くの人間が死ぬ。その死んでしまった人間は殺した側の責任ではなく部隊を指揮していた者にあると私は考えている。故に君は誇っていいのだ。この国の民を救ったのだからな」


これがこのゲームのケルト神話を代表する英雄の考え方か。


「そして私は我々を負かした君の指揮を支持する。我々を負かしたのだからこれは当然のことだ。これが回答でよろしいかな?」


「十分です。ユウェル、鎖を解いてあげてくれ」


「分かった!」


「それからあなたの武器をお返しします」


フェルグスは鎖を解かれ、カラドボルグを手にする。


「捕虜に武器まで渡すとは大胆なことをするな」


「ここでその剣で暴れたら、さっきの言葉が嘘になりますから。ウィザードオーブの第一騎士団団長であるあなたはそんなこと出来ないでしょう?」


「ははは! 言ってくれるものだ! さて、まずは生き残っている騎士たちを説得しなければならないな。ディアドラ姫様にノイシュ様」


「ノイシュ様!?」


突然のフェルグスからのノイシュ様宣言にノイシュさんは驚く。


「何を驚いているのだ? ディアドラ姫様が王女となるなら当然ノイシュ様は国王様ということになるだろう?」


「そうじゃぞ。ノイシュ。しっかりせんか。ほれ、行くぞ!」


「は…は!」


ノイシュさん、大丈夫かな?完全に流れに流れされているよ。ま、俺にはとりあえず関係がないことだ。俺は俺でやることがある。あのナイアーラトテップと異星獣コインヘン対策を考えるとしよう。

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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[気になる点] 「~の町の前」って書いてある所ありますよ
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