表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ウィザードオーブ戦争
966/1718

#919 魔導船艦隊撃破作戦

メルたちが出陣する同時刻。俺たちも作戦を決めて、出陣した。


俺たちの一番の目的はブルーメンの港町を狙っているウィザードオーブの魔導船艦隊の撃破だ。ウィザードオーブの魔導船艦隊は俺たちの想像よりも優秀で魔力を感知するレーダーを搭載していた。そのため、海上に堂々と巨大化状態のサフィで通せんぼしている俺たちは敵から丸わかりだった。


しかしそれはこちらも同じで水中装備のイクスが魔力レーダーを逆探知し、敵艦隊を捉えていた。


「敵艦隊、シールドと多重の精霊結界を展開しました」


「動きはどうだ? イクス」


「全艦隊がまっすぐこちらに向かってきてます。マスター」


俺は考える。俺たちの強さは向こうも把握しているはずだ。それなのに全艦隊が真っすぐ突っ込んでくるということに違和感を持った。


「魔導砲は港町の攻略に使うとかフリーティアの艦隊を警戒しているとか考えられるけど、俺たちに突っ込んでくるというのはな」


「余程結界に自信があるということでしょうか? タクトさん」


「もしくは何かしらの罠かだ。イクス」


「敵艦隊の後方に別の艦隊を補足。魔力から見て魔導船ではないようです。マスター」


敵さんも考えは俺たちと似ているな。ただ魔導船を囮するのは頂けない。恐らくこの海戦は魔導砲を先に当てたほうが勝つからだ。いや、本当に魔導船を囮にしているだけか?


俺は疑問を解消するためにノアに通信を送る。


『ノア、タクトだ。一つ聞きたいんだが、いいか?』


『なんだい? タクト』


『魔導船を自爆させることって可能か?』


『装置を魔導エンジンに付ければ可能だよ。意図的に暴走させて自爆させるやり方だね。もしかしてあいつら、そんなことをしようとしているのかい?』


船を愛するノアとしては許せないところだろうな。


『それは分からないが俺たちの強さを分かった上で俺たちに突っ込んできているんだ。別動隊がいるみたいだけど、それだけに魔導船の艦隊を使うのかが引っかかってね』


『なるほど。確かに魔導船の自爆ならかなりの威力だから警戒するに越したことはないと思うよ』


『分かった』


俺はみんなに作戦の変更の指示を出す。流石に俺、リリー、イオン、イクス、ノワ、リビナ、リオン、ブラン、セフォネ、ファリーダ、アリナ、コノハ、チェス、ダーレー、ぷよ助、ルーナ、ヒクス、ストラ、ディアン、サフィ、スピカ、クリュス、蒼穹、コーラル、ジーク、夕凪を堂々と見せて突っ込んで来たのは予想外だった。しかし根本的な作戦を変更するほどではない。


「あいつらに俺たちに海戦を挑んだことを後悔させてやろう!」


「「「「はい!」」」」


「いくぞ! サフィ!」


「ぼえ~!」


俺はサフィと共に敵艦隊に突撃する。すると魔法や魔導大砲が次々撃ち込まれる。しかしそんな攻撃が今更俺たちに効くはずがない。そのまま敵艦隊の先頭にいた魔導船にサフィはシールドや精霊結界ごと噛みつき、そのまま押していくと次々後続の魔導船にぶつかっていく。


同じ結界やシールド同士がぶつかることで次々結界やシールドが壊れて、サフィが通ったところには大波が発生し、陸側の船は陸地にぶつかり、海側の船は遠くに流される。


俺たちは敵艦隊の旗艦にもぶつかったけど、流石に旗艦だけあって、シールドを維持した状態で海側に流されていった。


敵艦隊を真っ二つにしたサフィは咥えた魔導船をかみ砕いた。俺は後ろを確認するとリリーたちが空振でそれぞれの船に襲い掛かっていた。対するウィザードオーブの魔導船艦隊は一斉にライトで周囲を照らす。


こんなことをしたら、俺たちから艦隊は丸見えになる。すると無数の砲撃音がなり、俺たちに無数の大砲が飛んできた。自分たちの結界に余程の自信があるんだろう。自分たちは結界で大砲を防いで俺たちだけにダメージを与えるのを狙って来た感じか。


「甘いな」


『ぷよ助!』


海中から分裂したぷよ助の体が無数の大砲目掛けて飛んでいくとその体から粘着糸を展開し全ての大砲を絡みとって、海に落下する。お見事。対する敵の別動隊は何が起きたのか分からない。


「なんだ!? 今のは!?」


「大砲が何かに絡められました!」


「そんなことは見ればわかる! うわ!? なんだ!? この揺れは!?」


「「「「ぐわぁあああああ!?」」」」


クリュスが海中から船の側面を尻尾で貫き、中にいた騎士たちが外に吹っ飛ばされる。そしてクリュスはわざわざ甲板に姿を見せた。


「ごきげんよう」


「蛇女の化け物か! 攻撃しろ!」


「「「「は!」」」」


「あら? 私に武器を向けないでくれる? 堕落!」


その場にいた全員が武器を落とす。


「いい子ね。ぼーやたち。石波動!」


甲板にした全員石になる。


「でもお父様と違って、張り合いないわね。まぁ、いいわ。まだまだたくさんあるし。ふん!」


クリュスが力を入れると尻尾が船を締め付け、破壊する。そしてクリュスは次の獲物に向かった。


しかし流石に魔法戦闘にたけているウィザードオーブの騎士たちは自ら空を飛び、俺たちに魔法を使おうとする。すると彼らは魔法を使うことなく、次々墜落する。夜空はノワたちの領域だ。


「折角倒したのにこいつらの血は吸えそうにないね。セフォネ」


「とりわけ不味い悪魔に取りつかれておるようじゃからな。どうせなら美味しい悪魔と契約して欲しいものじゃ」


「…リビナとセフォネは物好き。ノワは美味しくともこんな奴ら、食べたくない」


「ホー」


コノハはノワの意見に賛成のようだ。


「この!」


「死ね! 化け物ども!」


「失礼な人たちに空を飛ぶ資格はないの。大気壁!」


大気の壁が頭上から落下し、海に叩きつけられた彼らの目にディアンが映る。結果彼らは噛まれて死んだ。


「お疲れ様。ノワ、リビナ、セフォネ、アリナ、コノハ」


ノワたちが敵担当でリリーとブラン、ファリーダは船を壊す担当にした。俺が魔導船の艦隊を眺めていると海中からショベルカーのアイアンフォークが現れ、多くの魔導船を掴みに掛かった。


黒鉄だ。両腕をクローに超変形させて伸縮で伸ばしているんだろう。これは面白い。たくさん魔導船が捕まり、潰しに掛かる。しかし結界が邪魔をする。


それでも黒鉄は上を行く。クローが高熱を帯び、更に荷重操作でクローに重さが加わえることで結界に次々ひびが入る。


「くそ! なんなんだ!?」


「わからんが逃げろ!」


「フライト! うわ!? 風? っ!?」


当然敵は壊れる前に逃げ出すけど、逃げた次々即死して、海に落ちた。ノワたちの死風だ。流石に進化したみんなはチャンスを逃さないな。


一方、陸に上げられた船にはコーラルとヒクス、ストラ、ジークが襲い掛かった。コーラルが船を燃やすことで灯りを確保し、ヒクスとストラ、ジークがブレスで粉々に破壊していく。


すると次々ウィザードオーブの騎士たちは船から飛び出し、海岸線にある森に隠れようとする。当然コーラルが簡単に逃がすはずはなく尻尾で捕まえた兵士たちは消し炭になる。


しかし多くの騎士たちは森に入ることが成功する。だが戦う場所を選択出来た俺たちは海岸線に森がある場所を選ぶことが出来た。そして森はグレイたちの狩場だ。


「予定とは異なるがここから敵の港町に奇襲するぞ」


「「「「はい!」」」」


彼らは夜の森を移動する。すると一人がアラネアの地雷蜘蛛を踏みつけ、魔素や毒に侵されて倒れる。


「な、なんだ!?」


「蜘蛛!? この! うわ!? 爆発した!?」


数人が気が付き、地雷蜘蛛を退治するが倒しても魔素や毒が発生するだけだ。しかし敵もそれを感じ取り、結界で封じて見せた。


「ふぅ…ん? 隊長?」


「みんなはどこーー」


「おい…どうした? っ!?」


一人が急に言葉が止まった仲間を揺さぶるとそいつの首が落ちる。


「な…死んで…っ!? 誰だ!」


物音がして、背後を見るとそこには無数の赤い目があった。アラネアの使役で呼び出した蜘蛛たちだ。


「は…ははは…ははははは!」


そいつは無数の蜘蛛に襲われて死んだ。一方進んだ部隊も悲惨だ。まず彼らの正面に現れたのは優牙だ。


「召喚獣だ!」


「殺せ!」


「ガァアアア!」


優牙が魔力喪失を使い、全ての魔法が不発する。


「な、何?」


「魔法が…おのれ!」


魔法剣をウィザードオーブの騎士たちが抜くとその剣がどこかに飛んでいく。ゲイルの電磁操作だ。しかし彼らにはまだ杖とアイテムがある。


「これで勝ったと思うな!」


そう叫んだ隊長に白夜が襲い掛かった。


「盾のルーン!」


「ガァアア!」


白夜の爪は盾のルーンをすり抜けて、一撃で胸を貫いた。


「隊長!? おのれ!」


「ウィザードオーブの技術力を思い知れ! この化け物!」


白夜に投げられたアイテムが止まると自分たちに返されて、悶える彼らの前に狼たちを引き連れたグレイと虎徹が現れた。


「ウィ、ウィザード」


「「「「ガァアアアア!」」」」


彼らは最後の言葉すらまともに言えないまま死に戻った。その間にも次々敵が森の中に入ってくるわけだが、自由が許されたのは最初だけだ。


「なんだ!?」


「森に引き寄せられる!?」


「これは引力!? うわぁあああ!?」


引き寄せられた彼らは木に激突し、地面に落下する。


「くそ! っ!?」


騎士たちは倒れると狐子が現れた。


「ダメじゃない。私の領域で息なんか吸ったりしたら、瘴気と神魔毒に侵されてしまうわ。ふふ。もう聞こえてないわね。それじゃあ、消し炭となって死になさい。焼失弾!」


引力操作をされなかった騎士たちも悲惨だ。アラネアによって貼られていた糸地獄と蜘蛛地獄のトラップにミールの寄生種。更にはセチアの宝石トラップに狙撃、白夜とエアリー、ミールの樹海操作で森自体が敵となっている彼らに逃れる術はない。


しかし人数に物を言わせて彼らは強引に森を突破した。正確には優しいセチアたちが森から逃がしてあげたのだ。


「森を抜けたぞ!」


「敵に構うな! このまま港町までなだれ込め!」


「「「「うぉおおおおお!」」」」


完全に特攻隊のようになっている彼らの前に立ちはだかったのはロコモコとユウェルだ。


「なんだ? あれは?」


「黄金の羊?」


「構わん! 突っ込め!」


「メ~!」


ロコモコが後光で輝く。


「まぶし!?」


「この野郎…たかが光る羊の分際でーー」


そういった騎士はロコモコを見るとユウェルと視線が合い、石化する。石化の魔眼だ。他の騎士たちも眩しいものを見ようとし、ユウェルの石化の魔眼の餌食になった。


「宝石解放!」


石化した騎士たちが消し飛ぶがまだ残っている。


「後は頼むぞ。燎刃」


「お任せを。あ、ロコモコ殿、灯りをお願い致す」


「メ!」


他の場所からも当然敵は現れるが待っていたのは恋火と和狐だ。


「たったの二人だと?」


「こっちは百人以上いるんだぞ! やってしまえ!」


「「「「おぉ~!」」」」


勢いづく彼らに和狐は告げる。


「少なすぎます。千本鳥居!」


「なんだ? ぐは!?」


「ぐべ!?」


上から降って来た鳥居に全員が拘束される。


「恋火、半分こな」


「はい!」


恋火が駆け出して、動かない敵を斬っていく一方で和狐はゆっくり近づく。


「この! 離せ! 人間の敵め!」


「別にそれで構いまへん。うちらはタクトはんの味方であればいいんどす。そのタクトはんがあんさんたちを敵と言うなら手加減は出来まへん。煉獄!」


「「「「ぐわぁあああああ!?」」」」


鳥居に拘束された騎士たちは灼熱地獄の中で焼かれて死んだ。これを見ていた騎士たちは別の場所から抜けようとするが猛吹雪に襲われると伊雪とルミのコンビが次々敵を奇襲し、倒していく。


そんな彼らだが、数によって猛吹雪を抜けると待っていたのは月輝夜だ。


「「「「嘘だろ…」」」」


「ガァアアア!」


衝撃波で吹っ飛ばされた騎士たちは猛吹雪の中に逆戻りすることになった。


ここまでは予想通りだったのだが、俺の誤算は海の方。イオンたちの天候支配にウィザードオーブ軍が抵抗しており、船を進ませていたのだ。イオンたちの攻撃にもある程度、抵抗していた。やはり魔導船の強さが光るな。


「突っ込んできただけはあるか」


それでもイオンたちはしっかり変更した俺の作戦通りに動き、海流操作で強引に敵艦隊を目標地点まで進ませる。そこに俺たちも加わり、作戦地点まで追い込んだ。


「サーチライト! 掃射!」


敵艦隊が与一さんの命令で待機していたゴールデンハインド号を旗艦とするフリーティアの艦隊からサバ缶さんたちが作ったサーチライトを一斉に使用し、敵艦隊を照らし出した。俺たちはわざわざ囮を使ってまで敵艦隊を照らしたりしない。これが俺たちとウィザードオーブ艦隊との差だ。


そして既に魔導砲の発射体制となっていたスクナビコナが魔導砲の先手を取った。狙いはもちろん敵の旗艦。イオンたちは渦潮で足止めを図る。


「久々に派手な一発行きますよ! 魔導砲! 発射ぁあああ!」


サバ缶さんが引き金を引いて、敵の旗艦に直撃するが結界を消すだけに留まった。それだけ頑丈な結界だったのか。しかし俺たちの攻撃はまだ終わっていない。与一さんが全艦に指示を出す。


『全艦一斉砲撃開始! ここで敵艦隊を全滅させます!』


「「「「おぉ!」」」」


次々注がれる砲撃と火矢に敵艦隊は次々落とされていく。脱出したウィザードオーブの騎士たちは飛行し、こちらの艦隊に襲い掛かってくるがクラスチェンジし、射撃の名手となった与一さんたちとライラプスの槍を満月さんたちから預かっているシャローさんたちが投げ込み、倒された。


これを見ていた別働隊が本来は助けに行くんだろうけど、彼らはそれどころではない。


「うわぁあああ! 燃やせ! 燃やせ!」


「ダメだ! 燃えねーよ! 凍らせろ!」


「それもダメだったよ! うわぁあああ!」


「は…ははは。もうダメだ…俺たちは青い悪魔に食われて死ぬんだ…あぁ…来た。吸い寄せられる」


彼らの戦意を奪ったのはぷよ助だ。ぷよ助は丸ごと船を飲みんでは消滅させる。攻撃しようとしてもぷよ助には通用せず、引力操作で騎士たちはぷよ助に引き寄せられ、次々骨すら残さず消滅させる。


彼らも逃げたいだろうが背後は夕凪とクリュスに抑えられている。夕凪は亀の口から岩を飛ばし、近くの船は蛇が襲い掛かっている。


こうして敵が完全に沈黙したところで勝鬨が上がる。


「勝ちましたね! タクトさん! タクトさん?」


「いや、まだだ」


『全員警戒を解くな! まだインフォが来ていない!』


俺の言葉に全員が警戒する。するとイクスが反応する。


「異質な魔力を感知。この魔力は…マスター! 我々と敵対した異星の存在がここにいます!」


「何!?」


エクスマキナの星に現れた異星の存在がここにいるのか。一応可能性としては考えていたけど、まさかこんなに早くに出会うとは思ってなかった。


「いや~…派手に壊してくれましたね。ま、私には関係がないことですが」


そいつは敵旗艦の残骸の上に立っていた。姿は全身真っ黒でかなり身長が高いことぐらいしかわからない。識別を発動したが名前すら識別することが出来なかった。しかしイクスはそいつを知っていた。


「ナイアーラトテップ !」


異星の存在というのはクトゥルフ神話のことか!その中でもナイアーラトテップはトリックスターとして知られており、かなり強い神だったはずだ。俺は全く経験したことがない未知の戦闘が始まることを覚悟するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
[一言] ライラプスの槍にはブリューナクと違って帰還スキルが無いのに、それを海で使って大丈夫?笑
[一言] ニャル様だ~
[一言] ニャル子さんが敵だと・・・!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ