#908 朱雀の王と二度目の緋緋色金鍛冶クエスト
獣魔ギルドに戻った俺は一応セチアにスカアハ師匠たちの様子を聞いてみるとまだ意識は戻らないみたい。これは夜まで目覚めそうにないな。
俺は予定を考えつつ、まずはコーラルの進化をさせることにした。進化先は二つ。
フェニックス
炎帝
不死鳥ならやっぱりフェニックスだよね。分かっていたよ。ちくしょう。炎帝の説明はきっと白夜と蒼穹が似ていたからきっと同じ流れで来るとは思うけど、一応見てみよう。
炎帝…朱雀の王。神通力を極め、火を守護している。南方の守護神獣であり、敵から都を守る最後の砦の一体とされている。
はい。予想通り!感想もないからさっさと進化させるとしよう。
『コーラルが炎帝に進化しました』
『神炎尾、仙気、神気、念動力、指揮、他心通、天耳通、天言、神感覚、防御無効、空振、騎乗、慈雨、炎熱操作、気圧操作、溶断、暴風壁、光合成、天候支配、熱波、日光、烈日、後光、煉獄、起死回生、炎分身、捨て身の一撃、神格覚醒、王の加護、太陽の加護を取得しました』
名前 コーラル 朱雀Lv32→炎帝Lv1
生命力 254→304
魔力 190→250
筋力 132→182
防御力 60→100
俊敏性 165→215
器用値 110→150
スキル
奇襲Lv27→暗殺Lv27 飛翔Lv38→高飛翔Lv38 激突Lv32→強激突Lv32 強制Lv25→煽動Lv25 堅牢Lv27→堅固Lv27
炎爪Lv23→神炎爪Lv23 神炎尾Lv1 危険予知Lv27→第六感Lv27 仙気Lv1 神気Lv1
念動力Lv1 指揮Lv1 他心通Lv1 天耳通Lv1 天言Lv1
神感覚Lv1 防御無効Lv1 空振Lv1 騎乗Lv1 火雨Lv23→焼尽Lv23
慈雨Lv1 風魔法Lv25 炎魔法Lv1 光魔法Lv22 業火Lv31→紅炎Lv31
聖火Lv23→神火Lv23 火山弾Lv23→大噴火Lv23 炎熱操作Lv1 気圧操作Lv1 溶断Lv1
超速再生Lv32→瞬間再生Lv32 暴風壁Lv1 耐寒Lv7→寒無効Lv7 光合成Lv1 天候支配Lv1
熱波Lv1 日光Lv1 烈日Lv1 後光Lv1 煉獄Lv1
炎ブレスLv20→放射熱線Lv20 聖ブレスLv25→ゴッドブレスLv25 蘇生Lv8 起死回生Lv1 陽炎Lv26
炎分身Lv1 炎化Lv12 和魂Lv9 捨て身の一撃Lv1 神格覚醒Lv1
王の加護Lv1 太陽の加護Lv1
進化したコーラルは黄金の炎が新たなに加わり、体は尻尾が長くなり、更に以前伊雪が言っていた天の披帛と思われる光の帯が装備されていた。神々しさが割り増しになったな。
それでは恒例のスキルチェックタイム!島で確認をする。
最初は焼尽。羽から火の粉を発生させ、これを浴びたものが爆発、大炎上するスキル。みんなから報告を受けた本気の茨木童子が使っていたスキルがこれなんだろう。
コーラルの場合は空を飛んでいるから地上に降り注がせると絨毯爆撃と大差なく、また空中戦では後方の敵への攻撃手段となるようだ。
一見すると戦闘機が装備しているデコイ用のフレアという兵器に見えるけど、全く異なるところがえげつない。
捨て身の一撃は生命力を犠牲にして、強烈な突撃攻撃をするスキル。トライコーンが最後に使ったスキルの正体が恐らくこれだ。因みにコーラルの場合は生命力を失っても、蘇生と起死回生で二回蘇ることが出来る。
全体的な印象は広範囲攻撃が多い印象を受けた。そして予想通り神としての力が前面に出たな。たぶんフェニックスは蘇生が不死身になって、無限の捨て身の一撃とか使ってきそうだ。
これでとにかく今出来る全員の進化が終わった。我ながらよく一週間足らずでしたものだ。時間を確認をする。十六時だった。
「これならギリギリ鍛冶クエストに行けるな」
俺は鍛冶場でユウェルに近衛とブリューナクを受け取り、場所を変えて鍛冶クエストに行くことを伝える。
「私の分か!」
「ヘーパイストスとパンドラには二人同時にあげたいから今回はユウェルからにしようか」
「やったぞ!」
本来なら夜にも行って二回する予定だったんだけどな。予定通りには行かないものだ。そんなことを考えながら俺はユウェルを連れて、桜花に向かった。
クロウさんに教えて貰った通りにクエストを進めて、また酒吞童子の山にやって来た。今回選んだメンバーはイオン、恋火、ユウェル、アリナ、チェスだ。
「アリナを進化させる気満々なの…」
「否定はしないけど、今回アリナを選んだのにはちゃんとした理由があるんだぞ」
「進化以外になの?」
「あぁ。まず話したけど酒気対策。これを最初からするのとしないのとではだいぶ差が付く」
最初から酒気を飛ばしつつ進んでいたら、クロウさんと受けた時のような危機的状況を回避することが可能なはずだ。
「でも、それはイオンお姉様の天候操作でも可能なはずなの」
「そうですよ。タクトさん」
「もう一つはユウェルとアリナとのエンゲージバーストで酒吞童子とどこまで戦えるのか試して見たかったんだよ」
「え…」
「マリッジバーストする気満々だったイオンお姉様が石化してしまったの」
気持ちは分かるけど、エアリーのおかげでソーマ酒を生産出来るようになったとはいえ、お気軽に使える状態ではない。デメリットを避けられるならそれに挑むべきだと思う。
というわけクエストスタートだ。最初は熊童子と子分の鬼たち。
「竜魔法! クワトロシースパウド!」
「「「「グォオオオオオ!?」」」」
四つの水の竜巻に巻き込まれて即終了。
「イオンお姉様。大荒れなの」
「別にマリッジバーストを使わないとは言ってないんだけどな。エンゲージバーストで勝てなかったら、使うことになるだろうし、そのためにイオンを選んでいるわけで」
「え!? まぁ、まぁ…それぐらい分かっていましたよ」
凄い形相で竜魔法をぶっ放した後に言われてもな。解体すると外れ。太鼓欲しかった。
次は虎熊童子。こいつの相手は恋火がした。
「グォ! グォ! ガァアア!」
「は! と! そこです! 獄炎! 炎熱操作! 溶断!」
恋火は虎熊童子の攻撃を躱していると大振りしたところを見逃さなかった。獄炎が恋煌に宿り、炎熱操作で獄炎の巨剣を作り上げると虎熊童子の胴体に獄炎の巨剣が迫る。これを虎熊童子は手で受け止めようとしたが手が熱で溶け、そのまま胴体も溶かして斬った。これが溶断の効果だ。手下の鬼をみんなで倒して終わり。
「お疲れ様。恋火」
「強くなりましたね」
「えへへ。進化が遅くなった分、頑張らないといけませんから」
恋火は気合い十分なようだ。解体するとまた外れ。今度はお前から何か手に入ると思っていたよ。次は金童子。相手をしたのはチェス。
「「グォオオオオオ!」」
大熊戦争勃発。金童子の金砕棒とチェスの氷戦斧が激しくぶつかり合う。しかしチェスは氷戦斧の二刀流に対して金童子は金砕棒が一つ。手数でも筋力でも負ける金童子は切り札の雷化を使うしかなかった。
しかし切り札を使ってもなおチェスは上を行く。雷化した金童子を全反射で悉く弾いたのだ。全く歯が立たないと思ったのか。狙いを手下の鬼退治をしている俺たちに変える。その判断は悪くない。
「グォオオ!」
しかしそんなことを許すほどチェスは甘くない。煽動を使い、金童子に攻撃を強制。そして効果切れまで全反射で弾き続けた。なかなかに酷い。
「グ…グォ…ガァ!?」
雷化が切れた金童子の両目に星矢が命中し、最後はグランアックスでぶっ飛ばした。金童子はぶっ飛んでばかりだな。俺たちも鬼狩りが終わり、戦闘終了。解体する。
金童子の金砕棒:レア度9 棍棒 レア度A+
重さ:200 耐久値:800 攻撃力:800
効果:雷化、物理破壊、雷充電、雷放電、黒雷
金童子が持っている黄金の金砕棒。見た目がとにかく派手でかなりの重さと頑丈さを誇っている。打撃の威力もさることながら雷を吸収し、自身の雷の威力を上げることが出来る能力を持っている。
新しい金砕棒ゲット。雷で充電する能力があったんだな。次回以降は気を付けよう。
「お疲れ様。チェス」
「圧勝でしたね」
「ガゥ!」
まあねって感じだ。ただチェスにとって、金童子はウォーミングアップと言っていいだろう。一応みんなを回復させる。
「連戦行けるか? チェス」
「グォ!」
「よし。それじゃあ、行くか」
「「「「おぉ!」」」」
いよいよ四戦目。相手にするのは茨木童子と星熊童子。しかし今回の茨木童子の反応は違っていた。
「狐の神の使いが俺たちの山に何ようだ!」
「ユウェルちゃんの鍛冶用のハンマーを貰いに来ました!」
恋火は素直だな。恋火を見ていると自分がどれだけ汚れているか自覚してしまうよ。
「鍛冶用のハンマーだと? 貴様の狙いは天津麻羅か! あいつは酒吞の所有物だ! とっとと失せろ!」
「嫌です! それがないとあたしの緋緋色金の刀が作れないから絶対に助けさせて貰います!」
恋火よ。その通りかも知れないけど、欲望がだだ漏れになっているぞ。
「あくまで敵対するか! ならば仕方ないな! 星熊童子!」
星熊童子が現れるとチェスに敵意むき出し。チェスもやる気満々。星の熊の頂上決戦が始まった。星熊童子の鉤爪とチェスの氷戦斧がぶつかり合う。
一方茨木童子は俺ではなく恋火を狙った。恋火は金砕棒での攻撃を水薙刀で防いだ。すると茨木童子が驚愕する。
「その刀は酒吞の」
「勝手に取らないでください! これはあたしの刀です! 水飛沫!」
「く…来い! 子分たち! あいつらを足止めしろ! 大変だ~! 酒吞~!」
お前、嘘だろ。水薙刀を見ただけで逃げやがった。まぁ、酒吞童子と茨木童子は上下関係にあるから。酒吞童子の神剣と同じ素材の刀を見たら、ビビるのも仕方ないことかも知れない。
予想外の流れになったけど、ここからはチェスの戦闘を観戦しよう。するとチェスが押されていた。原因は武器。鉤爪と戦斧の勝負だと戦斧の攻撃を防がれるとカウンターの攻撃を喰らってしまうのだ。
「グ…グォ!」
「ガァアアアア!」
チェスは星矢と氷柱を放ち、星熊童子は鉤爪と星鎧で星矢を防ぐ。念動力で自在に動く星矢と氷柱に対処したことは流石の腕前だが、星熊童子は足を止めてしまった。その結果、チェスに力を貯める時間を与えてしまった。
「ガァアア!」
「グ! オォオオオ!?」
チェスが氷戦斧を思いっきり振ると氷旋風が発動する。それを星熊童子は受け止めようとしたが飲み込まれる。直撃した星熊童子だが、星の加護で氷結はしなかったようだ。そしてお返しとばかりに星熊童子は拳を構える。星震か。ここはやばいな。
「タ、タクトさん…」
「動けないの…」
煽動か!やばい!
「恋火! ユウェル! 遮断結界!」
「「遮断結界!」」
チェスも守りを固めて、星熊童子の星震が放たれると俺たちが全員ぶっ飛ばされた。
「けほ…な、なんだったんでしょうか? 今の攻撃」
「うぐ…遮断結界をすり抜けて来たぞ」
「恐らくあいつのスキルか武器の効果だろうな。アリエスの魔法ローブの衝撃無効も効果がなかった」
衝撃貫通かその上のスキルと言ったところか。
「アリナ、無事か?」
「一瞬ウェディングケーキが見えたの」
「「「わかります(わかるぞ)」」」
走馬灯で見えた景色がそれなのか。しかも全員が同意してしまった。余程気に入ったんだろうな。俺が作ったものじゃないからちょっとショック。
すると星熊童子はもう一発構える。これ以上は危ないと思い、俺は動こうとしたがチェスが星間雲を星熊童子に発動させた。虹の雲に包まれた星熊童子は感電するが星鎧でガードしている。
その間にチェスは起き上がり、両手の氷戦斧を左右に投げ、星熊童子に突進する。星熊童子は星間雲を吹き飛ばし、拳を構えようとする。
「グォオオオオオ!」
しかし拳を放つ前にチェスが星氷爪で止めた。星震にはこんな弱点があるのか。その後、殴り合いに投入し、お互いに星鎧が砕ける。この瞬間をチェスは狙っていた。
チェスが星熊童子の拳を後ろに下がることで避けると雄叫びを上げて、地面を両手で叩く。すると地面から雪が発生し、それが雪崩となり星熊童子に襲い掛かった。
「グォオオオオ!?」
雪崩に流された星熊童子が雪から顔を出すと両手に氷戦斧を構えているチェスの姿があった。
「グォオオオオ!」
チェスのグランアックスが決まり、勝負あり。
「グォオー!」
チェスの勝利を雄叫びを上げる。余程勝利が嬉しいんだと思う。同じ星の熊同士。負けられない戦いだったのだろう。手を出さなくてよかった。解体すると外れ。うん。なんとなく金童子で解体成功したからなんとなく分かっていたさ。
結構ダメージと魔力を使ってしまったから料理バフがてら、また休憩。
「防げるなら最初から防がないとダメなの!」
「ガ、ガウ…」
アリナがチェスに説教していた。
「チェスは勝ったんだ。それでいいんじゃないか?」
「お兄様は黙ってて欲しいの! お兄様は本当にダメなことをしたときに物凄い形相でむぐ!?」
イオンたちがアリナの口を閉じた。しかし少し遅かった。
「物凄い形相でなんだ? 詳しく聞かせて貰おうか? アリナ」
「い、今はチェスさんを怒っている最中だからそれはまた後で」
「そうか。なら物凄い形相とやらで待っててやるよ」
「まぁまぁ。タクトさん。時間がないんじゃありませんか?」
そこを突かれると待てないな。
「はぁ…そうだな。休憩も済んだし、行くぞ」
「流石イオンお姉様なの」
「ふふ。これが経験の差ですよ。アリナ」
「これは帰ったら、お兄様取扱説明書にメモするの」
アリナはそれを作って何をしたいんだろう。そんなことを考えながら俺たちはイベントの最後、酒吞童子と茨木童子がいるところに向かった。




