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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
ウィザードオーブ戦争
951/1718

#904 トレントの森、精霊界探索

少し歩くと採掘ポイントを見つけた。採れたのがこちら。


木精石:レア度9 素材 品質S

死んでしまった木の精霊の力が結晶化した鉱石。精霊界にしか存在しない鉱石で非常に強い木の力を宿していると言われている。


セチアがガッツポーズをしていた。


「セチア…もしかして急いでいた理由はこれですか?」


「いえ。そんなことはありませんよ。イオンお姉様」


「本当ですか?」


イオンが疑うのも無理はないだろうな。何せこの場所を選んだのは他ならないセチアなのだ。まぁ、来てしまったものはどうしようもない。探索を続けようとした時だった。


「マスター、別の敵が一直線にこちらに向かってきてます」


全員が戦闘態勢になると今回は識別出来た。


ユニコーンLv50

召喚モンスター 討伐対象 アクティブ


野生では初だが、いきなり狂戦士化を使っている。そしてこいつも俺を狙ってくる。


「主!」


ブランがパッラースの盾で回転角を受け流すとシールドタックルで吹っ飛ばす。


「はぁ!」


「やぁ!」


イオンと恋火が怯んだところを狙い、斬り裂いて倒すと復活し、再び暴れ出す。


「ルートスクイズ!」


ユニコーンは暴れるが木々に捕まっていく。その間もずっと怒りっぱなしだ。最後はイクスが首を斬り落として、終わった。


「私、物凄く怒られていたんですけど…」


そう。俺とイオンに滅茶苦茶怒りをぶつけていた。これにはセチアが説明する。


「ユニコーンは汚れてしまった女性が大嫌いの動物ですからね。怒るのも無理はないかと」


「私、汚れてませんよ!?」


「イオンお姉様がどれだけ否定しても決めるのはユニコーンですよ」


ごもっとも。まぁ、結婚が純潔を失うという意味で捉えるならユニコーンは嫌うだろうな。イオンがショックを受けている最中だが、解体すると外れ。角か血が手に入るんじゃないのかよ!


まぁ、いいや。これでユニコーンを島で出せるようになったんだからよしとしよう。俺が歩きだすと第六感が地面に発動し、離れる。


「なんだ?」


「地面から魔力反応! 真下から来ます!」


全員が離れると地面から巨大な土の手が現れた。頭と体が姿を見せる。それは体から草を生やすゴーレムだった。


レーシーゴーレム?

? ? ?


レーシーは確かスラヴ神話の森の精霊じゃなかったか?それがゴーレム?わけがわからない。


『排除する』


ゴーレムから声がした。すると目から光線を撃って来た。すると光線で触れた所が石化する。石化光線か…厄介だな。しかし撃って来たと言うなら挑む主義だ。


「やるぞ!」


「「「「はい!」」」」


全員が一斉に攻撃を仕掛けると攻撃が障壁で通らない。


『ふぇふぇふぇ! このゴーレムには精霊障壁が貼られておる! (なぶ)り殺しにしてくれるわ!』


人を小馬鹿にした爺の声は爺さんを思い出すからやめろって。俺たちがゴーレムのパンチを躱すとイオンと恋火が前に飛び上がり、武技を繰り出す。


「グランドサザンクロス!」


「狐炎乱舞!」


しかし精霊障壁は破れない。


『ふぇふぇふぇ。無駄じゃ! 無駄じゃ! このレーシーゴーレムのエネルギー源には地精石を使用しておる! お主らのような人間と亜人ではこの精霊障壁は破れんわい!』


「地性石のことじゃないよな?」


『ば、馬鹿にするな! 土の属性石の中でも最上級の石を使っておるんじゃぞ!』


だって、読み方が一緒なんだもん。運営にはもう少し配慮して欲しいな。それにしてもいいことを聞いた。


「つまりこのゴーレムを壊せばそれが手に入る可能性があるってことだな?」


「そういうことになりますね。流石タクト様です。やっちゃいましょう」


『うぉい! そこのエルフ! 何物騒なことを言っておるんじゃ! そこは逃げ出すところじゃろうが!』


「分かっていませんね。そんなことを言われてタクト様が引くはずじゃありませんか」


全員が頷く。俺も否定はしない。だって、欲しいだもん。何に使うかは知らないけどね。


『ふ、ふん! 良かろう! ならばこのレーシーゴーレムの力、とくと味わうがいい!』


腕が勢いよく伸びたり、ミサイルを撃ってくる。そのどれもが精霊障壁が貼られていて、試しにミサイルを空間歪曲でレーシーゴーレムに当ててみるが駄目だった。


「自慢しているだけはあるか」


「ですね。どうしますか? タクト様」


まぁ、ブリューナクを使うとか方法はあるけど、戦いに余裕があるから別の方法を試したいな。


「そういえば超連携には魔法と武器の連携があったな。イオン、試してみるか?」


「はい!」


俺は装備をケツァルコアトルの封印杖に変更して、ラーヴァフローを使用するとイオンと連携が発動する。


「海錬刃! はぁああああ」


イオンの双剣に溶岩が宿り、それが剣の形となり、イオンはレーシーゴーレムに斬りかかった。結果は精霊障壁の破壊出来なかった。


「く…」


『無駄じゃ! 無駄じゃ! そんな攻撃ではびくともせんわい! 例え召喚師の力を加えてもお主の力は水! 土には一生勝てんわい!』


その後、普通のスキルや融合魔法、獣魔魔法を使用するがいまいち。ディメンションボムは有効だと思ったんだけど、流石に中に魔法を発動させてはくれなかった。


『どうした? もう終わりかの?』


「そうだな…ところでそのゴーレムは泳げるのか?」


『は?』


そのリアクションは無理ということだな。


「へぇ…泳げないんですか」


小馬鹿にされていたイオンが笑顔を浮かべた。


『あぁあああああ!? や、やめ!?』


セチアがシンクホールで穴を空けて、その中にイオンが瀑布で水を一気に流し込むと渦潮を使い、あっという間に洗濯機が完成した。


「水が土には勝てないとそう言いましたね? 確かに水は土に弱いですが、勝てないと言うのはあなたが水の事を知らないだけということを教えてあげます! 水圧操作!」


『そんなもの通用せぬわ!』


「逆鱗! はぁあああああ!」


イオンの強烈な水圧に精霊障壁がひびが入る。


『な、なんじゃと!? これはまずい! 緊急脱出!』


レーシーゴーレムから脱出ポットが勢いよく打ちだされ、落とし穴から空に上げるとイクスがデウススナイパーエネルギーライフルで撃ち落とした。逃がすはずがない。そして放置されたゴーレムは落とし穴の海底で潰れた空き缶のようになっていた。


「か、勝ちました! っ~!」


「よく頑張ったな。イオン」


「あ、あれ? 撫でてくれないんですか?」


「逆鱗の反動が来ているんだろう? 収まったら、撫でてあげるよ。さて、これはどうするべきかな?」


俺たちは撃ち落とされた脱出ポットを囲んでいる。叩いても何も返事がない。


「仕方ない。恋火、斬ってくれ」


「はい!」


「うぉい! 明らかに乗っておることが分かっとる癖に斬るとか言う出ない!」


脱出ポットから現れたのはコロポックルと同じサイズの地面に髪の毛が付くくらいあるロン毛の爺さん精霊だった。


レーシー?

? ? ?


こいつがさっきのゴーレムを操っていたからレーシーゴーレムだったわけだな。


「小さいですね…」


「そうじゃ。わしはか弱い精霊じゃぞ? 天使のお嬢さん。ここは見逃してくれるかの?」


「え…どうしましょうか? 主」


「隙あり! 巨人化!」


レーシーが大木サイズに大きくなる。


「死ねぇえええええ!」


踏みつぶそうとした足をブランが止めて、弾くと尻もちをつき、元のサイズに戻る。


「ごほ! ごほ! 命に係わる持病が…ここは見逃してくれんか?」


「「「「絶対に嘘だろ(です)!」」」」


この後に及んでそんなことが通用すると思っているこいつが凄い。


「待て待て! お主らにはさっきのゴーレムをやろう」


「もう壊しましたよ」


「何!? むぅ…折角ドワーフに作ってもらったゴーレムじゃったのに…」


「あれはドワーフが作ったのか?」


これはちょっと興味深いな。


「そうじゃよ。昔はこの辺にドワーフがおってな。そのドワーフに森を守るために作ってもらったのがこのゴーレムじゃ。お主たちが昔倒したウッドゴーレムもその遺産なのじゃぞ」


「ちょっと待て。なぜ俺たちがウッドゴーレムと戦ったことを知っている?」


レーシーが口を隠す。しかしセチアが答えを教えてくれた。


「恐らくあの時、私たちをウッドゴーレムから逃げれなくしたのがこの精霊ではないかと」


「ほぅ…」


「ふぉっふぉっふぉ…さらばじゃ! シルウァヌス~!」


レーシーは逃げ出した。滅茶苦茶逃げ足が速いな。しかし最後の言葉が気になる。


「シルウァヌスって言ったか?」


「シルウァヌスは森を守護している精霊です。出てこられる前に撤収したほうがよろしいかと」


このゲームでもそういう設定なんだな。シルウァヌスはローマ神話に登場する森を守護する精霊だ。どれだけ強いかはわからないが、セチアが撤収を判断したならそれに従った方がいいだろう。


俺は急いでレーシーゴーレムを解体する。


地精石:レア度10 素材 品質S+

死んでしまった大地の精霊の力が結晶化した鉱石。精霊界にしか存在しない鉱石で極めて強い土の力を宿していると言われている。


精霊炉:レア度10 素材 品質S

精霊の力を利用した装置。高エネルギーを作り出し、大きな機械の動力源として、十分な力を持っており、精霊の力に応じた力を発揮する。


水中でガッツポーズする俺。さっきまでの運の悪さが解消した気持ちだ。アイテムを持って戻るとセチアが精霊門を使い、俺たちはトレントの森に戻った。


「位置も変わるんだな」


「精霊界はこの世界の裏側の世界と言えますからね」


「裏側の世界ね。一つ質問なんだが、ここで遮断結界を使ったら、精霊界ではどうなるんだ?」


「影響を受けません。裏側の世界と言っても別の世界ですからね。これが精霊結界や神の結界とかなら精霊界にも貼られることになります」


なるほど。覚えておこう。奇襲や何かで役立つかも知れない。俺たちはホームに帰り、早速石は聖域の島に捧げて、精霊炉をヘーパイストスに見せると欲しがる。


「これは凄いですね! 作製を断念した巨人に使いたいですがちょっとエネルギーが足りないかな? いやでも性能の強化に」


ヘーパイストスが止まらなくなった。そしてこれはヘーパイストスだけでなく、ノアにサバ缶さんも興味を示した。ただやはり能力の強化に注目をしているようだ。


もしかして聖域の島で出せるかも知れないと思ったけど、出せなかった。レーシーを倒さなかったせいかそもそもモンスター扱いではなかったのかも知れない。


とにかくこれは大切に取っておこう。これから他の精霊石のゲットに動くことになるだろう。その時にこの精霊炉の性能を確かめるとしよう。


ちょっと休憩がてらエアリーに作戦の説明をする。時は来た。いよいよリベンジの時だ!

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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