#89 初イベントの詳細
前話で出てきた魚醤ですが、実際に作ると書いた通りとんでもない臭いがするので、気絶まではしないと思いますがご近所様に多大な迷惑をかけてしまいますので、ご注意ください。
窓を開け、換気する。リリーたちが魚醤効果で倒れているので、復活する前にイベントの内容を確認しておこう。
内容:『無人島でサバイバルをするイベントです。
モンスターの討伐、攻撃によって獲得できる戦功ポイント。
プレイヤーのイベントの攻略によって獲得できる貢献ポイント。
二種類のポイントがあり、それぞれイベント後に獲得したポイントを景品と交換出来ます。
強い武器、レア度の高いアイテムなどはポイントも高いです』
つまり高ポイントを目指して、頑張るイベントってことだな。戦功ポイントは戦闘職。貢献ポイントは生産職って感じだな。当然戦闘職はイベント攻略に関わってくるから貢献ポイントを獲得出来るし、生産職もモンスターを倒したり、攻撃もできるから戦功ポイントも稼ぐことが出来る感じか。
俺はリキュールがいるから攻略メインになるかな?馬の速度、移動距離を活かしたいところだからな。まぁ、いつも通りその場の流れでイベントを楽しむスタイルでいこう。そしてここからは注意点だ。
注意点:『イベントには武器、防具、道具などの装備アイテム以外持ち込み不可です。
決闘、PK行為は不可です。
助っ人NPCの参加不可です。
他プレイヤーのモンスターへの識別不可です。
期間中の召喚、テイミング不可です。
所持金の持ち込みは不可です。
スキルの獲得は可能です。
期間中のデスペナは獲得ポイントの減少が追加されます。
獲得ポイントにマイナスも発生します。
イベント終了時点で獲得ポイントがマイナスの場合は獲得ポイントは0となります。
イベントで獲得したアイテムはそのまま獲得できます。
プレイヤーの人数が多いため、いくつかのグループに分けてイベントを開催いたします。』
イベントにアイテム持ち込めないのか…まぁ、サバイバルで食材持ち込めたらおかしいわな。しかし鉱石まで持ち込めないのはきついな。ヘーパイストスが参加出来ないみたいだし、武器の修復は久々にクロウさんに頼むことになりそうだな。
それと決闘やPKが不可ってことはポイントを稼いだプレイヤーからポイントを奪うことを禁止した形になるのかな?
他プレイヤーのモンスターへの識別不可は召喚師に対するものだな。イベント中にリキュールを識別してもリスト召喚でホースを召喚出来なくさせたわけだな。まぁ、これも国ごとに分けようとしていることを考えると当然のことかもしれないな。
そして次も重要だな。召喚が出来ないのか…というか俺はいつも召喚の間で召喚しているが別に外でも出来るんだったな。忘れていた。
スキルの獲得は流石に可能になったか…逆に獲得しなければならないケースが存在しているとも取れるな。
そしてデスペナに獲得ポイントのマイナスが発生。これもこういうイベントなら当然なのかな?わざわざマイナスまで適応することを考えるとマイナスが発生しうる状態があるってことか…嫌な予感がするな。
しかしお金の持ち込み不可とグループの二つは謎だ。どういうことだろう?
俺が読み終えたところでメッセージがくる。ルインさんだ。コミュニケーションでイベントについて、話したいらしい。俺も意見交換したいから早速コミュニケーションを使用する。
「あー…こちらタクト、こちらタクト。ルインさん応答願います。オーバー」
『なんで兵士の無線なのよ…朝から元気ね』
「…ルインさんはノリ悪いですね…」
『そういう遊びは男同士でやってちょうだい。イベントの内容は確認したかしら?』
悲しいな…きっとルークやクロウさんならノってくれるはずだ。と、イベントの話だったな。
「つい先ほど確認したところです」
『そう。タクト君はどう思ったかしら?』
「知り合いからレイドイベントじゃないかと聞かされていましたが、普通のサバイバルで終わるはずはないですね」
『やっぱりそう思うわよね』
ということはルインさんも同意見か。
「それと色々な制限が気になりますね」
『PKや決闘の禁止はこちらとしては大助かりね。ゲームによってはポイントを奪い合うゲームも存在しているんだけど、その場合は私たち生産職はただのカモになるわ。当然対策は考えるけどね』
うわー、そういうゲームも存在しているのか…それは大変だろうな…
『まぁ、運営からしたら純粋なポイントを集めるイベントを開催したかったという話ね』
なるほどね。と最後の二つの意味がわからなかったんだったな。
「グループとお金の意味ってわかりますか?」
『あぁ。人数が多いからサーバーを分けてイベントを開催するって話ね。タクト君は意識していないでしょうけど、通常時もサーバーが分けられているのよ?』
「サーバーが…分けられる?」
『うーん…なんて説明すればいいのかしら? まず最初の町にプレイヤーが数十、数百万人が入れないことはわかるわよね?』
あー、言われてみればそれは不可能だな。
『だから同じゲームフィールドをいくつも用意してプレイヤーを分けることで運営しているのよ』
へぇ、全然考えていなかったな…待てよ?
「でもそれならプレイヤー同士が別れるケースが出てくるのでは?」
『当然そういうケースも出てくるわ。本来ならサーバーを指定したりするんだけど、このゲームはフレンドやログを見て、ある程度ゆかりのあるプレイヤーを集めているみたいね。それでもこの前の交流会に参加出来なかったプレイヤーがたくさんいて、運営に抗議したそうよ』
そういうことが起きるよな。だが問題は今回のイベントだな。
「今回のイベントはどうなると思います?」
『わからないわ。同じになるか、バラバラになるか全くの不明ね…でもプレイヤーとの協力を前提にしているイベントな気がするから、親しい人が集まる可能性は高いと考えているわ』
なるほど。確かにプレイヤー同士の協力を前提にしている気はするな。
「お金の持ち込み不可はなんでしょうね?」
『恐らく、お金の代わりがポイントになるって話ね。例えばプレイヤーに食事を作れば当然貢献ポイントが手に入るわ。逆に料理プレイヤーに食材を渡しても貢献ポイントが発生する仕組みでしょうからお金がいらないって話だと思うわ』
「あぁ。そういうことになるのか…」
お互いにポイントが獲得出来るならお金は必要じゃないってことか。
『これはデスペナ対策にもなってるわね。所持金のマイナスが発生しないわけだからね』
あぁ…なるほどね。現状で所持金マイナスは痛いだろうからな。ということはポイントマイナスが所持金マイナスのデスペナの代わりと言いたいわけか。
『まぁ、明日には直接話せるからここまでにしておきしょうか』
「ん? 直接ですか?」
『えぇ。クロウを除く、私たちはフリーティアに向かうことにしたわ』
「い、いいんですか? 産業の国ワントワークに居なくて」
『確かに悩んだけど、普通に考えたら他の生産職はワントワークに居るでしょ? それなら私たちはフリーティアに向かうのも手かな? と思ったのよ。これからフリーティアにはサモナーとテイマーが沢山集まることになるわ。普通の人でも向かう人は多いはずよ。タクト君がある程度、攻略情報を流しているから、未知の土地より安心して攻略できるからね。そういう点を考えるとフリーティアには十分過ぎる商売のチャンスがあると判断したわ』
おぉ~。流石、商人は先を見据えているね。
『それにタクト君が手に入れている素材を買い取れるのは大きいわね。イベント前は装備を更新したい人が沢山いるからね。多少値段が高くてもポンポン売れていくのよ?』
「が、頑張って集めます…」
『ふふ、気負わなくていいわ。タクト君の場合、天然で集めそうだから。それじゃあ、また明日ね』
て、天然で集めそうなのか?俺?そういえばレベル上げをしていたら結構溜まっている気が…よし、深く考えるのはやめよう。しかしルインさんたちが来てくれるのは正直心強いな。そしていよいよ他のプレイヤー達も旅立ちが始まったんだな。あ、クロウさんのこと忘れていた。まぁ、鉱山の国ヴェインリーフだろうけど…俺はクロウさんの幸運を祈った。