#895 神竜の竜騎士VS酒呑童子
最初はお互いの力比べから始まった。
「はぁあああ!」
『むむむむむ!』
互いの剣と刀にオーラ集まる。
「「覇撃!」」
お互いの覇撃がぶつかり合い、弾ける。
「おらぁあああ!」
「はぁああああ!」
俺たちの光速戦闘が始まった。そこで俺は神竜の力を実感することとなった。光速戦闘をしているはずなのにはっきりと動きを目で追えているのだ。それは近衛も同じで初めてちゃんと俺は近衛を使えている感覚を味わった。
「ちぃいい! 気色悪い剣術を使いやがって! 空波動!」
『神波動!』
波動同士がぶつかり合い、俺たちが押していくと攻撃をくらう前に酒呑童子は逃げる。
「酒気分身!」
『光分身!』
お互いの分身がぶつかり合う。更に酒吞童子の黒雷と俺たちの神雷を撃ち合うが互角。再び斬撃と格闘の応酬となる。そして酒吞童子が勝負に出る。
「食らいやがれ! 毒雹!」
酒吞童子の剣から恐らく神魔毒の雹が放たれた。やはり伊吹山の神話に似せてきたな。
「天候支配! そら、返すぜ!」
毒雹が動きを止めて、向きを逆に変えると酒吞童子に向かう。
「あめぇ! 天候支配!」
俺たちと酒吞童子の暴風に挟まれた毒雹が塵と化す。
「「旋風刃!」」
これを互角。
「はっはー! 黒球!」
『光球!』
巨大な光の球と黒い球がぶつかり合い、超爆発する。
『空間転移!』
「踵落とし」
「ふん!」
『星震!』
「何!?」
爆発の衝撃を受けない俺たちは空間転移から踵落としを放つとこれは酒吞童子にガードされるが至近距離からの蹴りの星震を浴びせた。
「旋風刃!」
俺が落下する酒吞童子に近衛を振るうと巨大な鎌鼬の竜巻が酒吞童子を襲った。
「神剣解放!」
酒吞童子が神剣解放を使うと旋風刃が吹き飛ぶ。そして剣を構えた酒吞童子が必殺技を繰り出す。
「神剣技! 伊吹颪!」
酒呑童子の剣から紫の竜巻が発生すると八つに分かれ、それぞれ竜巻が蛇となると俺たちに向かってきた。
『雷光! 神速!』
「飛梅!」
俺たちは通常の雷速を遥かに超える速度で蛇との間合いを詰めると斬り裂く。他の蛇も斬り裂いて、神剣解放無しで必殺技を打ち破った。
「野郎…はぁああ!」
酒吞童子を笑みを浮かべて腰の金砕棒を持ち、二刀流で俺たちも向かってきた。俺たちは近衛のみで受けて立つ。
「らぁああ!」
『竜技! ドラゴンクロー!』
金砕棒を素手で受け止める。
「忘れたわけじゃねーよな? 鬼太鼓!」
起爆するが俺たちは金砕棒を握ったままで離れると神拳で金砕棒を殴りつけ、がら空きの横腹に蹴りを入れた。
『星震!』
「ぐ…」
俺は酒呑童子に斬りかかると酒吞童子が酒気となり、消えると背後から俺たちに斬りかかってくる。
『光化!』
俺たちの姿が光の粒子となり、消える。
「な!?」
酒呑童子の首を俺たちは背後から斬り裂いた。そして追撃が発動する。
『やったー! っ!』
第六感が発動し、俺たちは未来を見ると離れる。斬られた酒呑童子がこちらを向くと神魔毒ブレスを使ってきた。
『ドラゴンブレス!』
リリーのドラゴンブレスと神魔毒ブレスがぶつかり合う。これは互角。そして酒吞童子の首が胴体とくっつく。
「残念だったな」
「そうでもないさ」
「へ…気力解放!」
酒呑童子のオーラが爆発的に上げる。ならばこちらも使おう。
『竜技! ドラゴンフォース!』
俺たちは更に速く激しくぶつかり合う。
「ははは! ぐ…もっとだ! 黒雷! もっと! く…おらぁ! 鬼火! 消滅弾!」
『神雷! ドラゴンテイル! 天雨! 全反射!』
「はぁああああ! ぐっ!? 神撃!」
「魔神障壁! らぁあああ!」
お互いにダメージが蓄積していくが俺たちは確実に酒吞童子を追い詰めていた。しかし酒吞童子はまだ切り札を残していた。
「あぁ…いてぇいてぇ。お前ら、最高だぜ。けど、まだまだこんなもんじゃねーよな? こいつでお前らを本気にさせてやるよ。鬼神化!」
酒吞童子が巨大な鬼になる。これが本来の酒呑童子の姿か…なんて迫力だ。
『さぁ! 野郎ども! 祭りの始まりだ! 百鬼夜行!』
俺たちが戦っている山が鬼だらけになる。そして酒呑童子にバフが発動する。恐らくグレイと同じで鬼の数に応じて強化する力なんだろう。
『楽しませてくれた礼だ! 最高の鬼の祭りを見せてやる! 月食!』
月が月食すると鬼たちが歓喜の声を上げ、地面から無数の攻撃が飛んでくる。とんでもないスキルを使ってくれるぜ。しかも酒吞童子は空から雷轟まで使ってきた。これを俺とリリーは防御スキルを総動員して防ぐ。
『どうするの? タクト?』
『任せろ。これで終わらせる!』
「神刀解放!」
『やっと本気になったかよ! だがこの状況で俺に勝てるか? 神剣技! 伊吹颪!』
最初よりも遥かに大きな伊吹颪が俺たちに向かってきた。さぁ、この状態でこの技はどうなるかな?
「神刀技! 雷騰雲奔!」
この瞬間、俺たちは普通に動き、他の攻撃や敵がまるで時間が止まったように動かない。俺たちは全ての攻撃と召喚された鬼を斬り裂き、酒呑童子を連続で斬りまくったところで時間が動き出す。
『あん? どこに消え』
全ての攻撃が霧散し、酒呑童子を含むと地上に溢れた鬼たちが斬られ、山に無数の雷が落ちると山が燃える。酒呑童子が俺たちを見る。
『つえーな。お前ら。今日は負けちまったが次は俺が勝つ。だからそれまでに他の奴らに負けるんじゃねーぞ』
酒吞童子がそういうと倒れた。
「あぁ」
『タクトとリリーのマリッジバーストは無敵だから負けないよ!』
実際に竜化や神威解放を残しているからまだまだ余力があった。それでも俺は酒呑童子の強さを認めざる負えない。もし最初から本気で百鬼夜行を使われていたら、俺たちは詰んでいただろうからな。
因みに茨木童子の様子も雷騰雲奔時に確認することが出来た。ブランが天鎖、セフォネが冥府鎖で縛り上げ、茨木童子の体中に無数の蒼雲が刺さっていた。蒼雲はユウェルが作ったからたくさん生産することが出来るんだろう。
もう風前の灯火だったから酒吞童子を解体しよう。
酒吞の瓢箪:便利アイテム
酒吞の酒が涌き出る不思議な瓢箪。
神剣とか金砕棒とかどこ?酒は飲めないから俺にはあまり得がない。しかし折角なので、瓢箪の中の酒を鑑定してみる。
酒吞の酒:レア度10 料理 品質S+
効果:超泥酔、泥酔無効の無力化、誘惑、大炎上、毒無効
余程の酒豪のみが飲めるアルコール度数95を超える酒。泥酔無効も効果を発揮しない程の酒でこれを飲んだ者は誰でも酔ってしまう。火でとんでもなく燃えるため、飲む時は火の気がないところで飲むのがマナー。また消毒としても使うことが出来る。子供は飲むことが出来ない。
この酒って八岐大蛟に使う酒だったんじゃないか?無限に酒が出るんだから、数制限なんて関係ないし…いや、近衛のおかげで勝てたもんだし、考えないようにしよう。
その後、俺たちはマリッジバーストを解除して二人揃って、倒れる込む。三日のデメリットだ。マリッジバーストで二日、ドラゴンフォースで一日だな。
「凄く強かったね…タクト」
「あぁ…たださっきの戦闘は色々反省点があったな」
「え? そうなの?」
初めてのマリッジバーストだったから使いこなせていない感をどうしても感じてしまった。リリーとの超連携もなかったし、魔法を使う余裕もなかった。それだけ酒吞童子が強かったってことだけど、色々反省点がある戦いだったな。
倒れているとみんなが戦っている方向から神撃や複数のオリジンストリーム、ドラゴンブレスが見えた。完全にオーバーキルしたな。
茨木童子の討伐した報告を受けて、クロウさんから二人分のソーマ酒を貰うと茨木童子を解体すると外れ。
その後、山頂に向かっている間に茨木童子の能力を聞いた。どうやら茨木童子は火、木、闇属性を使ったらしい。特に多用したのが火で爆発する火の粉を飛ばしてきたり、火柱などで攻撃してきたらしい。
「ま、それでも妾たちの敵ではなかったがな!」
「スキルが使えなくて一番慌てていたのはセフォネでした」
「うん。死ぬのが怖くてセフォネは逃げ回っていたぞ!」
「う、嘘を言うでない! 妾がそんなみっともない戦いをするはずないのじゃ」
二人が言っている時点で嘘なのがバレバレだ。その恥ずかしさを隠すためにあんな大技を使ったんだな。納得した。まぁ、これは触れないでおこう。
そう思っていると洞窟を発見し、その中から鍛冶をしている音が聞こえてくる。俺たちが洞窟に入ると一人の鍛冶師がいた。
天津麻羅?
? ? ?
俺たちの気配を感じたのかこちらの体を受ける。
「人間と亜人か…私を助けに来てくれたのか?」
「あ、あぁ。そうだ…でけーな。おい」
天津麻羅は一つ目の神様だった。ただそんなことより下半身に目が行ってしまう。ズボンがもっこりしている。あれで通常時だったら、化け物だぞ。この神様。
こいつはリリーたちに見せたら、いけない神様な気がする。ということで全員を後ろに向かせた。
「そうか…鬼たちを倒したのだな。それではこれを作った意味がないか。仕方ない。自分で使うとするか。君たちには何かお礼をしないといけないな。とはいえ俺は鍛冶の神様。渡せるものなどこのハンマーしかない」
「あ、あぁ。それでいい」
「そうか。では、これをお主に渡そう。大切に使ってやってくれ。では、さらばだ」
クロウさんに天津麻羅のハンマーを渡すと天津麻羅は消えて、俺たちのクエストも終わり。元の位置に戻った。
 




