#88 セチアの木工と魚醤誕生
土曜日の朝、朝食を食べ終え、早速ゲームにログインすると胸の中が温かい。見ると白髪の狐耳がある。恋火だ。気持ちよさそうに寝ている。頭を撫でると耳が垂れる。可愛いな。そして気になる尻尾。
時々体に当たる尻尾を見ていると沸々と触りたい欲求にかられ、触ってみる。フサフサだった。
「ん…んん…」
やはり弱いのか小刻みに震えている。流石にこれ以上はやめておこう。俺は恋火を起こし、下に降りる。するとグレイと優牙が俺に寄り添ってくる。尻尾を振ってるところを見ると飯の催促だな。
そして下ではリリーたちが白夜を枕にしていた。おいおい。
グレイ達だが昨日の夜にホームに設置してみたのだ。グレイたちは普通の犬と大差ないし。白夜はホワイトタイガーを庭で飼ってるセレブがいるくらいだ。問題ないはず。
俺がキッチンに立ち、ウサギ肉を料理していく。今日はウサギ肉のつくねにチャレンジ。大量に作って、モッチさんに届ける予定だ。だが、ここで衝撃的なものを見つけてしまった。イワナの魚醤を作っていたガラスの容器を見るとちょうどいい感じになっている。とはいえ直ぐ使うのは危険だな。とりあえずつくねを作るか。俺がつくねを作っているとリリー達が匂いで起きる。それじゃあ、ご飯にしますかね。
ウサギ肉のつくね:レア4 料理 品質E+
効果:満腹度40%回復、2時間筋力アップ(中)
ウサギ肉をミンチにして丸めて焼いた肉料理。
血抜きがしっかりされており、大変美味しい。
リリー達が美味しそうに食べる。そこでセチアから報告があった。
「タクト様から預かっていた檜で私の弓とタクト様の杖を作ってみました」
セチアが自信満々で取り出す。鑑定してみよう。
檜の杖:レア度3 杖 品質E
重さ:10 耐久値:40 攻撃力:15
追加效果:魔法攻撃力アップ(小)
檜で作られた杖。魔法には向いていないが頑丈で檜の香りがする。
檜の弓:レア度3 弓 品質E-
重さ:10 耐久値:15
追加效果:矢の攻撃力アップ(小)
檜で作られた弓。頑丈で檜の香りがする。
弦がクモの糸とキャタピラーの糸で作られているため、耐久値が下がっている。
檜の矢:レア度3 矢 品質E
重さ:5 耐久値:20 攻撃力:20
追加效果:毒効果(微)
檜で作られた矢。通常の木の矢より攻撃力が高く矢尻には蜂の針が使われている。
なるほど。杖と矢はいい出来だが弓に使う弦が俺の素材にはクモの糸とキャタピラーの糸しかない。これではいい弓が作れないだろう。それに弓と矢で重さが15ある。今のセチアでは使いこなせないだろう。もうすぐ進化だから進化したら、弓装備も試していいかも知れない。戦術は多いほうがいいからね。
「私がタクト様だけのために作ったものですから大切に使ってくださいね?」
「あ、あぁ。大切に使わせて貰うよ」
「はい!」
なんか話が重い。頑張ったセチアの頭を撫でると羨ましそうな三人娘。今回はむくれていないことを考えるとセチアの頑張りを認めているのかな?とはいえずっと撫でるわけにもいかないな。
俺が撫でるのをやめるとセチアが今日の予定を聞いてきた。
「今日はどうするんですか?」
「最初に約束の訓練をするつもりだったんだけどね。魚醤がちょうどいい感じみたいだから、先にそっちを試してみるよ」
「タクト様が作っていたものですよね? でもそれならすぐに作ればいいのでは?」
「それがそう簡単なものじゃないんだよ。あの中身は腐った魚だろ? それを開けるとどうなると思う?」
俺が質問するとイオンが答える。
「臭いがこの部屋に充満する…ですか?」
「正解だ。俺でもやばい臭いだ。グレイたちは酷い目に合うぞ」
俺がそう言うと召喚獣達が怯える。だがこれは脅しでも何でもない事実だ。というわけでリリーたちだけ残し、召喚石に戻す。リリーたちも戻そうとしたが言うことを聞かなかった。きっと後悔することになるだろう。
では魚醤を手に入れようか。
俺はヘーパイストスに頼んでいた石のろ過装置を取り出し、準備完了。では容器をオープン。
プ~ン
強烈な魚の腐敗臭が解放され、リリーたちが悶える。だから言ったんだ。召喚石に戻れと。
「何!? この臭い~!?」
「鼻が!? 鼻が~!?」
「これは自然の臭いなんですか!?」
「あたしは…もうダメです…」
恋火が倒れる。あーあー。言わんこっちゃない。
すると地下からヘーパイストスの悲鳴が聞こえる。あ、そういえばいたんだったね。話してないや。まぁ、もはや後には引けない。俺はろ過装置に腐ったイワナをセットする。腐ったイワナと言っても残っているのは骨が主で後はヘドロの様になってる。
「後はこのまま、下の入れ物に魚醤が貯まるのを持つのみだな」
「「「えぇ!?」」」
俺が地獄の宣告を告げるとリリーたちが絶望に染まる。だが自分たちから言い出したことだからな。我儘して最後まで付き合ってもらおう。
そしてしばらくして、ろ過が終了する。鑑定してみる。
イワナの魚醤(原液):レア5 料理 品質D-
効果:なし
イワナを発酵させて作った魚醤。
原液なのでこのままで食べると味が濃く、臭いが凄いので注意。
成功だ!そして初のレア度5を作ることに成功したぞ!魚醤は偉大なりだ。だがこれで終わらない。説明にある通り、このままでは飲めない。薄める必要があるのだ。ただ普通に薄めるだけでは芸が無い。そこで使うのがろ過した残り滓だ。これを鍋に入れ、水を加え、煮詰める。当然強烈な臭いがする。
リリーたちが悶えながら床を叩いている。壊さないでね。
そして再びろ過する。リリーたちは床に倒れて動かなくなった。
そして出来上がったものを最初に作ったものと合わせると完成。
イワナの魚醤:レア5 料理 品位D
効果:なし
イワナを発酵させて作った魚醤。
原液を薄め、ちょうどいい味に調整されてる。
味見してみる。美味い!ちゃんとナンプラーの味になっている!そしてインフォが流れる。え?これは?
『発酵料理の制作に成功しました。料理スキルに【発酵】が追加されました』
おや?初めてのパターン。これは料理スキルに発酵という技が追加された感じかな?使ってみるか。いや、その前に片手剣といい機会だから投擲スキルをゲットする。礫は俺の切り札だからな。取得したかったのだ。そしてステータスを見るとセチアの木工が上がっていた。素材もいいし、結構作ったんだから当然か。
『片手剣スキルを取得しました』
『投擲スキルを取得しました』
俺の残りスキルポイントは16pt。
よし。では早速魚屋さんでイワナを一匹買ってきて、発酵を使うとなんと一瞬でイワナが腐る。マジで!?どうやらこの技?は一瞬で発酵させることが出来るらしい。魚醤生産し放題じゃないか。やったぜ。
俺は感動していると料理スキルが上がった。流石レア度5か。
そんな中、床には四人の倒れている女の子の姿があった。
名前 タクト 中級召喚師Lv3
生命力 37
魔力 74
筋力 27
防御力 18
俊敏性 24
器用値 53
スキル
格闘Lv1 蹴り技Lv12 杖Lv15 片手剣Lv1 投擲Lv1 召喚魔術Lv19
錬金Lv9 採掘Lv12 伐採Lv10 解体Lv14 鑑定Lv9 識別Lv15
風魔法Lv19 火魔法Lv19 土魔法Lv18 水魔法Lv19 闇魔法Lv18
光魔法Lv22 雷魔法Lv15 爆魔法Lv15 木魔法Lv15 氷魔法Lv15
時空魔法Lv13 読書Lv5 料理Lv18→Lv19 餌付けLv5 釣りLv5 シンクロLv2
名前 セチア エルフLv19
生命力 25
魔力 60
筋力 13
防御力 10
俊敏性 15
器用値 60
スキル
杖Lv9 弓Lv1 木工Lv1→Lv5 採取Lv6 調薬Lv5 水魔法Lv11 土魔法Lv11 木魔法Lv11
樹魔法Lv4 エルフの知識Lv5