#885 蒼穹の試練と青龍の王
獣魔ギルドにやってきた俺は蒼穹の試練を確認する。
ギルドクエスト『青龍の王の試練』:難易度S+
報酬:青龍王の宝珠
四神の王から指示された試練をクリアせよ。
これでは白夜と同じだけど難易度が高い。中国系の敵が来ることは分かるが青龍の敵はちょっと思いつかない。応竜が浮かんだけど、応竜は青龍を含む四竜の長とされているからたぶんこないと思う。
まぁ、アリエスの魔法ローブに近衛もあるんだ。どんな敵が来ても対応出来るだろう。ということで試練を受ける。
転移した先は山頂。これは空中戦になりそうだな。そう考えていると空から黄金の光が降り注ぐと麒麟の姿となり、降臨した。
『白虎に続き、二度目だな。お主の青龍に進化の試練を与えるために降臨した。青龍の試練の相手は暴食の魔獣だ』
中国で暴食の魔獣というと俺は一匹しか知らない。
『来たぞ』
空から瘴気を出しながらそいつは現れた。
饕餮?
? ? ?
饕餮は中国では四凶と呼ばれる四柱の悪神の一柱だ。そりゃあ、難易度が上がるよ。というか白虎の試練も四凶にすればいいのにね。
饕餮はケンタウロスのような敵だった。ただし下半身は黒牛で体つきががっしりしている。顔は人間だが、口には牙があり、頭からは牛の角が生えていた。
武器は両手に戦斧を持っている。その堂々とした姿からこいつの強さが伝わってくる。
『こいつに勝てば試練クリアだ』
麒麟はそう言うと姿を消した。
俺は蒼穹に乗り、近衛を構える。
「お前の初陣が中国の悪神とはな…悪くない」
近衛の強さを試すには最高の舞台だろう。
「相手にとって不足はない! そうだよな? 蒼穹!」
「ギャオオオ!」
「気合十分だな。行くぜ! 悪神狩りだ!」
俺たちは空でぶつかる。最初は蒼穹が聖波動を放つ。すると饕餮は口を開けると聖波動を吸い込んだ。そしてお返しするように魔素ブレスを使ってきた。
「ふぅ…飛梅!」
近衛の飛梅を放つと魔素ブレスを斬り裂き、そのまま飛梅の斬撃は饕餮を斬る。
「グオオ…オォオオオオ!!」
体を大きく斬られたことで饕餮は怒り、両手の戦斧を構えるとグランドサザンクロスを使ってきた。
「雷光刃!」
近衛の刀身から稲妻が発生し、刀身が紫に発光すると空気が振動する。
「飛梅!」
紫電の斬撃とグランドサザンクロスがぶつかるとお互いに弾け飛んだ。おいおい…あんな巨大な戦斧のグランドサザンクロスとこれで互角かよ。
「グォオオ!」
饕餮が黒雷を使ってきた。俺は近衛を振るい多乱刃で斬り裂くと近衛を構える。
「旋風刃!」
斬れる竜巻が饕餮に襲いかかる。すると饕餮はこれを両手の戦斧で受けると吸い込む。吸い込み終わる頃には俺たちは間合いを詰めていた。俺は蒼穹から離れる。構えは居合いだ。
「居合い斬り!」
斬ったと思った瞬間、饕餮は魔素となり攻撃を躱す。簡単にはいかないか。
「蒼穹、上だ!」
蒼穹の真上から戦斧を振り下ろす形で饕餮が現れる。これに対して、蒼穹は竜爪で受け止める。すると蒼穹は押されると体を饕餮に巻きつけ、締めつけに入る。
締めつけられる饕餮は身体が黒く光る。
「蒼穹! 締めつけを解除しろ!」
饕餮の身体から闇の衝撃波が放たれ、蒼穹は吹っ飛ばされる。更に戦斧の多乱刃まで受けてしまった。俺が助けに入ろうとするといきなり暗闇に閉ざされた。
「常闇…いや、暗転か。舐められたもんだな」
俺は近衛を空に掲げる。
「烈日!」
近衛から太陽の光が全体に放たれると暗闇は照らされ、蒼穹に襲いかかろうとしていた饕餮も焼かれる。これに蒼穹が蒼炎を放つと吸収されることなく、直撃すると饕餮は戦斧が起こした風で蒼炎を払う。蒼穹はやらせない!近衛の刀身が蒼く発光する。
「雷轟!」
近衛から放たれた無数の蒼い稲妻が饕餮に直撃に饕餮は感電し、黒焦げになる。
その間に蒼穹が俺のところに来て、蒼穹の頭に乗る。
「陽光!」
近衛から温かい光が放たれ、蒼穹を回復させていると饕餮に変化が起きる。
「グ…グガァアアアアア!」
紫の光の柱を発生させると腹の部分に虎の顔が出現し、更に身体中から牛の角が生えた。
「来るぞ。蒼穹」
ここからは四凶としての強さを見せてきた。元々の口からのブレスに虎の顔からもブレスが放たれ、それぞれの目から死滅光線、戦斧からは斬撃にはセフォネの鮮血爪と同じ効果を確認した。
回復しつつ完全に逃げ回っている俺たちに饕餮の身体中に生まれた角が分離したと思ったら、ミサイルで爆発する。そんな中で俺は告げる。
「お前には感謝するよ。これはその礼だ。神刀解放!」
近衛から黄金に輝き、蒼い稲妻が迸る。
近衛(神刀解放):レア度10 刀 品質S+
重さ:100 耐久値:8000 攻撃力:4000
効果:神特攻(究)、破魔、万物切断、虚空切断、英気、神気、雷光刃、雷光、雷轟、浄火、空振、多乱刃、旋風刃、天候支配、重圧、烈日、後光、陽光、全滑走、蘇生、復活、加護無効、神威解放、太陽の加護、嵐神の加護、神刀技【雷騰雲奔】
嵐の神スサノオの力が宿った神刀。刀には緋緋色金、鞘には神鹿の鹿角が使われている。一振りで雷嵐を呼び、緋緋色金の輝きは世界を明るく照らす。このことから天候を象徴する刀となっている。放たれる斬撃は上級神も斬り裂く斬れ味を誇る神魔殺しの神刀。
さて、近衛の必殺技がどんなのか試させて貰おう。
「神刀技! 雷騰雲奔!」
そう言った瞬間、俺が見る景色は変化した。
俺が何が起きたのか分からないでいると饕餮は縦に両断され、斬り口から浄化の火が燃え上がり、止めに無数の蒼い稲妻と衝撃を浴びて、粉々に爆散した。
それを見て、理解する。どうやら俺が饕餮を両断したらしい。はっきり言おう。全然斬った感触が無かった。というか移動した感覚もない。本当に蒼穹の頭から饕餮の遥か後方に瞬間移動した感じだ。
「雷騰雲奔は現れたかと思うと、すぐに去ってしまう例えに使われるけど、これはやりすぎだろう」
神刀の強さを改めて思い知った。個人的に天國とどちらが強いか気になるところだ。俺は山に落下した饕餮を解体すると外れ。今日は運気がない日だな。夜の解体とテスト結果が不安になる。
『見事に饕餮を倒したか。試練クリアだ。報酬を受け取るがいい』
俺は青龍王の宝珠を受け取るとギルドに戻った。
ホームに帰った俺は蒼穹を進化させることにした。進化先は当然一つ。
蒼帝
白帝が来たなら、そうくるよね。説明を見てみよう
蒼帝…青龍の王。神通力を極め、空を守護している。東方の守護神獣であり、敵から都を守る最後の砦の一体とされている。
ほぼ説明が白帝と同じだよ。これじゃあ、分からないからさっさと進化させよう。青龍王の宝珠を蒼穹の前において、進化を実行すると青龍王の宝珠から光が放たれ、蒼穹に流れると蒼穹が進化する。
『蒼穹が蒼帝に進化しました』
『千里眼、天言、神感覚、重圧、神速、空振、空虚、慧眼、指揮、神障壁、強激突、虚空切断、仙気、竜気、神鎌鼬、遮断結界、気流操作、気圧操作、水圧操作、黒雷、雷霆、雷轟、魔力支配、多連撃、ドラゴンブレス、神格覚醒、聖竜の加護、王の加護を取得しました』
名前 蒼穹 青龍Lv32→蒼帝Lv1
生命力 230→280
魔力 192→252
筋力 160→210
防御力 100→150
俊敏性 167→217
器用値 114→154
スキル
噛み砕くLv21 巻き付きLv18 薙ぎ払いLv18→尾撃Lv18 飛翔Lv35 千里眼Lv1
天言Lv1 神感覚Lv1 重圧Lv1 神速Lv1 空振Lv1
空虚Lv1 慧眼Lv1 指揮Lv1 神障壁Lv1 強激突Lv1
致死毒Lv20→神魔毒Lv20 虚空切断Lv1 熱探知Lv23→魔力感知Lv1 遊泳行動Lv15 仙気Lv1
竜気Lv1 竜鱗Lv31 竜爪Lv27 神鎌鼬Lv1 遮断結界Lv1
超再生Lv31→瞬間再生Lv31 豪雨Lv7→天候支配Lv7 気流操作Lv1 気圧操作Lv1 水圧操作Lv1
疾魔法Lv6 海魔法Lv10 神聖魔法Lv10 時空魔法Lv35 神道魔術Lv30
蒼炎Lv24→浄炎Lv24 防風壁Lv13→暴風壁Lv13 雷雨Lv27 黒雷Lv1 雷霆Lv1
雷轟Lv1 魔力支配Lv1 多連撃Lv1 聖波動Lv26 霊力Lv10→念動力Lv10 蒼雷Lv28→神雷Lv28
海ブレスLv24 雷ブレスLv26 ドラゴンブレスLv1 逆鱗Lv7 和魂Lv8
神格覚醒Lv1 聖竜の加護Lv1 王の加護Lv1
進化した蒼穹は身体の青色がサファイアのような色に変化し、その周囲には四つの蒼い宝珠が追加された。
この宝珠が蒼穹最大の特徴でこの宝珠はイクスのフライヤーと同じで自在に動いて攻撃したり、防御したりするようなのだ。またリアンが持っている人魚の水晶と同じで魔法もこの宝珠から発動出来ることを確認した。
つまり蒼穹は単発だが、宝珠から四種類の魔法を発動することが出来るわけだ。もちろん魔法とスキルの組み合わせ攻撃も可能。こういうのは初めてだな。
確認も済んだことだし、ここでログアウトするとしよう。




