#883 燎刃の剣術訓練
燎刃以外のメンバーを変える。選んだメンバーはリリー、イオン、ルーナ、ダーレーだ。
「「召喚石に戻すなんて酷い!」」
「燎刃を困らせるからだ。ほら、気持ちを切り替えろ。今から戦うのはプリズムケルビムだからな」
俺の言葉にリリーとイオンが気持ちを切り替える。
「あの水晶の敵だね! タクト! 今度は負けないよ!」
「えぇ。あの時の私たちとは違うところを見せてあげます! あ、武器は二刀流でいいですよね? タクトさん」
「あぁ。本気で戦わないとやばい敵だからな。ただ切り札は使わないようにしてくれ。夜に暴れられなくなるからな。ダーレーは馬で頼む。基本はリリーとイオンに任せる。ルーナはサポート。燎刃は俺の側にいてくれ」
「「「「はい!」」」」
「それじゃあ、出すぞ」
俺はグランアルヴリングを持ち、全員が戦闘態勢になったところでプリズムケルビムを出す。
「光速激突!」
「神速!」
二人が同時に飛び出す。するとプリズムケルビムが羽を飛ばして来た。
「天鎧!」
「はぁああ!」
リリーは天鎧で羽の中を強引に突っ込み、イオンは羽を全て撃ち落として、進んでいく。そしてイオンが先に間合いに入った。
「流水乱舞!」
武技を発動されたイオンは空間歪曲に吸い込まれ、リリーの前に移動させられる。
「空間歪曲!」
リリーに武技を放ちそうになったイオンが俺が発生させた空間歪曲に吸い込まれる。リリーは空間歪曲を避けて、プリズムケルビムに襲いかかる。
「光閃!」
リリーの光閃はプリズムケルビムは障壁でガードする。これをリリーは一撃で破壊すると背後からイオンが流水乱舞でプリズムケルビムを浴びせようとしたが空間転移で姿を消した。
「む! バスターカリバー!」
リリーは空間転移先を予知し、バスターカリバーを放つとプリズムケルビムに直撃する。
「閃電! 流水乱舞!」
怯んでいるプリズムケルビムに雷速の流水乱舞が炸裂する。
「凄い…これがリリーお姉様とイオンお姉様の力」
燎刃が感動しているとイオンが流水乱舞中に日光を受ける。
「く…攻撃を受けながら攻撃を…っ! 水鏡!」
プリズムケルビムから天波動が放たれると天波動が水鏡に命中し、プリズムケルビムにダメージが入る。
「光速激突!」
リリーが襲いかかるとプリズムケルビムは天雷で攻撃するがリリーは止まらず、ぶっ飛ばす。すると体勢を整えたプリズムケルビムは天鎖を使ってきた。
「ダーレー!」
「ヒヒーン!」
俺たちに向かってきた天鎖はダーレーが天鎖で迎え撃った。そしてリリーとイオンに飛んできた天鎖にリリーが剣を構える。
「カラミティカリバー!」
天鎖にレガメファミリアが触れると大爆発し、天鎖を粉々にした。
「ふふ~ん。あぁ!?」
リリーが自慢げにしていると俺たちにプリズムケルビムは天雨を使ってきた。
「ヒヒーン!」
「バスターカリバー!」
ダーレーが天障壁でガードし、俺がバスターカリバーを放つ。すると姿が消えた。
「霧氷!」
イオンが霧氷を発生させると消えたプリズムケルビムに霧氷がくっつき、姿が現わになった。
「そこです! リリー!」
「さっすがイオンちゃん! カラミティカリバー!」
リリーのカラミティカリバーが決まり、プリズムケルビムは倒れた。
「勝ったー!」
「ふぅ…勝てましたけど、やっぱり強いですね」
「お疲れ様」
俺が労うと燎刃が二人に話す。
「リリーお姉様! イオンお姉様! 凄かったです! 某、感動しました!」
「え…えへへ~。ありがと。燎刃ちゃん」
「ま、これぐらい余裕です。燎刃もすぐに強くなれますからね」
二人はみんなからここまで真っ直ぐ褒められたことが少ないから照れているな。微笑ましい。
「は、はい! このタクト殿の刀と共に精進いたします!」
「「タクト(さん)の刀?」」
二人が燎刃が装備している迅雷に気がついた。
「えぇ!? なんで燎刃ちゃんが迅雷を持っているの!?」
「どういうことですか! タクトさん!」
「落ち着け。さっきまでのことが台無しになっているぞ」
「「あ…んん!」」
二人同時に取り繕う。こういうところは本当に息が合うんだよな。
「後で説明するから今はレベル上げに集中させてくれ。今度は俺とダーレーで戦うから、燎刃とルーナの護衛は二人に任せるぞ」
「「任せて(ください)!」」
俺はブリューナクを構えて、プリズムケルビムを出現させると一瞬でプリズムケルビムに激突する。対するプリズムケルビムはブリューナクと竜角を天壁でガードしたがこれは流石に砕け散る。
するとダーレーは前足を上げて、蹴りの体勢になるとプリズムケルビムは至近距離から日光を使ってきた。しかしダーレーはこれをしっかりガードし、渾身の蹴りを浴びせるとプリズムケルビムに触れた瞬間、プリズムケルビムが衝撃で吹っ飛ぶ。
これがダーレーの蹴り技での発勁だ。俺も蹴り技あるんだから覚えたいけど、無理なんだろうな。そして俺とダーレーで超連携が発動する。ブリューナクに火炎と海流が渦を巻く形で宿る。
そして俺たちが飛び込むと当たり前のように空間歪曲を使ってくる。俺たちが現れた先はリリーたちの前だが、ダーレーが空間歪曲で再び元の位置に戻る。それを狙っていたプリズムケルビムが天罰を俺たちに落とすが渦巻く火炎と海流が天罰を阻み、プリズムケルビムに向かっていく。
プリズムケルビムは天鎖を発動するが俺とダーレーの超連携は止められず、そのままプリズムケルビムを貫いた。ここでインフォが来た。
『燎刃のレベルが10に到達しました。熱切断、炎輪スキルを取得しました』
名前 燎刃 ドラゴニュート・イグジラレイトLv1→Lv10
生命力 136→138
魔力 170→174
筋力 317→353
防御力 115
俊敏性 170→176
器用値 200→204
スキル
炎拳Lv1 飛翔Lv1 刀Lv3 太刀Lv1 灼熱Lv3
危険予知Lv3 錬気Lv3 超感覚Lv1 竜眼Lv1 見切りLv1
縮地Lv1 物理破壊Lv1 魔力切断Lv1 熱切断Lv1 連撃Lv1
炎輪Lv1 火弾Lv1 火魔法Lv1 炎波動Lv1 集束Lv1
火雨Lv1 戦闘高揚Lv1 肉体活性Lv1 逆鱗Lv1 竜技Lv1
竜化Lv1 ドラゴンブレスLv1 起死回生Lv1 竜魔法Lv1 太陽竜の加護Lv1
もう一回は無理そうだな。
「強くなったな。ダーレー」
『ま、これぐらいは余裕だ』
ブリューナクとダーレーの相性はやはりいい感じだ。これを確認出来たことは大きい。解体すると智天使の羽が手に入った。ここで戻るとリリーとイオンがダーレーを褒めまくる。
『なんとかしてくれ』
『余裕じゃないのか?』
『さっきの奴よりこいつらの方が何十倍も厄介だ!』
切実だな。俺たちはここで一度ホームに戻り、燎刃の迅雷の話をした。恋火たちは自分の刀を燎刃に上げるから迅雷が欲しいと言ってたが、俺が刀を大切にして欲しいと言うと引き下がった。
そして地下の訓練場で俺と燎刃が相対する。
「準備はいいか?」
「はい!」
「じゃあ、イオン審判頼む」
「はい! それでは試合始め!」
俺たちはお互いに動かない。燎刃は迅雷を抜いて下段に構えて、俺の攻撃を持っている。綺麗な構えだ。やはり恋火と同じ正統派の剣道タイプに見える。このままでは埓があかないので、俺が斬りかかる。
「焔斬り!」
やはり狙っていたのは、燎刃が覚えている焔斬りだ。しかし迅雷に変化は見られず、燎刃も動かない。この瞬間、俺はこの技の正体がわかった。
俺が燎刃を斬ると斬った燎刃は陽炎のように揺らめくとその陽炎から迅雷の斬撃が飛んできた。俺はグランアルヴリングを上に斬り返して、迅雷の攻撃をずらした。
「う…!?」
「いい技だな」
てっきり恋火がいつもしている刀に火を宿す技だと思っていたけど、まさかの返し技だ。あれでは待つしかないよな。
「お褒めに預かり、光栄! はぁ!」
燎刃との初めての剣戟の打ち合いになる。ここで燎刃が太刀スキルを覚えている理由がよくわかった。恋火はスピードと技で勝負するタイプだが、燎刃はパワーと技で勝負するタイプだ。
しっかりとした構えから鋭く力強い斬撃を繰り出して来た。これはリリーにはないものだ。訓練が終わるとインフォが来た。
『燎刃の刀のレベルが5に到達しました。刀【返し一閃】を取得しました』
訓練した甲斐があった。ここで俺はリリーに言う。
「リリー…うかうかしていると燎刃に負けるぞ」
「えぇ!?」
「そんな…某はまだまだで」
「くす。燎刃、否定していませんよ?」
イオンの指摘にリリーが燎刃を涙目で見て、燎刃が一生懸命言い訳をしている。頼もしい限りだ。その後、恋火、虎徹、千影と燎刃は戦う。結果は剣術では手も足も出ないという結果になった。
「はぁ…はぁ…皆さん、強すぎです」
「あたしたちはタクトお兄ちゃんの迅雷を間近で見て来ましたから、迅雷の癖をよく知っているんですよ」
「剣術の腕は悪くないであります。ただ攻撃が単調なのが気になりました。面と胴が剣道の全てではありません。突きやお館様のように変則の剣術を学ぶともっと強くなると思うであります」
「は、はい!」
すっかり先生気分だな。俺が言いたいことは千影に言われたからここは任せよう。因みに虎徹が一番厳しかったりした。何せ全ての剣を連続して攻撃してくるからな。まぁ、虎徹なりの考えも理解出来た。
燎刃は守りの剣術が上手くなかった。鍔迫り合いや打ち合いは得意なんだけどな。受けに回ると反応が悪くなり、弱気になってしまうところがあった。そこを虎徹が徹底的に叩きのめした形だ。
「ガァ!」
「ま、まだやるんですか!? あ、はい。やります」
ここでへーパイストスから連絡が入った。どうやら遂に緋緋色金の刀が完成したようだ。受け取りに行くとしよう。




