#882 太陽竜の試練
転移した先は溶岩が流れている灼熱のフィールドだった。その溶岩の海から終焉龍王アポカリプスドラゴンが姿を見せる。
『試練の内容は知っているな?』
「はい」
『ならさっさと始めるとしよう』
終焉龍王様がそう言うと空から宇宙で見る太陽が落ちてくるとその中から真紅のドラゴンが姿を見せた。
ソーラーフレアドラゴン?
? ? ?
このドラゴンは花火ちゃんでよく知っている。その能力も知っていることから直接試練に挑ませて貰った。俺は聖剣グラムとグランアルヴリングを構える。
「さぁ、お前の力を見せてくれ。燎刃!」
ソーラーフレアドラゴンが雄叫びを上げると空を飛び、口から火山弾を撃ってきた。
「フライト!」
俺は空を飛行し、火山弾を斬り裂きながら間合いを詰める。これを見たソーラーフレアドラゴンは翼から火雨を降らして来た。しかし称号の効果で俺に火は通用しない。そのまま、間合いを詰めて聖剣グラムで斬りかかるとこれを躱された。
見切りを覚えているとは聞いていなかったので、これは完全に予想外の出来事だった。するとソーラーフレアドラゴンの爪が俺に襲いかかるとこれを俺はグランアルヴリングで受け止める。更にもう片方の爪も聖剣グラムで受け止めるとソーラーフレアドラゴンは押しつぶしにかかる。
しかし押しつぶすことが出来ない。俺も強くなったものだ。この結果にソーラーフレアドラゴンは、至近距離から火山弾を使ってきた。いい判断だ。火山弾は土属性もあるから称号効果では完全に無効化することが出来ない。
「英雄障壁」
アリエスの魔法ローブの英雄障壁で火山弾を受けるとダメージがない。完全に俺はソーラーフレアドラゴンを圧倒しているとソーラーフレアドラゴンが雄叫びを上げると逆鱗を発動する。
最後まで勝負を諦めないその姿勢に敬意を表す。最後まで戦わせて貰おう。
ソーラーフレアドラゴンの爪と聖剣グラムとグランアルヴリングが何度もぶつかり合い。逆鱗の時間切れと同時にソーラーフレアドラゴンは燎刃に戻る。
『そこまでだ。これで試練は終了とする。それにしても酷い戦いだったな』
「そうですよ。タクト殿…酷すぎではないですか?」
「負けるわけには行かないからな。それに最後は燎刃も楽しんでいただろう?」
「な、なんのことかわかりませぬ」
隠している時点で図星だ。俺が攻撃を受ける度に攻撃の速度が上がっていた。スキルのせいかも知れないが俺には戦えている喜びを感じて、高揚しているように思えた。
これは俺も感じたことがある。爺さんと初めてまともな試合が出来た時だ。お互いに竹刀を打ち合っていると今まで届いていなかった背中に手が届くような感じがして、ワクワクしていたのを覚えている。
「甘いわ!」
あぁ~…その後、諸に返し胴を受けて、悶絶したんだった。その後、感情に囚われるとは未熟だの長い説教を受けたんだよな。嫌な思い出を思い出してしまった。
「どうかなさいましたか? タクト殿?」
「ちょっと嫌な記憶を思い出しただけだ」
「はぁ、そうでありますか」
燎刃に心配させてしまった。すると終焉龍王様が話す。
『心配する余力があるなら、立てるな? 立て。これ以上地に寝そべることは許さん』
「は、はい!」
『いいか? 俺たち火竜はより強い敵との戦いを欲するドラゴンだ。そいつに勝つことで更なる強さの高みが見えてくる。お前も戦い続けて、天にある太陽よりも輝いて見せろ。お前は今日からドラゴニュート・イグジラレイトだ』
周囲の溶岩が燎刃を包み込むと真紅の光りが放たれて、燎刃が進化する。
『燎刃がドラゴニュート・イグジラレイトに進化しました。刀【焔斬り】を取得しました』
『超感覚、竜眼、見切り、縮地、魔力切断、集束、火雨、戦闘高揚、肉体活性、逆鱗、起死回生竜魔法を取得しました』
『竜魔法【プロミネンスノート】を取得しました』
『竜化のデメリットが一日となりました』
名前 燎刃 ドラゴニュート・カレッジLv30→ドラゴニュート・イグジラレイトLv1
生命力 86→136
魔力 120→170
筋力 257→317
防御力 75→115
俊敏性 120→170
器用値 150→200
スキル
火拳Lv1→炎拳Lv1 飛行Lv1→飛翔Lv1 刀Lv3 太刀Lv1 猛火Lv3→灼熱Lv3
危険予知Lv3 闘気Lv3→錬気Lv3 超感覚Lv1 竜眼Lv1 見切りLv1
縮地Lv1 物理破壊Lv1 魔力切断Lv1 連撃Lv1 火弾Lv1
火魔法Lv1 火波動Lv1→炎波動Lv1 集束Lv1 火雨Lv1 戦闘高揚Lv1
肉体活性Lv1 逆鱗Lv1 竜技Lv1 竜化Lv1 ドラゴンブレスLv1
起死回生Lv1 竜魔法Lv1 炎竜の加護Lv1→太陽竜の加護Lv1
進化した燎刃は髪がそのままだが、女性らしく成長した。
何より知らない武技を覚えた!ちょっとここから花火ちゃんとスキル構成が大きく変化したな。花火ちゃんはリリーのように防御スキルを覚えているけど、燎刃は恋火のように躱して斬り込むタイプのようだ。
「ど、どうでありますか? タクト殿?」
「凛々しくて頼りになりそうな女性っぽくなったな」
「ほ、褒めすぎです! タクト殿!」
照れてしまった。女性にとって、褒め言葉なのか微妙な感想だと思っていたけど、燎刃にはどうやら褒め言葉だったようだ。
『これで試練は終わりだ。次までにもっと強くなっておけよ』
終焉龍王様がそう言うと俺たちは元の場所に転移した。
「あ、お帰りさないなの」
「ただいま帰りました」
「…お兄様にやられたの?」
「圧倒されました」
「仲間が出来たの!」
アリナは喜んでいるがそこは喜んでいいところなのだろうか?帰ってきたことだし、改めて赤竜の甲冑を燎刃が装備すると立派な侍のドラゴニュートが爆誕した。
「似合っているぞ。燎刃。頼んだ甲斐があった!」
「あの…タクト殿。試練の前にこれを装備していれば、だいぶ違っていたと思うのですが」
「ん? そうだな」
燎刃の言う通り赤竜の甲冑を装備していたら、だいぶ戦闘が違っていただろう。生憎装備せずに試練を実行してしまったけどね。
「そうだなって…某と戦うことがわかってて何も言わなかったわけではないですよね?」
「お兄様に限って、忘れるはずないの」
否定はしない。何事も試練優先だ。
「タ、タクト殿ーーー!」
「もし装備してたら、俺も本気で戦っていたぞ」
「え…」
「えじゃないだろう。俺は殺されそうになるんだぞ? 勝たないと燎刃は進化出来ないし、もし赤竜の甲冑を装備していたら、本気を出すしかないだろう」
燎刃が固まってしまった。するとアリナが止めを刺す。
「燎刃が聖剣解放と全宝玉解放でボコボコにされる景色が浮かんだの」
「う…申し訳ございませぬ」
「いいよ。まだ黄金の林檎の効果が続いているみたいだからレベル上げをするけど、それが終わったら、俺と訓練してみるか?」
「は、はい!」
ということでもう少しレベル上げをすることにした。




