#879 アリエスの魔法ローブとサフィの試練
中間テストが終わった!これで俺たちは自由だ!テストお疲れ様ということでお昼は姫委員長たちとファミレスでご飯を食べてから急いで家に帰り、ゲームにログインする。テスト期間中にゲームをしていたけど、まだやるべきことがたくさんあるのだ!
ベッドで起きた俺が下に降りると和狐とセチアが俺を待っていた。どうやら完成したようだ。
「タクトはんのローブが完成しました!」
「かなりの自信作です。覚悟はいいですか?」
いつになく引っ張るところから自信が伺えるな。
「あぁ。見せてくれ。二人の自信作を」
「「はい(な)!」」
二人がローブを広げる。そこには見事な黄金のローブがあり、胸の所にはアレキサンドライトを中心に四方を色違いの宝石が飾られていた。
アリエスの魔法ローブ:レア度10 魔法防具 品質S+
重さ:20 耐久値:500 防御力:200
魔法防具効果:英雄の称号を持つ者に全耐性、全属性アップ(究)、神気、英気、堅固、黄金障壁、英雄障壁、星鎧、烈日、後光、陽光、重圧、全滑走、寒無効、妨害無効、衝撃無効、圧力無効、神威解放、黄金の加護、太陽の加護
宝玉効果:魔力自動回復(究)、全反射、紅炎、高速再生、絶対防御、宝玉解放
刻印:加速、戦闘高揚、激突
ゴッドウールで作られたローブにアレキサンドライト、ペリドット、レッドスピネル、エメラルド、タンザナイトの宝玉が使われたエルフ特製のローブ。人々から英雄と称えられ、神とエルフからも認められた者のみが真の力を発揮させることが出来る。その輝きは神に匹敵すると言われている。
これでまだ宝玉解放、神威解放まであるというチートローブが誕生した。
「ささ! タクトはん! 早く装備してください!」
「それはいいんだが…」
俺が視線を逸らすと今にも飛びかかろうとしているリリーたちの姿があり、俺の視線に気が付くと何事もなかったかのように取り繕う。
「これじゃあ、装備出来ないぞ」
「大丈夫どす!」
「守りは完璧ですから! 信じて装備して見てください!」
性能は疑わないが、これで実験するのはどうかと思う。しかしこのままでは埓があかないので、装備することにした。
「どう」
「一番はうちどす!」
「二番は私が貰います!」
「「「「突撃ーーーー!」」」」
「ちょ、ま」
リリーたちが次々、突撃してきた。普通なら致命傷だが、全く衝撃がない。それでも感触までは無効に出来ない。
「こ、こら。多すぎだ」
「「「「あったか~い」」」」
「ずるいぞ! みんな! 早く交代してくれ!」
「速いお姉様たちはずるいの!」
ユウェルとアリナたちの抗議の結果、俺のローブへの抱きつき会が開催されることになりました。そこにはちゃっかりグレイたちも参加したことを追記しておく。
遊びが終わった後はリリーが一人で料理出来るかテストする。
「ど、どうぞ。タクト」
「じゃ、頂きます」
全員が俺を見ている。何故ならみんなの食生活も掛かっている非常に重要なテストだからな。
「うん。ちゃんと焼けているし、味付けも問題ない。合格だな」
「やったー!」
リリーが両手を上げたまま倒れこんだ。
「これでやっとタクトの美味しい料理が食べれる~」
「お疲れ様です。リリー」
「…ん。これで全部元通り」
「めでたしめでたしじゃな!」
みんな誤解をしているようだ。
「元通りではないだろう? これからリリーには一緒に料理を作って貰うことになるんだからな」
「「「「え…」」」」
全員が固まる中、リビナとファリーダだけは理解していた。
「ま、そういうことになるよね」
「むしろ一人で一つの料理を覚えることがやっと出来たんだから、ここからがスタートラインと考えるべきよね?」
「そういうことだ。もちろん俺やキキ、イオンたちも料理をするけどな、リリーにはこれから色々な料理を教えるから覚悟しておくように」
「やっと解放されたと思ったのに~!」
リリーが絶叫するとへーパイストスから今日中に新しい刀が完成する連絡を受けた。これを受けてセチアと和狐の依頼は完成後にすることにした。
今日だけは俺の料理が食べたいというリリーたちの切なる願いを叶え。料理を作ることにした。
「何を作るんですか?」
「ゴッドシープミルクを使った料理」
「「「「やったー!」」」」
「を作る予定だぞ。予定」
もうダメだ。目が完全に期待に満ちている。俺が作ったのはクリームソース。これさえ作っておけば後はお肉や魚をソテーして、上からかけるだけでクリームソテーを作ることが出来る。
「これでよしっと」
「「「「あれ? なんでしまうの?」」」」
「夕飯に使うからだ」
「「「「夕飯!? 今じゃなく!?」」」」
今すぐ食べたいと言われるがギルドクエストがある今晩に食べるのがやはりベストだろう。
「あ、そういえば皆には伝えてなかったな」
「何をですか? タクトさん」
「今晩、俺たちのギルドの依頼をみんなと受けることになる。かなり難しい依頼で恐らくほぼ全員を召喚することになるだろう」
俺の言葉に全員の顔付きが一気に変わった。
「最近ずっとみんなの進化クエストと修練の塔ばかりしてきた。みんなも色々思うところがあったと思う。今まで我慢してきた者」
俺はリリーたちを見る。
「進化して自分の強さを確かめたい者」
ユウェルたちを見る。
「色々我慢させてごめんな。でも今日は我慢しなくていい。どんな敵が現れるか分からないけど、俺たちが全力を出さないといけない敵が出て来ると思う。そのつもりで準備してくれ」
「「「「はーい!」」」」
「「「「ガウ!」」」」
その後、俺はイオン、セチア、ファリーダに謝ったことを説教された。
「タクトさんが私たちのことを見ていてくれたことは嬉しいですけど、謝るのはダメダメです」
「タクト様が見ているように私たちもタクト様のことを見ているんですよ?」
「タクトがみんなで思いっきり暴れる機会を用意していた。それだけで私たちはいいのよ」
「そっか…これからは気をつけるよ。それじゃあ、獣魔ギルドに行ってくるな」
俺は外に向かう。よし、気付かれていない。
「「「「いってらっしゃーい! あれ? あーーー! クリーム!」」」」
バレた!?俺は獣魔ギルドに急いで向かった。
獣魔ギルドで受けるクエストはサフィのクエストだ。
ギルドクエスト『鯨の試練』:難易度S
報酬:星鯨の宝珠
ポセイドンの試練を攻略せよ。
星鯨でポセイドンの試練とくればこれはもう進化先はほぼ確定だな。バハムートとか期待していたけど恐らく外れた。
「試練ということは久々にサフィに乗って、戦闘することになりそうだな」
「ぽえー!」
やる気十分のようだ。それじゃあ、クエストを受けるとしよう。
転移した先は海岸。アトランティスで戦うことになると思っていただけにちょっと残念。それと同時にここには納得してしまうところもある。恐らくこの海岸はサフィの進化先と関わりがある海岸だろうからな。
すると海からポセイドンが姿を見せた。
「今日は鯨の試練じゃな。早速始めるが準備はよいか?」
俺はブリューナクを装備する。時間は有限だ。ここは本気で行かせて貰う。サフィに騎乗し、準備完了。
「はい」
「では、試練を始める。いでよ! バシロサウルス・ケトイデス!」
バシロサウルス・ケトイデス?
? ? ?
海から現れたのは巨大なサメのような鯨。名前から見て、恐竜関係だろうな。
「では、試練開始じゃ!」
俺は先手を取り、ブリューナクを投げるとブリューナクが突き刺さる。
「終わり? そんな訳ないよな。何か来るぞ。サフィ」
「ぼえ~」
俺たちが警戒しているとバシロサウルス・ケトイデスはブリューナクが刺さったまま、ドラゴンブレスを使ってきた。
「空間歪曲!」
激突で回避出来なかった俺は空間歪曲でバシロサウルス・ケトイデスにドラゴンブレスをお返しするが直撃したにも関わらず、生命力が減っていない。もちろんブリューナクのダメージもない。
「戻れ! ブリューナク! さて、どういう仕掛けだ? これは」
俺がそう思っていると第六感が下からの危険を知らせる。
「海の中に何かいる! 下から来るぞ! サフィ!」
「ぼえ~!」
下から飛び出してきたのは火山弾。これを回避していると海面に二つの影があることを確認した。これでバシロサウルス・ケトイデスの仕組みを理解した。
恐らくバシロサウルス・ケトイデスが使ったのは身代わり。バシロサウルス・ケトイデスが受けたダメージが海中にいる敵が身代わりとなって、受けたんだろう。
それなら俺たちは攻撃をし続けると自然と勝てると思っていたがそんなに簡単な話ではなかった。身代わりとなった敵をバシロサウルス・ケトイデスが一度に全て蘇生させたのだ。黄龍の封印杖を取り出し、蘇生を封じにかかるが弾かれる。
「蘇生条件が身代わりか試して見るか…サフィ、水中戦をするぞ!」
「ぼえー!」
俺たちは海に飛び込むとその光景に絶句した。
アンブロケトゥスLv45
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
パキケトゥスLv40
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
アンブロケトゥスはワニとカバを足して、二で割った感じの敵でパキケトゥスはカバと狼を足して二で割った感じの敵だ。大きさはそこまで大きくはないのだが、問題は数だ。海の中はこいつらで溢れており、一斉に襲いかかってきた。
「強行突破するぞ! サフィ!」
「ぼえ~!」
俺たちがぶつかろうとした瞬間、強烈な水圧が発生した。俺はアリエスの魔法ローブのおかげで平気だが、サフィは無事では済まない。
「ぼえー!?」
「サフィ! 強引に突破するしかない! 超連携だ!」
「ぼ、ぼえー」
「く、英雄障壁! 黄金障壁!」
サフィが泳ぎ出したところにアンブロケトゥスとパキケトゥスが雷波動と風波動で一斉攻撃してきたがアリエスの魔法ローブの障壁でガードした。本当にセチアと和狐には感謝だ。
そしてサフィと俺は超連携を発動させて、高速回転する大きなブリューナクとなり、一気に敵と水圧操作を突破した。するとこれで死んだ奴らが蘇生する。
「うっぜー…」
「ぼえー…」
こうなると全部一辺に倒すかバシロサウルス・ケトイデスの謎の加護を突破して封印をかけないと勝てないぞ。幸い海の中にいる奴らは雑魚だ。そして俺にはこいつらを倒す手段がある。
俺が考えていると海上から無数の火山弾が降ってきた。流星群と同じ広範囲攻撃か…上等だ!
「勝負に出るぞ! サフィ!」
「ぼえー!」
サフィと再び超連携を発動させた俺たちは周囲の雑魚と降り注ぐ火山弾を全て突破し、海上に飛び出すとそのままバシロサウルス・ケトイデスの腹を貫通した。しかし身代わりが発動し、ダメージは発生しない。それぐらいはもうわかっている!
「サフィ! 巨大化して海に押し付けろ!」
「ぼえー!!」
サフィは最大限大きくなると空中でブリーチングの体勢となり、バシロサウルス・ケトイデスにのしかかる状態となり、一緒に海面ダイブする。
「セチア、和狐。使わせて貰うぞ! 烈日!」
俺から太陽の光が発生し、海中にいた全ての敵が焼かれ、バシロサウルス・ケトイデスもダメージを受けるが流石に死にはしない。
「剣のルーン! これで終わりだ!」
ブリューナクがバシロサウルス・ケトイデスを貫き、倒したと思った瞬間、蘇生すると巨大な尾びれで攻撃してきた。それを俺は腕で止めてしまった。更に紅炎の効果でバシロサウルス・ケトイデスが燃える。
「リリーたちの突撃に耐えたからもしかしたらと思ったけど、衝撃無効は相当だな。ん?」
バシロサウルス・ケトイデスが逆鱗を発動させ、反転する。
「自分から身代わりと蘇生コンボを捨てるのは愚策だな。戻れ! ブリューナク! サフィ!」
「ぼえー!」
サフィと別の超連携が発動するとブリューナクに渦潮が宿る。それに対してバシロサウルス・ケトイデスは大きな口を開き、星の光が集束する。
「上等だ。止めれるものなら止めてみろ!」
渦潮が宿ったブリューナクを投げるとバシロサウルス・ケトイデスは特大の星ブレスを放ってきた。ブリューナクに宿った渦潮はまるでドリルのように星ブレスを貫き、そのままバシロサウルス・ケトイデスの口から尾まで貫いた。これで完全にバシロサウルス・ケトイデスは沈黙した。
「ふぅ…セチアと和狐に感謝だな」
「ぼえー」
サフィは頷くほど、アリエスの魔法ローブの力は絶大だ。これのおかげでクエストの難易度はだいぶ下がっていると思う。そんなことを考えながら解体する。
古代鯨王の鯨肉:レア度9 食材 品質S
バシロサウルス・ケトイデスの肉。古代鯨の鯨肉より味が濃く、柔らかいのが特徴。刺身や揚げると絶品。
お肉が大きいよ。流石鯨肉だ。恐らくみんなが本気で食べても残るんじゃないかと思うほどの大きさだ。これはイオンが大好物な気がする。イオンはお肉も魚も大好きだからな。ここでポセイドンが現れる。
「試練はクリアじゃ。受け取るがいい」
俺は星鯨の宝珠を受け取ると獣魔ギルドに転移した。




