#878 豊穣の水樹妖精
俺はホームに帰る前にダイナマイトを購入し、俺はルインさんに智天使の羽を使ったペンを依頼した。これで新しい魔導書が作れるようになる。次に表紙の素材の皮を探す。
「んん~…パッとしないな」
「タクト君が求めているのはレア度9以上だからそうなるのは当然だよね」
「ドラゴンの試練の素材は…ま、普通なら個人で使うか」
「だね」
チロルたちがドラゴンの試練に挑んでいるからもしかしたらと思ったけど、外れだ。
「でも、皮ならギルドクエストでたくさん手に入るんじゃない? 何せ巨獣軍団だから」
その可能性があるのか。でもそうなるとギルドクエストには魔導書無しで挑むことになる。
「ま、魔導書無くても大丈夫か」
「難易度SSSのクエストにそう言えるタクト君が凄い」
「俺の場合はリリーたちがいますからね」
「惚気ありがとう」
これは惚気になるのか…気を付け…あれ?結構言っている気がする。今後は注意しよう。更にスクナビコナの事を聞いてみるとまだ暫く貸出が続きそうだ。ここでシャローさんに質問される。
「そろそろ次の海域を目指す感じですか?」
「明日サフィの進化クエストに挑むので、そろそろ予定を考えようかと」
「ギルドにはゴールデンハインド号もありますし、スクナビコナはタクトさんたちの船です。多少のわがままは言っても大丈夫だと思いますよ?」
「ん~…でも相手も強いですし、予約の乱入はよくありませんから。予約だけはしておきます。それにもしかしたら、ノアの新しい船を使えるかもしれません」
現在製作中で新しい竜木が手に入ったことだし、後で様子を見に行く予定だ。
「それがありましたね。一緒に見に行っていいですか?」
「もちろん」
ということでシャローさんたちとノアが頑張っている俺たちの島に向かう。
「これは…方舟とは言えないですね」
「なんで戦艦デザインになっているんだ?」
「え? タクトさんが言ったからこうなっているんじゃないんですか?」
「俺は言ってません」
しかし心当たりはある。素材集めに協力してくれているのはあのサバ缶さんたちだからな。とにかくノアから事情を聞こう。
「ノア! 新しい竜木を持ってきたぞ」
「なんだってー!」
これでいつもノアは現れる。
「これは船には使っちゃいけない木材だね」
「ま、そうだよな」
「あ、でも衝角として使うならありの武器かも知れないよ? 相手が木造船ならひとたまりもないだろうからね。その場合は衝角の接触部分は金属で触れないようにして、バランスも考えないといけないかな?」
結構手間がかかるんだな。でもそういう使い道があることを知れたのは良かった。ただ基本的に相手がモンスターなんだよな。さて、船の事を聞いてみると犯人に烈空さんと雷電さんまで関わっていることが判明した。
「エクスマキナの船に勝つためには宇宙戦艦を作るしかないとか言っていたから」
「まぁ、スクナビコナの魔導砲を見てしまったら、どうしても作りたくはなるでしょうね」
シャローさんまで同意のほうに行ってしまった。
「ど、どうする? もうここまで作っちゃったんだけど」
「はぁ…いや。このままで進めてくれ。ノアが作りたい物を作ってくれたならそれでいい」
「流石タクト! それで素材が全然足りなくなったんだけど」
「俺が用意出来るものは用意するけど、ちょっとこれは俺だけ素材負担は納得がいかないな」
ルインさんに報告し、関わった人たちに俺がまだ見つけていない素材を集める指令が出されることになった。
「に、二号機の作製は?」
「あなたたちがノアに吹き込んだんでしょう? こちらが優先よ」
「進化クエストとかやることがたくさんあるんだが?」
「やることが増えて良かったわね」
みんながルインさんの前に沈黙することになるのだった。
ホームに帰ってきた俺は早速ミールを進化させる。進化先は一つ。
ネロメリアス
ネロは引き継いでいるだけだな。肝心のメリアスはギリシア神話に登場するトネリコの木の精霊だ。このゲームではトネリコと限定していないみたいだな。
登場したレアーがこのメリアスと言われている。ただレアーはゼウスを育てたというだけで強さについては正直よくわからない。ということで説明を見てみよう。
ネロメリアス…水樹を守護する神に認められた木の妖精。恵みある水で豊かな森を作ることができ、星と生態系に多大な影響力を持つことから森の母と呼ばれている。
森の母か。どうなるんだろうね?早速進化させてよう。ミールに水樹の宝珠を渡して、進化を実行する。水樹の宝珠から青い光りが発生し、ミールを包み込むとミールが進化した。
『ミールがネロメリアスに進化しました』
『槍、神聖魔法、魔力感知、他心通、第六感、神瞳、神感覚、自動防御、豊穣、大地操作、石化光線、呪木、水圧操作、水圧切断、瀑布、間欠泉、日光、復活、遮断結界、空虚、魔力吸収、死針、寄生種、木分身、多連撃、精霊門、妖精の輪、自然波動、天罰、天昇、神の加護を取得しました』
名前 ミール ネロハマドリュアスLv32→ネロメリアスLv1
生命力 196→246
魔力 268→318
筋力 90→140
防御力 100→150
俊敏性 114→164
器用値 170→220
スキル
槍Lv1 土潜伏Lv39 森林操作Lv37→樹海操作Lv37 俊足Lv24→神速Lv24 風魔法Lv25
土魔法Lv25 木魔法Lv26 水魔法Lv22 神聖魔法Lv10 光合成Lv25
譲渡Lv9 魔力感知Lv1 花蜜Lv20 他心通Lv1 第六感Lv1
神瞳Lv1 神感覚Lv1 自動防御Lv1 花粉Lv18 採取Lv42
植栽Lv27 株分けLv21 豊穣Lv1 大地操作Lv1 石化光線Lv1
呪木Lv1 水圧操作Lv1 水流操作Lv20 聖水Lv25→神水Lv25 雨乞Lv9→天候操作Lv9
水圧切断Lv1 洪水Lv8→津波Lv8 瀑布Lv1 間欠泉Lv1 日光Lv1
復活Lv1 遮断結界Lv1 空虚Lv1 超再生Lv16→瞬間再生Lv16 状態異常無効Lv25
魔力吸収Lv1 死針Lv1 寄生木Lv31 寄生種Lv1 木分身Lv1
罠設置Lv20 多連撃Lv1 精霊門Lv1 妖精の輪Lv1 植物召喚Lv23
自然波動Lv1 天罰Lv1 天昇Lv1 水樹の加護Lv20 神の加護Lv1
進化したミールは普通の手足があり、背中から木の幹やいくつもの木の枝が生えており、体には花が咲いている蔓が巻き付いている姿となった。
「皆さんと同じ足があるというのは不思議な感覚ですね。変じゃないでしょうか? タクト様」
「ん? 綺麗な足だと思うけど?」
俺がそういうとミールは足を隠してしまった。
「す、すみません。足を見られるのは慣れていなくて…」
それなら何故聞いてきたんだ!これだと俺がミールの足をガン見したやばい人に思われそうだぞ。は!誰かの視線を感じた!
「見ちゃったの」
アリナがそういうといなくなった。絶対良からぬ噂を流すな。憂鬱だ。
「すみません」
「笑っているぞ…ミール」
「今、皆さんの間で困った顔のタクト様が流行っているので」
なんだ。その流行りは…誰が発生源だ?そう考えた時に一瞬で色んな人がヒットした。諦めてミールの能力を調べてよう。
最初は豊穣。育てている植物を一瞬で成長させるスキル。この他に一度採取した後にこのスキルを使うと再度採取することができる。生産系のスキルだ。
次が怖そうな呪木。木で縛った相手に呪いを付与するスキル。これでミールの木の束縛から逃れるためには力尽くが最善策となるが折ったり、斬っても復活スキルで直してくる。厄介なスキルを覚えたものだ。
次は間欠泉。リリーたちが名付けたブクブクバーンだが、スキルでは地面ならどこでも吹き出すようだ。攻撃はもちろん壁にも使えるスキルらしい。
最後は寄生種。寄生木の種バージョン。同じように直接ぶつけることが出来るけど、決定的な違いは罠設置が出来るということ。この種を踏んだ瞬間に急成長する木に取り込まれてしまう。もちろん前に説明した呪木も発動するから厄介な罠となる。
総合的にミールを見ると地上の敵には強そうだけど空の敵には苦戦しそうな印象だ。まぁ、遠距離技も結構豊富だし、樹海操作は空飛ぶ者にとってはかなりの驚異となるスキルだからやり方次第か。
今日はここまでだな。急いで寝るとしよう。




