#876 ギルドクエスト依頼と文明消滅のスライム
夕飯を食べた後、テスト勉強を終えた俺はゲームにログインする。するとみんなが下で手を広げてガードしていた。
「タクトはまだ絵を見たら、ダメだよ!」
「タクトさんはアラネアさんが作った旗を見てください!」
どうやら自分たちが考えた旗を秘密にしたいらしい。
「それじゃあ、ユウェル。悪いけど、ちょっと来てくれ」
「わかった!」
ユウェルとギルドに向かった俺だが、そこでの男性プレイヤーの反応は同じだった。
「「「「で、でかい…」」」」
「「「「…」」」」
「「「「な、なんでもありませーん」」」」
女性プレイヤーの冷たい視線を受けて、男性プレイヤーは撤退する。最初に金曜日のギルドクエストの内容を伝えられた。
ギルドクエスト『暴走した巨獣軍団から町を守れ』:難易度SSS
報酬:1億G、ダマスカス装備一つ、ダマスカス鋼
同じギルドに所属しているプレイヤー人数:100人
敗北条件:プレイヤーの全滅、巨獣の町への到達
町を守りつつ、暴走の原因を排除せよ。
まだ手に入っていないダマスカス鋼武器に希望を見出す気持ちは非常によくわかる。だけどどうしても聞きたいことがある。
「巨獣軍団って何?」
「「「「さ、さあ?」」」」
分からないで選んだのかよ!
「「「「原因の調査なら任せて!」」」」
「「「「援護は任せろ!」」」」
「俺がメインだけで大丈夫なのか?」
どれだけの強さの敵がくるか分からないから不安だ。
「ギルマスが既に巨獣軍団だから大丈夫ですよ!」
「第五進化の召喚獣も揃えてきているんだろう? 我々が町の守りを固めればなんとかなるはずだ」
「まぁ、とりあえず頑張ってみます」
倒した巨獣は解体出来るみたいだし、全員の強さを確認するには最高の舞台になるだろうからな。その後、クロウさんに鉱石を見せて貰う。
「風属性の鉱石は一番強いのだと台風石だな」
「それってどこで手に入ったものなんですか?」
「ダゴンの神殿で一週間品質がいいお酒を納め続けていると手に入るらしいぞ」
あぁ、ダゴンがそういえば何か言っていたな。あれ?九尾は結構納めている気がするけど、何もくれないな。これが神様と妖怪の差か。
「今度は風属性の武器を作るのか?」
「はい。馬に乗って使う槍って風のイメージありませんか?」
「あぁ。確かにあるな」
ということで台風石を二つとアダマント、クロウさんたちが生産したチタン鉱石、マグネタイト、燃焼結晶をあるだけ購入した。
台風石:レア度9 素材 品質S
強烈な風の力を宿した石。台風がよく発生する場所にしか出来ない石で採掘すること自体がかなり難しいと言われている。
チタン鉱石:レア度8 素材 品質S-
軽く強く錆びにくい三拍子揃った鉱石。そのため乗り物や建物、武器まで多くの物に使用されるが高価なのが難点。
マグネタイト:レア度9 素材 品質S
強力な電磁力を宿した鉱石。雷が発生するところで採掘できるため、命懸けで探さなければいらない。
燃焼結晶:レア度8 素材 品質S-
可燃性の液体が結晶化したもの。火と反応させると激しく炎上し、瞬間火力が欲しい時に使用される。
たくさん買った俺の姿にクロウさんが言う。
「たくさん買うようになったな。前は取りに行くとか言っていたのによ」
「流石に一週間、待つことはありえませんって」
「それもそうだな」
これでユウェルにクリュスと同じ偃月刀を頼むことにした。素材はドラゴンメタルとアダマント、台風石、楽園結晶だ。これで強い武器が作れると思う。俺が島で台風石を増やそうと考えているとクロウさんに声を掛けられた。
「タクト、ちょっと待ってくれ。お前にクエストを依頼したいんだ」
「クエスト? 鍛冶クエストですか?」
「そうだ。緋緋色金を鍛冶するために天津麻羅のハンマーが必要なのはお前からの情報だから知っているよな?」
「はい。あー…つまり俺への依頼は天津麻羅のハンマー関連ですか」
「そういうことだ。ギルドメンバーに依頼したんだけどよ。ボスに酒呑童子とその配下が出てきてな。見事に詰んだ」
最強の鬼と呼ばれている鬼が配下と一緒に現れたのか…流石緋緋色金の鍛冶クエスト。簡単じゃないよな。
「俺もそのハンマー、貰えますかね?」
「流石にクエスト報酬は一つだろうな」
つまりへーパイストスとユウェルの分のハンマーを得るためにはクエストを二回、クロウさんのを合わせると三回は回らないといけないのか。まぁ、俺のほうは切迫していないけど、さっきからユウェルの視線を感じる。
「新しいハンマー」
目を輝かせて、尻尾を激しく振っているユウェルには勝てそうにない。
「わかりました。えーっと…日曜日はどうですか?」
「空いてるぜ。昼からにしておくか。新婚の朝を邪魔すると罰が当たりそうだからな」
茶化されたが、確かに新婚の朝というのは大切なのかも知れない。全然考えてなかった。何か考えるべきか?いや、でも…何をすればいいんだ?ダメだ…思いつかない。
俺は悩みながら次にダーレーの新たなバーディングや他の装備を見に行く。
「馬装備は需要があるにはあるんだけど、そこまで重要視されてない感じかな?」
「素材がないことも理由だけど、それ以上に作るのに素材が物凄く必要なのよ」
「馬の鎧となると具体的には大剣のざっと三倍から四倍の素材が必要になるだろうな」
獣魔ギルドで買っていたから作る大変さを知らなかった。これは保留だな。
今度はみんなから商談を持ち込まれる。ゴッドウール、アラネアの鋼索、ゴフェルの木、ゴッドシープミルク、神火石、楽園結晶、アダマなど俺しか持っていないものが盛りだくさんだ。しかし売れない。なぜなら余裕がまだないからだ。
「ルイン姉が変な制限をするからタクト君が慎重になっちゃったじゃん」
「どんどん強い武器を作っているみたいだし、一強が加速するぞ。ルイン」
「こればっかりは仕方ないわ。タクト君もクエストをクリアして、強さと素材を得ている。自分を優先するのはむしろ当たり前よ。他の召喚師もアリエス・ネペレーに進化出来ればいいんだけど」
「「「「進化出来るならとっくにさせています!」」」」
チロルたちは見事に負けているのだった。素材を買った俺は聖域の島に捧げる。これでイクスの武器がだいぶ進むはずだ。
次はぷよ助の進化のためにバルトアンデルスがいるカリオストロの研究所に向かう。すると俺がやってきたことを察知したバルトアンデルスがすぐに現れた。
「今日はスライムの進化を見せてくれるために来てくれたのかな?」
「よくわかったな」
「カリオストロが話すことは想定済みだからね。さて、君のスライムはどのスライムかな?」
「クリアスライムだ」
「クリアスライムか! うんうん。冷たく環境にもいい素晴らしいスライムだな! 早速見せてくれたまえ!」
俺はぷよ助を召喚する。
「ふむふむ。確かにレベルは達しているな。それよりも素晴らしい光沢のスライムだ。よく育てられている。さぞかし美味しい物を与えられているんだろう」
ぷよ助が俺の後ろに隠れた。スライムを怯えさせるとは…恐るべし、バルトアンデルス。
「はは! 恥ずかしがってしまったな。うむ! その反応が見れただけでご飯三杯は行けるな! それではこれが進化素材だ」
俺はバルトアンデルスから進化素材を受け取る。アイテム名は消滅の宝珠。名前がおっかないって。さて、ぷよ助の進化先を確認する。進化先は当然一つ。
ディサピアースライム
名前は予想通り。問題は説明だ。見てみよう。
ディサピアースライム…星を守る最終装置と呼ばれているスライム。どんなものも食べて、消滅させてしまうスライムでこのスライムが通ったところは何も残らないと言われている。
つまり自然環境を壊した物を全て消滅させることで星を守るわけか。強引な考えた方だけど、最終手段がリセットというのはよく聞く話だ。なんか怖いけど、進化をさせるとしよう。
ぷよ助の前に消滅の宝珠を置いて、進化を実行すると消滅の宝珠から光が発生し、ぷよ助に流れると進化する。
『ぷよ助がディサピアースライムに進化しました』
『粘着糸、第六感、魔力感知、空虚、水分身、罠撤去、罠設置、水圧操作、瀑布、水飛沫、海波動、氷柱、氷牢、消滅弾、魔氷壁、間欠泉、多連撃、土潜伏、雪潜伏、身代わり、蘇生、呪滅殺、呪滅封陣、譲渡、魔力回復、時間遅延、引力操作、耐性無効、状態異常無効、寒無効、土属性無効を取得しました』
名前 ぷよ助 クリアスライムLv32→ディサピアースライムLv1
生命力 247→327
魔力 98→188
筋力 0
防御力 302→352
俊敏性 86→126
器用値 128→198
スキル
捕食Lv49→暴食Lv49 粘着糸Lv1 防御Lv32→自動防御Lv32 第六感Lv1 魔力感知Lv1
物理無効Lv47 変形Lv48→超変形Lv48 捕縛Lv29 粘着Lv30 衝撃吸収Lv40
擬態Lv14 空虚Lv1 分裂Lv35 水分身Lv1 超再生Lv35→瞬間再生Lv35
罠撤去Lv1 罠設置Lv1 挑発Lv32→煽動Lv32 腐蝕Lv36 水中行動Lv26
極寒ボディLv44 浄化Lv34 分解Lv39→粒子分解Lv39 吸収Lv20→魔力吸収Lv20 水圧操作Lv1
水圧切断Lv15 瀑布Lv1 水飛沫Lv1 海波動Lv1 氷柱Lv1
氷牢Lv1 冷凍砲Lv16 消滅弾Lv1 魔氷壁Lv1 間欠泉Lv1
多連撃Lv1 土潜伏Lv1 雪潜伏Lv1 身代わりLv1 蘇生Lv1
呪滅殺Lv1 呪滅封陣Lv1 譲渡Lv1 魔力回復Lv1 時間遅延Lv1
投擲Lv12→念動力Lv12 引力操作Lv1 耐性無効Lv1 状態異常無効Lv1 寒無効Lv1
風属性無効Lv2 水属性無効Lv12 火属性無効Lv33 土属性無効Lv1 光属性無効Lv28
ぷよ助は宇宙から見た地球のように青いスライムとなった。それにしてもステータスの上昇幅が凄い。ぷよ助は黒鉄と違って筋力がないままなのが影響しているようだ。
「この目でディサピアースライムになるところを目撃出来たことに感謝するぞ! 少年よ! 感無量とはまさにこのことだ!」
「良かったですね」
バルトアンデルスのテンションについていけない俺は帰ることにした。




