#869 星となった金羊
獣魔ギルドに戻ったのは俺たちを待っていたのはネフィさんだった。
「試練をクリアしましたか!?」
「えーっと…なんとか」
「さ、流石です! それでここで進化させてくれますよね? そうですよね?」
怖い怖い!ネフィさんが完全にアウラさん化してしまった!やっぱり姉妹なんだね。
「落ち着きなさい。ネフィ」
「私は落ち着いています。ただア」
「ストーップ! 進化先を言うのは御法度よ。ネフィ」
「う…すみません。姉さん」
ネタバレされそうになったのか…どれだけ好きなんだ。まぁ、こんなことがあり、獣魔ギルドで進化させることになった。進化先は一つ。
アリエス・ネペレー
アリエスは牡羊座のラテン語読みでネペレーはギリシャ神話に登場する雲のニュムペーあるいは女神だ。金羊毛をつかわせてたのはゼウスとネペレーの説があり、このゲームではネペレーの名前を進化先の名前に使ったんだな。
それじゃあ、説明を見てみよう。
アリエス・ネペレー…黄金の翼を持つ黄金の羊。現実世界ではまず見ることが出来ず、精霊界の遥か上空に生息している。冒険者の間では伝説の羊と知られており、この羊の毛は身に付けるだけで伝説の英雄となるとまで言われている。
やはり毛が最大の注目だよな。それじゃあ、進化をさせてみよう。ロコモコの前に星金羊毛の宝珠を置いて、進化を実行する。星金羊毛の宝珠からロコモコに黄金の光が流れて、ロコモコが進化した。
『ロコモコがアリエス・ネペレーに進化しました』
『天言、衝撃吸収、黄金障壁、多重結界、星鎧、騎乗、天候支配、疾魔法、時空魔法、星座魔法、万雷、黒雷、日光、ガンマ線、極光、変光、烈日、雷雨、星気、星雨、星虹、星間雲、多連撃、譲渡、聖療、暴風壁、全反射、乱反射、超集束、空虚、神速、絶対防御、瞬間再生、神格解放、太陽の加護を取得しました』
『星座魔法【クラウドイーオー】を取得しました』
名前 ロコモコ ゴールドシープLv32→アリエス・ネペレーLv1
生命力 244→294
魔力 200→250
筋力 44→84
防御力 210→270
俊敏性 128→178
器用値 106→146
スキル
飛翔Lv38→高飛翔Lv38 激突Lv9→光速激突Lv9 危険予知Lv33→第六感Lv33 天言Lv1 脱走Lv21→脱出Lv21
衝撃吸収Lv1 黄金障壁Lv1 多重結界Lv1 星鎧Lv1 育毛Lv27
採乳Lv27 耐寒Lv3→寒無効Lv3 幸福Lv15→幸福操作Lv15 祝福Lv19→天祝Lv19 騎乗Lv1
守護Lv21→守護結界Lv21 放電Lv16→雷放電Lv16 天候支配Lv1 魔力回復Lv1 雷魔法Lv35
神聖魔法Lv9 時空魔法Lv35 星座魔法Lv1 浄化Lv14→浄火Lv14 天罰Lv17→神罰Lv17
雷霆Lv20 万雷Lv1 黒雷Lv1 日光Lv1 ガンマ線Lv1
極光Lv1 変光Lv1 烈日Lv1 雷雨Lv1 星気Lv1
星雨Lv1 星虹Lv1 星間雲Lv1 多連撃Lv1 光輝Lv7→後光Lv7
譲渡Lv1 聖療Lv1 暴風壁Lv1 全反射Lv1 乱反射Lv1
超集束Lv1 空虚Lv1 神速Lv1 絶対防御Lv1 瞬間再生Lv1
神格解放Lv1 天の加護Lv15→神の加護Lv15 黄金の加護Lv8 太陽の加護Lv1
進化したロコモコは黄金の雲から羊の顔や足などが出ている姿となり、新たなに黄金の翼が生えた。これがこのゲームのコルキスの金羊毛の羊かぁ。
「かっこよくなったな」
「それは違います。滅茶苦茶可愛くなりました!」
「メ~」
ネフィさんに全力否定された。感想は個人の自由だろうに…。
「そ、それで…飛び込んでみていいですか?」
ネフィさんがプールを我慢出来ない子供のように見える。
「ロコモコ?」
「メ!」
「いいみたいですよ」
「ありがとう! ロコモコちゃん! だ~い好き!」
完全にキャラ崩壊しているな。ここでアウラさんが妹をフォローする。
「アリエス・ネペレーに抱きつくことがネフィの昔からの夢だったのよ」
「そうなんですか?」
「えぇ。でもクエストが物凄く難しかったでしょう?」
「はい」
これだけは断言できる。
「そのせいで滅多に召喚されないわ。あのシルフィ姫様もゴールドシープで挫折してしまったぐらいよ」
マジっすか…まぁ、俺もブリューナクが無かったら、きっとクリア出来なかっただろうからな。何せブリューナクを使ってあれほど苦戦したんだ。は!?今、シルフィ姫様の強烈な視線を感じた気がする!
「召喚出来ないなら野生で出会うしかないけど、そもそも出会えることが奇跡レベルな上に捕まえることが至難の技なのよ」
「脱出スキルのせいですか?」
「正解。このスキルは結界や木の拘束とかを摺り抜けてしまうスキルでね。更にこの脱出には出会った場所も含まれているわ。そのせいで出会った瞬間、戦闘することなくいなくなることが殆どなのよ」
酷いスキルだ。しかも魔力を消費しないらしい。どうやって捕まればいいのかと聞いてみると神の加護に対抗出来る武器を使った封印スキルで封じるしかないそうだ。
「そんな武器がホイホイ手に入るはずもないから、挫折するしかないってわけ」
「なるほど…それであれですか」
ネフィさんが今まで見たことがない顔をしている。
「はぁ…ネフィ、これからいつでも会えるんだからもういいでしょう?」
「…嫌です」
「嫌って何言っているのよ…」
「今日からここが私の家です! 仕事ならここでさせてください!」
第五進化のロコモコは真面目なネフィさんをここまで狂わせてしまうのか。
「はぁ!? 何馬鹿なことを言っているのよ! ほら! 仕事に戻りなさい!」
「あぁ~!? ロコモコちゃ~ん!」
ネフィさんはアウラさんに連れて行かれた。いつもと完全に逆となり、なんか新鮮な光景だった。
ロコモコの危険性を認識したので、召喚石に戻してホームに帰ることにした。
「ただいま~」
「お帰り! タクト! 今、料理を作っているからちょっと待ってて!」
「あ…あぁ…」
忘れてた…エプロン姿のリリーが眩しいがそこに付いている謎の紫の液体が凄く気になる。料理が出来るイオンたちが顔を覗かせると手をバツにした。死ぬことが確定したな。
「ロコモコを進化させたから和狐、アラネア来てくれ」
「はいな! あ、でも料理は…」
「もう…手遅れなんだろう?」
「あ、あはは…分かりました」
ということでロコモコの育毛と採乳をする。手に入ったのがこちら。
ゴッドウール:レア度10 素材 S+
神に認められ星となった金羊の毛。存在自体が伝説級の羊毛で羊毛の頂点に君臨している素材でこれで作られた防具は神が使っている防具に匹敵すると言われている。
ゴッドシープミルク:レア度10 食材 S+
効果:生命力全回復、魔力全回復、二時間状態異常無効、二時間生命力回復(究)、二時間魔力回復(究)、二時間全ステータス上昇(究)、二時間英気、二時間寒無効、二時間黄金の加護、全状態異常解除、一回蘇生
神に認められ星となった金羊の羊乳。伝説の乳の一つで味は極めて濃厚。そのまま飲むことも出来るがチーズやヨーグルトにすると世界中の美食家が驚愕するチーズとヨーグルトを作ることが出来る。
ゴールデンフリースにはならないのか…まぁ、ゴールデンフリースは毛皮だから当然といえば当然だ。俺は別に気にしない。毛のみのほうが色々な服にはしやすいからね。
「最初はタクトはんのローブでよろしおす?」
「お、おう」
和狐の謎の迫力に押された。
「鎧の素材としてはどうだ?」
「予想通り内側に仕込むのには最高の素材やと思います。うちがタクトはんのローブを作りますので、アラネアはんは鎧をお願いしてええどすか?」
「はい。今回は和狐様にお譲りします。でも、私にも何か作らせてくださいね?」
「それぐらいわかっていますよ」
これで和狐が俺のローブ。アラネアがユウェルたちが作った甲冑の仕上げを担当することになった。
次はゴッドシープミルクの確認だが、効果が盛りだくさんだ。
「「「「あ、味見…」」」」
「「「「ガウ~…」」」」
俺の周囲には既に召喚獣たちが取り囲ん込んでいた。逃げ道はない。
「少しだけだぞ」
「「「「わーい!」」」」
みんなが一口飲むと全員が一斉に黄金に輝く。凄い光景だな。
「タ、タクト~…もう一口」
「…リリー、料理はどうした?」
「え?」
リリーが固まる。固まりたいのは俺のほうだ。
「…えへ」
「うん。可愛い。じゃないだろう!」
「ご、ごめーん! タクト~」
俺はキッチンに飛び出して、火を消した。その後、素材をしまって、リリーが料理を持ってきた。
「ど、どうぞ! タクト」
「あぁ…ありがとう。リリー」
目の前には黒焦げのマンガ肉に謎の紫の液体が掛かっている謎の料理だ。鑑定はしないよ。効果で神魔毒とか即死とか出て来たら、俺はきっと食べれないからな。
俺は勇気を出して、お肉にナイフを入れると謎の煙が発生し、それを浴びたハエが墜落して動かなくなった。この演出はいらないだろう!運営!男の決死の覚悟に水を差すなよ!
「い、頂きます! んん~。美味しいぞ。リリー」
「本当!?」
「あぁ。わざわざ作ってくれて、ありがとな」
「えへへ~」
リリーの頭を撫でる俺だが、手が小刻みに震えていた。まだ倒れるな…俺!
「そういえば片付けはしたのか?」
「まだだった! してくる~」
リリーがスキップしていなくなった。その瞬間俺は口を押さえる。ミルク!ゴッドシープミルクを飲めばきっと助かる!俺がインベントリを操作している一方で俺の姿にユウェル、アリナ、燎刃が感動する。
「す、凄いぞ! タク!」
「耐え切ったの! しかもリリーお姉様を褒めまでして凄いの!」
「これがタクト殿なのですね。某、感動いたしました! あ」
俺がゴッドシープミルクを入れた入れ物を持ち上げて、飲もうとしたがその中身は空だ。
「なん…で…」
入れ物を落として、膝を付くとイオンたちはバツが悪そうに視線を逸らして、グレイたちは部屋から出て行った。俺がキッチンに行った隙を狙ったようだ。
「少…しの…約…束…」
俺は操り人形の糸が切れたように倒れ込んでブラックアウトした。
「あぁ~…この状態でテスト勉強するのか…嫌だな」
現実のベッドで目が覚めた俺は愚痴を言いながらもここからはテスト勉強に当てることにした。
 




