#864 英雄守護せしゴーレムと究極進化
ギルドに戻った俺は早速黒鉄を進化させる。進化先は一つ。
アダマントゴーレム
まぁ、そう来るよね。問題は強さだ。まずは説明を見てみよう。
アダマントゴーレム…アダマントで作られたゴーレム。過去の英雄たちが眠る遺跡の守護者として作られたと言われている。腕を様々な形に変化させ、身体に仕込んでいる多数の兵器で戦闘をする。
やはり身体の変形が一つの売りになっているようだな。それじゃあ、進化をさせよう。黒鉄の前にアダマントの宝珠を置き、進化を実行する。するとアダマントの宝珠が黒鉄の胸に入り、黒鉄は光を放つ。今までと違う進化に驚いていると進化が終わり、インフォが来た。
『黒鉄がアダマントゴーレムに進化しました』
『反射装甲、強激突、高熱切断、英気、伐採、土潜伏、水中行動、魔力感知、空間探知、危険予知、伸縮、バリア、複数照準、放射熱線、荷電光線、超集束、天波動、雷波動、暗視、望遠、電磁操作、荷重操作、自動追跡、誘導弾、加速、雷放電、多連撃、覇撃、魔力回復、英雄障壁、自爆、王の加護を取得しました』
名前 黒鉄 スチールゴーレムLv32→アダマントゴーレムLv1
生命力 230→280
魔力 0→150
筋力 328→378
防御力 328→378
俊敏性 46→56
器用値 38→48
スキル
格闘Lv32 堅牢Lv52→堅固Lv52 変形Lv25→超変形Lv25 強制Lv50→煽動Lv50 強激突Lv1
物理耐性Lv49→超装甲Lv49 反射装甲Lv1 物理破壊Lv34→万物破壊Lv34 高熱切断Lv1 英気Lv1
採鉱Lv12 伐採Lv1 土潜伏Lv1 水中行動Lv1 魔力感知Lv1
空間探知Lv1 危険予知Lv1 鋼線Lv18→鋼索Lv18 伸縮Lv1 投石Lv16→鉱石砲Lv16
バリアLv1 複数照準Lv1 放射熱線Lv1 光線Lv33→日光Lv33 荷電光線Lv1
超集束Lv1 天波動Lv1 雷波動Lv1 狙撃Lv31 暗視Lv1
望遠Lv1 電磁Lv28→超電磁Lv28 電磁操作Lv1 荷重操作Lv1 回転射出Lv32
自動追跡Lv1 誘導弾Lv1 加速Lv1 雷放電Lv1 多連撃Lv1
覇撃Lv1 耐電Lv10→雷無効Lv10 耐寒Lv5→寒無効Lv5 耐熱Lv29→熱無効Lv29 毒無効Lv25
病気無効Lv17 腐蝕無効Lv14 再生Lv37→高速再生Lv37 魔力回復Lv1 守護Lv21→遮断結界Lv21
英雄障壁Lv1 自爆Lv1 王の加護Lv1
進化した黒鉄は魔力が跳ね上がったな。そして姿は全身がアダマントのゴーレムとなった。その中には男のロマンが詰まっていることがスキルからわかる。
まずは黒鉄最大の特徴と思われる超変形を確認していこう。このスキルで黒鉄は今までより高度な武器に腕を変化させられるようになった事を確認した。それがドリル。土潜伏を覚えたのはこれが出来るようになったからだ。
そしてこれは黒鉄のレールガンロケットパンチの進化を意味している。何せパンチではなく、ドリルが飛んでくるのだ。更に敵の大群を集める煽動に荷重操作、強激突まである。とんでもない攻撃になる予感しかしない。
黒鉄の超変形をサポートするのはレールガンだけではない。新たな追加されたのが高熱切断。これは黒鉄が変形させた剣などを高熱にして、斬れ味を上げるスキルだ。見た目は完全にロボアニメで見たことがある物になっていた。
次は鋼索。これはワイヤーロープを発射するスキルだ。縛ることは当然出来るが雷放電と併用すると電気ショックワイヤーとなる。元々雷放電は自分に敵が取り付いた時用のスキルなんだろうけど、予想外の使い道を披露した。
次も注目のスキル。それが鉱石砲。ここでの鉱石はアダマンタイトとなるのだが、これをただ撃ち出すだけでは大した驚異ではない。問題は黒鉄はスキルでレールガンが可能という点だ。つまりアダマンタイトのレールガンが飛んでくるわけだ。しかも先ほど同様に荷重操作で重くされることになるだろう。
次はレールガンとは関係がない黒鉄の新たな必殺技。それが放射熱線。既に獣化した恋火たちが使っているが、黒鉄の場合は胸から銃口が出現し、ぶっぱなす兵器のようだ。因みに残りの光線は目で波動技は腕を大砲に変化させて、黒鉄は使っていた。
次のものは攻撃には関係ないのだが、足の裏や背中にジェット噴射する武装が装備された。これで水中で行動出来るのかと期待したが、水中では使え無かった。それなら何故水中行動があるのか気になったが、ただ海底を歩けるようになっただけだった。使うかどうか謎だな。
やっと登場したのが誘導弾。即ちミサイルだ。ミサイルなので、ある程度追尾するのだが、敵の急な方向転換に対応するためには自動追跡スキルが必要みたい。黒鉄のいい点は武装を作る手間がないことだ。その代わり、オリジナルミサイルは作れないけどね。ミサイルが弾数を気にせず撃てるのは十分な魅力だ。
最後は自爆。イクスの装備で既にあることが示唆されていたが、これが黒鉄の最後の手段ということになるんだろう。
結論から言うとゴーレムというより、最早ロボに近くなった印象。ただゴーレム要素も追加されている。それが伐採。しっかり人間を助けてくれるスキルが追加されてくれて、俺は嬉しい。
聖域の島で試す前に図書館で調べる。そしてフェンリルについて見つけた。
『フェンリルはウルフの第五進化からフェンリルの宝珠で進化する。フェンリルの宝珠はフェンリルが持っている』
「フェンリルを討伐しろってことか」
これは大変だぞ。更にスネークとゴーレムについても載っていた。
『ウロボロスはスネークの第五進化からウロボロスの宝珠で進化する。ウロボロスの宝珠は封印されし堕天使が持っている』
『オリハルコンゴーレムはゴーレムの第五進化からオリハルコンゴーレムの宝珠で進化する。オリハルコンゴーレムの宝珠は海神が管理している』
ウロボロスと関係がある堕天使ならサタンかルシファー、カマエル、サマエルだ。サタンは恐らくラスボス。ルシファーは魔王の一人で封印されていない。カマエルは既に登場している。残すはサマエルとなる。
海神はポセイドンのことだろうな。これだけ管理ということは何かしらの試練の可能性があるな。まだ直接アトランティスに向かったわけじゃないし、全部まだまだ先の話となりそうだ。今は聖域の島で黒鉄のテストをしよう。
黒鉄は腕をチェーンソーに変化させて、高熱切断でゴフェルの木を見事に伐採した。流石のゴフェルの木もこれにはひとたまりも無いか。これで俺の伐採は卒業だな。
「タクト様もやってくれたほうが早く終わりますよ?」
「…俺を休ませる選択はないのか? セチア」
「休ませると男はダメになるらしいので」
誰だ!セチアに変なことを吹き込んだのは!なんか滅茶苦茶実体験が篭った言葉だったぞ!
気を取り直して次は修練の塔を受けることにした。選んだメンバーはリリー、イオン、ノワ、リビナ、リアンを選んだ。
「今日は真剣勝負が望みか」
「あぁ…ただし、切り札は使わないけどな」
今日はリリーたちの強さを確認したいと思ったのだ。これは訓練だからイオンの武器は槍。拒否権はない。
「槍でも十分戦える事を証明してみます」
こう言っているが結構嫌がっていたイオンだ。そして最初にリリーが戦闘する。
「やぁああ!」
「隙が多い」
「うぐ!? 光速激突!」
「すぐスキルに頼るな。愚か者」
こんな感じでリリーはボコられた。一生懸命スキルを使って、対抗しようとしたが、その全てを菅原道真は完封して見せた。見ているだけで俺も勉強になる。
「暫くはここで特訓だな。リリー」
「そ、そんな!?」
もの凄くショックを受けてはいるが、スキルのレベルは上がっているし、先生役は俺より菅原道真のほうが遥かに上だ。何せ本気で殺しに来ている。俺はやはり手加減しているところはあるからな。
次はイオン。やはり慣れない槍で動きが鈍い。それが分かっているのか菅原道真は槍の攻撃を躱しているだけだ。
「く…はぁああ!」
「勝負を焦るな。抜打」
「うぐ…」
突っ込んできたイオンにカウンターの抜打が腹に決まった。やはりダメなところは見逃してくれない。
「く…はぁああ」
イオンが槍を突き出す。菅原道真は飛び上がり、上段の構えからイオンに斬りかかる。するとイオンはそれを後ろに下がって、躱すと槍で突く。ここで菅原道真は初めてイオンの槍を刀で受け止めた。
「さっきの娘よりやりがいはあるな。どれ…では、もう少し厳しめに行くぞ」
「え…」
イオンはギアを上げた菅原道真にボコボコにされて終わった。
「槍は近距離には不向きの武器だから剣よりも足が重要になる。基本的には近距離に入り込ませないようにしないとダメだぞ。イオン」
「わかっているんですけど…あの人が強すぎるんです」
「それは言い訳だぞ。私より強い者など世界にはたくさんいるはずだ。だからこそここでお前たちは修行をしなければならない。より強い者に勝つためにな」
「それぐらい分かっています」
イオンが拗ねていう。わかっているならリリーと一緒に暫く訓練決定だな。次はノワ。
「…勝てる気がしない」
「俺が見たいのは通常時のみんなの実力だ。勝ち負けじゃないから頑張って見てくれ」
「…ん。影創造」
ノワは影から大鎌を作り出した。
「影使いか…珍しい能力を持っているな。こい」
「…ん! ドッペルゲンガー」
ドッペルゲンガーでノワの影からもう一人のノワが現れる。
「影分身…いや、実体があるな」
「「…行く」」
それぞれノワが別の動きで菅原道真に襲いかかる。これを飛び上がって菅原道真は躱すとノワは追撃する。大鎌を振りかぶる。
「隙だらけだぞ!」
ノワが腹を斬られるがそれはドッペルゲンガーだ。そして本命のノワの攻撃を菅原道真は受け止める。すると斬られたドッペルゲンガーが菅原道真に襲いかかる。
「む! はぁ!」
「…うぐ」
菅原道真は受け止めてノワを蹴り飛ばすとドッペルゲンガーを菅原道真は斬り裂く。それでも消えることはない。
「面白い技を使うな…しかしスキルに頼ってばかりでは私には勝てぬぞ!」
菅原道真が攻めに出る。これをノワは待っていた。
「…影分身」
更にノワの数が増えた。菅原道真は咄嗟に目の前のノワを斬ると影分身で煙となり、消える。
「…うまいな」
煙となったことで菅原道真はノワの姿を見失った。その隙にノワは分身とドッペルゲンガーと共に動き回り、どれが本物かわからなくした。すると菅原道真は本気になる。
「お主の強さ…認めよう。飛梅!」
一瞬で全てのノワが攻撃を受けて、影分身が消えると呪滅殺が発動するがそれを菅原道真は気にしない。
「見つけたぞ」
「…っ!?」
ノワは魔素化や夢幻でなんとかしようしたがノワは接近戦に弱く、俊敏値が高いわけじゃない。地面に下がり、影に潜ろうしたがそれを許してくれる菅原道真ではなかった。
「…負けた」
「だな。でもよく頑張ったな」
「…ん」
「「なんでノワ(ちゃん)だけ!?」」
ノワだけ頭を撫でたことが納得行かないリリーとイオンだが、菅原道真の態度を見れば明らかに違っていることがわかる。ここは褒めて当然だろう。
次はリビナだ。
「こういう人は苦手なんだよね…」
「そうなのか?」
「戦闘狂って、性欲より戦闘欲のほうが高くなっているから苦手なんだよ」
あぁ…なんかわかる気がする。そしてリビナの危惧が現実になる。
「女性の服装に口出しはせぬが、戦闘をするなら肌を見せるべきではないぞ?」
「ほらー! これはタクトが好きな服装だからそれでいいの!」
こら。勝手に決め付けるな。
「そうなのか? ふ…若いな。少年」
何悟った顔をしているんだ!このおっさん!
「隙有り!」
空間跳躍から催淫爪で襲いかかるがこれは受け止められる。
「これは隙とは言わぬな!」
菅原道真はリビナの催淫爪を弾き、斬りかかるとリビナの蛇が菅原道真の刀に噛み付いた。
「ぬ!?」
「魔拳!」
「ぐ…」
刀を止められたことで完全にフリーとなった菅原道真の腹にリビナの拳が決まり、吹っ飛ぶ。
「黒雷!」
リビナが追撃を加えるが黒雷は止まる。
「雷は私には効かぬ! 神雷!」
「うわ!? っ!?」
リビナの黒雷と共に神雷も加えてリビナに放たれる。それをリビナは躱すと目の前に上段に構えている菅原道真が現れる。それを見たリビナの蛇が身体を使ってガードに動く。
「朧」
「シャ?」
菅原道真の攻撃が幻と消えて、リビナの蛇はこの瞬間ガードが緩んだ。その隙間を菅原道真は見逃さない。リビナの蛇の身体の隙間から刀が飛び出し、リビナは反応出来ず、突き刺さった。
「もう! ガードを緩めたら、ダメでしょ!」
「シャシャ!」
「なんでボクが悪いのさ!」
いい感じだったんだけどな。まだリビナと蛇の連携がうまくいってない感じがする。進化したばかりだから仕方ないのかも知れないな。
「リビナも特訓に参加決定だな」
「えぇー!? ボク、一撃与えたよ! タクト!」
「「いらっしゃい」」
リビナはリリーとイオンに引きずられて行った。最後はリアンだ。
「頑張ってね~。女神様~」
「プレッシャーを与えないで下さい! リビナお姉様!」
「だって、ボクは特訓の仲間入りだし…待ってるよ」
「絶対に仲間入りしません!」
そういうリアンだが、雷が使えないのは厳しい。それでもリアンは神速遊泳で空を飛び回り、槍と魔導書で攻撃する。これに対して、菅原道真は動かず、対処する。そしてリアンの全てのスキルに対応してみせた。
結果、リアンは槍の突撃を見切られ、地面に叩きつけられた。
「うぅ…私も特訓ですか? 先輩」
「いや? リアンは特訓なしで」
「「「なんで!?」」」
リリーたちは抗議するがこれにはちゃんと理由がある。
「特訓してもこれ以上は変わりようがないと感じたからな」
「そうだな。槍捌きも悪くはないし、状況を把握する頭脳もある。私とはかなり相性が悪いというだけでそこそこ戦えるだろう」
「嬉しいですが…それはそれで酷いです!」
伸び代がない宣言だからな。リアンの最重要なのは俺と同じで魔法のレベルアップだろう。さて、ここで俺はリリーたちを召喚石に戻した。
「何故召喚石に戻す? っ!?」
俺は迅雷を取り出し、構える。それだけで菅原道真は察した。
「ふふ…さっきまでとは別人だな。よくそんな殺気を隠しているものだ」
「俺はこれから因縁の相手と戦わないといけない…悪いけど、練習相手になってくれ」
「望むところよ。私が求めていた戦いはこれだ。思う存分、殺し合おうぞ!」
スキルを一切使わない殺し合いをする。その結果、俺は見事に負けたけど、訓練結果には満足している。やはり菅原道真と御剣流で戦えることはかなり勉強になった。技の対処法を見せてくれるからな。
見事に死んだことだし、ここでログアウトして、お昼までテスト勉強をするとしよう。




