#854 白夜の試練と白虎の王
ご飯を食べて回復した俺は獣魔ギルドに向かうと白夜のクエストを受ける。
ギルドクエスト『白虎の王の試練』:難易度S
報酬:白虎王の宝珠
四神の王から指示された試練をクリアせよ。
どうやら白虎の王と戦闘にはならないらしい。問題はどんな試練が来るかだな。考えていても仕方ないし、クエストを受けるとしよう。
転移した先は夜の森。隣には白夜がいる。すると突如霧が発生し瞬く間に森が霧に包まれていった。そして俺たちの前に霧が集まるとシルフィ姫様が封印石召喚した時に見た麒麟が現れた。
『我が名は麒麟。四神たちの王をしているものだ。お主の白虎に進化の試練を与えるために降臨した。付いてくるがいい』
どうやらここから移動するようだ。俺たちは麒麟の後を追っていくと麒麟が立ち止まる。
『試練の内容は簡単だ。この先はある魔獣の領域となっている。そいつをお前たちだけで討伐するだけだ』
まだ敵が何か分からないか…こうなるといきなり襲われる危険があるな。
「わかりました。行くぞ。白夜」
「ガウ!」
俺は神息を腰に装備し、水樹の杖で灯りを確保して白夜に先頭を頼んで進んでいく。すると白い霧が急に黒くなる。
「何か来るぞ」
「グルル」
俺たちは臨戦態勢となる。さて、何処から何が来る。すると俺の第六感が発動する。
「飛梅!」
俺が背後に飛梅を放つと黒い虎が斬り裂かれるが、黒い虎は黒い泥となって俺に飛び散ってくる。これに第六感が物凄い反応を示した。
「避けろ!」
俺たちは後ろに下がり、回避する。そして泥が集まると池のようになる。そして黒い池から真っ赤な目をした黒い虎が現れた。
咸池虎?
? ? ?
そうきたか…咸池は中国で太陽が昇る前に浴するとされた伝説上の池。更に史記という中国の歴史書では白虎の代わりに咸池という名が登場している。このことから白虎の敵として登場させたってことか。
問題はこいつの能力だ。さっきの戦闘で泥が危険なことと分身ではなかったことが分かった。つまりこいつは攻撃するたびに泥になる可能性がある。爆魔法の攻撃はしないほうがいいな。
俺が考えていると咸池虎が向かってきた。これに白夜が挑む。するとあっさり爪で切り裂いた。
しかし咸池虎は泥に四散する。俺は後ろに下がると飛び散った泥からそれぞれ別の咸池虎が現れる。こいつはぷよ助が持っている分裂スキルがあるのか。厄介だな。
すると俺に三匹の咸池虎が向かってくる。白夜には二匹…完全に俺を狙ってやがる。
『白夜、分裂をさせてからまとめて仕留めるぞ。泥に触れるのだけは気をつけてくれ』
『ガウ!』
「飛梅!」
俺は逃げながら飛梅で咸池虎を分裂させる。分裂は生命力を消費するスキルだ。その代わりに一撃で消えることはない。しかし分裂をしすぎると生命力がどんどん少なくなるんだ。俺はその弱点を付くことにした。
最もスライムとはわけが違った。早く動くだけでも厄介なのにフィールドは夜の森という最悪の条件だ。それでも俺は第六感でいち早く攻撃を察知して、神息で斬り裂く。その度に咸池虎の生命力が減っていることを確認した。白夜も頑張っているようだ。
『ガッ!?』
『白夜!?』
まさかあの毒を食らったのか!?まずい…白夜の位置が分からないぞ。どうする。
俺がそう思っていると空に閃光が伸びる。あれは白夜の聖波動だ!
俺は空間歪曲で飛ぶと白夜が倒れており、咸池虎が群がっていた。
「飛梅!」
俺が咸池虎を斬り裂き白夜を見ると神魔毒になっていた。治そうとしたが神魔毒は治せない。ならば白夜を回復させるしかない。ファミーユで回復させていると俺たちは分裂した大量の咸池虎に群がられていた。
咸池虎たちが襲いかかってくる。
「テレポーテーション」
俺は白夜に触れて転移する。白夜の頑張りを無駄にはしないさ。俺は群がっている咸池虎たちに杖を向ける。
「「「「マグネットサークル!」」」」
『『『『マグネットサークル』』』』
咸池虎たちがマグネットサークルに捕まる。
「白夜を苦しめたお返しだ。たっぷり味わえ」
『『『『ダイヤモンドダスト』』』』
ダイヤモンドダストが咸池虎たちに降り注ぎ、凍り付く。
「もう少し、頑張ってくれ。白夜」
「ガゥ~…」
ここにいるのは白夜と戦っていた奴らだ。まだ俺が戦っていた奴らがいる。俺はそいつらが来る前に準備をする。
俺と戦っていた咸池虎たちは凍りついた咸池虎たちを発見する。そいつらが恐る恐る凍りついた咸池虎たちを確認する。
「「「「サンクチュアリ!」」」」
『『『『レッドスプライト』』』』
咸池虎たちに聖域が広がり、咸池虎たちは苦しむと上空から赤雷が降り注いで、凍りついた咸池虎ごと仕留めた。俺は魔女の隠れ蓑をしまい、確認に向かう。
「ガァアア!」
恐らく安全のために凍りついた咸池虎たちに近づかなかった咸池虎が向かってきた。俺は攻撃を慧眼で躱す。
「残念だったな」
「(レールガン)」
遅延魔法でストックしていたレールガンが至近距離から咸池虎を貫いた。
「ガァアア!」
別の咸池虎が俺に襲いかかって来た。まだ隠れていたか…随分用心深い奴だな。
「ガァアア!」
俺が迎撃しようとすると神魔毒で苦しんでいる白夜が気合の聖波動を放ち、消し飛ばした。そして白夜は倒れる。俺が白夜に駆け寄ると麒麟が現れた。
『見事だ。試練はクリアとする。その毒を直してやろう』
麒麟の光を受けると白夜の神魔毒が治り、起き上がる。
「大丈夫か? 白夜」
「ガウ!」
最後を決めれたからかそれとも俺を助けることが出来たからか白夜は誇らしげだ。そんな白夜に麒麟が言う。
『咸池虎の泥に触れるとはまだまだ未熟だ。宝珠は渡すが進化してもこの試練での失態を忘れず、精進するといい』
「ガゥ…」
白夜は伏せをして、落ち込んでしまった。俺はそんな白夜に笑みを浮かべて、麒麟から宝珠を受け取ると麒麟は姿を消した。
ギルドに戻ると早速白夜を進化させることにした。進化先は一つ。
白帝
白虎の別名だな。これは他の四神も同じ名前の進化になりそうだ。それじゃあ、説明を見てみよう。
白帝…白虎の王。神通力を極め、大地を守護している。西方の守護神獣であり、敵から都を守る最後の砦の一体とされている。
神獣になるんだ。これは期待しかない。それじゃあ、白夜の前に白虎王の宝珠を置き、進化を実行する。宝珠の光が白夜を包み込み、進化するとインフォが来る。
『白夜が白帝に進化しました』
『天言、神感覚、神速、虚空切断、空振、空虚、慧眼、指揮、神装甲、神障壁、神鎧、神聖魔法、時空魔法、神道魔術、仙術、神気、神雷、守護結界、遮断結界、旋風刃、ゴッドブレス、後光、神霧、神罰、多乱刃、天候支配、神格覚醒、王の加護、神の加護を取得しました』
名前 白夜 白虎Lv32→白帝Lv1
生命力 100→150
魔力 160→210
筋力 190→240
防御力 80→120
俊敏性 276→326
器用値 132→172
スキル
噛み砕くLv33 風爪Lv40→神風爪Lv40 他心通Lv32 神足通Lv37 跳躍Lv26→空間跳躍Lv26
天耳通Lv26 天言Lv1 神感覚Lv1 防御無効Lv31 暗視Lv35→千里眼Lv35
威圧Lv14→重圧Lv14 神速Lv1 虚空切断Lv1 空振Lv1 空虚Lv1
慧眼Lv1 指揮Lv1 神装甲Lv1 神障壁Lv1 神鎧Lv1
疾魔法Lv4 地魔法Lv6 神聖魔法Lv10 雷魔法Lv30 時空魔法Lv35
神道魔術Lv30 森林操作Lv15→樹海操作Lv15 地脈操作Lv19→大地操作Lv19 重力操作Lv1 仙術Lv10
仙気Lv35 神気Lv1 霊力Lv26→念動力Lv26 霊化Lv22 神雷Lv1
聖波動Lv27→神波動Lv27 守護結界Lv1 遮断結界Lv1 旋風刃Lv1 暴風Lv27→暴旋風Lv27
咆哮Lv27→神虎の咆哮Lv27 ゴッドブレスLv1 縮地Lv33→転瞬Lv33 後光Lv1 神霧Lv1
神罰Lv1 多乱刃Lv1 多連撃Lv1 天候支配Lv1 神格覚醒Lv1
荒魂Lv8 王の加護Lv1 神の加護Lv1
進化した白夜は体に白銀の鎧を装備した白虎となった。基本的には速さ特化のようだが、防御スキルも多くある。流石は守護神獣と言ったところかな。
強そうなスキルが初めての樹海操作、大地操作、暴旋風。白夜に使って貰い、確認する。
最初は樹海操作。一瞬で樹海を作り、樹海の木々を操るスキル。拘束はもちろんだが、いきなり目の前に巨木が出現したり、巨木を不自然に動かすことが出来るこのスキルはえげつないぞ。少なくとも白夜を見つけることはかなり困難になりそう。
そしてそれよりも厄介なのが大地操作。地脈操作では地面から隆起した岩が飛び出していたりしたが、大地操作になると巨大な岩を取り出したり、逆に地面を陥没させることが出来るようになった。満足に地面を歩けなくなるため、戦うなら空ということになるが天候支配も覚えている。これはえげつない組み合わせだぞ。
最後は暴旋風。周囲に竜巻をいくつも発生させるスキル。これに旋風刃が加わり、白夜に近づくことが非常に困難となっている。やはり第五進化は強いな。
さて、結構進化させたし、最後に謎の修練の塔に行くとするか。




